賃貸管理会社の仕事というと、入居者募集やクレーム対応を思い浮かべる方が多いかもしれません。
しかし、管理会社にとって非常に重要な業務のひとつが「入金管理」です。
入金管理とは、単純に毎月の家賃が振り込まれているか確認するだけの仕事ではありません。
家賃の入金状況を確認し、未入金があれば入居者へ連絡を行い、必要に応じて連帯保証人や保証会社への対応を進めます。
さらに、オーナーへの送金や収支報告、更新や退去に伴う精算なども関係してくるため、実際には賃貸管理の中心ともいえる業務です。
私自身、不動産業界で仕事を始めて間もない頃、初めて一棟アパートの入金管理を任されたことがあります。
今回はそのときの実体験も交えながら、賃貸管理会社がどのように入金管理を行っているのか、実務目線で解説していきます。
この記事のポイント
- 入金管理は家賃の確認だけではない
- 未入金が発生すれば督促業務が必要になる
- 保証会社を利用していても管理会社側の対応は残る
- 管理を引き受ける前の引継ぎが非常に重要
- 管理料は「何%か」だけでは判断できない

賃貸管理会社の「入金管理」とは?
入金管理とは、入居者から支払われる家賃や共益費、駐車場代などの入金状況を管理する仕事です。
一般的には、毎月決められた期日までに入金されているかを確認し、未入金があれば入居者へ連絡します。
しかし、実務ではそれだけではありません。
- 毎月の家賃入金確認
- 未入金者への連絡・督促
- 保証会社への事故報告
- 連帯保証人への連絡
- オーナーへの送金
- 収支明細の作成
- 更新時の賃料・更新料の管理
- 退去時の精算
など、多くの業務が関係してきます。
管理契約の内容によっては、修繕手配や入居者対応、退去立会いなども管理会社が担当します。
そのため、入金管理を引き受けることは、単に家賃の入金を確認するだけではなく、その物件全体の運営に関わることでもあります。
現場メモ
「家賃の入金だけ見てください」という依頼であっても、実際に管理を始めると入居者から設備故障や騒音、漏水などの連絡が入ることがあります。
どこまで対応する契約なのかを、最初に明確にしておくことが重要です。
私が初めて入金管理を引き受けた物件
私が初めて本格的な入金管理を担当したのは、築20年弱の木造アパートでした。
戸数は10戸ほどで、間取りは2K。
満室時の家賃収入は月額約70万円でした。
それまで私は仲介業務を中心に仕事をしていたため、毎月安定して管理料が入ってくる賃貸管理という仕事には大きな魅力を感じていました。
そこでオーナーと話し合いを行い、最終的には家賃収入の7%程度で管理を引き受けることになりました。
当時の私は、
「毎月家賃を確認して、何かあったときに対応すればいい」
くらいに考えていたところがあります。
ところが、実際に管理を始めてみると、想像していたよりもずっと多くの仕事が待っていました。
管理開始直後に3件の家賃滞納が判明
まず最初に驚いたのが、家賃の入金状況でした。
管理を開始して確認してみると、10戸のうち3戸で家賃が未入金だったのです。
入金管理を始めたばかりでしたので、
「毎月こんなに滞納するのか?」
と少し焦った記憶があります。
そこで、それぞれの入居者に連絡を行いました。
2件については、連絡や書面での案内によって比較的早く入金されました。
しかし、残り1件についてはなかなか支払いがありません。
最終的には連帯保証人へ連絡し、家賃を支払ってもらうことになりました。
家賃滞納は早期対応が重要
家賃滞納は、時間が経過するほど解決が難しくなるケースがあります。
未入金を確認したら、まず事実確認を行い、できるだけ早い段階で入居者へ連絡することが重要です。
家賃滞納が発生した場合の管理会社の具体的な対応については、 「家賃滞納時の管理会社の対応とは?契約内容によって異なる3つのケースを実務経験をもとに解説」 でも詳しく解説しています。
保証会社を利用している場合の入金管理
現在では、家賃保証会社を利用する賃貸借契約も珍しくありません。
