管理人が「不動産屋さん」としてデビューを飾ってから、早やくも20年以上の時が経過しようとしています。

現在では、建売用地の仕入れや現場管理、そして時折、売買仲介などをこなすのが主な仕事となっていますが、当初は賃貸の営業マンからのスタートでした。

ちなみに今の会社に入る以前は住宅設備関連の会社で仕事をしており、「不動産屋さんに転職するならば多少は前職の経験が活かせるのでは・・・」と思っていたのですが、これは大きな勘違いでした。(前職での経験は全く活かせなかった)

そして、業界入りの直後はとにかく右も左も判らない状態で、ひたすらに右往左住するばかりの毎日を過ごしていたのを憶えています。

そこで本日は、そんな新人時代に経験した初めての賃貸客付けの体験記をお届けしてみようかと思います。

これから不動産会社に就職をお考えの方には、業界の雰囲気を味わっていただけることと思いますし、既に業界にお勤めの方に笑い話程度にお楽しみいただければ幸いです。

では、さっそく私の賃貸客付け体験記を始めましょう。

賃貸客付け

 

初めての不動産業界

学校を卒業した後、大した将来への展望もないまま建築設備関係の会社に営業マンとして就職を果たした管理人。

当時はまだまだ世間を舐めており、入社2年目を過ぎたあたりから「このまま一生をこの会社で過すのは嫌だ・・・」などという考えが頭をもたげ始めます。

そして、「地方の営業所への配属」を命じられたのを機に辞表を書き、次の職も見つからないまま無職の身となってしまいました。

なお、貯金もそれ程の残高がありませんでしたので、何処か良い勤め先はないものかと情報を漁る中、パッと目に付いたのが現在勤める会社の「営業マン募集」の広告でした。

『とりあずは再就職先の候補のひとつに・・・』といった感覚で問い合わせをしてみたところ、翌日には「履歴書を持って来るように」との指示を受けます。

そこで慌てて文房具屋で履歴書を購入して面接に向かったのですが、非常に簡素な面接の後「いつから来られる?」とのお言葉を頂きました。

『こんなに簡単に次の仕事決めていいのか?』とかなり悩みましたが、面接を担当してくれた社長の圧力にすっかり負け、ズルズルと業界に引き込まれて行ったのです。

こうして迎えた勤務初日、他の社員の方々に挨拶を済ませた後、教育係として先輩営業マンが仕事の手順を教えてくれましたが、その説明は業界用語が満載であり話の半分も理解できない状態でした。

『やばい、全く要領が掴めない・・・』と冷や汗を流す私でしたが、教育係の先輩は「まぁ、とりあえずやってみな」との言葉を残し、自分の仕事に戻っていくのでした。

『マジかぁ・・・説明それだけか・・・』と途方に暮れながら、とりあえずはレインズやアットホームの物件情報を見て、賃貸の相場を頭に叩き込むことになります。

初日はこのようなな感じで仕事を終えましたが、帰り際に先輩より「明日から接客してもらうから!」という言葉を頂き、その日は眠れぬ一夜を過ごしました。

そして翌日は『お客来るな!お客来るな!』と強く念じながらアットホーム図面の整理をしていましたが、「来るなと思うと来てしまう」のが世の常です。

遂に私の「初めてのお客様」となる方がご来店されるのでした。

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初めての客付け業務

前職も営業職であったため「人と話すこと自体」にはある程度慣れていましたので、とりあえずは勇気を振り絞って接客カウンターに向かいます。

ちなみにご来店されたお客様は、既に就職先も決まって卒業を待つばかりの女子大生であり、「就職を機に学生時代から住んでいたいたアパートを引き払って、新しい住処を探したい」とのことでした。

そこで、これまで見て来た先輩方の接客を手本にお部屋探しのご希望条件を詳しくを聞き出して行きます。

なお、その条件をまとめてみると

  • 駅徒歩10分以内
  • マンションタイプ希望で1階は不可
  • オートロック付の築浅
  • バス・トイレ別で、コンロはガス
  • 床はフローリング
  • 賃料は8万円以下

というものになります。

ちなみに今考えてみれば「かなり上質なお客様」なのですが、当時はそのようなことを考える余裕は全く無く、大汗をかきながら物件を探していました。

そして、いくつかの物件を見繕ってお客様に図面をお渡ししますが、「これ一階ですよ」「これは床がフローリングじゃないみたい」など、逆にお客様からツッコミを受けてしまう有り様です。

