建物付きの不動産売買などを行うと、必ず耳にするのが「建築確認」や「確認済証」といったワードであるかと思います。

但し、言葉自体は知っていても「建築確認や確認済証が一体何なのか?」という問いに答えられる方は非常に少ないのが現実でしょう。

そこで本日は「建築確認・確認済証等についてわかりやすく解説いたします!」と題して、マイホームの購入や収益物件の売買に際して非常に重要となる建築許可の概要についてお話ししてみたいと思います。

建築確認・確認済証

 

建築確認とは一体?

さて、まずは建築確認とは一体何か?というところから、お話を始めてまいりましょう。

我が国、日本は法治国家となりますので、あらゆる物事が法の支配を受けることとなり、建築行為についてもその例外ではありません。

そこで建築を行う場合には、

これから建てる建物が「建築基準法等の各種法令に違反していないか」のチェックを受けることが義務付けられており、この制度のことを『建築確認』と呼んでいる

という訳なのです。

なお、具体的な手続きとしては、建築確認を担当する自治体の部署が窓口となって申請書や図面等を受付け、建築基準法等の法令に定めらた

などの項目ついて審査を行うことになります。

そして、この審査に合格すれば建築確認を取得することができ、ここで初めて工事に着手(着工)することが可能となるのです。

但し、審査を受けて建築が行われたからといって、「必ずしも申請通りの建物が作られるとは限らない」のもまた事実でしょう。

そこで建築開始以降も、行政は「建築途中の検査(中間検査)」、そして「完成後の最終チェック(完了検査)」を実施して、違反建築の取り締まりを行っていくことになるのです。

そして最終的に「建築確認」通りの建物が完成していれば『確認済証』という合格証が交付され、これでようやく建物が完成したことになります。

建築確認申請から検査済証交付までの流れ まとめ
  1. 行政への建築確認の申請
  2. 確認済証の交付(審査期間2~3週間程度、ここで工事着工が可能に)
  3. 中間検査の実施(木造3階建て等、特定の建物のみで実施される)
  4. 中間検査合格証の交付
  5. 完了検査の実施
  6. 検査済証の交付(建物完成)

ちなみに、1999年以降は建築基準法の改正より行政に代わって、民間の指定確認検査機関が建築確認の審査を行うことが可能となっています。

※建物を建築する際に建築確認等が必要となるのは、原則として都市計画区域及び準都市計画区域となり、それ以外のエリアでは建築確認は不要ですが、一般的に不動産が売買される地域は殆ど全てが「建築確認の必要なエリア」となります。

※2025年以降は都市計画区域及び準都市計画区域以外でも、木造2階建て以上の建物の建築には建築確認の取得が必須となります。

不動産取引と建築確認について

ここまでの解説をお読みいただければ建築確認の概要はご理解いただけたことと思いますが、不動産取引においては建築確認に関して、

  • 建築確認における用途の問題
  • 増築やリフォーム等でも建築確認が必要となる
  • 建築確認の関連資料は不動産取引での重要書類となる
  • 検査済証を取得していない物件は売却し辛い

以上のような点が問題となってくるケースもありますので、本項ではこの点について詳しく解説していきましょう。

建築確認における用途の問題

建築確認を取得する際には「建物の用途」についても審査の対象となり、検査済証等には

  • 居宅
  • 店舗
  • 事務所
  • 倉庫
  • 共同住宅

といった、具体的な用途も記載されることになります。

そして、物件を使用する場合には「定められて用途の通りに使用する」のがルールとなりますが、不動産の取引においてはこの点でトラブルが発生することも珍しくありません。

例えば用途が「倉庫」となっている物件を、店舗として利用することは「建築基準法に違反する行為」となりますから、契約に際してはその旨を借り手に告知する必要があるという訳です。

