不動産投資の中でも『最も手軽に始められる』として注目を集めているのが、「分譲マンションの一室を購入し、賃貸で貸し出す」という方法となります。

アパートの一棟買いなどに比べるとかなり購入資金を抑えられるため、高い人気を誇るこの投資手法ですが、分譲マンションならではの難しさもあるものです。

そこで本日は「分譲マンション投資について解説いたします!」と題して、収益物件としてのマンション購入のポイントや注意点のご説明、そして管理人が自ら経験した投資体験記をお届けしたいと思います!

分譲マンション投資

 

分譲マンション投資とは

ではまず最初に「分譲マンション投資とは如何なるものであるか」という点からお話を始めましょう。

その名が示す通り、この投資は分譲マンションの一室を購入して、その部屋を貸し出して収益を上げる手法となりますが、一棟ものの収益物件と比べて以下のような利点と問題点があります。

分譲マンション投資のメリット

分譲マンション投資のメリットとして挙げられるのが、

  • 初期投資資金を低く抑えることができる
  • 分譲マンションのブランド力で入居者が決まりやすい
  • リフォーム費用が安く抑えられる
  • 屋根や外壁などの修繕費が抑えられる
  • 売却が容易である
  • 退去後の転売で収益を上がられる可能性がある
  • 各種税金が安く済む

以上の項目となります。

現在では分譲マンションの価格が高騰していますが、それでも一棟もののアパートや賃貸マンションと比べれば、その金額がお手頃であるのは確実ですから、初期投資費用を低く抑えたいという方には非常に魅力的な投資対象と言えるでしょう。

また、分譲マンションというだけで

  • 管理が行き届いている
  • 共用設備が充実している
  • 住民のレベルが高い
  • 防音性能が高い

といったイメージにより、そのブランド力で「入居者が決まりやすい」というメリットもあります。

更に階段や廊下がある貸家などに比べて、お部屋の面積がコンパクトになるため、リフォーム費用が安くなりますし、

外壁や屋根は共用部分となるため、これらの設備のメンテナンス費用が発生しない点も見逃せない利点となるでしょう。

※修繕費としての負担は発生しますが、一棟もの物件で必要になる費用に比べれば非常にリーズナブルものとなるはずです。

なお、売却することになった場合にも

  • 一棟もの物件に比べて価格が手頃である
  • リフォーム費用が安価で済む
  • 屋根・外壁が共用部分であるため、売主の契約不適合責任におけるリスクが低い

といった理由で買い手が付きやすいことに加えて、

ファミリータイプ物件の場合は入居者が退去することで、投資用物件ではなくマイホーム物件としての売り出すことができますから、状況によっては予想を上回る価格で売却できる可能性もあるのです。

ちなみに、土地を持ち分で保有する分譲マンションにおいては固定資産税等が「一棟もの物件よりも割安」になりますし、同様の理由により相続税等についても税額を軽減させることができるでしょう。

分譲マンション投資のデメリット

一方、分譲マンション投資のデメリットとしては

  • 管理費、修繕積立金が収益を圧迫する
  • 管理費、修繕積立金の値上がりリスクがある
  • 空室が発生すると持ち出しとなるケースもある
  • 入居者の審査に慎重になる必要がある
  • 突発的な修繕費の負担を迫られる場合がある
  • 建て替えに関するリスクがある

以上のようなものが挙げられます。

分譲マンションである以上、管理費、修繕積立金を毎月支払っていかねばなりませんが、築年数が古い物件においては、これらの費用が値上がりすることも決して珍しくありません。

そして、一棟もの物件であれば空室が発生すること自体で出費が発生することはありませんが、分譲マンションでは「空室となった瞬間から管理費・修繕費の分が持ち出し(出費)」となりますので注意が必要です。

