これからマイホームを購入しようとお考えの方にとって、非常に気になるのが「新築と中古の物件では、どちらがお得なのか?」という問題なのではないでしょうか。

新築物件は「価格が高額とはなるものの、まだ誰の手垢もついていない美しい建物とプレミア感が非常に魅力的」ですし、もう一方の中古物件は「建物は少々古いが価格はリーズナブル」となりますから、『どちらも捨て難い魅力がある』というのが本音でしょう。

そこで本日は「新築・中古はどっちが得か?という疑問について解説いたします!」と題して、マイホーム購入に際して誰もが一度は頭を悩ませる難問に挑んでみたいと思います。

新築・中古どっちが得

 

新築物件と中古物件のメリット、デメリットを比較!

では早速、新築物件と中古物件のメリット、デメリットを見ていきましょう。

新築物件には多くの税制優遇が用意されている

新築物件のメリットとしてまず挙げられるのが、手厚い税制優遇となります。

登録免許税住宅ローン控除不動産取得税固定資産税に至るまで、新築物件には中古物件を凌ぐ優遇制度が用意されていますので、この点は大きな魅力と言えるでしょう。

新築物件は住宅ローンを組む上で有利

新築物件で住宅ローンを組む場合、購入金額の全額を借入れ(フルローンを組み)、返済期間を最長の35年と設定することも珍しくありません。

しかしながら、これが中古で築年数が古い物件となると、借入額や返済期間が制限されることになりますので、この点も新築住宅ならではのメリットと言えるでしょう。

新築物件VS中古物件!価格の問題

冒頭でもお話ししたとおり、「新築は高い、中古は安い」というイメージをお持ちの方も多いことと思いますが、これは確かに『間違いのない事実』です。

不動産の価格には地域の相場というものがありますが、新築物件に関してはこうした相場価格に「新築ならではのプレミアム価格」ともいうべきものが上乗せされており、

購入後、僅か半年で売りに出したのに成約価格は新築時の90%以下に下落してしまった(地域によっても異なります)というケースも多いため、「プレミア感に惹かれて、新築を買うのではなかった!」と後悔される方も少なくありません。

さて、このようなお話をすると「新築を買うのは損なんだ・・・」とお思いになられるかもしれませんが、一般の方が売主となる中古物件については、「安売りはしたくない!」「住宅ローンを返すのにいくら必要だ!」といった個人的な事情から、相場より高い値段が設定されている可能性がありますので、この点には注意が必要となります。

よって、新築物件であれば「今まで誰も住んだことがない」をいうプレミア価格が付加されているのを覚悟で購入する必要がありますし、中古物件を選ぶなら地域の相場を充分に調べた上で適正な価格で販売されている物件を選択することが重要となってくるのです。

※売主が不動産業者の物件(新築やリノベーション物件)は過去の取引事例などを調査した上で値付けをしているため、周辺の取引相場を逸脱するような高額物件はあまり存在しません。

ちなみに、築2年、3年の超築浅中古物件を探すのであれば、圧倒的に販売戸数が多い分譲マンションの方が有利といえます。

また、築浅マンションであれば分譲当時の価格をネットで手軽に調べることができるため、苦労して相場観を身に付けずとも「割高な物件を簡単に見分けることができる」という利点もあるでしょう。

一方、中古戸建てを選択する際には周辺の相場観をしっかりと把握した上で、土地の大きさ地形、建物の状態などを精査し、『値付けが適正であるのか?』という判断を行う必要があるのです。

新築物件と中古物件のリフォーム費用

中古物件と新築物件を比較した場合に、『最大の違い』となるのが入居に際してリフォーム費用が発生するか否かという点になります。

ちなみに、同じ中古物件でも戸建てをリフォームする場合には、マンションとは異なり「面積の広い廊下」や「階段」といった部位の存在により、クロスやフローリングの張替えに際して施工面積が大きくなり、これに伴って工事費用も高額となるケースが少なくありません。

また、これらの工事に加えて「ユニットバスの交換」や「システムキッチンの入替え」などを行うとなれば『リフォーム費用は数百万円単位の出費』となりますし、

床を剥がしてみたら「腐食やシロアリの被害が発覚した」となれば、想定外の膨大な工事費用が発生することになりますから、中古戸建ての購入にあたっては「どれくらいのリフォーム費用が掛かるかを正確に見極めること」が非常に重要なポイントとなるでしょう。

更にこれらのリフォームを行うには、それなりの工事期間が必要となりますから、買換えの場合(現在保有する物件を売却して、新たな物件を購入する場合)には「引っ越し先の工事が完了できず、住む場所がない」といった状態にならないように充分な注意が必要です。

