不動産投資を行う上で、最も重要とされるのが「投資対象となる物件の選び方」であると言われています。
確かに、高い利回りが想定される物件でも入居率が常に低いのではお話になりませんし、満室でも修繕費用ばかりが掛かる物件では、維持していく旨味を殆ど感じることができないでしょう。
こうした物件選びのミスを防ぐためには、立地を検討し、建物の状態をチェック、近隣の賃貸相場やニーズのある間取りを確認する等の作業が不可欠となります。
また、一流の不動産投資家ともなれば先程お話しした「物件を見る目」は充分に養われていますから、物件を選択する上でのミスは避けられるものの、それ故に『一握りの儲かる物件』に人気が集中してしまうこととなり、結果として「欲しい物件がなかなか買えない」という悩みをお持ちの方も多いようです。
そして、このような状態に陥ってしまうと、どんなに金銭面の余力があってもなかなかスムーズな投資が行えず、「折角の資金を遊ばせてしまう」ことになってしまいますよね。
そこで本日は、一般的な投資家とは異なる目線で物件を選び、高い収益を上げていく「土地の分割売却を前提とした不動産投資法」をご紹介してみたいと思います。

庭先売りで収益を上げる
「庭先売り」と聞いても、『いまいちピンッと来ない』という方も多いかもしれません。
この言葉は文字通り「建物の敷地の一部を分割し、売却してしまうこと」を表しており、今回ご紹介する手法においては購入した収益物件の空地(余っている土地)を切り取って、第三者に売却することが「投資の肝」となります。
このようなお話をすると「そんなことが可能なの?」というお声も聞えて来そうですが、既に不動産業界にはこの方法で多くの利益を上げておられる方が多数いらっしゃるのです。
なお、土地の分割作業自体は、土地家屋調査士などに依頼すれば簡単に切り分ける(分筆)することが可能ですし、この売却で得た利益を当初の物件購入価格と相殺すれば、元々「大した利回りでなかった物件」を一気に『超高利回りの物件』に変身させることができますよね。
そしてこの手法を上手に用いれば、収益物件の市場に流通しながらも、利回りの低さ故に見向きもされない物件の中から「とんでもない掘り出し物」を見付け出すことも不可能ではありませんから、これは実に夢が膨らむお話です。
ちなみに、実際に市場で「庭先売りが可能となる程の大きな空地がある物件」を探してみると、なかなかこれを発見するのに苦労してしまうケースもあるでしょうが、利回り4%、3%といった普段あまりチェックしない層の物件(利回りに魅力を感じない物件)まで見渡してみることが物件を見付けるコツとなるでしょう。
特に地主系のオーナーなどが建てた物件には、「建物のボリュームに不釣り合いな広い土地がセットになっているケース」も少なくありませんので、こうした物件に狙いを絞って物件探しをするのも有効な手段かと思います。
ところで、ここで気になるのが『分割後の売却先』についてとなりますが、もろもろ融通が利きやすく、瑕疵担保責任などについてもリスクの少ない建売屋さん(戸建て分譲業者)などに買取りをしてもらうのがベストな選択肢となるでしょう。
また、庭先売りをする土地の面積が小さ過ぎて「分譲業者への売却が困難である場合」にはお隣の方(隣接地の方)に買ってもらったり、トランクルーム・駐車場用地として売却するという出口もあるはずです。
さてここまで収益物件の土地の分割売却についてご説明してきましたが、この手法を行う上で最も大切なポイントとなるのは「庭先売りで得た収益」と「本来の収益物件購入の価格」を相殺して、『どれだけのメリットを得ることができるか?』を正確に予測できる能力となります。
もちろん投資である以上は「失敗してしまう可能性」も付き纏いますが、『正しい相場観』と『物件を見極める確かな目』があれば、この分割売却投資法はあなたに莫大な利益をもたらすはずです。
不動産投資の市場に残された「売れ残り物件」を無理して購入するよりも、他の投資家とは異なる目線で物件を仕入れて転売ビジネスに挑戦してみるのも、「投資を成功に導く一つの方法」であるように思います。
