賃貸マンションやアパートを経営されているオーナー様にとって、非常に重要となるのが賃貸管理を行う管理会社の選定作業となります。

正直申し上げて、10世帯くらいまでの物件であれば、本業が別にある兼業オーナーさんでも自力で充分に管理を行うことが可能(詳細は過去記事「賃貸管理は大家が自ら行ってしまおう!」をご参照ください)であるとは思いますが、それ以上の世帯数となれば「なかなか厳しい」というのが実情でしょう。

そこで登場するのが賃貸管理会社という訳ですが、そのクオリティーについては正に「ピンからキリまで」ありますから、業者の選定を誤ったがために多くのトラブルを抱え込んでしまう大家さんも少なくないのです。

そして、このようなお話をすると「では、一体どんな管理会社に依頼をすれば良いのか?」ということになるでしょうが、本日はそんな疑問にお答えするべく賃貸管理会社選び方について解説をしてみたいと思います。

賃貸管理会社選び方

 

賃貸管理会社にもいろいろある

賃貸管理会社についてお話しする前にまず前提として申し上げておきたいのが、賃貸物件の管理業務を行う不動産業者であっても管理のみを専門で行っている会社は意外に少ないという点です。

つまり、多くの管理会社が他社の管理する物件にお客様を付ける「客付けの仕事」や「売買の仲介」、時には「戸建て分譲」などの仕事を同時進行で進めているケースが殆どとなるでしょう。

また管理の形態にも様々なものがあり、新規募集や更新契約をメインとした「契約管理」、そして賃料の徴収や滞納分の督促、共用部分の清掃など総合的な管理を請け負う「入金管理」という2種に大別することができます。

ちなみに、一般的な管理会社の仕事内容については過去記事「賃貸管理会社の仕事内容をご紹介いたします!」をご参照いただければと思いますが、本記事では総合的な管理となる「入金管理を任せるならどのような業者にするべきか?」という目線にてお話をさせていただくつもりです。

ではこれらの事項を前提に、具体的な賃貸管理会社の選び方について見ていきましょう。

任せて良い管理会社、ダメな管理会社

さて、管理会社の質を論じるに当たって「どのような会社が望ましく、如何なる会社を避けるべきか」という点を簡潔にご説明するのは少々ハードルが高いので、本記事では「具体的な管理業務の進め方」や「会社の姿勢」などを例に挙げながら『管理会社の良し悪し』を解説していくことにいたしましょう。

なお既に管理会社への依頼行っているオーナー様については、その業者の仕事ぶりと比較しながら記事を読み進めていただければと思います。

会社の体制

賃貸管理の報酬は「不動産会社における貴重な固定収入源」となりますから、オーナー様からの依頼があれば、これを断る業者は殆どいないものです。

そして、こうした状況であるが故に生じてしまうのが、誤って「物件管理能力の乏しい会社」や「管理業務に力を入れていない会社」に管理を頼んでしまうことがあるという問題となります。

当然のことながら「あくまで賃貸管理は片手間」という会社が、クオリティーの高い物件管理を行える訳がありませんよね。

なお依頼する会社が「どの程度管理業務に力を注いでいるのか」については、「管理物件の件数」や「既に管理を依頼しているオーナー様の評判」などから窺い知ることができるはずです。

よって可能であるならば、多くの管理物件を擁し、地元での評判が高い業者を選ぶようにしましょう。

新規募集について

管理会社の最も重要なお仕事の一つといえるのが、空室が発生した際に行う入居者募集業務となりますが、ここでも会社ごとのカラーが出るものです。

例えば新規の入居者募集を行う際には、様々な媒体を利用してお客様を募ることになりますが、この広告の方向性には大きく分けて二つの種類が存在しています。

まず一つ目は、「レインズ」や「アットホーム業者版」など不動産業者のみが閲覧可能な物件情報共有媒体であり、こちらは原則として客付け業者にお客様を紹介してもらうことを目的に行う広告活動となるでしょう。

そして2つ目が、「一般ユーザー向けアットホーム」や「スーモ」などへの広告掲載であり、部屋を探している一般のお客様に対しての直接的な宣伝活動を目的とする媒体となります。(こちらの媒体の場合には、一般の方から直接管理会社に物件の問い合わせが入る)

よって、空室の早期成約を望むのであれば「これら2種類の媒体」をフルに活用して、募集活動を行ってくれる管理会社を選ぶべきです。

なお特に注意が必要なのは、「お部屋を探すお客様からの仲介手数料」と「大家さんからの広告宣伝費」の両方が欲しいばかりに他の客付け業者に空室物件の情報を開示しない管理会社に募集依頼を掛けてしまうこととなります。(レインズ・アットホーム業者版に情報を公開しない業者)

