不動産売買の仕事をしていると、売却依頼を任されたお客様から「高く売ってね!」などといった激励を頂くことがよくあります。
ただ、ここで申し上げておきたいのは「依頼する不動産屋さんのスキルの問題」や「査定価格が高いか否か」といった理由によって、『物件が高額で成約する訳ではない』という点です。
そして、売却価格を向上させる最大のポイントは物件自体の魅力を上手にアピールすることに他なりません。
そこで本日は「不動産を高く売る方法!お教えします!」と題して、売主さんが自力で行える、高額売却の裏技をお教えしたいと思います。

高額売却のコツを伝授!
では早速、物件を相場よりも高く売却し、成約スピードのアップにも繋がる手法をお教えしてまいりましょう。
なお、ここでご紹介する方法は管理人やその不動産屋仲間たちが仕事上で培って来た経験則に基づくものであり、必ずしも全ての物件において確実に効果を現すものではないことをご了承ください。
負の要素を見せない
中古物件の売却となれば多くの場合、入居中に購入希望者が内覧に訪れるものです。
そして、このようなシーンで重要となるのが「負の要素」を示すものを室内からなるべく排除しておくことでしょう。
なお、わかりやすい例を挙げるとすれば、亡くなられている方の遺影や仏壇、そしてお札(ふだ)などがこれに当たるかと思います。
さて、大切なご先祖様の位牌や祖父母の写真、そして信仰する神様に関するお札などを「負の要素」と言ってしまうと気分を害される方も多いとは思いますが、物件を見に来る方々は夢のマイホームを探している真っ只中です。
よって、遺影を見れば「物件の中で亡くなっているのかな?」、お札を見れば「何か出るのかな?」など、ついつい考えてしまうのも致し方のないことでしょう。
また仏壇に関しては、それを目にしてしまうことで購入後にお部屋を利用する際に「仏壇の置かれていたスペースがどうしても気になってしまう」のが人間心理でもあります。
こうした購入希望者の心理を考え、仏壇に案内の時だけカーテンを掛けたり、遺影やお札を外すなどの気遣いは非常に重要なこととなるでしょう。
明るさが大切
さて次に重要となって来るのが、お部屋をなるべく明るく見せる工夫となります。
物件をお探しの方にとっては、当然ながら「お部屋が明るいか、暗いか」というのは非常に大切な問題ですよね。
また、このようにお話しすると「日当たり何てどうにもできないじゃない」とお思いになるかもしれませんが、何も日照ばかりが明るさの印象を左右するものではありません。
例えば、お部屋の電灯を通常の電球からLED電球に替えるだけでも、物件の印象はかなり変わるものですから、とにかくお部屋を明るく見せる工夫が重要です。
特に玄関などは、分譲マンションでも戸建でも「暗くなる場合」が多いですから、ここだけでもLED電球にしておくと内見に来た方の印象を大きく変えることができるでしょう。(状況によっては6帖の部屋に10帖用のライトを付けるといった方法も有効です)
なお、当然ライトを点灯させておかないと意味がありませんので、ご案内が入る時には昼間でも必ず電気を点けておくように心掛けたいとこです。
臭いも重要
続いて対策を行うべきなのが、臭いに関する問題です。
近年では嫌煙家の方が増えていますから、煙草の臭いなどはそれだけでも購入希望者から敬遠されてしまうものですし、煙草を吸わないという方でも「各家庭の臭い」というものは必ずあるものです。
そして長年浸み込んだ臭気は、たとえクロス(壁紙)を交換しても簡単には駆逐できませんから、物件選びの際に臭いを気に掛ける方は意外に少なくありません。
さて、このようにお話しすると「芳香剤を使おう!」と考える方も多いかと思いますが、匂いには人それぞれに趣向がありますから、好みでない香りの場合はむしろ逆効果となる可能性もあります。
また、染み込んだ臭いは一日二日換気をしたくらいで誤魔化すことは困難ですから、これは非常に頭の痛いところでしょう。
そこでおすすめなのが、光触媒を利用した消臭スプレーとなります。
こちらの商品、東急ハンズやカー用品などを扱う店などで販売されているもので、一本2,000円程度と少々お高くはありますが「その効果の程は抜群」です。
ちなみに光触媒は光を浴びることにより臭いの素を根こそぎ分解してしまう性質があり、こちらのスプレーは一度散布しておけば洗い流さない限り半永久的に臭いを防いでくれるという優れモノですから、これは非常に使い勝手が良いでしょう。
なお、消臭効果が発揮されるまである程度の日数が必要となりますし、その名の通り「光を当ておく必要がある(蛍光灯の光でも可)」ので、これらの点にご注意いただいた上でお試しいただければと思います。
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掃除とプチリフォーム
また、お部屋を清潔に保っておくことも重要なポイントとなります。