また、上下階や隣室は全て区分所有者となるため、近隣トラブルを巻き起こすような者を入居させてしまうと非常に面倒な事態に陥る可能性もあるでしょう。

更に、修繕計画に問題のあるマンションのお部屋を購入してしまうと「ある日突然、臨時の修繕費を徴収される(急遽、修繕が必要になった場合など)」こともありますし、

万全の修繕計画を立てていても、台風や地震などの災害で多額の修繕費が必要な場合には、組合員へ臨時の費用負担を求めるケースがあるのです。

なお、築年数の古い物件では、総会において建て替えが決議される可能性がありますので、そうとなれば組合員全員が融資を利用するなどして建て替え資金の調達を行わねばなりません。

 

このように分譲マンションにおける投資には多くのメリットがある反面、確実にデメリットも存在しておりますので、分譲物件の特性を十分に理解した上で、購入の判断を下すべきでしょう。

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分譲マンション投資顛末記

さて続いては、管理人が実際に経験した分譲マンション投資の一部始終を体験記という形式でお届けしてみたいと思います。

こうして投資が始まった

私が勤める会社では、数年前より収益物件の購入に力を入れています。

ちなみに購入後は、直ぐに転売してしまうケースもあれば、長期で保有して収益を得ることもあり、その処理はケースバイケースですが、一時期は結構な数の物件を購入していました。

そのような折、我が社の賃貸部門にて賃貸管理を委託されている分譲ワンルームマンションのオーナーから売却依頼のお話が舞い込んできます。

物件のスペックは、中堅デベロッパーが分譲したワンルームとファミリータイプ混合型分譲マンションの3階の一室であり、駅からの距離は僅か2分という物件です。

お部屋の間取りはワンルールであり、専有面積はやや小さめの約17㎡、風呂・トイレは別れていない所謂「3点ユニットタイプの物件」となります。

なお現況は居住中となっており、既に2年以上住み続けている入居者が月額65,000円にて賃貸中という状況です。(オーナーチェンジ物件)

『まずは詳しいお話をお聞きしよう』とオーナーさんにお会いしましたが、諸々の事情で現金が必要になったとのことで、急ぎの売却をご希望とのことでした。

早速、投資用物件として売却へ向けた打ち合わせを進めて行きますが、分譲マンションですから毎月の管理費・修繕積立金として合計12,000円の支払いがあることも忘れてはなりません。

当然これらの経費は収入から差し引いて計算するべきですから、65,000円-12,000円=53,000円というのが実質の月額収益となるでしょう。

そして10年分の収益を計算すれば月額収益53,000円×12ヶ月×10年=636万円となりますから、販売価格636万円で実質利回り10%の物件ということになります。

実質利回り10%という値付けなら、購入者は直ぐに見付かりそうな気もいたしますが、「急ぎの売却」とのことですから更に値下げをして売買価格600万円(利回り10.6%)で募集を掛けることにしました。

なお、この条件で募集を開始したところ、あっと言う間にお申し込みが入ったのですが、購入希望者に散々ローン特約の期限を引き延ばされた揚句に、融資解約という憂き目に遭ってしまいます。

ちなみに今回の「ローン解約期日の引き伸ばし」に関しては、購入希望者からの要望をオーナー様が承諾したものですから、仲介業者である当社の責任が問われることはなかったのですが、『新たなお客を探していたのではスケジュール的に間に合わない』とのことで、売主様はかなり焦っておられるご様子です。

そこで上司と相談し、「570万円(利回り11.1%)であれば、当社での直接買い取りをすることが可能である」とのご提案してみたところ、二つ返事で「OK」とのご回答を頂きます。

こうして分譲ワンルームマンションの一室を私の会社が買い取ることになったのですが、この決断がとんでもない結果を招くことになるとは、この時は知る由もありませんでした。

リフォーム・運用

オーナー様との売買契約・決済も無事に終了し、晴れて当社所有となったこの物件ですが、引渡し間もなくして最初の不幸が訪れます。

この物件に住まう入居者が、更新契約を済ませたばかりであるというのに退去の申し出をして来たのです。

『買ったばかりなのに・・・』とショックを受けながらも、止む無く退去の立ち合いを行いますが、室内は相当に荒れたご様子(原因は入居者の過失)です。

なお、敷金を全額原状回復費用に充てても補修費用は賄えず、10万円の追加請求を行うことにしましたが、これに対して賃借人が猛反発します。

そして散々揉めた結果、敷金プラス5万円で話を付けますが、当社の工事費用負担はなかなかのものになってしまいます。(賃借人には請求できない経年変化による工事費用の負担もありましたので)

