不動産投資や賃貸マンション経営を行う方にとって、最も気になるのが「所有する物件の収益性に関する問題」となるはずです。
なお、これまでも本ブログでは過去記事「不動産投資利回り向上の裏技をご紹介!」などにおいて、『如何に物件の収益性を向上させるか』について解説してまいりましたが、実は建物の屋上や外壁も収益率アップに役立てることができることをご存じでしたでしょうか。
そこで本日は「看板賃貸で収益を上げる方法を解説いたします!」と題して、屋上やビル・マンションの外壁等を利用して利回りを向上させるテクニックをご紹介していきたいと思います!
看板設置やスマホのアンテナ基地局等の貸出しで更なる収益を上げる
では早速、広告看板や携帯アンテナ基地局等、貸出す設備と施設ごとにそのメリットとデメリット、そして借り手募集のノウハウや注意点などについて解説して行きたいと思います。
看板スペースの貸出し
さて、今回ご紹介する様々な手法の中でも最も手軽に行えるのがこちらの看板スペースの貸出しとなります。
なお、一口に看板と言っても
- 屋上看板/屋上に設置される看板
- 壁面看板/外壁に設置される看板
- 野立て看板/土地に支柱を立てて設置される看板
以上の3つの種類があり、建物の状況に合わせて「どのタイプの看板を設置するか」を選択することになります。
なお、どの種類の看板を選ぶにしても設置費用は比較的に安価であり、通常は数十万円、高くても100万円を超えるケースは稀でしょう。(極端にサイズが大きなものは除く)
通常、壁面看板などの設置には足場が必要に思われますが、看板の場合はロープで作業員を降下させるロープアクセスが可能なため、工事費をリーズナブルに抑えることができます。
ちなみに気になる賃料の相場については地域と立地に大きく左右され、年額で10万円程度の場合もあれば、都心部の一等地では年額数百万円に及ぶこともあるようです。
一方、広告主の募集については広告代理店を通すのが通常ですが、SNSを利用するなどして自力で募集を掛けているオーナー様もいらっしゃいます。
そして、看板の設置に際しては
- 各自治体の条例
- 建築基準法
- 屋外広告物法
- 景観法
などを遵守する必要がありますし、設置する看板の種類によっては近隣住人や自分の物件に住む入居者からも苦情が出ることも考えられますので、ここは充分に注意したいところです。
また、こうした看板の仲介を専門に行う業者も存在しており、この手の会社に依頼すれば看板用設備の設置から、借主の募集までを一貫して請け負ってくれますので、「素早く借り手を見付けたい」「借り手のニーズを的確に把握したい」というのであれば、こうした業者に依頼を行うのも一つの手段かもしれません。
- 「屋上」「壁面」「野立て」という3つの看板の種類がある
- 設置費用は比較的に安価
- 賃料は立地に大きく左右されるが、それ程大きな収益は望めない
- 広告主の募集は広告代理店を通すのが通常
- 設置にあたり各種法令の遵守、近隣等への配慮が必要となる
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スマホアンテナ基地局の賃貸ノウハウと注意点
さて、続いて解説するのがスマホアンテナ基地の賃貸についてです。
アンテナ基地は、建物の屋上を大手の通信事業者へ貸し出すことになりますが、「契約書の雛形」なども既に用意されていますし、極端に貸主に不利な契約を結ばさられることもありませんので、非常に安心感のある取引となるのが特徴となります。
また、看板に比べて設備が大掛かりなものとなりますから、得られる賃料も高額なものとなる(月額10万円以上が通常であり、地域によって更に高額になる)はずです。
但し、借り手の数が限られてしまう上、「周囲の建物との位置関係」に「アンテナに適した立地であるか」などの条件的な厳しい成約があるという事情から、
アンテナ基地局として貸出しが行えるのは『選ばれた物件』のみとなる
という点に注意が必要でしょう。
なお、アンテナ設置場所の選定は大手通信事業者の子会社や委託を受けた企業が窓口となっているため、大家さんが自分で通信事業者に設置の話を持ち掛けても「相手にしてもらえない」のが通常です。
よって、オーナー様側から積極的に借り手を探すのであれば様々な不動産屋さんに声を掛け、アンテナ設置の業務を請け負っている企業(以下 設置業者)との橋渡しをしてもらう必要があるでしょう。
