一般の方が不動産の「売却」や「購入」を行う際には、不動産業者への依頼が必要不可欠なものとなりますよね。
なお、不動産業者の中には、全国規模で事業展開をしているような大手の企業から、地域に密着して細々と事業を行っている会社まで、様々な種類のものが存在します。
もちろん、どんな不動産会社に依頼を掛けるかは個人の自由ですが「店舗の数が多く、全国から買手や売手を募集できるのだから、やはり大手の会社に依頼した方が早くお客が付くのでは・・・」とお考えの方も多いことでしょう。
しかしながら実際には、駅前に小さな店舗を構えている不動産屋さんや、社長一人で営業している小規模な不動産業者であっても、全国の不動産情報を扱うことができますし、日本中から購入希望者を募ることも可能であり、こうした事実を耳にすると「一体彼らはどのようにして営業活動を行っているのか」という点が非常に気になりますよね。
そして、全国に支店を持たない町場の不動産屋さんがスマートな営業活動を行える裏側には、不動産流通機構という組織が運営している「REINS(レインズ)」という物件情報共有システムが大きな役割を果たしているのです。
そこで本日はそんなREINS(レインズ)と、不動産屋さん同士の情報共有ツールについてお話をしてみたいと思います。
では、「不動産のレインズとは一体何なのか?」についての知恵袋を見てみましょう。

レインズとは一体
ではまず最初に、「REINS(レインズ)とは一体何なのか」という点からご説明を始めましょう。
このシステムを運営する「不動産流通機構」という組織は、全国の不動産会社が集まって結成された「不動産取引の適正化と円滑化」を目的として活動する国土交通省指定の公的な団体ということになります。
なおこの流通機構、実際には全国で4つの団体が運営されており、東日本・中部圏・近畿圏・西日本の4組織が存在しているのです。
そしてこれらの組織が「取引の円滑化」を目指して立ち上げたのが、不動産流通標準情報システム(Real Estate Information Network System)、つまりREINS(レインズ)ということになります。
なお、このレインズは全国各地の会社が引き受けた「売りたい」「買いたい」という情報を「一つの媒体に集約して、全ての不動産業者同士で共有しよう」という目的の下に構築が始められることとなりましたが、その効果の程は『当初の想像を絶するもの』となり、現在の不動産業界の発展の礎を築くこととなったのです。
但し、立ち上げ当初は現在のようにインターネットも普及していませんでしたから、集約された情報を共有するために、エリア毎にデータを分類してFAXにて情報交換をするなど、様々な試みと努力がなされていたと言います。
なお現在では、パソコン等からの簡単な端末操作で全国の物件情報を一瞬の内に取得できるまでのシステムに成長しており、業態や規模の大小に係わらず何処の不動産会社に依頼をおこなってもスムーズで無駄のない情報共有が行える環境を作り出しているのです。
また、売却依頼を受けた際に「お客様」と「仲介会社」が締結する媒介契約(仲介手数料の根拠となる準委任契約・不動産会社が成約に向けて活動を行う旨を定めた契約)においても、依頼者への拘束度が高い「専任媒介(他の業者への売却依頼は禁止)」や「専属専任媒介(他の業者への売却依頼のみならず、売主が自分で買手を発見することも禁止)」を締結する際には、
一定期間以内にレインズへ売物件情報を登録する義務を課すことで、「不正な物件の抱え込み」や「業務の怠慢」を防ぐことができますから、ユーザー保護と業界全体の透明化にも、このシステムは重要な役割を果たしています。
※レインズに物件を登録すると全国の不動産業者から問い合わせがくるため、売却依頼を受けた業者が自分で買い手を見付けるために物件を隠しておくことができなくなりますし、他の仕事が忙しいからと買い手の募集を後回しにすることもできなくなります。
ちなみにこのレインズについては、原則一般の方への公開がされていない(不動産業者しか閲覧できない)ため、一時期国会などでも「情報公開をするべきなのではないか?」との議論が持ち上がりました。
そして結果的には、各地の不動産団体からの猛烈な反対が起こり「一般公開案」が実現することはありませんでしたが、心無い方々からは未だに「不動産業者の既得権益を排除すべきだ」などと言われているようです。(レインズを一般公開すれば、建売物件などについては仲介業者を通さずに売主と直接取引が可能となるため)
しかしながら、そもそもレインズは全国の不動産業者たちが協力し、資金を出し合って立ち上げたシステムであり、言わば業界の「宝」とも言うべき存在です。
よって根本的に、他者から「公開するべきだ!」などと要求を受ける性質のものではないことを、この機会にご理解いただければ幸いです。
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アットホーム業者版について
このようにレインズは、今や「不動産業者の仕事に無くてはならないツール」となっていますが、実はもう一つ『重宝されているシステム』が存在しています。
それはアットホーム株式会社が運営する、不動産会社向けの情報共有システムです。
アットホームと言えば、テレビCMなどでもお馴染みの「一般ユーザー向けの不動産情報提供サイトを運営する企業」というイメージがあるかもしれませんが、実はその始まりはレインズの民間会社版とも言える、不動産会社間の情報共有サービスを提供する会社としてのスタートでした。
創業当初のアットホームは、不動産会社から広告費を徴収し、依頼を受けた物件の募集図面を紙媒体で作成。
そして完成した募集図面をアットホーム会員となっている不動産業者たちに配布することで、地域別の不動産業者間の情報ネットワークを構築していったのです。
なお最近では目にする機会もすっかり減って来ましたが、一昔前までは不動産屋さんで物件図面をコピーしてもらった際に、よくよく図面を見ると「アットホーム」と小さな表示がされていることがありましたが、これは上記の配布図面を利用しているがために起こる現象だったのです。
また現在では、インターネットを利用しての高性能な不動産会社専用ポータルサイト(アットホーム業者版)が作られおり、時にはレインズにも掲載されていない、レアな物件情報を取得できるツールとして、人気を博しています。
このような歴史を歩んで来たアットホームは、不動産会社への普及率も非常に高く、お客様から売却依頼を受けた場合には「まずはレインズとアットホームに物件情報を登録する!」という不動産会社さんが殆どとなっているのが現状です。
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レインズまとめ
このように不動産業者たちは、様々なツール、そしてシステムを利用して、互いの営業活動のクオリティーを上昇させる努力を続けてまいりました。
売却依頼をする際などには、「とりあえず大手に頼んでおけば安心!」というお気持ちもあるかもしれませんが、街場の小さな不動産屋さんでも、大手以上のサービスと、素早い成約を提供できる可能性は充分にありますから、是非一度足を向けてみては如何でしょうか。
ではこれにて、不動産のレインズとは一体何なのか?について知恵袋を閉じさせていただきたいと思います!