賃貸マンションやアパートを経営されているオーナー様にとって、非常に重要となるのが賃貸管理を行う管理会社の選定作業となります。

但し、一口に賃貸管理会社といってもそのクオリティーについては「ピンからキリまで」ありますから、業者の選定を誤ったがために多くのトラブルを抱え込んでしまう大家さんも少なくないのです。

そこで本日は「賃貸管理会社の選び方について解説いたします!」と題して、収益物件の運用に欠かせない管理会社の選定方法についてわかりやすくご説明いたします!

賃貸管理会社選び方

 

賃貸管理会社選定のチェックポイント

では早速、賃貸管理会社を選定するチェックポイントを解説していきましょう。

なお、管理の形態には大きく分けて、

  • 契約管理/新規募集や更新契約をメインとした管理形態
  • 入金管理/契約管理の業務に加えて、賃料の徴収や滞納分の督促、共用部分の清掃など総合的に管理を請け負う形態

という2種に大別することができますが、本記事では総合的な管理となる「入金管理を任せるならどのような業者にするべきか?」という目線にてお話をさせていただきます。

ちなみに、管理会社の仕事の詳細内容については過去記事「賃貸管理会社の仕事内容をご紹介いたします!」をご参照いただければと思います。

管理業務に特化した会社を選ぶ

賃貸管理会社についてお話しする前にまず前提として申し上げておきたいのが、賃貸物件の管理業務を行う不動産業者であっても管理のみを専門で行っている会社は意外に少ないという点です。

つまり、多くの管理会社が他社の管理する物件にお客様を付ける「客付けの仕事」や「売買の仲介」、時には「戸建て分譲」などの仕事を同時進行で進めているケースが殆どとなるでしょう。

そして当然のことながら「あくまで賃貸管理は片手間」という会社が、クオリティーの高い物件管理を行える訳がありませんから、専業ではなくとも管理業務に注力している企業を選ぶべきです。

なお、管理業務に特化した会社の見分け方については、次項をご参照ください。

充分な実績のある会社を選ぶ

管理会社選びに当たっては、充分な管理実績のある会社を選ぶことが重要です。

そして、実績があるかの見極めについては

  • 管理を請け負っている戸数
  • 賃貸管理業者の登録の有無
  • 地域での評価の高さ

以上がチェックポイントとなります。

さて、これは当然のことかもしれませんが「管理を請け負っているお部屋の数が多ければ多い程、優れた管理会社である可能性は高まる」はずです。

但し、一時的に管理物件数が増加している可能性もありますから、管理会社の選定に当たっては現在の管理戸数と、管理戸数の推移についても確認することが重要でしょう。

なお、2021年6月以降は管理戸数200戸以上の管理会社には法令による登録義務が課せられることとなりましたので、賃貸管理業者登録がなされていることも、実績のある会社を見極める基準の一つとなるはずです。

そして、最も重要になるのが地域における管理会社としての評価となります。

ただ、ネットの評価はあまりアテになりませんので、可能であれば地域の地主さんなどから生の声を聞きたいところです。

ちなみにそれが困難である場合には、対象の管理会社の周辺を散策して「管理看板が掲げられた物件がどの程度あるか」を確認してみるのも管理会社の評判を知るための一つの方法となるでしょう。

