マイホーム探しをしている際に時折目にすることがあるのが、土地の高低差を利用して作られた地下車庫と呼ばれる設備を有する物件です。

通常、一戸建てを建築する際には駐車場として13㎡程(約4坪)のスペースを確保しなければなりませんが、家の地下に駐車場を造ることができれば、その分土地を有効に利用することも可能となるでしょう。

また、少し広めの地下車庫でシャッターが付いたものならば、車を置いて余ったスペースを物置代わりに利用することができますから、これは実にありがたいですよね。

しかしながら、こうした利点がある反面「地下車庫付き物件の購入には注意が必要!」などというお話しも耳に致しますから、これは少々気に掛かるところです。

そこで本日は「地下車庫の建築確認や費用、注意点等について解説いたします!」と題して、この地下車庫なる設備の詳細に迫ってみたいと思います。

地下車庫

 

地下車庫とは?

ではまず最初に「そもそも地下車庫とは何なのか?」という点から、解説を始めてまいりましょう。

既にご存知の方も少なくないこととは思いますが、地下車庫は道路よりも宅地部分が高い位置にある場合などに、土地の横っ腹をトンネル状に掘って車庫を作る工法を指す言葉です。

また高低差がない土地でも「駐車場による建築面積のロス」を無くすために、敢えて地下に駐車場を造るパターンも高級住宅街などでは目に致します。

但しこの地下車庫、土を掘り込んでいるだけにかなりの土圧(土による圧力)を受けることになりますし、場合によってはその上に立つ建物の加重まで受け止めなければならないため、その構造は配筋とコンクリートで頑丈に固められたシェルター状のものとしなければなりません。

そして、これだけの工作物を作るとなればそれなりの費用も必要ですから、「誰でも気軽に作れる代物ではない」のが現実です。

なお地下車庫を造るのであれば、その高さは最低でも2mは必要(ハイルーフ車なら更に天井を高くする必要がある)ですから、道路と宅地面の高低差が2m未満の物件では切車庫(駐車スペース分の土を除去し、擁壁で囲んだ車庫)とした方が遥かに経済的と言えるでしょう。

 

地下車庫の費用

さて前項にて、地下車庫が決して安価に設置できるものではないことに触れましたが、実際にこれを造るとなるとどれくらいの費用が掛かるのでしょうか。

実は一口に地下車庫と言っても様々なタイプが存在しており、まず大きな区別となるのが、建築会社によって独自に作成されるオーダータイプのものと、メーカーによって部品が大量生産されている既製品タイプの2種となります。

そして当然ながらオーダータイプの地下車庫の方が割高で、普通乗用車1台分のサイズでその価格は400~450万円程度(工事費等込み)が相場となるでしょう。

これに対して既製品タイプのものなら300~400万円程度で収まるはずですから、価格的には既製品の方がお得となっています。

なお、オーダータイプであろうと既製品であろうと万が一の時には人命に係わる施設となりますから、設置の際には建築確認の取得が必須となりますのでご注意ください。(確認費用についても既製品の方が安価です)

 

地下車庫と建ぺい率・容積率について

そして地下車庫に建築確認が必要となれば、気になって来るのが建ぺい率や容積率の問題となるでしょう。

土地を購入して建物の間取りを決める際には「建ぺい率等は非常に悩ましい存在」となりますから、地下車庫を造ったことによってマイホームの設計に影響が出るのは何としても避けたいところですよね。

なお、まず結論から申し上げれば「地下車庫も条件次第で建ぺい率や容積率の計算に加えなければならない代物」となります。

但し、建物が建つ地盤面よりも地下車庫の天井が1m以上低い場所に位置しているならば、建ぺい率・容積率の計算から除外することができます。

また容積率については、車庫部分も含めた建物の延べ床面積の1/5までの駐車場は計算から除外できるルールがありますから、これは非常にありがたいですよね。

※床面積100㎡+車庫20㎡の物件なら、120㎡×1/5=24㎡までの車庫は容積計算から除外することが可能です。

ちなみに、建ぺい率は建物の水平投影面積(真上から光を当てて陰になる部分)によって計算されますから、地下車庫がスッポリ建物の下に収まってしまえば建築面積への算入は不要となりますし、

仮にはみ出したとしても「はみ出した部分の面積のみ」を算入するだけですから、建物全体にそれ程の影響は出ないはずです。

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地下車庫の登記

続いてお話ししておきたいのが、地下車庫の登記に関する事項です。

さて、このようなお話をすると「地下車庫の登記が可能なの?」と驚かれる方も多いかと思いますが、実はしっかりと登記が可能となっています。

但し、地下車庫が建物と一体化している場合には自動的に建物の一部として登記されることになり、既製品などを後付けした場合には建物の付属物としての登記となるのです。

そして付属建物である場合には「ついつい登記を怠ってしまうケース」も多いでしょうが、自宅を売却することになれば購入者の住宅ローン利用の関係で結局は「登記をしなければならない状況」となりますから、予め登記はしておくべきでしょう。

 

地下車庫のある家の注意点

これまでのお話で地下車庫の概要についてはご理解いただけたことと思いますが、読者の方の中には「地下車庫付きの中古物件を購入しようか悩んでいる!」という方もおられるはずですから、本項では「既存の地下車庫がある場合の注意点」を解説してまいります。

さて、地下車庫付きの物件を検討するに当たってまず問題となるのが車庫の強度の問題です。

古い物件の場合ですと建築確認を取得せずに地下車庫を設置しているケースもありますし、たとえ建築確認を取得していても「完成から何十年も経過している地下車庫」の強度は少々疑わしいものがありますので、

購入に際しては車庫の壁面や天井にひび割れなどがないかを十分に確認すると同時に、設計士などからも意見を聞いておくべきです。

また将来的に建物の建て替えを行う際には、ハウスメーカーから古い地下車庫の上に建物を建築することを拒否されることも珍しくありません。(ハウスメーカーは地下車庫に建物の荷重が掛かることで、後々問題が生じるのを危惧するため)

よって、古い地下車庫が付いた物件を購入するのであれば、建て替え時には地下車庫を造り直すことを覚悟した上で購入の決断をするべきでしょう。

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地下車庫まとめ

さてここまで、地下車庫というテーマでお話をしてまいりました。

物件を見に行った際などには「ふーん、地下車庫付いているのね・・・」などと、ついついその存在をスルーしてしまうことも多いはずですが、実は意外にチェックすべき点の多い施設であることをご理解いただけたはずです。

また、これから地下車庫の設置をお考えの方についても、既存建物との建築確認や登記の問題が係わってまいりますので、各方面の専門家からアドバイスを受けた上で工事に踏み切っていただければと思います。

ではこれにて、「地下車庫の建築確認や費用、注意点等について解説いたします!」の知恵袋を閉じさせていただきたいと思います。