マイホームの購入を決意した際に直面するのが、「分譲マンションと戸建て、どちらを購入するべきか?」、そして「新築と中古、どちらがお得なのか?」といった問題です。

なお、これまで当ブログでは「分譲マンションのメリット・デメリットを解説!」「新築・中古どっちが得か?について解説します!」等の記事にて、これらの問題を扱ってまいりましたが、

読者の方々からは「新築戸建てと中古戸建ての選択で悩んでいるので、より詳しい解説記事を書いて欲しい!」とのご要望をいただいておりました。

そこで本日は「中古戸建て購入の注意点について解説いたします!」と題して、中古戸建て購入のポイントや注意点を解説させていただきたいと思います。

中古戸建て購入の注意点

 

中古戸建て購入の注意点を解説

では早速、中古戸建ての購入に潜む問題点やリスクについてご説明してまいりましょう。

中古戸建ては住宅ローンに制約がある

新築物件の購入に際して住宅ローンを利用する場合には、物件価格の100%を借入れ、35年という最長期間で融資を受けるケースが少なくありませんが、中古住宅の場合にはこうしたローンの条件に制約が生じる場合があります。

住宅ローンは対象となる物件の担保評価によって借入の条件が決定しますが、築年数の古い中古物件においては、返済期間や貸出可能額に制限が発生することのあるのです。

よって中古戸建ての購入に際しては、物件ごとに住宅ローンの条件を確認した上で資金計画を立てる必要が生じてきます。

新築に比べ、中古戸建ては税制優遇が少ない

新築物件を購入する場合には固定資産税や住宅ローン控除等々、様々な税制の優遇を受けることができます。

もちろん、中古戸建てを購入する場合にもある程度の優遇制度は用意されているのですが、新築に比べて明らかに優遇幅は減少しますし、築年数によっては全くその恩恵を受けることができない場合もありますので注意が必要です。

中古戸建ては購入時に売主と条件交渉が生じる場合がある

新築戸建てでは、売主が必ず不動産業者であるため「物件がしっかりと商品化されている」のが当たり前ですが、中古戸建てで売主が一般の方である場合には「少々面倒な状況になるケース」もあります。

例えば敷地の境界線について、新築ならば境界が確定しているのが当たり前ですが、中古戸建ての場合には「境界確定は行わない」という物件も存在します。

また、新築住宅なら物件さえ完成していれば何時でも引き渡しが可能となりますが、中古では「売主の引越し先が決まらないと建物を引き渡せない」といったケースもあるのです。

もちろん、売主の意向をそのまま承諾するのであれば問題はありませんが、買主側の主張も受け入れて欲しいとなれば、契約に際して様々な交渉が必要になりますし、交渉の内容次第では『気に入っている物件を諦めざるを得ない場合』もありますので注意が必要です。

中古戸建てには住宅性能が低い等の問題がある

住宅性能は日進月歩で進歩していますし、完成から時間が経過すれば建材の性能は徐々に低下していくのが道理です。

よって、中古戸建ての購入に際しては住宅性能の低下や、築年数が古いが故の様々な問題があることを覚悟する必要があります。

そこで以下に中古戸建てで発生しがちな問題点を挙げていくことにいたしましょう。

  • 耐震性能が低い(現行法上の耐震基準を満たしていない)
  • 断熱性、機密性、防音性が低い
  • 建物内の上下水道配管が劣化している
  • アスベストが使用されている

耐震性能が低い場合にはリフォーム工事の際に耐震補強が必要となるでしょうし、断熱性や機密性が低ければ、生活をする上で様々な問題が生じるのは容易に想像できますよね。

また建物内の水道、下水の配管が劣化していれば、購入から数年で漏水が発生して多額の修繕費用が発生する場合もありますし、吹き付けアスベストやアスベスト含有建材が使用されているケースでは、将来建物を解体する際に高額な費用が発生することを覚悟しなければなりません。

中古戸建てには法的な問題点があるケースも

これは少々専門的な話となりますが、中古戸建には見た目には判らない法的な問題点があるケースもあります。

例えば、前面の道路に問題がある場合や、道路に接する土地の間口が狭過ぎる場合には、建物の再建築(建替え)ができないこともあります。

また、現在建っている建物が建築基準法に違反している場合には、改善命令を出されるケースもありますし、過去の所有者が増築部分について登記をしていない場合には後になって「第三者が未登記部分の権利を主張してくる可能性」もなくはないのです。

中古戸建ての瑕疵担保責任(契約不適合責任)の問題

中古住宅の購入で最もリスキーな事柄に挙げられるのが、建物の隠れたキズによって引き起こされる「瑕疵担保責任(契約不適合責任)」の問題です。

不動産の売買契約においては、土地や建物に瑕疵(雨漏りや建物の傾き、地盤沈下などの欠陥)があった場合に備えて、その責任の所在(責任の取り方)に関する取り決めが行われることになります。

