これから不動産投資を始める方、そして既に収益物件をお持ちの方にとっても、最も気になるのが「物件の利回り」に関する事項ですよね。

投資物件を購入する際、販売図面などに表示される利回りの殆どは満室想定の表面利回り(ランニングコストを度外視した利回り)となりますから、物件を買ってはみたものの、「思ったような収益が上がらない」という方も多いのではないでしょうか。

そこで本日は、このようなお悩みを持つ方々のために「不動産投資利回り向上(UP)の裏技」についてお話をさせていただきたいと思います。

では早速、利回りアップの知恵袋を開いてみましょう。

不動産投資利回り向上

 

投資物件の利回りを考える

既に投資物件をお持ちの方は身に染みておられることと思いますが、不動産投資においては「買う前に想定していた利益」と「購入後、実際に手にする収益」との間に『相当な乖離がある』のが現実です。

もちろん「想定以上のものが入ってくる」ならば文句はないのでしょうが、残念ながら思っていたよりも収益が少なくなるケースが殆どとなるでしょう。

そして、このような状態を招く最大の要因とされるのが、物件紹介時に表示される「満室想定の表面利回り」と「実質の利回り」の間に存在する『大きな隔たり』によるものであり、多くの投資家さんたちがこの落とし穴にハマってしまうのです。

※投資物件の利回り計算については別記事「不動産投資初心者へ!始める前に知っておくべき知識をお届け!」をご参照ください。

なお、それなりに不動産投資を勉強されている方であれば、満室想定家賃が「盛られている可能性がある」ことや、「固定資産税・都市計画税」「共用部分の電気料金」「定期清掃」などのランニングコストが別途掛かることは折り込み済みのことと思いますが、それ以外にも必要となる経費はまだまだあります。

例えば、購入時に入居中であった部屋が退去となり、法外な修繕費用が発生(入居者に資産がない場合には、たとえ裁判をしても原状回復費用を請求できない場合がある)してしまうケースや、

購入後数年経ってから、水道管の腐食が発覚し、多大な修繕費用が発生する場合などがこれに当たるでしょう。

また、こうした突発的なトラブル以外にも、購入から時間が経過すれば空室の募集賃料は下げていかなければならないでしょうし、外壁塗装に屋根のメンテナンスなどの維持費も増加して行くことになります。

このように投資物件の収益を圧迫する要因を分析してみれば、確かにそのどれもが「物件を維持していく上で、止むを得ない経費」ではあるのですが、実際にこれを支払うオーナーさんの立場となれば、実に厳しいものがありますよね。

そこで今回ご提案したいのが、手持ちの物件を活かした「利回り向上(UP)の裏技」となります。

 

利回り向上の裏技を紹介

「利回り向上(UP)の裏技」などと申し上げると、『そんな都合のよい方法が本当にあるの?』という声も聞えて来そうですが、実は様々な手法が存在しています。

但し、これからご紹介する方法が全ての物件で通用する訳ではありませんので、「どの手法を選択し、如何にそれを実践するか」については、やはり投資家さんの手腕に掛かってきますから、じっくりと吟味した上で行動に移していただければ幸いです。

自動販売機の設置

最も手軽に行える利回り向上法といえるのが自動販売機の設置です。

殆どの場合、自動販売機を扱う業者が設置費用を負担してくれますから、物件オーナーに掛かってくるコストは微々たる電気代のみとなりますので、これは非常にありがたいですよね。

なお販売成績が優秀であれば、かなりの収入を見込むことができますが、立地などの問題で「殆ど収益の足しにはならなかった」というお話も度々耳にいたします。

そして、思うように売り上げが伸びない場合に着目していただきたいのが『どのような種類の販売機を物件に置くか?』という点です。

例えば学生の通学路などになっている立地の場合には、全品100円の販売機など、値段勝負の自販機が有利でしょうが、

あまり人通りが無い場所であるならば、「おでん缶」や「高級出汁を詰め込んだペットボトル」などを販売する物珍しい自動販売機を設置して、商品の魅力でお客を引き寄せることが重要です。