保証会社が付いている場合は、管理会社が直接家賃を回収するのではなく、契約内容に従って事故報告や代位弁済などの手続きを行うケースがあります。
ただし、保証会社を利用しているからといって、管理会社側で何もしなくてよいわけではありません。
保証会社によっては、家賃滞納が発生した場合の事故報告期限が決められています。
管理会社側の確認や報告が遅れると、契約内容によっては保証対象に影響する可能性もあります。
また、保証される金額や期間、退去までの対応範囲なども保証会社によって異なります。
そのため管理会社は、入居者ごとに、
- どの保証会社を利用しているのか
- 何が保証対象になっているのか
- 事故報告の期限はいつまでなのか
- 保証額に上限があるのか
- 明渡しまでどこまで対応する契約なのか
といった内容を把握しておく必要があります。
なお、保証会社が訴訟手続きなどをサポートする場合でも、建物明渡請求などの原告は基本的に物件所有者であるオーナーです。
「保証会社に加入しているから、滞納が発生してもすべて任せておけばよい」と考えるのは注意が必要です。
賃貸保証会社の仕組みや役割については、 「賃貸保証会社とは?わかりやすく解説いたします!」 でも詳しく解説しています。
実際の入金管理はどのように行うのか
実務では、毎月一定のタイミングで入金状況を確認します。
管理会社によって方法は異なりますが、基本的な流れは次のようになります。
- 家賃の入金状況を確認する
- 入居者ごとの入金額と照合する
- 未入金者を抽出する
- 入居者へ連絡する
- 必要に応じて保証会社や連帯保証人へ対応する
- 管理料や立替金などを精算する
- オーナーへ送金する
- 収支明細を発行する
物件数や管理戸数が増えてくると、誰が入金済みで誰が未入金なのかを正確に管理することが非常に重要になります。
また、家賃だけではなく、
- 共益費
- 駐車場代
- 水道代
- 更新料
- その他の月額費用
などが含まれる物件もあります。
金額が少し違うだけでも、その理由を確認しなければなりません。
「入金されているからOK」ではなく、契約内容どおりの金額が入金されているかまで確認するのが入金管理です。
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入金管理を引き受けると家賃以外の仕事も増えてくる
入金管理を始めてしばらくすると、家賃以外の仕事も次々と発生しました。
あるときは、入居者から、
「階下へ水が漏れている」
という連絡が入りました。
原因を確認すると、洗濯機の排水まわりに問題があり、下の部屋まで漏水していました。
また別の日には、
- 共用廊下の照明が切れている
- 設備の調子が悪い
- 退去したい
といった連絡も入ります。
管理会社として物件の窓口になる以上、入居者にとっては、
「困ったら管理会社へ連絡する」
ということになります。
つまり、契約上は「入金管理」という名称であっても、実際にはさまざまな相談が持ち込まれる可能性があります。
注意
入金管理だけを受託する場合は、修繕手配・クレーム対応・退去立会い・夜間緊急対応などを管理料に含むのか、契約前に明確にしておくことが大切です。
忘れられない「安否確認」の連絡
この物件を管理していたとき、特に印象に残っている出来事があります。
ある日、入居者の親族から管理会社へ連絡がありました。
「父親と連絡が取れない」
という内容でした。
その入居者は一人暮らしで、何度電話をしても連絡が取れないとのこと。
管理会社では部屋の鍵を預かっていましたが、だからといって勝手に室内へ入ることはできません。
そこでオーナーへ状況を報告したうえで、警察にも相談し、立会いのもとで室内を確認することになりました。
玄関を開けて部屋へ入ると、入居者が床に横になっていました。
一瞬、
「これは大変なことになった」
と思いました。
ところが声を掛けると、普通に反応があります。