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分割に当たっての注意点
ここまでの解説にて「庭先売りの概要」についてはある程度ご理解いただけたことと思いますが、本項では分割売却の注意点などについてもう少し詳しく解説していきましょう。
建物が違反建築物にならないように分割する
土地を切り取る分筆の作業は、ある程度自由に行うことができますが、あまりに自分の土地を減らしてしまうと、現在建っている収益物件が建築基準法に違反した建物になってしまう可能性もあります。(建築基準法違反建築物・既存不適格建物)
違反建築物となってしまうと、将来的に収益物件の売却が困難となる場合もありますし、建て替えに際して、極端に小さな建物しか再建築できなくなる可能性もあるので注意が必要でしょう。
また、行政の建築Gメンなどに発見されると「改築の命令」が下ることもあり得ますから、分割に当たっては事前に設計士などの専門家に相談することをお勧めいたします。
確定測量済みの物件を選ぶ
これまでの解説にて「土地の分筆は自由にできる」と申し上げてまいりましたが、これは「隣接する全ての土地との境界線が確定している」という前提があってのこととなります。
※全ての隣接地と境界確定を行う作業を「確定測量」と呼びます。
よって、「お隣りの土地との境界線が未確定」といった土地では分筆ができませんし、購入した後で確定測量を行おうとしても、お隣の方の協力が得られず、境界争いなどに発展してしまうと『半永久的に分筆が不可能となる場合』もありますので是非ご注意ください。(境界トラブルに関する詳細は過去記事「不動産・境界越境問題について」をご参照ください)
なお、「全ての境界」という言葉の中には、行政が管理する『道路・公園・水路』等(これらを「官地」と呼びます)も含まれることになります。
もちろん、それなりの費用と時間を掛ければ官地との境界確定も不可能ではありませんが、対象が公道などの場合には、この道路に接する土地所有者の反対によって『道路の境界確定が不調に終わっているケース』もあり、こうしたパターンでは反対者が存在する限りいつまで経っても確定ができないこともあり得るでしょう。
切り売りした後のことも考える
そしてもう一つ注意したいのが、切り売りを終えた後の状態についてとなります。
例えば、購入したアパートの南側に余分な土地があり、これを戸建て分譲業者に切り売りしたとしましょう。
そして、この売却した土地に3階建ての建売が建築されてしまえば、北側に残されたアパートの日照は著しく阻害され、肝心の収益物件の集客性に大きな影響を及ぼすことになるはずです。
よって、切り売りをしたまでは良いが、結果として自分で自分の首を絞めるような土地の分割は絶対に避けるべきですから、慎重に検討を重ねてから計画を実行に移しましょう。
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庭先売りまとめ
さて、ここまでご説明して来たのが「土地の分割売却で収益物件の利回りを向上させる手法」の概要となります。
少々手間の掛かる投資方法ではあるかもしれませんが、「賃料を稼ぐことだけが不動産投資だ」と考えている方には絶対に生まれてこない発想となりますから、物件探しに苦労されている投資家さんにはお勧めの手法なのではないでしょうか。
但し、この方法を一般の方が何度も繰り返し行うと、宅建業法違反となってしまう可能性がありますのでご注意ください。(不動産業の免許を取れば問題はありません)
また、切り取る土地の面積や地形、売却する相手、売却価格の算定などには慎重を期するべきですから、お付き合いのある不動産屋さんなどに依頼して、相談に乗ってもらうのも一つの方法であるかと思います。
なお、部分売却後に不動産の譲渡所得税が課税されるケースもありますので、しっかりと試算を行った上で、分割に臨んでいただければ幸いです。
ではこれにて、土地の分割売却で収益を上げよう!の知恵袋を閉じさせていただきます。