地中配管調査

 

不動産の取引において欠かせない「重要事項説明書」の作成時に、頭を悩ませがちなのが水道・ガス・下水などの地中配管に関する調査なのではないでしょうか。

そして、このようなお話をすると「配管調査がそんなに大事なの?」というお声も聞こえて来そうですが、実は調査不足などが原因でトラブルに発展するケースが非常に多いのです。

何しろ相手は地中深くに埋まっており、目視することもできないのですから、「それも止む無し・・・」という気もしますが、プロの不動産屋さんである以上、可能な限りの調査はしておきたいところですよね。

そこで本日は、水道等の地中配管調査の方法や、ポイントについてお話してみたいと思います。

では、配管調査の知恵袋を開いてみましょう!

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配管調査のポイントについて

一口に埋設管調査と言っても、ガス・水道・下水など様々な種別があり、調査方法や注意するポイントも配管の種類によって変わってくるものです。

なお重要事項説明書においては、物件に直接引き込まれている「引込管」と、前面道路の地中で引込管が分岐する「本管」『管径(管の太さ)』や『位置』を記載することになります。

また、冒頭でもお話しした通り各種配管は地中深くに埋められているものであるため、直接肉眼で確認する訳には行きませんから、調査に際しては行政やガス会社等での「資料閲覧」や「ヒヤリング」が主な作業となるでしょう。

ちなみに以前は水道局や下水局まで直接足を運び、調査の依頼をしなければなりませんでしたが、現在ではインターネット上である程度の情報を公開している自治体も増えてきました。

そして、ガスに至ってはネットで調査の申し込みを行うことにより、メールで詳細な回答を受け取ることができるサービスを実施ている会社が多いですから、各種埋設管調査の中でも都市ガスは最も楽に調査が行える設備となっているのです。(プロパンガスのみの地域では、そもそも埋設配管がありませんので調査は不要となります)

但し、水道調査における引込管や宅地内配管の情報は「未だに水道局等に出向いて調査をする必要があります」し、下水については「本管以外の情報はそもそも存在しない」など、まだまだ手間の掛かる部分も多いですから、調査の方法とポイントをしっかりと把握しておく必要があります。

そこで次項では、ガス・水道・下水といった各設備ごとの調査のノウハウをご紹介してまいりましょう。

 

配管の種類ごとの調査方法

では、「具体的に各種配管調査の方法」と「どのような点に注意して調査を進めるべきか」について解説をしていきます。

ガ ス

前項でも申し上げた通り、都市ガスの配管調査はガス会社から提供される情報をメインに進めることにります。

なお、各地のガス会社は非常に親切に対応してくれますし、地域によってはネット申請をすることで本管のデータはもちろん、引込管の位置や管径まで図面付きで情報を公開をしてくれますから、これは実にありがたい限りです。(原則調査費用も無料)

また宅地内に引き込まれるまでの「道路上の引込管」に関しては、ガス会社が管理を行っているため、「配管の老朽化」などについても心配する必要はありません。

但し、ここで注意が必要なのは宅地内(私有地内)や私道内のガスの埋設管についてとなります。

まず宅地内(私有地内)のガス管については、「ガス会社の所有物ではなく、使用者のもの」となりますから、宅地内のガス管が老朽化している場合には原則使用者が自費で配管のメンテナンスを行わなければなりません。

一方、私道に面した物件については私道内に本管が引き込まれ、そこから引込管が枝の様に分岐している場合(分岐型)と、 私道に面するお宅が「個々に私道を経由する引込管」を利用している場合(個別引込型)という2つのパターンがあります。

※個別引込型は、公道上の本管から引込管を分岐して、私道を経由して複数の家が個別に宅地への引込みをしている状態です。(私道の地中には、道路に接する家の数だけ引込管が存在する)

よって個別引込型のガス埋設管調査に当たっては、調査対象以外の、私道に面する他のお宅の引込管が道路内に埋設されていることを見逃しがちになりますので、充分な注意が必要となります。(個別引込型については私道に面したお宅全てに対するガス埋設管調査を行うべきです)

ちなみに本管分岐型は、たとえ私道上であっても「本管と私道内の引込管はガス会社の所有物」となり、そのメンテナンスをガス会社が行うことになりますが、

個別引込型の場合には、私道内の引込管から宅地内の配管に至るまで「全て使用者の所有物」と扱われるため、メンテナンス費用についても使用者が負担することになるのです。

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水 道

水道の埋設管については、調査対象地を管轄する水道局に出向いて調査を行うのが原則となりますが、地域によっては道路上の本管の位置や管径が記された図面をインターネット上で公開しているところもあります。

但し、引込管や私有地内の配管に関しては個人情報となりますので、こちらについては水道局を訪問しての調査が必須となるでしょう。

そして水道の引込管調査で最も注意すべき点は水道管の種類、つまりは配管の材料に何が使われているかという点です。

一口に水道管と言ってもその種類は様々で、施工された年代などによって「鉄管」であったり、「鉄管の内部にビニールのコーティングがされたもの(ライニング鋼管)」や「ステンレス管」などが使用されています。

