不動産売買の仕事をしていると、売却依頼を任されたお客様から「高く売ってね!」などといった激励を頂くことがよくあります。

なお、高額売却を実現するためには「適切な不動産業者の選定」や「相場観に根差した値付けを行う」といった基本的なポイントを押さえることに加え、売主自身が「成約を勝ち取るためのテクニックを身に付け、これを駆使していくこと」が非常に重要です。

そこで本日は「不動産を高く売る方法について解説いたします!」と題して、高額売却を実現するために不可欠な基本的な事項から、売主様必見の「成約に向けたテクニック」についてお話ししていきたいと思います。

不動産を高く売る

 

不動産を高額で売却するための基本テクニック

ではまず最初に、高額売却を実現するための基本的なテクニックをご紹介してまいりましょう。

高額売却を実現する基本テクニック
  • 売却に適した不動産業者を選定する
  • 営業担当者にも選別を行う
  • 売却戦略の方向性を見誤らない
  • 広告活動の内容を注視する
  • 不動産売買について基本的な知識を身に付ける
  • 地域の不動産相場を把握する

不動産を高く売るためにまず必要となってくるのが、売却に最適な不動産業者を選定する作業となります。

なお、ここで注目するべきは「個々の不動産業者のスキルの差」ではなく、『各業者の業態の違い』を把握することです。

実は一口に不動産業者と言っても、

  • 地域密着型の会社/地元業者の強固なネットワークが強み
  • 客付けがメインの住販系の会社/成約を捥ぎ取る強烈な営業力が魅力
  • 大手仲介会社/大手ならではの安心感と総合力の高さが売り
  • 戸建て分譲業者(建売屋さん)/自社買取りにより、仲介手数料の節約が可能

といった具合に『業態によって異なる強み』を持っていますから、業者選定に当たっては「どのタイプの業者が自分に合っているのか」をしっかりと見極めることが重要です。

また、業者の選定と同時に担当となる営業マンの資質にも着目しましょう。

どんなに素晴らしい会社に売却依頼を行なっても、担当者のレベルが低いのではスムーズな取引が行えるはずがありません。

ちなみに、有能な営業担当の見分け方としては、

  • 折り返し連絡などレスポンスが早い
  • 伝えた要望をスムーズに理解できる
  • 質問した内容に的確な返事ができる
  • 自分にとって不利な事項も隠さず正直に話す
  • 充分な取引経験を有している

以上の点がチェックポイントとなるでしょう。

さて、実際に販売活動を始めるに当たっては販売戦略の方向性も非常に重要です。

例えば中古戸建てを売るのであれば、

  • 更地にするのを前提に売地として販売する
  • 戸建て分譲業者へ建売用地として販売する
  • 現況のままリノベーション再販用物件として不動産業者へ販売する
  • 現況のまま一般の買主へ販売する
  • ある程度のリフォームをしてから一般の買主へ販売する
  • 上記の販売戦略を同時進行、または段階的に選択していく

以上のような選択肢が存在していますから、物件状況や市場動向を見ながら最適な販売方法を選んでいかねばなりません。

そして、実際に販売活動が開始された後は広告活動の内容もチェックしておく必要があります。

なお、具体的なチェックポイントとしては

  • レインズ等の不動産業者間の売却情報共有媒体への登録、定期的な再登録がなされているか
  • 様々な広告媒体に情報が登録されているか
  • 広告の中に物件のセールスポイント等がしっかりと盛り込まれているか
  • 広告のデザイン性、使用されている写真素材に問題がないか
  • 一定の期間ごとに、広告活動の成果報告がなされているか

以上の点が挙げられるでしょう。

一方、不動産業者の活動を見守る売却依頼者も不動産売買についての基礎知識はしっかりと身に付けておく必要があります。

例えば、購入希望者が現れた際には

  • 買い替えとなるため、引き渡しの時期の調整をお願いしたい
  • 引渡しまでに私道の権利関係の調整をお願いしたい
  • 越境物を撤去してもらうのが買い付け条件だ

などの要望が出ることがありますが、不動産について多少の知識がないと「何を要求されているのか全くわからない」といった状況となってしまいます。

もちろん、こうした状況に備えて仲介業者がいる訳ですが、ある程度は売主も知識を備えておいて損はないはずです。

ちなみに本ブログの別記事「不動産売却の流れについて解説いたします!」では、契約締結から引渡しまでの流れやポイントに関して詳細なご説明を行なっておりますので、ご興味がある方は是非ご一読ください。

