不動産相続の注意点

 

これまでも本ブログの記事では相続と税金の基礎知識や、相続税対策などに関するお話をしてまりました。

そして読者の皆様も「相続に対する関心」は非常に高いご様子で、多くの反響を頂きましたこと、心より御礼申し上げます。

しかしながら、頂いた反響の中には「とても込み入った家庭事情を抱えており、これまでの記事で書かれた基礎的な相続の説明だけでは対応しきれない!」といったご意見や

「非常に変わった相続の仕方をしてしまい、現在大変に苦労している」といったものもあり、管理人といたしましては『更に詳しい内容の記事を書かねばならない』との想いを抱いておりました。

そこで本日は、より複雑になった現代の家族事情にも対応できる「込み入った家族形態での相続」や「これだけは避けるべきだ!」というトラブルの原因となる危険な相続の方法などについて解説してみたいと思います。

では、不動産相続の注意点を解説する知恵袋を開いてみましょう。

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多様化する家族形態での相続

現在の日本における離婚率は既に30%を超えているとのデータもあり、4組の家族があれば「その内1家族は離婚を経験する」という、非常に厳しい状況となっています。

もちろん、より自分たちが幸せになるために離婚という道を選ぶことは、決して間違った選択であるとは思いませんが、離婚には処理すべき多くの問題が生じてしまうのも事実でしょう。

そして、それらの問題の中でも特に大きなウェイトを占めるのが、今後発生するであろう「相続」に係る事柄となるはずです。

 

そこでまず気になるのが、「離婚した元夫や元妻に自分の財産が相続される可能性があるか?」という点になるかと思います。

なお、こちらはご存じの方も多いと思いますが、その答えは「NO」ということになります。

 

では、「別れた夫婦の間に子供がおり、その子供の相続権はどうなるのか?」ということなりますが、これは親同士が離婚したとはいえ、子供との親子関係に変わりはありませんので、「子供には離婚成立後も相続権がある」というのが答えとなるでしょう。

 

では、子供を引き取った親が再婚し、子供を新しい相手の「養子」とした場合の相続権はどうなるのでしょうか。

少々意見が分かれそうな気もしますが、正解は「元の親」「新しい親」の両方からの相続権を得ることになります。

但し、養子を迎えた親は、子供の合意さえあれば何時でも養子を解消する「離縁」の手続きを行うことができるというルールになっていますから、「離縁」が成立すれば「義理の親」への相続権は失われることになるのです。

 

なお、これまで解説してきた内容は「普通養子縁組」と言われる制度でのお話となり、これとは別に「特別養子縁組」と呼ばれる制度もあります。

これは普通養子縁組以上に強い親子関係を与える制度となっており、この制度を利用した場合には「元親」との親子関係は完全に消去(相続権も含む)され、新しい親と離縁することも基本的には不可となるのです。

ただ、これだけ強い力を持つ養子関係だけに、当事者同士の判断では特別養子縁組を行うことができず、「家庭裁判所の審判が必要」となる上、迎えられる子供も「6歳未満」でなければならない等、様々な条件が付加されることになります。

 

さて続いては、「子供を連れた親が再婚した後のこと」について考えてみましょう。

もちろん子供にとっては、新しく義理の父や母となった者たちと末永く幸せに暮らせれば全く問題はないのですが、ここで自分を連れ子としてきた「実の親が亡くなってしまった」としましょう。

当然再婚とは言え、残された義理の親は「亡くなった方の配偶者」ですから、実の親の財産の1/2を相続することになります。

 

しかし、ここで更に義理の親が亡くなってしまった場合、実の親が亡くなった際に配偶者が相続した「1/2の財産」は誰のものとなるのでしょうか。

当然『残された子供の財産になる・・・』と思いたいところですが、義理の親と子供が養子縁組をしていない限りは、義理の親の親族にのみに相続権が発生することとなり、残された子供は「元々自分の実の親のものであった財産」を相続することができないのが現実なのです。

このようなご説明をすると、「何やら納得の行かないものがある」と思われるでしょうが、日本の現在の法律ではこれが実情となっています。

 

このように離婚・再婚などを繰り返していると、相続に関しては様々な問題が生じて来るものです。

よって、離婚などを決断する際には正しい知識を身に付けた上で、後に争いが生じないようにできる限りの防衛策を講じておきたいところでしょう。

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こんな相続は危ない!