結果としては、酒を飲んでそのまま寝ていただけでした。
大事に至らなかったことには胸を撫で下ろしましたが、管理会社の仕事では、このような安否確認に関わることもあります。
入金管理という言葉だけを聞くと、毎月パソコンで家賃の入金を確認する仕事のように感じるかもしれません。
しかし実際の賃貸管理では、人の生活そのものに関わる場面も少なくありません。
管理会社だからといって勝手に部屋へ入れるわけではない
管理会社が合鍵を保管していたとしても、自由に入居者の部屋へ入れるわけではありません。
室内は入居者の生活空間です。
設備点検や修繕で入室する場合でも、原則として入居者と日時を調整したうえで入室します。
安否確認など緊急性が高いケースについても、状況を確認しながら、オーナー・親族・警察などと連携して対応することが重要です。
「鍵を持っているから入れる」
という単純な話ではない点には注意が必要です。
管理料は「何%か」だけで決めない方がよい
この物件を管理した経験から、私自身が強く感じたことがあります。
それは、
「管理料は料率だけで判断してはいけない」
ということです。
当時は、
「毎月固定の管理料が入ってくる」
という部分に魅力を感じていました。
しかし実際には、
- 家賃滞納への対応
- 入居者からの問い合わせ
- 漏水などのトラブル対応
- 共用部の不具合対応
- 退去立会い
- 安否確認
など、想定以上に多くの業務が発生しました。
管理料が安くても、ほとんど問題が発生しない物件であれば負担は小さいかもしれません。
一方で、築年数が経過し、設備トラブルや家賃滞納が多い物件では、同じ管理料率でも管理会社の負担は大きく変わります。
そのため、管理を受託するときには、管理料と同時に物件の状態や入居状況を確認することが重要です。
管理を引き受ける前に確認しておきたい項目
新しく賃貸物件の管理を引き受ける場合には、最低でも次のような項目を確認しておきたいところです。
- 各部屋の賃貸借契約書
- 入居者一覧
- 現在の家賃・共益費・駐車場代
- 敷金などの預り金
- 契約開始日・更新日
- 連帯保証人の有無
- 利用している保証会社
- 現在の家賃滞納状況
- 鍵の保管状況
- 過去の修繕履歴
- 現在発生しているクレームやトラブル
特に重要なのが、滞納や現在進行中のトラブルの有無です。
管理開始後になって、
「実は何か月も家賃を払っていない入居者がいた」
「以前から騒音トラブルが続いていた」
という事実が判明すると、新しい管理会社がいきなり難しい案件を引き継ぐことになります。
現場メモ
管理会社を変更するときは、契約書や鍵だけではなく「現在進行中の問題」を引き継ぐことが非常に重要です。
滞納・騒音・漏水・修繕予定などは一覧にして確認しておくと、その後のトラブルを減らしやすくなります。
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入金管理は「家賃を確認するだけの仕事」ではない
賃貸管理会社の入金管理は、単に銀行口座を確認して家賃の入金をチェックする仕事ではありません。
未入金があれば入居者へ連絡し、保証会社や連帯保証人への対応を行い、必要に応じてオーナーへ状況を報告します。
さらに、物件の窓口として管理を行っていれば、設備故障や漏水、退去、入居者トラブルなどにも対応することになります。
私が初めて入金管理を担当した物件でも、家賃滞納から漏水、退去立会い、安否確認までさまざまな出来事がありました。
こうした経験から感じるのは、賃貸管理という仕事は、
「建物を管理する仕事」
であると同時に、
「そこで暮らしている人とオーナーの間を調整する仕事」
でもあるということです。
管理会社へ物件管理を依頼する場合は、管理料の安さだけを見るのではなく、どこまで対応してもらえるのかを確認しておくことが大切です。
また管理会社側も、受託する前に物件の状況や業務範囲を十分に確認しておく必要があります。
現場を知るから、本当に役立つ。