なお、一般の方同士の売買であれば、通常は6ヶ月から3ヶ月くらいの期間を設け、この期間内に発見された瑕疵については「売主が責任を負う」と定められるのが通常です。

但し、建物が極端に古い場合などはこの期間を一切設けない「瑕疵担保(契約不適合)免責」という契約形態も存在しますので、このパターンですと引渡し後にどのような問題が発覚しても、売主に責任を負わせることができません。

また、たとえ責任を負う期間が設けられていたとしても、欠陥がその短期間内に明らかになるとは限りませんし、仮に瑕疵に気付いたとしても、売主に賠償能力が無ければ、結局買主が自腹でその補修に当たらなければならなくなってしまうのです。

中古戸建てのリフォーム費用の問題

中古住宅購入の最大のメリットは、何といっても『新築と比べた場合の価格のお手頃さ』であるかと思います。

しかしながら、中古住宅の値付けは「土地の価格」と「建物に残された価値」によって決定されますから、価格が安いということはそれだけ建物が傷んでいる可能性があるということでもあるのです。

また、「前所有者が住んでいたそのままの状態で当面暮らす」というのであればまだしも、リフォームを完了してから入居しようとお考えなら、更なる注意が必要となります。

リフォームの内容が「クロスの貼り替え」や「ルームクリーニング」くらいであれば、施工費用も安価に抑えることができるでしょうが、「フローリングの貼り替え」や「ユニットバス・システムキッチンの交換」、「間取りの変更」などを行うとなれば、100万、200万という高額な工事費用が必要となりますから、当初考えていた資金計画に『大きなズレ』が生じる可能性があるのです。

更に不動産の売買においては、給湯器や床暖房などの「建物の付帯設備」が取引対象に含まれていることも珍しくありません。

そして、こうした建物付帯設備については、先に述べた建物の瑕疵担保責任とは別に、独自の保証期間が設けられるのが通常ですが、その保証期間は短いと数日、長くても数週間となるケースが殆どなのです。

※売買契約に際しては付帯設備表という書面を取り交わし、この書面の中で「故障無し」と謳われた設備については保証期間の取り決めが行われる。(付帯設備表において「故障あり」となっている場合は、当然保証期間は定められない)

よって、保障期間終了後に湯沸かし器や食洗器などが故障すれば、売主からの保証を受けることができないことはもちろん、交換・修理にかなりの費用を要することになります。

更に外壁や屋根の状態によっては、購入して数年後にはメンテナンスのための塗り替えや葺き替えが必要になりますから、中古戸建てのリフォーム計画を立てる際には、不動産会社や建築会社からのアドバイスを聞きながら慎重にプランを練り込んでいくことが重要です。

中古戸建ては割高な買い物である可能性も

中古住宅の購入に際しては、設定されている売買価格についても「適正であるか否かを確認する必要」があります。

新築戸建て(建売物件)の場合には、周辺に競合物件が多いため、分譲主も充分な市場調査を経て、周辺の不動産相場に基づいた値付けを行わなければなりません。(高額な値付けをすれば売れ残ることになります)

これに対して中古住宅の場合には「売主の希望」や「住宅ローンの残高」が価格に反映され、相場より割高な値段で売りに出されていることも珍しくありません。

そして、このようなお話をすると「それは中古分譲マンションも同じなのでは?」というお声も聞えて来そうですが、マンションの場合には少々事情が異なる側面もあります。

分譲マンションの場合ですと、戸数が圧倒的に多いため売買事例の調査も大変に容易であり、場合によっては少しネットで検索するだけでも、分譲当時の販売価格や取引事例を調べることができるため、購入希望者が容易に『割高であること』に気付くことが可能です。

しかしながら、中古戸建ての場合には同じ築年数の建物でも、土地の大きさや形状、道路に接する向きや道路幅によって価格が大きく変動しますから、素人が適正価格を判断するのは非常に困難な作業となるでしょう。

こうした理由から、中古戸建てでは「割高な物件であるのを知らずに購入してしまうケース」が少なくないのです。

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中古戸建てのリスク回避手法をご紹介!