特に現代はSNS全盛の時代であり、投稿のネタを求めて珍しい商品を探し回っている方も多いですから、こうした媒体も上手に利用するべきでしょう。

なお自動販売機設置の問題点として、若者がたむろしたり、空き缶などのゴミが散らかる点が挙げられますから、導入に際しては入居者や近隣住人から不興を買わないように充分な注意が必要となります。

ソーラーパネルの設置

世帯数の少ないアパートならば、共用部分の電気料金はあまり問題になりませんが、規模の大きな賃貸マンションともなれば、電気代の負担はかなりのものとなります。

そして、共用部分の電気料金を節約するのに有効とされているのが、屋上などにソーラーパネルを設置するという方法です。

ソーラーパネルを導入すれば、共用部分の電気代を大幅に圧縮できるばかりか、余った電気を電力会社に販売する「売電」で収益を上げることも可能ですから、これは投資家にとって実に魅力的な手法といえるでしょう。

但し、設置に際しての初期費用もそれなりに高額なものとなりますから、「現在負担している電気料金」と「ソーラーパネルの設置と維持管理に要する費用」を充分に比較した上で導入に踏み切るべきであるかと思います。(収益物件の屋上にパネルを設置するような規模では、売電で大きな収益を上げることは不可能です)

なお、ひと昔前のソーラー発電とは異なり、ソーラーパネルのメンテナンス費用は非常にリーズナブルになっていますので、長期的に見ればお得な方法であることは間違いありません。

※太陽光発電に関する詳細は別記事「太陽光発電ビジネスに個人でチャレンジしてはみませんか?」をご参照ください。

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駐車場の活用

一棟タイプの収益物件においては、敷地内に駐車場スペースが設けられているケースも少なくありません。

また、物件によっては駐車スペース等として利用できるスペースが敷地内に余っているにも係わらず、これを有効に活用していないケースも稀に見受けられます。

そして当然ながら、「既に存在している駐車場」や「駐車場として利用できるスペース」を活用しない手はありませんが、単に月極駐車場として貸し出すだけでは少々芸がありません。

そこでご提案したいのが、これらのスペースを利用したコインパーキングの経営です。

なお、コインパーキングの経営についてはパーキング会社に駐車場を貸し出す「借上げ方式」と、投資家がコインパーキングの設備を自費で設置し、駐車場の売り上げを全て我が物とできる「自主運営方式」の2種類があり、ここで行うべきは後者の「自主運営方式」となります。

もちろん、コインパーキングの運営を機械の設置から始めるには、それなりの初期投資が必要ですし、必ずしも大きな収益を上げられるとは限りませんので、その決断には少々勇気が必要となりますが「やってみるだけの価値は確実にある」はずです。

ちなみに、駐車施設のメンテナンス(機械の故障等への対応)は外部の業者に有料で委託することが可能ですし、機器の導入に関しても中古品を新品の半額以下で販売している企業も存在しますから、これらを上手に利用することがコインパーキングの経営を成功に導く鍵となるでしょう。

※駐車場運用のノウハウについては別記事「駐車場経営で利回りを確保しよう!」にて詳細な解説を行っております。

バイク置場の設置

前項にて駐車場の運用についてお話をいたしましたが、手持ちの物件に「1台分しか駐車スペースがない」「若干敷地は余っているが自動車を停める程は広くない」という投資家さんもおられることでしょう。

そして、このようなケースで有効となるのが「バイク置き場を運営する」という方法です。

月極駐車場については、現在その数こそ不足しているものの「確保できなくはない」という状況ですが、バイク置場は圧倒的に数が不足していますから、「月極め」「時間貸し」共になかなかの収益を上げられます。

また最近では、コンテナ型のバイク置場専用設備なども販売されていますから、こうしたツールの導入も収益アップの有効な手段と言えるでしょう。

ただ問題点として、夜間のバイクの出入りにより、近隣のお宅やアパートの住人に騒音被害が発生する場合もありますから、これらのトラブルを回避できるのであれば、是非ともお試しいただきたい手段となります。