※設置業者とのコネクションを持っている不動産会社の数はあまり多くないので、複数の会社に声を掛ける必要があります。
※既に基地局への賃貸を行っているオーナー様から設置業者を紹介してもらうのも有効な方法でしょう。(設置業者は複数の通信事業者から仕事を請け負っているケースも少なくありません)
ちなみに実際に借り手が見つかった後は、まず建物がアンテナの荷重に耐えられるかなどのチェックを行った上で契約締結という流れになります。
また、設置後も月に1回から数回はメンテナンス作業のために作業員の出入りがありますから、入居者とのトラブルにならないための配慮も必要となるでしょう。
- 借主は大手通信会社となる
- 「契約内容」や「物件の使用法」などを巡るトラブルは少ない
- 「立地」や「周囲の建物状況」等、借上げには非常に厳しい条件がある
- 賃料は高額(月額10万円以上が通常)
- 新規契約には特殊な窓口を介する必要がある(通信会社から委託を受けた企業等)
- 屋上設備には定期的なメンテナンスが必要
太陽光発電施設としての屋上賃貸
さて、賃貸物件の屋上利用については「太陽光発電施設」として貸し出すという方法もあります。
近年では自然エネルギーによる電力確保が注目を集めておりますので、発電施設の敷地を確保するために「屋上の借上げを行っている企業」が増えつつあるようです。
なお、この場合は発電設備の設置などに際して貸主は一切費用を出さずに済むのが利点となりますが、売電価格の低下などの事情もあり、賃料についてはあまり高い収益は望めないでしょう。
一方、「自身が所有する建物の共用部分の電力を屋上の太陽光発電施設で賄い、余った電力を電力会社へ売却する手法」を実践されているオーナー様も数多くおられますので、売電による収益確保についても検討の余地はあるかと思います。(発電設備は大家が設置しなければなりませんが)
※太陽光発電ビジネスについては別記事「太陽光発電ビジネスに個人でチャレンジしてはみませんか?」に詳細な解説を行っておりますので、是非こちらもご一読ください。
レンタルスペースとしての屋上の貸出し
続いてご紹介するのが、賃貸物件の屋上をレンタルスペースとして貸し出すという手法となります。
コロナ禍以降のアウトドアブームの影響を受け、近年では駅前のビルの屋上に設置されたバーベキュー施設が人気を博しているなどの事例もありますから、屋上のレンタルスペース活用には十分なビジネスチャンスがあると言えそうです。
なお、活用を行う用途としては
- フットサル場
- 屋外パーティー会場
- バーベキュー場
- ビヤガーデン
- 展示会会場
など、実に様々な方向性が考えられます。
但し、建物の屋上という特性を充分に考慮して
- 転落事故等に備えた安全対策
- 騒音等に対する建物入居者への配慮
- 不特定多数が建物へ出入りすることへの防犯対策
などを徹底するべきでしょう。
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看板賃貸、アンテナ賃貸等で収益を上げる方法を解説まとめ
さてここまで、広告看板やスマホアンテナの基地局等の賃貸を行って、収益を上げる方法について解説を行ってまいりました。
実践する手法によって様々なメリットとデメリット、そして注意点等があることをご理解いただけたことと思います。
なお、大家さんの中には「これらの賃貸を行うことにより、借地借家法の絡みで後々トラブルに発展する可能性はないのか」とご心配される方もおられるかもしれませんが、
今回ご紹介した手法につきましては原則として借地借家法の範囲外となりますから、借地権が発生するなどの厄介なトラブルが起こることはないはずです。
但し、収益物件の一室を借りているテナントが建物の外に看板を出す場合などには、看板についても「借地借家法の適用を受ける」と判断される可能性がありますので、こうしたケースでは契約書の内容に充分な注意が必要となるでしょう。
賃貸物件の供給過多が叫ばれる時代であるからこそ、普段は利用しない収益物件の外壁や屋上を賢く利用して効率的に収益を上げて行きたいものですよね。
ではこれにて「看板賃貸、アンテナ賃貸等で収益を上げる方法を解説いたします!」の知恵袋を閉じさせていただきたいと思います。