また不動産の基礎知識と並んで重要なのが、地域の不動産相場を把握することとなります。

不動産業者を選定する段階で既に査定報告書などには目を通していることと思いますが、こうした資料の内容をしっかりと把握した上で、現在売りに出されている近傍同種の物件の価格を把握しておけば、購入希望者から価格交渉が入った場合にも的確な判断ができるはずです。

ちなみに、別記事「不動産相場の調べ方を解説いたします!」においては相場観の養い方についてご説明しておりますので是非ご一読いただければ幸いです。

 

さて、ここまで解説してきた『不動産売却のコツ』を押さえていただければ、取引において大きな損をすることはないはずですが、これだけではまだ「高額売却が可能になる」とは言い難いものがあります。

そこで次項では、売主様が自ら行う高額売却実現のためのテクニックをご紹介していくことにいたしましょう。

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売主様へ高額売却を実現するためのテクニックをご教授!

では早速、物件を相場よりも高く売却し、成約スピードのアップにも繋がる手法をお教えしてまいりましょう。

なお、ここでご紹介する方法は管理人やその不動産屋仲間たちが仕事上で培って来た経験則に基づくものであり、必ずしも全ての物件において確実に効果を現すものではないことをご了承ください。

負の要素を見せない

中古物件の売却となれば多くの場合、入居中に購入希望者が内覧に訪れるものです。

そして、このようなシーンで重要となるのが「負の要素」を示すものを室内からなるべく排除しておくことでしょう。

なお、わかりやすい例を挙げるとすれば、

  • 亡くなられている方の遺影
  • 仏壇
  • お札(ふだ)

などがこれに当たるかと思います。

さて、大切なご先祖様の位牌や祖父母の写真、そして信仰する神様に関するお札などを「負の要素」と言ってしまうと気分を害される方も多いとは思いますが、物件を見に来る方々は夢のマイホームを探している真っ只中です。

よって、遺影を見れば「物件の中で亡くなっているのかな?」、お札を見れば「何か出るのかな?」など、ついつい考えてしまうのも致し方のないことでしょう。

また仏壇に関しては、それを目にしてしまうことで購入後にお部屋を利用する際に「仏壇の置かれていたスペースがどうしても気になってしまう」のが人間心理でもあります。

こうした購入希望者の心理を考え、仏壇に案内の時だけカーテンを掛けたり、遺影やお札を外すなどの気遣いは非常に重要なこととなるでしょう。

明るさが大切

さて次に重要となって来るのが、お部屋をなるべく明るく見せる工夫となります。

物件をお探しの方にとっては、当然ながら「お部屋が明るいか、暗いか」というのは非常に大切な問題ですよね。

また、このようにお話しすると「日当たり何てどうにもできないじゃない」とお思いになるかもしれませんが、何も日照ばかりが明るさの印象を左右するものではありません。

具体的な例を挙げるならば、

お部屋の電灯をより明るいものに替える(8帖用から12帖用へ変更する)だけでも、物件の印象はかなり変わる

ものですから、とにかくお部屋を明るく見せる工夫が重要です。

特に玄関は分譲マンションでも戸建でも「暗くなる場合」が多いですから、ここだけでも明るめのLED電球へ交換しておくと内見に来た方の印象を大きく変えることができるでしょう。

なお、当然ライトを点灯させておかないと意味がありませんので、ご案内が入る時には昼間でも必ず電気を点けておくように心掛けたいとこです。

臭いも重要

続いて対策を行うべきなのが、臭いに関する問題となります。

近年では嫌煙家の方が増えていますから、煙草の臭いなどはそれだけでも購入希望者から敬遠されてしまうものですし、煙草を吸わないという方でも「各家庭の臭い」というものは必ずあるものです。

そして、こうした長年浸み込んだ臭気は、たとえクロス(壁紙)を交換しても簡単には駆逐できる代物ではありませんので

購入希望者の内覧を受ける場合には、しっかと「臭い対策」を行うことが重要

となってくるでしょう。

さて、このようにお話しすると「芳香剤を使おう!」と考える方も多いかと思いますが、匂いには人それぞれに趣向がありますから、好みでない香りの場合はむしろ逆効果となる可能性もあります。

また、染み込んだ臭いは一日二日換気をしたくらいで誤魔化すことは困難ですから、これは非常に頭の痛いところですが、このような時に重宝するのが光触媒を利用した消臭スプレーです。

東芝マテリアル 光触媒スプレー ルネキャット180ml 【品番】 RMA-03-180B

こちらの商品、東急ハンズやカー用品などを扱う店などで販売されているもので、一本2,000円程度と少々お高くはありますが「その効果の程は抜群」です。

ちなみに光触媒は光を浴びることにより臭いの素を根こそぎ分解してしまう性質があり、こちらのスプレーは一度散布しておけば洗い流さない限り半永久的に臭いを防いでくれるという優れモノですから、これは非常に使い勝手が良いでしょう。