※会社の所在地周辺に「●●不動産管理物件」「入居者募集中」などの看板が複数確認できれば、少なくとも地元ではある程度評価されている企業であることが推測できます。

業務のキャパシティーに余裕のある会社を選ぶ

前項において管理戸数の多さは管理会社の実績を知る上で重要なデータとなる旨はお話しいたしましたが、人員の数に比べて管理戸数が多過ぎる場合には注意が必要です。

私の経験上、社員1人あたりに100戸以上の担当物件があるとかなり多忙となり、200戸を超えると「細部まで手が回らない状態」となってしまいます。

よって、社員の数に対してあまりに管理戸数が多い会社には注意が必要でしょう。

地域に密着してた会社を選ぶ

何事においても「業務を委託するなら大手が安心」という風潮がありますが、賃貸管理会社については少々この考え方が当てはまらない点もあります。

もちろん一概には言えませんが、全国規模で展開する管理会社の多くは「管理物件の空室募集を極力自社のみで行おうとする傾向が強い」ように見受けられます。

よって、管理物件の新規募集の依頼を引き受けても、スピーディーに地域の不動産業者へ物件の情報を行わず、成約に少々時間を要するケースが多いようです。

これに対して地域に密着した管理会社は、地元の不動産業者とのネットワークを重視する傾向がありますし、こうした横の繋がりの強さ故に地域の賃料相場にも精通している企業が多いのが特徴となります。

こうした実情を考えれば、地域密着型の企業でありながらある程度の支店数、社員数を備える企業を選択することが管理会社選択で成功を収める秘訣となるかもしれません。

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新規募集について

管理会社の最も重要なお仕事の一つといえるのが、空室が発生した際に行う入居者募集業務となりますが、ここでも会社ごとのカラーが出るものです。

例えば新規の入居者募集を行う際には、様々な媒体を利用してお客様を募ることになりますが、この広告の方向性には大きく分けて二つの種類が存在しています。

まず一つ目は、「レインズ」や「アットホーム業者版」など不動産業者のみが閲覧可能な物件情報共有媒体であり、こちらは原則として客付け業者にお客様を紹介してもらうことを目的に行う広告活動となるでしょう。

そして2つ目が、「一般ユーザー向けアットホーム」や「スーモ」などへの広告掲載であり、部屋を探している一般のお客様に対しての直接的な宣伝活動を目的とする媒体となります。(こちらの媒体の場合には、一般の方から直接管理会社に物件の問い合わせが入る)

よって、空室の早期成約を望むのであれば「これら2種類の媒体」をフルに活用して、募集活動を行ってくれる管理会社を選ぶべきです。

なお特に注意が必要なのは、「お部屋を探すお客様からの仲介手数料」と「大家さんからの広告宣伝費」の両方が欲しいばかりに他の客付け業者に空室物件の情報を開示しない管理会社に募集依頼を掛けてしまうこととなります。(レインズ・アットホーム業者版に情報を公開しない業者)

このような募集方法では、空室が埋まるまでに相当な時間を要してしまう可能性が高いですから、こうした業者には絶対に管理を任せるべきではないでしょう。

ちなみに、レインズ登録における不正行為を行う業者の見分け方については別記事「不動産のレインズとは?わかりやすく解説します!」にて詳しい解説を行っておりますので、こちらも是非ご一読ください。

一方、新規募集に際して苦戦している際に、適正な家賃設定以上の値引きを求めてくる管理会社には注意が必要です。

賃料減額やリースバック等の値引き系のサービスは、質の悪い入居者を招き入れる結果となりますので、安易に行うべき空室対策ではありません。

値引き以外にも、ADの付加やお部屋の設備の充実など他に行うべき対策が数多くありますので、こうした提案を積極的に行ってくる管理会社を選ぶべきでしょう。

ちなみに、新規入居者募集のコツについては別記事「賃貸物件の空室対策について解説いたします!」にて詳細な解説を行っております。

入居審査について

新規募集で申し込みが入れば、続いて入居審査が開始されることになります。

しかしここでも、管理会社のクオリティーが問われるシーンが多々あるものです。

大家さんは申込書の内容で入居の可否を決めることになりますが、申込書から得られる情報は非常に少ないですし、その情報に誤りや虚偽があれば大変なことになってしまいますよね。

そこで質の良い管理会社は、たとえ客付け業者がお客様を連れて来た場合であっても、申込人や連帯保証人に直接連絡を入れて「その人柄を確認」したり「勤め先の会社の概要を調べる」などして、オーナー様が判断を下すのに必要な情報の提供や、サポートをしてくれるものです。