さてここまで、「中古戸建ての購入に伴って生じるリスク」を検証してまいりましたので、本項では中古戸建てのリスクを上手に回避する手段について、ご説明して行きたいと思います。

なお、住宅ローンの条件や税制優遇等、回避不能な問題もございますので、その点はご容赦ください。

不動産業者売主の中古戸建てを購入する

過去の記事おいて分譲マンションのリノベーション販売のお話をさせていただきましたが、近年では「その戸建て版」ともいうべきリノベーション戸建ての販売も増えて来ています。

こうした物件を選択すれば、「リフォーム費用も込みの価格」で物件を購入することができますし、不動産業者が売主の場合には『瑕疵担保(契約不適合)責任を引渡しから2年間は負わねばならないルール』となっていますから、非常に安心感のある取引が可能となるはずです。

また万一の場合にも、瑕疵担保責任を負うのが不動産業者であれば、手厚い保証を受けられる可能性も高まるでしょう。

更に不動産業者が売主であれば、境界確定等の最低限の商品作りは完了しているはずでし、増築未登記部分や建築基準法違反等の問題点についてもしっかりと説明が受けれられるはずです。

信頼の置ける建築屋さんや設計士と物件の確認を行う

中古戸建ての購入に際して、もしも建築業界にお知り合いが居るようなら、売買契約を締結する前の段階で「建物の総合的な診断を受けておく」のも、取引の安全性を確保するのに非常に有効な方法となります。

もちろん契約締結後でも建物の調査は可能ですが、瑕疵が明らかになった場合に「売買価格の調整」などを行うのはの非常煩わしい作業となりますから、タイミング的にはやはり「契約前」がおすすめです。

なお調査をお願いする業者さんは、経験豊かな「建築業者」か「設計士」、若しくはその両方が適当だと思いますが、知り合いがいないという方には、有料で建物診断を請け負う業者もおりますので、これらを利用してみるのも良いでしょう。

ちなみにこの際、同行する建築業者に「引き渡し後に計画しているリフォーム」の見積もり作成も依頼しておけば、これは正に一石二鳥でしょう。

そして、建物の修繕履歴が残されている物件を選択しておけば、将来的に必要となるメンテナンス費用(外壁修繕や屋根の葺き替え等)についてもアドバイスをもらえるはずです。

瑕疵保険に加入した物件を購入する

ここまでお話ししてきた通り、中古戸建ての売買には様々なリスクが伴いますが、このような状況を放置すれば不動産市場の活性化も望めるはずもありません。

そこで国土交通省はインスペクションと呼ばれる住宅検査制度を整備し、この検査に合格した住宅については瑕疵担保責任に対する保険(欠陥が明らかになった際に保険金が受け取れる)に加入することのできる制度を立ち上げました。

また、この制度を世間に広く浸透するために宅地建物取引業法を改正し、中古物件の売買に際して、仲介業者は売主に対して「インスペクションを受けるように勧める」ことを義務付けた上、瑕疵保険に加入した物件については税制面の優遇を行うルールを定めたのです。

もちろん、売主にはインスペクションを受ける義務も、瑕疵保険への加入を強制されることもありませんが、国土交通省は「瑕疵保険に入っていない物件は選ぶべきではないという風潮」を作り出そうしているのでしょう。

また、こうした背景の下で徐々に「住宅検査に合格し、瑕疵保険に加入した中古戸建て」が増え始めておりますので、こうした物件を選べば安全に中古戸建てを購入できる可能性は高まるはずです。

ちなみに、売主の意向で瑕疵保険に加入していない物件については、購入の条件として「瑕疵保険に加入して欲しい」などの要望を出すこともできますし、インスペクションの料金や瑕疵保険の加入料はそれ程高額ではありません(二つ合わせても20万円以下であることが殆ど)ので、どうしても売主が拒否する場合には『費用は買主が持つ』という条件を提示してみるという方法もあるでしょう。

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中古戸建の注意点まとめ

さて、これまでご紹介して来た手法を用いれば、非常にリスクが高いと言われる中古戸建の購入も、かなり安全なものとなるはずです。

「どうしても中古戸建を購入しなければならない」というご事情がある方には、是非ご紹介した手法をお試しいただければと思います。

但し、取引対象が木造の戸建てである場合には、その建物の価値はおよそ30年で償却される(税務上の価値ではなく不動産取引における価値)ものとなりますし、どんなに大切に住んでも50年住み続けるのはかなり厳しいのが現実です。

よって築20年以上の中古住宅ともなれば、価値のある期間は残り10年ということになりますし、しっかりと修繕工事を行っても住めるのは30年程度となるのを覚悟した上で、購入の決断をするべきでしょう。

なお戸建ての購入を有利に進めるには、土地の面積や地形、接する道路の種類や水道・下水の引込み状況など様々な知識が必要となりますが、これらの詳細については管理人が出版しているアマゾン・Kindleの電子書籍にてガッチリと解説しておりますので、是非ご一読いただければ幸いです。

マイホーム購入成功マニュアル② 戸建てと売地の購入 土地・建物・権利関係編: 現役不動産業者が教える「失敗しない家の選び方」 Kindle版

ではこれにて、「中古戸建て購入の注意点について!」の知恵袋を閉じさせていただきたいと思います。