これに対して、新築物件ではリフォーム費用についての心配は一切不要となりますから、この点は大きな魅力と言えるでしょう。

但し、同じ中古戸建てでも不動産業者が売主の場合(中古再販売物件)にはリフォーム済(リノベーション済)となっている場合が殆どですから、リフォーム費用について不安を感じる方は、この手の物件を選択するべきです。

一方、中古マンションのリフォーム費用については、戸建てと比べて「施工面積が小さい」ため、築浅で綺麗に使用されている物件を選べば、工事費用をかなり安価に抑えることが可能です。

また、分譲マンションにおいては外壁やバルコニーなどが共用部分(管理組合が管理すべきエリア)となっているため、個人で修繕費用を負担せずに済みますから、この点も中古マンション物件を買う際の大きなメリットとなります。

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新築物件VS中古物件!瑕疵担保(契約不適合)の問題

中古物件を購入する際に「最も注意するべき」なのが、この瑕疵担保(契約不適合)の問題となるでしょう。

瑕疵については、別記事「瑕疵担保責任について考えてみます!」にて詳細な解説を行っていますが、簡単にご説明するならば、雨漏りや建物の傾きなど、目に見えない土地や建物の欠陥(キズ)を指す言葉となります。

確かに、折角高いお金を払って購入した自宅が「雨漏りだらけ」では泣くに泣けませんよね。

もちろん売買契約書の中には、こうした物件の傷(瑕疵)を売主に保証させるための「瑕疵担保責任(契約不適合責任)」という条項が記されていますが、個人間取引の中古物件売買における保証期間は長くて6ヶ月、短い場合には3ヶ月程度が通常ですし、瑕疵が認められたとしても、相手に支払うお金が無ければ泣き寝入りするしかないのが現実です。

更に、築年数の古い物件では「瑕疵担保責任(契約不適合)は免責」ということもありますから、この点については契約までにしっかりと条件を確認する必要があるでしょう。

これに対して新築物件であれば、雨漏りなど重大な瑕疵については10年間売主が責任を負うルールとなっていますし、売主は不動産業者となりますから保証も万全な上、近年では建売業者の倒産に備えた瑕疵保険への加入も義務化されていますから、『取引に対して抜群の安心感』を得ることができるはずです。

なお、中古物件であっても売主が不動産業者となっている場合には、引渡し後2年間は瑕疵担保責任を負うものとされていますから、中古を選択する場合にはこのタイプの物件がおすすめとなります。

※近年では中古戸建ての個人間売買に際して、インスペクション(住宅検査)の実施や瑕疵保険へ加入するケースが増えつつありますので、こうした物件を選ぶこともトラブルを回避するための有効な手段となります。

ちなみに、分譲マンションにおいては『中古であっても、瑕疵についてのリスクはそれ程高くない』というのが現実です。

「リフォーム費用」の項でも解説いたしましたが、分譲マンションでは雨漏りの原因となる外壁や、建物の基礎・躯体に係る部分は共用部分(管理組合が管轄する箇所)となりますから、

何か問題が生じた場合でも、個人で修繕費用負担を行ったり、問題解決にあたる必要はありません。(但し、室内【専有部分】の床下の配管などは購入者の責任で管理する必要がある)

よって戸建てよりも、「中古物件が気軽に購入できる」という点もマンションの特徴となっています。

新築物件と中古物件の近隣問題

マイホームを購入する際に気になるのが、「お隣や周囲に妙な方が居ないか?」という近隣関係の問題となります。

なお、中古戸建てを購入するのであれば、近隣への聞き込みなどの方法である程度は「周辺住民の情報」を得ることが可能となりますから、危険人物の存在などを事前に察知することができるはずです。

ところが、これが新築戸建てで、更には10棟、20棟という大型の分譲地ともなれば、隣近所にどのような人間が引っ越して来るかが全く予想できない状態となってしまいますので、この点には注意が必要でしょう。(隣接住宅が全て新規購入者であるため、事前調査ができない)

一方、分譲マンションについては『部屋の両隣りに加えて、上の階と下の階にも住人がいる』ため、「厄介な方」と遭遇する可能性は更に高まるはずです。

そして戸建ての場合と同様に、新築マンションでは「事前の近隣住人についての調査」が不可能となりますから、ヤバイ方のお宅に接する物件を購入してしまう確率も必然的に高まる傾向にあります。