なお、消臭効果が発揮されるまである程度の日数が必要となりますし、その名の通り「光を当ておく必要がある(蛍光灯の光でも可)」ので、これらの点にご注意いただいた上でお試しいただければと思います。

掃除とプチリフォーム

また、お部屋を清潔に保っておくことも高額売却を実現するための重要なポイントとなります。

どんなに素敵なお宅でも廊下に埃が積もっていたり、お部屋の隅々に綿埃が溜まっていては「それだけで印象が悪く」なりますし、購入希望者のご案内中に家庭害虫のGが出現したりすれば、まとまる話もまとまる訳がありません。(管理人もGに成約を阻まれたことがあります)

よって、販売活動の開始後は

案内が入る日のみならず、普段から極力掃除を行ってお部屋を清潔に保つように努力する

ことが重要です。

またクロスの破れや、壁の穴、煙草の煙による変色なども非常に心象の悪いものとなります。

なお、こちらは掃除ではどうすることもできませんので、場合によっては壁紙の張り替え程度のリフォームを行うのも有効でしょう。

但し、全面の張り替えとなると非常に経費がかさんでしまいますので「破損の激しい壁が一面だけ」といった場合には、その面だけを派手な色使いの「アクセントクロス」に張り替えてしまうという手もあります。

アクセントクロスへの貼り換えは非常にセンスが問われるところではありますが、上手く行えば物件の印象をより良いものにするばかりか、他の競合物件との差別化を図ることも可能となりますので是非トライしていただければ幸いです。

温かい家庭を演出

不動産業界でしばしば語られるジンクスとして、「家計が傾きかけている家を購入すると、買った人間も不幸になる」といったお話があります。

確かに経験上も、破産や離婚などの理由で売却された物件を購入した方に不幸が降り懸かるという事例は多くありますし、そもそもこうした事情を抱えたお宅は「購入希望者も買いたいとは思わない」ものです。

そこで重要となるのが、

たとえ「マイナス要因の売却動機」であっても、それを購入希望者に決して気取らせない

ように全力を尽くすことです。

もちろん、やり過ぎは不可ですが敢えて「楽しそうな家族写真」や「子供が描いた家族の絵」などを冷蔵庫や壁に貼っておくのは、それなりの効果があります。

また、『どんよりと落ち込んだ雰囲気の売主様の姿』はそれだけでもマイナス要因となりますから、可能な限りのオシャレな格好をして、明るい家庭を演出しましょう。

セールスポイントをさり気なくアピール

売主様の中には、ご案内でお客様をお連れした際にやたらと物件のセールスポイントをアピールされる方がいらっしゃいます。

もちろん「少しでも物件を気に入ってもらいたい」という気持ちは解りますが、あまりに過剰なアピールはむしろ『何かあるのでは?』と怪しまれる可能性も否定できません。

そこでお勧めなのが、

アピールポイントは「さり気なく」、でも「目立つように」売り込んで行く

という手法となります。

例えば「日当たりが売りの物件」なら敢えて育ちの良い観葉植物を窓際に並べてみたり、「静かなの住環境」をアピールしたいなら階段に子供向けの張り紙として『夜9時以降は近所迷惑になるので、静かに階段を下りること!』などと貼っておくのも良いでしょう。

また、よりスムーズにアピールを行いたいなら家族の伝言用のホワイトボードやカレンダーへの書き込みも有効です。

なお具体的には「●月●日、自宅で花火鑑賞会」などと書いておけば『花火が見える物件であること』をアピールできますし、「▲月▲日町内会餅つき大会」といった書き込みをすれば『地域活動が活発であること』をさりげなく内覧者に伝えることがますよね。

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不動産を高く売る方法について解説まとめ

さてここまで、マイホームをより高く売却する方法について解説してまいりました。

なお、ご紹介して来た手法はどれもが「それ程費用や労力を費やすことなく行えるテクニック」となっていますが、私の経験上その効果は絶大だと思います。

不動産関連のブログなどを見ていると「少しでも高い査定価格を提示する会社を選ぶのが、高額売却のコツ」などといった書き方をしているサイトもありますが、価格はあくまでもお客様(売主)が決めるものです。

よって何社かに査定依頼を行って「おおよその相場観が掴めた」ならば、ご自分の意志で販売価格を決定した上で『最も親身になってくれそうな不動産屋さんへ売却依頼を行い、今回ご紹介したような努力を怠らないこと』が高額売却成功への一番の近道となるでしょう。

ではこれにて、「不動産を高く売る方法について解説いたします!」の知恵袋を閉じさせていただきたいと思います。