今から20年程前、不動産業界に初めて足を踏み入れた管理人が「最初に割り振られた仕事」は賃貸の客付けでした。

そして、初めて賃貸の仲介をした際の顛末は、以前の記事「賃貸客付けの体験記をご紹介!」にてご紹介いたしましたが、客付けの仕事にも慣れ始めると、次は賃貸管理の仕事も私の担当になって行きます。

なお、不動産の賃貸に関わる仕事をしていれば『決して避けられない』のが、この「物件の管理」と「元付けのお仕事」となりますが、そこには客付けとは異なる様々なイベントが待ち構えておりました。

そこで本日は、私が初めて行った物件管理と賃貸元付けのお仕事の流れを体験記風にレポートしてみたいと思います。

ちなみに、今回のお話は物件の入退去だけを管理するお仕事(契約管理)となりますので、入金の管理も含めた本格的な管理のお仕事については後日「賃貸入金管理のお仕事レポートをお届け!」の記事にて、その詳細を書かせてくつもりです。

では、賃貸元付けのお仕事をレポートを始めましょう。

賃貸元付け

 

初めての管理物件

管理人が初めて「賃貸の客付け仕事」をこなしてから、早くも半年の月日が経過しようとしていました。

実は最初の客付けを行って以来、殆ど成績が上げられない日々が続いており、一時期は本気で転職も考えていたのですが、「ここで辞めたら、一生同じことを繰り返す気がする!」と一念発起し、この頃には既に『ある程度安定した成績』を上げることが可能になっていたと記憶しています。

そんなタイミングで、上司から言われたのが「新規の大家さんが来たら、自分の担当物件にしていいから!」とのお言葉でした。

時折、アパートなどを保有している大家さんがご来店され、「先輩社員と打ち合わせをしている光景」は目にしたことがありましたので、『何となくの流れ』は解っていましたが、やはり初めての仕事となると少々緊張するものです。

そして数週間後、遂に私の初めての大家さんとなる方がご来店を果たします。

この時やって来たのは、私の会社のある駅から2つほど離れた駅の近くに住まう、老夫婦の大家さんでした。

これまでも他の不動産業者に物件の管理を任せていたと言いますが、その業者さんが廃業したことに伴い、新たな管理会社を探すべく当社に話を聞きに来たとのことです。

そこでまずは、建物のスペックを教えていただいたのですが、建物は築20年の木造アパートであり、1DKの間取りが4部屋という「こじんまりとした物件」であるといいます。

また、賃料の入金管理などは大家さんが自ら行っているとのことなので、契約の更新と、一部屋空いている空室を埋めて欲しいというのが、今回のご依頼内容となるようです。

『最初の管理物件としては、小ぶりで丁度良いのかな?』などと考えながら、早速鍵をお預かりして「物件の下見」に出発します。

募集条件に関しては、廃業した先代の不動産屋さんが設定した価格をそのまま引き継いで、賃料月額6万円の敷金1ヶ月・礼金1ヶ月という設定とし、成約すれば礼金1ヶ月を報酬(広告宣伝費)として頂けるという寸法です。

なお、客付けのお仕事ですと「物件を決めない限りは報酬を得るは不可能である」のに対して、元付け業者(管理会社)ならば募集を掛けているだけで収入に繋がる訳ですから、「こうした物件を多く抱えれば、かなり美味しい想いができるのでは?」などと考えながら、営業車で物件に向かいます。

そしてようやく物件に到着し、「意外に会社から距離があるな・・・」などと考えながら、扉を開けて物件内部の確認を始めます。

さて、お部屋の中はといえば既にリフォームが完了しており、なかなか綺麗な状態です。

本来ならここでお部屋の寸法を取り、募集図面に使う間取り図などを作成することになるのですが、この作業についても「前の業者さんが作成した図面」をそのまま流用できるので、全く手間が掛かりません。

そこで玄関扉のドアノブにキーボックスと呼ばれる暗証番号ダイヤル付の鍵保管具を取付け、いよいよ本格的な募集を開始します。

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初めての元付け

そして事務所に戻った後は、以前の管理会社さんが作成した図面を切り貼りして「募集図面」を完成させ、この図面を基に新規入居者の募集を開始します。

そこでまずは、手持ちのお客様(既にお部屋探しの依頼を受けているお客様)のリストを確認してみますが、「条件に見合う方は皆無」という状態でしたので不動産会社用の空室情報共有システムであるレインズやアットホームに物件情報を登録し、客付け業者からの問い合わせを待つことにしました。