そして、古い鉄管やライニング鋼管の場合ですと、経年変化により「水道管の破裂」や「錆水の被害」が出る可能性がありますし、鉛管が使用されているケースでは鉛中毒による健康被害に繋がる可能性もありますから、管種の調査は非常に重要なものとなるのです。

※ライニング鋼管は配管の内部がビニールでコーティングされていますが、継ぎ手の部分(配管同士の接合部分)は鉄がむき出しのため、錆の被害を避けることができません。

なお、本管については水道局が管理していますので古い配管は順次交換されていますが、道路内で本管から分岐した引込管(私有地に入るまでの道路上の区間)や宅地内の配管、建物の内部を走る配管は古いものがそのまま使われているケースが殆どですから、充分な注意が必要となります。

ちなみに水道局等に出向けば、かなり古い物件でも敷地内から、建物の内部に至るまで詳細な図面を閲覧することができますので、古い鉄管や鉛管の存在を確認した場合には、重要事項説明書にその旨をしっかりと記載するようにしましょう。

※鉛管のトラブルについては別記事「水道鉛管トラブルに関する体験記をご紹介!」をご参照ください。

※公道内の引込管はあくまで個人の所有物となりますが、漏水などが発生した場合には行政が対応してくれるケースが殆どです。(公道の掘削工事を伴うため、対応せざるを得ないというのが実情の模様)

また、物件が接する道路が私道である場合には、別途確認しておくべき事項があります。

公道内に敷設されている水道の本管は、基本的に行政が管理を行う「公設本管」と呼ばれるものになりますが、私道では民間人が管理を行う「私設本管」が整備されているケースも少なくありません。(極稀に私道内にも係わらず公設本管が敷設されていることもあります)

私設本管においては、水道管が破裂した場合の対処などを「配管を所有する民間人(私道の権利関係者など)」が行わなければなりませんので、物件の取引に際しては必ず説明しておくべき事項となります。

※調査対象の配管が「私設本管であるか、公設本管であるか」については、水道局にて調べることができます。

下 水

冒頭でも申し上げた通り、最も調査が困難なのが下水配管に関する調査です。

公道内の本管(公設本管)については、その埋設位置や管径を各自治体の下水局等で調査することが可能ですが、「各家庭からどのような経路で本管に下水が流れ込んでいるか」や「私設本管に関する情報」は、行政も全く把握していないのが実情です。

※下水の本管にも、公設本管と私設本管の区別があり、私道でも稀に公設本管が敷設されているケースがあります。

下水管は、水道のように「水圧で破裂する」等の心配がないため、建物を新築する際などに配管図を行政に届け出る義務がないことが、こうした状況を生む原因となっているようですが、不動産屋さんにとって「資料が全くない」というのは非常に厄介な事態です。

そして万が一、隣家の下水配管が売買対象の敷地を通過しているなどの状況を見落とせば、重要事項の説明における不告知に当たることとなりますし、実際にこのパターンで訴訟などに発展しているケースも少なくありません。

なお、このような事態を避けるために行うべきなのが、徹底した現地調査となります。

以前に記した「現地調査の記事」でも触れましたが、下水の配管越境が疑われる場合には、まず全ての枡の蓋を開け、配管が伸びている方向等を確認することになるでしょう。

もしここで、更に怪しい様子ある(枡中の配管の本数が多過ぎる、在らぬ方向から注ぎ込んでいる等)ようなら、隣接するお宅にお願いして、色の付いた水を流してもらい、「枡のどの穴(配管)から何色の水が出てくるか」で配管の経路を予測することになります。

なお下水の配管については既にお話しした通り、行政にも資料が残されていないため、重要事項説明書においても引込管や私設本管の口径等に関して「不明」と表示されるのが通常です。

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地中配管調査まとめ

さてここまで、地中配管の調査というテーマにて解説を行ってまいりました。

水道・下水・ガスといった配管の種類によって、それぞれ異なる調査手順や、注意すべき点などがあることをご理解いただけたことと思います。

また配管の種類を問わず、注意するべきなのは「配管越境に関する問題」となります。

配管が「越境している場合」も「越境されている場合」も、後々大きな問題に発展するのは不可避となりますから、埋設管調査の段階でしっかりとこれを発見し、対処しておきたいところです。

※越境トラブルに関する詳細は別記事「不動産・境界越境問題について」をご参照ください。

なお、仕事が忙しい時などは、物件調査に際して「たぶんこうだろ!」「ここまでは調べなくて大丈夫だろう!」などという思いがついつい頭をもたげて来るものですが、配管調査のミスはトラブルに直結する可能性が非常に高いですから、是非気合を入れて臨んでいただきたいと思います。

ではこれにて、地中配管調査の知恵袋を閉じさせていただきます!