マイホームの購入に際して「戸建てを選択された方」が、その次に直面するのが『二階建てと三階建てのどちらの住宅を選ぶべきか?』という問題なのではないでしょうか。

パッと見た目、それ程違いが無いように思えるこの二つのタイプの住宅ですが、じっくり考えてみるとそれぞれに利点や問題点が存在するものです。

そこで本日は「二階建てと三階建ての住宅!そのメリット・デメリットを解説します!」と銘打って、この二つの住宅を徹底的に比較してみたいと思います。

二階建てと三階建ての

 

二階建て住宅のメリット

古き良き時代には、平屋の戸建てに住む方も少なくありませんでしたが、住宅事情の厳しくなった現代ではもはや平屋は贅沢の極みとも言える存在となっています。(土地が広くなければ実現できないため)

よって、今戸建てに住むとなれば二階建てか三階建てのどちらかを選択することになる訳ですが、前項でもお話ししたとおり土地の面積がより多く必要となる二階建ての方が「贅沢なもの」となっているのが実情です。

では早速、こうした二階建て住宅のメリットを見てきましょう。

住環境の良好さと日照の問題

まず二階建て住宅のメリットとして挙げられるのが、「住環境と日当たりの良好さ」という点になるでしょう。

二階建ての建売住宅が分譲される地域の多くは、都市計画法上の用途地域が「第一種低層住居専用地域」となっているなど三階建て以上の建物が建築し辛いエリアであることが殆どとなります。

よって、近隣に高いビルが建って日照が阻害される可能性も低くなりますし、地域によっては最低敷地面積の制限や、お隣の建物との間隔を確保するための外壁後退などが定められていることも多いはずです。

また二階建ての場合、同じ間取りを作るにも大きな土地が必要なことから「販売価格が割高」となる傾向にあるため、周囲にそれなりの収入を得ている方々が自然と集まって来る傾向にありますので「治安」といった面でも安心感が得られるでしょう。

建築コストが低額

前項の解説をお読みになると、物件は高いのに「建築費が安い」というのは矛盾しているように感じるかもしれませんが、これもまた事実です。

ハウスメーカーなどが公開している建築単価を比較しても、二階建ての方が割安なのは自明の理ですし、三階建てに比べて建物の重さも軽くなるため地盤改良などに関してもより軽微な工事で済んでしまいます。

更には、三階建てでは建築確認取得時に構造計算と呼ばれる特殊な作業が必要となりますが、二階建てならこれも不要なので設計費も節減できるという訳です。

つまり二階建ての建売物件の分譲価格が高いのは、土地の大きさに影響を受けているだけのこととなりますから、建替えとなれば三階建てよりもリーズナブルに建物を建てることが可能となります。

※但し、2階建てが多い地域はアップダウンのある地形であることが多いため、建替えに際して擁壁工事を伴う場合は工事費用が高額となる可能性があります。

※擁壁工事についての詳細は別記事「宅地造成と擁壁について解説致します!」をご参照ください。

高齢者や障害者のご家族をお持ちの方に適している

当然のことながら、二階建て住宅はその住空間を一階と二階で完結している建物となります。

このようなお話をすると「何を当たり前のことを」と言われてしまいそうですが、ご高齢者や障害をお持ちの家族をお持ちの方にとって、これは非常に重要な問題となるでしょう。

また、平均的な二階建て住宅の間取りでは一階部分にリビングと居室が一つ、そしてトイレ・お風呂等の水回りが配置されているケースが多いのですが、こうした生活に必要不可欠な設備を階段の上り下り無しに利用できることはとても有り難いはずです。

これに対して三階建てでは「リビングが2階、お風呂は1階」というケースも少なくありませんから、お身体が不自由な方々にとっては何かと不便を感じることでしょう。

なお、今現在こうした事情を持つご家族がおられなくとも、20年、30年後の「自分が年齢を重ねた時のこと」もしっかり考えておく必要があります。

災害に強い

二階建て住宅のもう一つのメリットが「災害に対する強さ」となります。

これは二階建て住宅が構造的に優れているということではなく、隣地との距離が離れているため、火災による延焼の被害を受ける確率が低く、地震に関しても倒れた来た隣家に押し潰され辛いという意味です。

お隣の建物との間隔が狭い三階建て住宅では、こうは行きませんよね。

 