屋上や外壁の看板・携帯電話アンテナ等の設置

街中を歩いていると、幹線道路沿いのビルの屋上や外壁に広告看板が取り付けられているのを目にすることがありますが、当然こうした広告を設置すれば物件オーナーは賃料収入を得ることができます。

また、RC造(鉄筋コンクリート造)の高層建物などの場合には、各通信会社の携帯電話用のアンテナを設置することで、賃料を得ることも可能です。

但し、これらの方法で収益を上げるには「物件の立地」が大きなポイントとなって来ますので、選ばれた物件でのみ実現可能な収益向上法といえるでしょう。

※収益物件への広告看板や携帯電話アンテナの設置については別記事「看板賃貸、アンテナ賃貸で収益を上げよう!」をご参照ください。

庭先売り

そして最強の利回り向上手段となるのが、敷地の切り売りという裏技です。

「切り売りって、どういうこと?」と思われるかもしれませんが、その名が示す通り、購入したアパートの余分な土地を建売業者などに販売して、収益を上げるという方法になります。

確かに土地の切り売りは、あくまで一時的な所得とはなってしまいますが、収益物件の購入費用と相殺すれば飛躍的に利回りを向上させることができるはずです。

但し注意すべきは、残される建物に対する「敷地面積を減らし過ぎないようにする」こととなります。

もしも、切り売りに際して残す土地の面積を小さくし過ぎてしまえば、収益物件が建築基準法に違反した建物(既存不適格建物)になってしまったり、建替えの時に同じボリュームの建物が建たなくなる可能性がありますので、建築士などと綿密な打ち合わせをした上で実行に移すべきです。

なお、銀行からの借り入れがある場合には、売却する部分についての抵当権抹消や、部分返済を求められることがありますので、この点にも注意が必要となります。

ちなみに、建売にする程の土地が無くても、お隣のお宅などが敷地の一部を買ってくれる可能性も充分にありますので、挑戦してみる価値はあるでしょう。

※庭先売りについての詳細は別記事「土地の分割売却で収益を上げるよう!」にて詳しい解説を行っております。

物件の一部で事業を開始

そして更に強力な利回り向上(UP)の裏技が、収益物件の一部を利用して自分で事業を始めるという手法であり、飲食店のオーナーさんの中には既にこの方法で莫大な収益を上げておられる方がいらっしゃいます。

この投資法の要点は、立地は良いが利回りの悪い物件を敢えて購入し、一階で自分の店を開店することで「賃料収入」に加えて「お店の売り上げ」も収益に組み込んでしまうというものであり、この手法を用いれば購入当初の利回りを倍増させることも夢ではありません。

ただ、このようなお話をしても「そんなお店をオープンする資金もノウハウも持ってないし、スペースもない!」と思われる方が殆どであるとは思いますが、そのような方にはフランチャイズ型の一坪事業がおすすめです。

こうした業態であれば、建物の敷地の一部を利用した狭いスペースでも商売が始められますし、初期投資が抑えられるも嬉しいポイントでしょう。

コロッケ屋さんにタピオカ店、金券ショップに靴の修理など業種も様々ですから、不動産投資と起業をまとめて行ってしまうというのも面白いかもしれません。

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利回り向上(UP)の裏技まとめ

さてここまで、不動産投資における利回り向上(UP)の裏技というテーマで解説を行ってまいりました。

そして本記事でご紹介した手法を用いれば、既に収益物件を購入済みの方でも、現在の利回りを向上させる術があることをご理解いただけたことと思います。

また、これから不動産投資にチャレンジするという方についても「レントロールに書かれた賃料だけが全てではない」ということがお判りいただけたのではないでしょうか。

投資用物件を探していると「条件の良い物件など滅多にない」という気持ちになりがちですが、不動産投資家として大成するためには「物件のポテンシャルを引き出し、自分の力で高収益物件へと仕立てていく能力」も必要不可欠なのかもしれません。

ではこれにて、不動産投資利回り向上(UP)の知恵袋を閉じさせていただきたいと思います。