また違反した状態で使用を続けた場合には、行政指導等の罰則を受けるといった事態へ発展するケースもありますので是非ご注意ください。

なお、建築確認上(建築基準法上)の用途については後から変更手続きを行うことも可能です。

但し、変更する用途によっては大規模な改築が必要となるケースもありますし、そもそも変更が不能な場合もありますから、用途については取引前にしっかりと確認しておく必要があるのです。

増築やリフォーム等でも建築確認が必要となる

建築確認は「建物を建築する際に必要」とお考えの方もおられるかもしれませんが、実は

  • 10㎡以上の増築工事(防火地域・準防火地域内)
  • エレベーターの設置
  • 屋根付きの車庫の設置(地下車庫を含む)
  • 一定規模以上の工作物の設置(高さ2m以上のブロック塀や擁壁など)

などにおいても、建築確認の取得が必要となる場合があります。

そして、これらの手続きを怠っていると不動産売買などにおいて不利になるケースもありますのでご注意ください。

例えば建築確認を取得していない増築部分や地下車庫がある場合などには、購入希望者が住宅ローンを利用する際に、借入先の金融機関から融資が受けられない場合がありますし、

高さ2m以上のブロック塀や擁壁などについては、売買に際して行われる重要事項の説明において買主へ「不適格擁壁が存在します」といった告知を行わねばならないのです。

ちなみに増築のお話が出てまいりましたが、これとは反対に建物をカットする行為(減築)には、建築確認を取得する必要はありません。

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建築確認の関連資料は不動産取引での重要書類となる

ここまで解説した通り、建築確認と不動産取引は密接な関係にありますので、建築確認を取得している証拠となる

  • 確認済証
  • 中間検査合格証
  • 検査済証
  • などの書面も重要な資料となってきます。

    そして、これらの書面は紛失してしまうと再発行はできませんので、将来の売却へ備えて大切に保管しておく必要があるのです。

    ちなみに、どうしても書面が見つからない場合には、原本の代わりに

    • 台帳記載証明/「建築確認や完了検査を受けているか否か」を示した自治体の証明書類
    • 建築概要書/建築確認の概要を示した簡単な資料

    を添付して取引を行うことになりますが、建築確認申請時に添付されていた建物図面などは行政にも控えがありませんから、書類の紛失にはくれぐれも注意が必要でしょう。

    検査済証を取得していない物件は売却し辛い

    これまで建築確認に関して様々な解説を行ってまいりましたが、実は30年くらい前までは、新築に際して建築確認の取得は必須であったものの、「完了検査を受けずに、確認の内容と異なる建物を建築する」といった行為が当たり前に行われていました。

    ※こうした建物は「違反建築物」として扱われることになります。

    当然こうした建物は確認済証を取得していません(完了検査を受けても不合格となる)ので、売却をする際に買い手が現れても、銀行の融資承認が下りないという理由でキャンセルされてしまうことが少なくありません。

    また、極端に建築確認の内容から逸脱した違法建築物である場合には、購入した者が行政などから改善を求められることもあり得ますし、そもそも建物の構造上の安全性(耐震性など)が確保されていないというケースもありますので注意が必要です。

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    建築確認・確認済証等についてわかりやすく解説!まとめ

    さてここまで、非常にザックリではありますが建築確認・確認済証等について解説を行ってまいりました。

    なお「更に突き詰めた知識を得よう」とすると、かなり専門的なお話になってしまいますので、マイホームの購入や売却、増改築を行うのであれば、この程度の内容を把握してれば充分であるかと思います。

    また、実際に皆さんが家を建てたり、増改築を行うということになれば、原則として建築確認の申請を行うのは建築士の仕事です。

    そして大抵の場合は、工事を担当するハウスメーカーやリフォーム会社にて設計士の手配もしてくれますから、施主である皆様は書類に印鑑を押して、お金を払うだけとなりますが、

    既にお話ししたような「物件所有者も押さえておくべきポイント」がありますので、この記事を内容を頭の片隅に止めておいていただければ幸いです。

    ではこれにて、「建築確認・確認済証等についてわかりやすく解説いたします!」の知恵袋を閉じさせていただきたいと思います。