なお中古物件であれば、聞き込み調査等でヤバイ人の存在を事前に察知できますので、この点については「中古マンションの方が安全である」といえそうです。

分譲マンションの管理費・修繕積立金の問題

戸建てには無かった問題点ですが、マンションではこの管理費や修繕積立金にも注意が必要です。

新築マンションは確かに管理費等が割安ですが、数年で値上がりをしてしまうケースは珍しくありません。

こうしたリスクを考えれば、組合の運営が軌道に乗っている中古物件の方が、不要なストレス(これから値上がりするかもというストレス)を感じずに済むかもしれません。

但し、あまりに築年数の古いマンションは管理費、修繕積立金共に割高となる上、大規模修繕や建替えに際して「修繕積立一時金」などの名目で出費を迫られることもありますので注意が必要です。

新築住宅は建物の性能が高く・設備が充実している

中古住宅と比べ、新築住宅が優れているのが「住宅としての性能、設備が充実している」という点です。

建物の耐震性や断熱性、そして機密性については日進月歩で技術が進歩していますし、建物の完成から年月が経過すればする程に、建材の性能も劣化してきますのから、これは致し方のないことと言えるでしょう。

また住宅設備についても、一昔前までは贅沢なオプション設備であった床暖房や食洗機が、今や「設置されていて当たり前の時代」となっていますから、より充実した設備を求めるのであれば新築住宅を選択するべきです。

ちなみに建物の性能や設備に関しては、分譲マンションの方が新築と中古の差が激しい傾向にあり、新築マンションではスラブ(コンクリートの躯体)を分厚くしたり、2重構造の床にするなどの工夫をして『上階からの騒音を軽減するための努力』を行っていますが、築年数の古い中古物件ではこうした防音構造を備えているケースは殆どありません。

また、古い分譲マンションでは室内の水道管に鉄管を使用している建物が多い上、コンクリートの躯体の中を通過して配管の切り回しを行っているところも少なくないのが実情です。

当然、鉄製の配管は錆で腐食しますから、時間が経過すれば交換等の必要が出てくるのですが、躯体の中を通過した水道管の工事には高額な費用が発生することになります。(躯体等を破壊しなければならない場合などには、交換工事ができないケースもあります)

これに対して、新築や築浅のマンションでは水道管自体も腐食し辛い素材(ステンレスなど)を使用している上、将来的な配管の交換に備えて「躯体の中を通過しない配管の切り回し」を行っている建物が多いため、メンテナンスを考えると、古い分譲マンションは非常に不利と言わざるを得ません。

また、近年の分譲マンションでは(衣服の)クリーニングやゲストルームなどのサービスや施設が充実していますが、築年の古いマンションではこれらのサービスはおろか、戸数分の駐車場さえ確保されていないケースもありますので、新築と中古ではサービス面でも大きな差があります。

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新築と中古どちらを買うべきかのまとめ

さてここまで、「新築と中古はどちらお得?」というテーマにて解説を行ってまいりました。

そして、ここまでの解説をお読みいただいた読者の方々が最も知りたいのは「結局、新築と中古ならどちらがお得なの?」という点かと思いますので、最後にこの点についてお話ししておきましょう。

まず、戸建てについては「新築にするべき」というのが管理人の見解となります。

現在ではインスペクションと呼ばれる住宅検査の普及や、瑕疵保険に加入した上での物件販売が主流ですから、以前よりは遥かに「中古戸建て購入のリスクは下落」していますが、決してリスクが「0」になった訳ではありません。

インスペクションで全ての瑕疵が明らかになる訳ではありませんし、たとえ保険によって瑕疵の問題が解決できても、買ったばかりのマイホームで大掛かりな工事が必要となれば、その負担は決して小さくないはずです。

また越境や私道の通行権などの「権利関係の問題」に、建替え時に降り懸かってくる「法令上の制限に関する問題」等については、やはり新築よりも中古物件の方がリスクが大きいですから、筆者としては新築をおすすめしたいと思います。

これに対して分譲マンションの場合には「築10年以内であれば、中古物件がおすすめ」となるでしょう。

本文中でもお話しした通り、分譲マンションの場合には建物の重要な部分の多くが「共有部分」であるため瑕疵に関するリスクが低いことに加え、築10年以内ならば建物の構造や設備等の部分でも殆ど問題はないはずです。

更に、一度売りに出されれば「新築時に付加されるプレミアム的な価格」を差し引いた値段で購入することができますし、築浅であればリフォーム費用も最小限に抑えられるでしょう。

よって、戸建てであれば「新築」、分譲マンションであれば「築10年以内の中古」というのが、本記事の結論となります。

ではこれにて、新築・中古はどっちが得か?についての知恵袋を閉じさせていただきたいと思います!