さて、ここまで「家族の形が及ぼす複雑な相続の形態」を見てまいりましたが、家族構成以外にも相続トラブルを発生させる要素は数多くあります。

そしてその多くが、「無理のある相続の仕方を行ってしまったがため」に生じる問題なのです。

そこで本項では「揉める要素満点の危険な相続の方法」についてご説明してみたいと思います。

分割不能な不動産を持分で相続させる

自分の子供が二人いた場合などには「なるべく公平な相続をさせて上げたい」と考えるのが親心ですが、自宅など分割が不能な不動産を持分で相続させるのは非常に危険な行為です。

たとえ1/2ずつ所有権の持分を持ち合ったとしても、将来的に兄弟の仲が悪化した場合には、その家に住んでいる者は共有者に対して「賃料相当額の1/2を支払い続ける」こととなりますし、

共有物分割請求訴訟を起こされた場合には、最悪、家を売却してその利益を兄弟で折半することになってしまいます。

これでは財産を守るどころか、逆に「住む家を失わせてしまう」ことにもなりかねませんよね。

ビルなどを区分登記して相続させる

また、意外に多いのが「ビルなどを区分登記して相続させるパターン」です。

分譲マンションなどで行われている区分登記ですが、実は個人所有の建物でもこれを行うことが可能であり、実際にこの方法で相続財産の分割を行っているケースも珍しくありません。

しかしながら、将来的に相続人の一人が財産を処分したくなった時には、区分登記の物件は非常に厄介な事態になってしまいます。

もちろん、絶対に売ることができないということはないのですが、管理規約も整っておらず、修繕計画も不透明、他の部屋を所有しているのは全て親族なんて物件を購入する者はまず居ないはずです。

また売却ができないからといって、賃貸物件として入居者を募集しても、他の親族が物件に住み続けていれば「音の問題」などで揉め事に発展する可能性は十分にありますし、

奇跡的に現れた購入希望者が悪徳不動産業者や怖い組織に属する方だったりすれば、状況は最悪なものとなるでしょうから、区分登記を用いた相続は避けるのが得策でしょう。

家と土地をバラバラに相続

こちらも非常にマズイ相続の方法です。

家と土地が別の所有者となれば、そこには借地権が発生してしまいますから、土地を相続した者は僅かな地代で半永久的に、建物を相続した者に土地を占有されてしまうことになります。

もちろん仲の良い兄弟や姉妹であれば、それでも問題は無いかもしれませんが、代替わりが発生し、その子供たちや孫たちの世となれば、様々なトラブルが発生してくるのは不可避です。

更には建物を相続した者が破産し、物件が競売にでも掛けられれば、土地を相続した者は「競落人を新たな借地権者として受け入れざるを得なくなります」から、これもなかなかに困った事態となるでしょう。

このように、土地と建物の分割相続は『思った以上に危険な状況を招く可能性がある』のです。

なお、借地権について詳しくお知りになりたい方は、過去記事「借地権とは?わかりやすくご説明いたします!」をご参照ください。

土地を分筆して相続

もちろん充分な接道幅(土地が道路に接する幅)が確保され、それぞれの土地が個別に利用可能な面積となっているのならば、この方法でも問題はありません。

しかし、15坪(50㎡)などの小さい土地を細切れにして相続させると、結局は「一切使い道のない物件を誕生させる」こととなってしまいますので、将来の土地利用の可能性を充分に考慮した上で土地の分割を行いましょう。

また広い土地であっても、「分割の仕方」や「分割後の土地の向き」によっても、『土地の価値に大きな違い』が生じてしまうこともありますから、分割はじっくり検討してから実行に移すのがお勧めです。

ちなみに土地形状や面積の問題に関しては、過去記事「土地形状は整形地・不整形地どちらがお得?」及び「不動産の土地面積のお話!」にて詳細な解説を行っております。

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特殊相続と注意すべき相続形態まとめ

このように相続には「様々な形態」「相続の仕方」が存在しています。

そして、その方法を一歩間違えれば、子孫たちにとんでもない遺恨を残すことにもなりますから、専門家の意見を仰ぎながら万全の体制を整えたいものです。

また、家庭事情が複雑なお宅の相続と言えば、「誰々には財産を上げたくない!」なんてお話もよく耳にいたします。

もちろん、遺言書を作成することである程度は相続割合をコントロールすることも可能ですが、法定相続人には遺留分を請求する権利がありますから、特定の相続人に全く財産が渡らないようにするのは困難と言えるでしょう。

但し、財産を渡したくない相続人から暴力を振るわれたり、侮辱を受けた場合については、家庭裁判所に「予定相続人の廃除請求」という訴えを起こすことで、相続人からの排除が認められることもありますから、ご興味がお有の方は是非とも憶えておいてください。

更には、「幼い孫に財産を上げたいけど、その親に財産管理をされるのは気に入らない」という方については、遺言にその意思を書き示すことで、親の財産管理権を排除することも可能になりますので、こちらも知っておくと便利かもしれません。

ではこれにて、不動産相続の注意点を解説の知恵袋を閉じさせていただきたいと思います!