二階建て住宅のデメリット

さて、ここまで二階建て住宅の利点をご紹介して来ましたが、ここからは問題点にもスポットを当ててみましょう。

購入価格が高額

メリットの部分でもお話ししましたが、二階建て住宅では「より広い土地が必要となる」ため、購入価格が高額になるという特徴を持っています。

こうした事情から、「買いたい気持ちはやまやまだが、二階建て住宅の購入が叶わない」という方も多いはずです。

近隣の生活施設に難がある

二階建て住宅が建てられる地域には「閑静な住宅街が多い」ことはお話ししましたが、これを裏返せばコンビニや商店などが少ない地域であるということになります。

また、こうした地域は駅からの距離が離れていることも珍しくありませんから、通勤や通学に苦労するというケースも多いでしょう。

地形の問題

そして住環境の問題に続いて浮上して来るのが、地形に関する問題となります。

「山の手」という言葉がある通り、二階建てが当たり前の高級住宅街は山や丘の上、またはその中腹であることも珍しくありません。

もちろん若い内はアップダウンのある地形もそれ程問題はないかもしれませんが、「上り坂・下り坂が将来的に不安」という方もおられるでしょう。

スポンサーリンク

三階建てのメリット

二階建ての利点・問題点をご理解いただけたところで、ここからは三階建て物件について解説して行きましょう。

ではまず、そのメリットからご紹介してまいります。

物件購入価格が割安

三階建て物件の最大のメリットは「建築に際して必要とする土地が狭くて済む」ために、物件購入価格を安く抑えられるという点です。

現在、住宅ローンの金利は低い水準にありますが、将来のことは判りませんので「少しでも楽な返済計画を立てよう」とすれば三階建て物件は非常に魅力的でしょう。

とにかく便利

三階建ての建売が販売されているエリアは駅までの距離が近く、平坦な場所であることが多いはずです。

よって、途中に山坂がある地域に比べて通勤や通学が非常に楽なケースが多いでしょう。

また、こうした地域には商店街なども形成されるはずですから、コンビニやスーパーまで徒歩で僅か数分という物件も多いはずです。

 

三階建てのデメリット

では続いては、三階建ての問題点について考えてみることにしましょう。

住環境の問題

メリットの部分でもお話ししたが、三階建て物件の魅力である「価格の安さ」は周辺に低所得者層を集めることにもなります。

またコンビニや商店、飲食店が近ければ柄の悪い若者も集まり易いですし、キャバクラやパチンコ店等、お子様の教育上あまり感心できない施設が近隣にあるケースも多いでしょう。

更には、こうしたエリアであれば反社会的な組織の事務所などが存在する可能性も高まるはずです。

日照の問題と災害に対する脆弱さ

三階建ての物件が建築される地域は、建物同士の距離が狭いことが多いため一、二階については殆ど日の光が入らないという分譲地も珍しくありません。

また、都市計画において高い容積率が設定されているエリアでは将来的に大きなビルが建って日照が阻害される可能性が高いため、日当たりを重視する方にはおすすめできないのが現実です。

その上、建物が密集しているが故に地震による隣家の倒壊や延焼に自宅が巻き込まれることも有り得ますし、河川や海が近い場所なら津波や液状化現象による被害を受ける可能性も高いでしょう。

資産価値の問題

駅などにも近く、何かと便利な立地となる三階建てが建つエリアは、本来地価が高いのが通常です。

そして、こうした地域の物件を何故安く購入することができるかと言えば、「狭い土地であっても高い建物が建てられるから」という理由に他なりません。

よって三階建て物件の中には、土地の面積が15坪(50㎡)程度のものも少なくありませんし、中にはこれを下回るケースもあります。

こうした土地では、建て替えの際にもこれまでと同じような間取りの建物しか建築することができず、有効な土地活用も行えないため、資産価値という意味では不利に働くことが少なくありません。

子供達に資産を残すことや、売却時にそれなりの収益を望むのであれば、あまりに小さな土地の三階建ては避けるべきでしょう。

スポンサーリンク

二階・三階建ての比較まとめ

さてここまで、二階建て・三階建てそれぞれのメリット・デメリットを解説してまいりました。

それぞれに利点・問題点は存在するものの、やはり「値が張る」だけのことはあり、二階建て物件の方が有利な印象を受けるはずです。

なお近年では、基本的に三階建て向きのエリアであるにも係らず、土地分割上の問題やお客様のニーズに応えて「二階建ての建売が企画されるケース」も増えておりますから、私個人としてはこちらもおすすめなのではないかと思います。

こうした物件であれば「それなりに隣地との距離も確保されています」から、周辺に大型マンションやビルが建ちそうな用地がなければ日照や災害時の問題もクリアーできますし、

土地面積が30坪(100㎡)程度あれば将来的に賃貸マンションやアパートとしての土地活用も可能となりますから、資産価値としても非常に魅力のある物件となるでしょう。

二階建て、三階建て物件のそれぞれの特徴をしっかりと理解して、後悔のないマイホーム購入を行いたいものですよね。

ではこれにて、「二階建てと三階建ての住宅!そのメリット・デメリットを解説します!」の知恵袋を閉じさせていただきたいと思います。