なお、登録後数日は一件の問い合わせもなく、少々「焦る」こととなりましたが、週末が近付いて来るに従い客付け業者からの問い合わせが増え始めます。

そして、金曜日の夜の段階で土日に2件のご案内予約も入り、どうやら滑り出しは上々のようです。

なお、この2件のご案内に関しては既に客付け業者から名刺のFAXを頂き、キーボックスの暗唱番号を教えてありましたから、「もはや何するべきことはない」と思い込み、自分のお客様への物件紹介など『別の仕事』を進めていました。

そんな折、案内をしてくれた客付け業者の1社から連絡が入ります。

この営業マンはご案内中に現場(物件のお部屋)から電話を掛けて来ており、設備の状況についての質問があるとのことです。

そこで話しを聞いてみると「物件は追い炊きができるのか?」「お部屋で衛星放送を見ることは可能か?」という2点についての質問でした。

『そんなこと知らない・・・』、これが正直な答えでしたが、そのまま伝える訳にも行きませんので「確認して折り返しの電話をする」と伝えます。

慌てて大家さんに連絡するも「判らない」とのお返事でしたので、車で物件に向かい確認することにしますが、既に客付け業者とお客様は帰った後の様子です。

その上、お部屋の窓は開けっ放しですし、電気も点けられたままの状態で放置されています。

『このまま放置していたら大家さんからのクレームになっていたな・・・』と冷や冷やしながら、戸締りを整え、質問事項に対する確認も済ませることができました。

そして事務所に帰り次第、問い合わせて来た業者に回答した上、「戸締りをしていなかったこと」等について苦情を入れます。

『やれやれ、物件管理って結構大変だなぁ・・・』、この時初めてこの仕事の難しさに気付かされるのでした。(物件管理の本当の難しさは「こんなものでは済まない」のですが、この当時は思いも至りませんでした)

さて、そうこうしている内に我が社も閉店という時刻になり、『残った仕事を片付けてしまおう』とパソコンに向かった瞬間、もう一件のご案内予約を入れていた客付け業者から連絡が入り「お申し込みをしたい」との申し出を受けます。

初めての申し込みにドキドキしながら、当社の申込書のひな形をFAXにて先方に送り、返信を待つことになりました。

 

契約・引渡しへ

程なくして送り返されて来た申込書には、これから大学に入学する男子学生と父親のプロフィールが書き込まれていました。

これは入居者が学生ということで「父親が代わりに契約者になる」というパターンです。

また連帯保証人は「母親にしたい」とのことですが、共働きの夫婦であるらしく二人の年収はかなりのものでした。

既に時計は20時を回っていましたが、大家さんに連絡を入れて「申込人の概要」を伝えます。

ちなみに「契約者の父親と共に暮らす母親が連帯保証人」というパターンは、断られる可能性もあります(同一生計の者であるため)から、ドキドキしながら大家さんとのお話を進めますが、この点は難なくクリアーすることができました。

こうして、いよいよ契約締結へとお話は進んで行きます。

まずは契約に必要な精算金を計算し、初めて自分で賃貸借契約書と重要事項説明書の作成をして行きますが、当時は宅地建物取引士の資格を持っていませんでしたので、書類のチェックは先輩にお願いすることになりました。

しかしその結果は、ダメ出しの連続という悲惨なものとなってしまいます。

そして先輩からは「お前の契約でも取引士の判を押す以上は、オレの責任になるんだからもっとしっかり内容を練り込め!」とお叱りを受けてしまいました。

特に「物件の設備」や「周辺環境への調査」が甘いとの指摘を受けていましたので、翌日再び物件に足を運んでの確認を余儀なくされ、「元付けは、客付けよりかなり大変!」という事実を身に染みて味じわうことになります。

こうしたプロセスを踏みながら、ようやく契約書類は完成し、契約当日を迎えます。

契約前に行う重要事項説明は先輩にお願いしましたが、契約書の読み合わせは私のお仕事です。

何度も文言を読み間違え、汗を噴き出させながら読み合わせを終えて、どうにか成約となり、引渡しも済ませることができした。

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元付け仕事まとめ

さて、ここまで見て来たのが私の初めての元付け体験記となります。

初めての仕事だったとは言え、我ながらなかなかに要領が悪いですね。

管理に着手した際は、「これは楽勝かも!」などと舞い上がっていましたが、やはり元付けは大変なお仕事でした。

その後も様々な物件や大家さんに鍛えられて、今日の私が存在している訳です。

なお、今回お話した案件は元付け仕事としては非常に楽なケースでしたので、今後は非常に手を焼いたケースなどもご紹介して行きたいと思います。

私の経験が皆様に少しでもお役立ていただければ幸いです。

ではこれにて、賃貸元付けのお仕事をレポートを締め括らせていただきたいと思います。