どんなに素敵なお宅でも廊下に埃が積もっていたり、お部屋の隅々に綿埃が溜まっていては「それだけで印象が悪く」なりますし、購入希望者のご案内中に家庭害虫のGが出現したりすれば、まとまる話もまとまる訳がありません。(管理人もGに成約を阻まれたことがあります)
よって、案内が入る日はもちろん、普段から極力掃除を心掛けておきましょう。
またクロスの破れや、壁の穴、煙草の煙による変色なども非常に心象の悪いものとなります。
なお、こちらは掃除ではどうすることもできませんので、場合によっては壁紙の張り替え程度のリフォームを行うのも有効でしょう。
但し、全面の張り替えとなると非常に経費がかさんでしまいますので「破損の激しい壁が一面だけ」といった場合には、その面だけを派手な色使いの「アクセントクロス」に張り替えてしまうという手もあります。
アクセントクロスへの貼り換えは非常にセンスが問われるところではありますが、上手く行えば物件の印象をより良いものにするばかりか、他の競合物件との差別化を図ることも可能となりますので是非トライしていただければ幸いです。
温かい家庭を演出
不動産業界でしばしば語られるジンクスとして、「家計が傾きかけている家を購入すると、買った人間も不幸になる」といったお話があります。
確かに経験上も、破産や離婚などの理由で売却された物件を購入した方に不幸が降り懸かるという事例は多くありますし、そもそもこうした事情を抱えたお宅は「購入希望者も買いたいとは思わない」ものです。
そこで重要なのが、たとえ「マイナス要因の売却動機」であっても、それを購入希望者に決して気取らせない努力をすることです。
もちろん、やり過ぎは不可ですが敢えて「楽しそうな家族写真」や「子供が描いた家族の絵」などを冷蔵庫や壁に貼っておくのは、それなりの効果があります。
また、『どんよりと落ち込んだ雰囲気の売主様の姿』はそれだけでもマイナス要因となりますから、可能な限りのオシャレな格好をして、明るい家庭を演出しましょう。
セールスポイントをさり気なくアピール
売主様の中には、ご案内でお客様をお連れした際にやたらと物件のセールスポイントをアピールされる方がいらっしゃいます。
もちろん「少しでも物件を気に入ってもらいたい」という気持ちは解りますが、あまりに過剰なアピールはむしろ『何かあるのでは?』と怪しまれる可能性も否定できません。
そこでお勧めなのが、アピールポイントは「さり気なく」、でも「目立つように」売り込んで行くという手法です。
例えば「日当たりが売りの物件」なら敢えて育ちの良い観葉植物を窓際に並べてみたり、「静かなの住環境」をアピールしたいなら階段に子供向けの張り紙として『夜9時以降は近所迷惑になるので、静かに階段を下りること!』などと貼っておくのも良いでしょう。
また、よりスムーズにアピールを行いたいなら家族の伝言用のホワイトボードやカレンダーへの書き込みも有効です。
なお具体的には「●月●日、自宅で花火鑑賞会」などと書いておけば『花火が見える物件であること』をアピールできますし、「▲月▲日町内会餅つき大会」といった書き込みをすれば『地域活動が活発であること』をさりげなく内覧者に伝えることがますよね。
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家を高く売るコツまとめ
さてここまで、マイホームをより高く売却する方法について解説してまいりました。
なお、ご紹介して来た手法はどれもが「それ程費用や労力を費やすことなく行えるテクニック」となっていますが、私の経験上その効果は絶大だと思います。
不動産関連のブログなどを見ていると「少しでも高い査定価格を提示する会社を選ぶのが、高額売却のコツ」などといった書き方をしているサイトもありますが、価格はあくまでもお客様(売主)が決めるものです。
よって何社かに査定依頼を行って「おおよその相場観が掴めた」ならば、今回ご紹介したような努力をした上で、ご自分の意志で販売価格を決定した上で『最も親身になってくれそうな不動産屋さんへ売却依頼を掛ける』のが成約への近道となるでしょう。
また、冒頭で『不動産屋さんのスキルによって売却価格が高額になることはない』と申し上げましたが、これも揺るぎない事実です。
但し不動産屋さんの「腕」によって、売却後のトラブルを回避できる可能性は大きく変わって来ますので、高い査定額を提示する業者よりも堅実で経験豊かな不動産業者を選ぶことをおすすめいたします。
ちなみに売却依頼を行う不動産業者の選定に困った場合には売却一括査定サイトを利用するのも一つの方法となりますので、ご興味をお持ちの方は別記事「不動産一括査定のメリット・デメリットを解説いたします!」をご参照いただければ幸いです。
ではこれにて、「不動産を高く売る方法!お教えします!」の知恵袋を閉じさせていただきたいと思います。