こうしたドタバタを経ながらもリフォームは無事に完了しましたので、早速、月額65,000円の賃料設定で募集を掛けますが、お客様からの反応は皆無でした。

ちなみに「物件が不評な原因」については、当社の賃貸担当者とも色々話し合いましたが、やはり「3点ユニットが不人気であるという点が大きいのでは」という結論に達します。

今でこそ、このタイプの物件が不人気なことは広く知られていますが、この頃はまだそれ程でもなく、正に3点ユニットの人気が下落し始めた奇跡のタイミングで募集を開始してしまったようです。

その後も空室の状態は3ヶ月、4ヶ月と続いて行きますが、この期間中も当然ながら毎月12,000円の管理費・修繕積立金は徴収され続けて行きます。

そこで仕方なく賃料を63,000円に下げますが、その後も状況は一向に良くなりません。

『これはヤバい・・・』と本気で感じ始めた7ヶ月後、ようやく入居申込みが舞い込んで来ます。

但し賃料交渉が入り、「賃料を62,000円にして欲しい」とのことですが、贅沢は言えませんのでこの条件にて契約を締結したました。

無事に契約を終えて『これでようやくまともな運用が!』と思ったのですが、何と僅か半年でこの入居者は物件を退去してしまったのです。

『この物件は呪われているのでは・・・』、そんな想いも頭をよぎりますが、賃料設定を62,000円へと値下げして心機一転募集を再開します。

そして気が付けば8ヶ月もの月日が流れましたが、未だに申し込みは入らず、遂に社長から「入居者が付き次第、売却すべし!」との指令が下ります。

そして空室期間10ヶ月目にして、ようやく待望の入居希望者が現れるのでした。

売却に向けて

今回、お申し込みを入れて来た入居希望者の内容(属性)は、決して満足のいくものではありませんでしたが、そのような贅沢は言ってられませんので素早く契約を済ませ、早速売却の準備に掛かります。

ここで万が一、再び早期に退去されてしまえば、物件の売却は非常に困難なものとなりますし、「管理費等の持ち出し地獄」に逆戻りすることになりますから、決してのんびりとはしていられません。

そこで販売価格は早期成約を目指して550万円と安めに設定し、ひたすらレインズやアットホームへの掲載を続けました。

そして2ヶ月後、遂に待望の購入希望者が現れます。

先方からは20万円の差値(値引き交渉)があり、売買価格は530万円となりますが、ここは受けるしかありません。

異例のスピードで契約・決済を済ませ、どうにか売り抜けることに成功しました。

なお取引が終わり、気分も落ち着いたところで恐る恐る最終的な収支を計算してみたところ、まず「支出」

  • 物件購入価格   570万円
  • 管理費等     約22万円
  • リフォーム費用等 約30万円
  • 売却の仲介手数料 約24万円

となり、合計で642万円となります。

一方「収入」については

  • 物件売却価格   530万円
  • 賃料収入     約37万円

合計567万円という計算となり、

総収入額567万円 - 総支出額642万円 = 総損失額75万円

という惨憺たる結果が明らかになったのです。(入居者募集等に掛けた広告費や人件費、不動産取得税などの支出は計算に含めていません)

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分譲マンション投資について解説!まとめ

このように、私が初めて行った分譲マンション投資は「見事に失敗」という結果に終わりました。

ちなみに、未だに会社の飲み会ではこのネタでチクチクと苛められるのですが、やはり不動産投資は難しいものですね。

分譲マンションの一室で間取りがワンルームといった投資対象ともなれば、初期費用も安く抑えられるため、ついつい手軽に手を出してしまいがちですが、皆さんもこうした失敗がないように是非注意いただきたいものです。

では、これにて「分譲マンション投資について解説いたします!」の知恵袋を閉じさせていただきたいと思います。