結局、かなりの時間を費やして物件情報を漁ったのですが、この日はご案内には至らず、「見つかり次第ご紹介する」というパターンになってしまいます。

それ以来、朝一番でレインズなどの新着情報をチェックし、条件に合いそうなものがあれば、すかさずメールなどでお客様へのご紹介を続けて行きました。

またその間も、我が社の店舗には「部屋を探す方々」が次々と来店しておりましたので、接客にも徐々に慣れ、ご案内の手順も何となく身に付いて行きます。

こうした生活が1週間程続いたある日、遂に先日のお客様にぴったりの物件を情報サイトにて発見することができました。

そこで慌ててお客様にメールで情報を送ってみると、「今夜にでも見たい」とのお返事を頂きました。

「これはもしかして、初めての契約になるのでは・・・」、そんな期待に胸を膨らませながらお客様を物件に案内します。

真剣な表情で物件の内部を確認するお客様に、「ここは駅まで近いですよ!」「日当たりも良いですし!」など必死でセールストークを展開しますが、あまり耳には入っていないご様子です。

ならば『ここは何か殺し文句を・・・』と頭を悩ませていると、お客様から「ここに決めます!」とのお言葉を頂きます。

『オレ、何もセールスしてないのに・・・』と少々落ち込みながらも、お客様を事務所にお連れして「申込みの手続き」を進めることにしました。

まずは管理会社に連絡して申込書を送ってもらうことにしますが、私の前にも案内に入った客付け業者さんがおり、そちらにも申込書のひな形を送付済みであるとのことです。

そして賃貸のお申込みは原則として先着順になるため、急いで送り返すよう指示されます。

なかなか届かない管理会社からのFAXをイライラしながら持ち、ゆっくり丁寧な文字で申込書に記入していくお客様の姿に焦りながらも、何とか一番手での申込みをGETすることができました。

この時の経験から、その後はご案内中にお客様が申込みの意思を固めた際には出先から管理会社に連絡を入れて、事前に申込書を送ってもらうように手配することにしています。

さて、こうして申し込みを終えたお客様でしたが、翌日には無事に審査をクリアーすることができました。

その後は管理会社から送られて来た精算書をお渡しした上、契約日時の打ち合わせを完了し、私の初めての客付け業務は成功を収めることができました。

なお、この契約で受け取った仲介手数料の金額は「7万円」となります。

もちろんこの売り上げがまるまる私の給料になる訳ではありませんが、7万という大金を1週間という短期間で、それも自分の力で稼いだ達成感はこれまでに味わったことのないものでした。

以来、様々な取引を重ねてまいりましたが、「初めての成約の喜び」は今でも鮮やかに管理人の心の中で輝いていたりするのです。

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客付けまとめ

さて、ここまでが私の初めて経験した「賃貸の客付け業務」の顛末となります。

まとめて流れを記すると、非常にスムーズに事が運んだようにも見えますが、成約に至るまでには細かなトラブルを数多く経験していました。(本当に些細なことなので本文では触れませんでしたが)

その一例を紹介すれば、

  • 案内しようとすると物件の鍵が「現地対応」しておらず、隣町の管理会社まで鍵を取りに行く
  • 鍵は現地対応だが、キーボックス(鍵の保管器具)の開け方が判らない
  • お客様を車で案内したが、物件が見付からずに迷子になる
  • 案内した物件の窓を開けっ放しで帰り、夜中に閉めに行く
  • 電気が点かないと思いっていたら、ブレーカーが上がっていないだけだった
  • 業界用語がさっぱり判らない(例/賃発【チンパツ】=賃料発生日など)

などなど、業界経験がない者には思いもよらないことも数多く、かなり当惑させられたのを憶えています。

また会社の先輩方についても、皆さん自分の売り上げを確保するのに手一杯であり、新人を教育している時間などあるはずも無く、「習うより慣れろ」な業界の体質も身をもって知ることができました。

本ブログを始める切っ掛けとなったのも、こうした新人時代の経験から「これから業界に入る方に少しでも参考になれば」などという想いもあったりする訳です。

ちなみに、この成約後はかなりの期間成績を上げることができず、一時期は「自分はこの業界には不向きなのでは・・・」と本格的に悩んだ時期がありました。

こうした低迷期から脱出するべく、編み出した成績向上法をまとめたのが管理人がアマゾン・Kindleにて出版している下記の電子書籍となりますので、賃貸の客付けでお悩みの方は是非お手に取っていただければ幸いです。

不動産賃貸客付け営業マニュアル: 営業成績を向上させる15の仕事術 Kindle版

ではこれにて、賃貸客付けの体験記を締め括らせていただきたいと思います。