このような募集方法では、空室が埋まるまでに相当な時間を要してしまう可能性が高いですから、こうした業者には絶対に管理を任せるべきではないでしょう。(大手賃貸会社の中にも、このタイプの業者さんは存在します)

スポンサーリンク

入居審査について

新規募集で申し込みが入れば、続いて入居審査が開始されることになります。

しかしここでも、管理会社のクオリティーが問われるシーンが多々あるものです。

大家さんは申込書の内容で入居の可否を決めることになりますが、申込書から得られる情報は非常に少ないですし、その情報に誤りや虚偽があれば大変なことになってしまいますよね。

そこで質の良い管理会社は、たとえ客付け業者がお客様を連れて来た場合であっても、申込人や連帯保証人に直接連絡を入れて「その人柄を確認」したり「勤め先の会社の概要を調べる」などして、オーナー様が判断を下すのに必要な情報の提供や、サポートをしてくれるものです。

これに対して質の悪い管理会社は、そのまま判断を大家さんに丸投げしてくるばかりか、時には「無職の申込み人を、自分たちのダミー会社に勤めていることにする」などの荒業まで使ってきます。

後々トラブルを招く入居者を選別するのに、審査のプロセスは非常に重要なものとなりますから、是非手間を惜しまない管理会社を選びたいところです。

なお、入居審査の方法に関しては別記事「賃貸入居審査のコツをご紹介いたします!」「賃貸申し込み書類から入居者の真実を見抜く!」などもご参考にしていたければと思います。

契約書の作り方

賃貸物件の運用を「大家さんにとって有利なもの」とするか、「不利なものとする」かは、賃貸借契約書の文言一つによって大きく左右されるものとなります。

よって、質の高い管理会社はトラブル回避するべく契約内容を日々練り上げ、オーナー様にプラスに働くものであれば新しい契約条項も積極的に取り入れていくものです。

これに対して、クオリティーの低い管理会社は契約書の作成は基本的にコピー&ペースト、トラブルが起きたらその時に考えよう的な業者も少なくありません。

なお、賃貸借契約内容については、過去記事「賃貸契約書の注意点を解説いたします!」にて詳しく解説しておりますので、ご興味のある方は是非ご一読いただければと思います。

大家さんサイドに立ってくれる業者を選ぶ

管理の仕事においては「クレームの受付と処理」、そして「退去立会い」「敷金精算」などで、管理会社が入居者との窓口になることも多いものです。

そして、こうしたシーンで「入居者寄りの立場に立つ」のか「大家さん側に立つ」のかといった部分でも『管理会社の資質』を垣間見ることができます。

設備の故障などで費用負担が発生する際に、何から何までオーナー様に払わせようとする管理会社では、お金がいくらあっても足りませんよね。

もちろん、法的に大家が負担せざるを得ない場合もあるでしょうが、少しでも大家さんの出費を減らそうと努力してくれる管理会社を選びたいところです。

日常的な管理

管理会社の中には管理業務は請け負うものの、普段は全く物件に近寄らない業者も少なくありません。

しかしながら、物件を放置すれば共用部分に入居者の私物が放置されていたり、エントランスの蛍光灯が切れていたりと「意外に多くの問題が生じる」ものです。

また、空室のリフォームが完了した後も定期的にトイレの水を流したり、下水のトラップに水を流さなければ、悪臭が立ち込めたり、害虫が室内に侵入してしまうこともありますので、このような状態でお部屋を放置すれば「お申込みが入ってくるはずもありません」よね。

管理会社を選ぶ際には、時折でも構わないので物件の巡回を行っている会社を選びたいところです。

スポンサーリンク

管理会社の選び方まとめ

さてここまで、管理会社の仕事内容やそのクオリティーについてのお話をしてまいりました。

一口に「管理業務」と言っても、その仕事の質には様々な違いがあり、これを請け負う会社も十人十色(十社十色)であることがご理解いただけたのではないでしょうか。

そして、どうせ管理の依頼をするのであれば『少しでもクオリティーの高い管理会社を選びたい』と思うのは、オーナー様として当たり前のことですから、決して諦めることなく最高の業者を見つけ出していただきたいものです。

また、この記事がそんな大家さんのアパート経営の一助となれば、管理人にとって望外の喜びです。

ではこれにて、賃貸管理会社の選び方の知恵袋を閉じさせていただきたいと思います。