これに対して質の悪い管理会社は、入居の可否の判断をそのまま大家さんに丸投げしたり、「賃貸保証会社の審査さえ通れば問題ない」などとオーナーの意に沿わない入居希望者を勧めてきたりします。

後々トラブルを招く入居者を選別するのに、審査のプロセスは非常に重要なものとなりますから、是非手間を惜しまない管理会社を選びたいところです。

なお、入居審査の方法に関しては別記事「賃貸入居審査のコツをご紹介いたします!」「賃貸申し込み書類から入居者の真実を見抜く!」などもご参考にしていたければと思います。

契約書の作り方

賃貸物件の運用を「大家さんにとって有利なもの」とするか、「不利なものとする」かは、賃貸借契約書の文言一つによって大きく左右されるものとなります。

よって、質の高い管理会社はトラブル回避するべく契約内容を日々練り上げ、オーナー様にプラスに働くものであれば新しい契約条項も積極的に取り入れていくものです。

これに対して、クオリティーの低い管理会社は契約書の作成は基本的にコピー&ペースト、トラブルが起きたらその時に考えよう的な業者も少なくありません。

なお、賃貸借契約内容については、過去記事「賃貸契約書の注意点を解説いたします!」にて詳しく解説しておりますので、ご興味のある方は是非ご一読いただければと思います。

大家さんサイドに立ってくれる業者を選ぶ

管理の仕事においては「クレームの受付と処理」、そして「退去立会い」「敷金精算」などで、管理会社が入居者との窓口になることも多いものです。

そして、こうしたシーンで「入居者寄りの立場に立つ」のか「大家さん側に立つ」のかといった部分でも『管理会社の資質』を垣間見ることができます。

設備の故障などで費用負担が発生する際に、何から何までオーナー様に払わせようとする管理会社では、お金がいくらあっても足りませんよね。

もちろん、法的に大家が負担せざるを得ない場合もあるでしょうが、少しでも大家さんの出費を減らそうと努力してくれる管理会社を選びたいところです。

日常的な管理

管理会社の中には管理業務は請け負うものの、普段は全く物件に近寄らない業者も少なくありません。

しかしながら、物件を放置すれば共用部分に入居者の私物が放置されていたり、エントランスの蛍光灯が切れていたりと「意外に多くの問題が生じる」ものです。

また、空室のリフォームが完了した後も定期的にトイレの水を流したり、下水のトラップに水を流さなければ、悪臭が立ち込めたり、害虫が室内に侵入してしまうこともありますので、このような状態でお部屋を放置すれば「お申込みが入ってくるはずもありません」よね。

管理会社を選ぶ際には、時折でも構わないので物件の巡回を行っている会社を選びたいところです。

緊急対応の可否

賃貸管理においては緊急対応も非常に重要な業務の一つとなります。

深夜の漏水やオートロックの故障などは、入居者に大きな負担を強いることになりますから、こうした事態が発生した際には素早い対応が求められるでしょう。

但し、一般的な営業時間の管理会社ではこうした深夜の緊急対応は困難ですので、24時間の管理システムを導入している企業を選択するべきです。

なお近年では、営業時間外の緊急対応を管理会社から請け負う企業も増えておりますので、必ずしも大手の管理会社へ依頼を行う必要はありません。

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賃貸管理会社の選び方まとめ

さてここまで、賃貸管理会社の選び方というテーマで解説を行ってまいりました。

一口に「管理会社選び」と言っても、実に様々な切り口で管理会社の質を判断する必要があることをご理解いただけたのではないでしょうか。

そして、どうせ管理の依頼をするのであれば『少しでもクオリティーの高い管理会社を選びたい』と思うのは、オーナー様として当たり前のことですから、決して諦めることなく最高の業者を見つけ出していただきたいものです。

また、この記事がそんな大家さんのアパート経営の一助となれば、管理人にとって望外の喜びです。

ではこれにて、「賃貸管理会社の選び方について解説いたします!」の知恵袋を閉じさせていただきたいと思います。