今や多くの方々が参入している不動産投資市場においては、投資対象となる物件が不足した状態が続いており、『購入意欲はあるのに物件がない!』という投資家様も少なくありません。
なお、こうした状況を打破するべく投資家たちは「様々な新しい投資手法」を実践し始めていますが、その中でもまだまだ「金脈」が残されていると言われるのが「シェアハウス」と呼ばれる物件形態です。
そこで本日は「シェアハウスで不動産投資を行おう!」と題して、シェアハウス運営のノウハウや投資成功の秘訣についてお話しして行きたいと思います。
シェアハウスとは
ではまず最初に「そもそもシェアハウスとは如何なるものであるか」という点からご説明してまいりましょう。
シェアハウスとは「賃貸物件の形態の一つ」を指す言葉であり、その特徴は
建物内に複数の個室が用意されているものの、リビングやキッチン、風呂場などは共用部分に設置されており、『他の入居者と共同生活を楽しむ』というコンセプトの基に運営される物件
ということになるでしょう。
なお、似たような言葉で「ゲストハウス」というものがありますが、厳密には少々意味は異なっているものの、今の日本ではほぼ同じ意味で使われている言葉となっています。
シェアハウスの経営システム
では、実際のシェアハウスの運営はどのように行われているのでしょうか。
シェアハウスの賃料設定等
さて、シェアハウスの運営に際して、まず気になるのが賃料の設定等となりますが、
- 通常のワンルームの半額程度の賃料設定
- 敷金・礼金なし
- 敷金の代わりとなるデポジット(預り金)の徴収
- 水道・光熱費は毎月定額徴収
というのが一般的なスタイルとなります。
賃料については通常の賃貸の物件よりかなり安めの設定(お部屋も狭いですが、通常のワンルームの半額程度が相場)がされているのが通常です。
またシェアハウスでは敷金や礼金などは設定せず、初期費用が抑えられる料金体系になっています。
但し、「全く担保無し」で住まわせる訳にも行きませんので、預り金的な意味合いを持つ『デポジット』が徴収され、建物に損害を与えた場合などにはここから補填されることになります。(金額としては賃料の半額程度が相場)
※デポジットは「返還なし」「一部償却」というプランのシェアハウスも少なくありません。
なお、水道・高熱費等については毎月定額で支払う方式の物件が多く、これらの相場は1万円程度となるでしょう。
よって、ワンルームが月額8万円程で借りられる地域であるなら、
- 賃料 月額4万円
- 水道・高熱費 月額1万円
- デポジット 契約時2万円
上記の合計8万円が初期費用となり、その後は毎月5万円で入居が続けられることになります。
※別途、契約手数料が必要がケースもあります。
ちなみに、入居中の事故や賃料滞納などに備えて「借家人賠償保険への加入」や「賃貸保証会社との保証契約締結」が義務付けられている物件も多いですが、費用についてはデポジットから支払われるケースが殆どです。
お部屋
一口にシェアハウスといっても、建物のタイプには様々なものがあり、通常の一戸建てを改築して利用している物件から、各個室が高い独立性を持ったマンションタイプまで存在しています。
またお部屋に関しても、一人一人に個室が割り当てられる物件から、相部屋(ドミトリータイプ)のものまで様々です。
但し、相部屋は同居人間でのトラブルが発生することも多いため、近年では減少傾向にあるといいます。
なお、個室タイプでの部屋は4.5畳~3畳くらいが平均的な大きさとなり、お部屋にはベッドや収納、テレビなど生活に必要な最低限の設備が一式揃えられているのが通常です。
契約形態
契約形態としては、ウィークリーマンションなどで用いられている定期建物賃貸借契約にて行われるのが一般的な形態となります。
よってシェアハウスの運営は「不動産賃貸業の範疇」となりますので、旅館業の免許が必要になるケースは殆どありません。
なお、入居者は生活の時間の多くを共用部分で費やすこととなりますから、キッチンやトイレ、バスルームなどの使用に関する決め事を「共用部分の利用規約」として、細かく取り決める必要があります。
設 備
シェアハウスのセールスポイントは「他の入居者とのコミュニケーションが活発に行える」という点になりますから、リビングや集会場などのスペースには「一定の広さ」と「充実した設備」が必要となるでしょう。
また、自炊をしたり、入居者同士のパーティーなどを行う場合も多いので、キッチンには複数のガス台と洗い場が必要な上、トイレやお風呂も混雑が発生しないように、入居者の人数に合わせた充分な数を用意しなければなりません。
管 理
このように多くの人間が接触し合いながら暮らすシェアハウスですから、「様々な問題が生じるのは不可避」となります。
そして、こうした問題に対処するのが経営陣が用意する管理人です。
なお、管理人の業務は「入居者同士の揉め事の仲裁」から「設備トラブルの対処」まで様々なものとなりますから、それなりのスキルを持った人材を充てるべきでしょう。
但し、住み込みの管理人を雇うには経費が掛かり過ぎるため、通いの管理人を置く物件の方が多いようです。
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投資としての魅力
ここまでシェアハウスのシステムなどについてお話ししてまいりましたが、『果たして投資として魅力があるのか?』との疑問をお持ちの方もおられるはずです。
そこで本項では、投資物件としてのシェアハウスの魅力について解説してみたいと思います。
まず言えることは、
最も使い道に困る「一戸建ての豪邸物件」が有効に活用できる
という点は大きなメリットとなるでしょう。
レインズなどを見ていると、時折、贅の限りを尽くした豪邸物件が売りに出されていますが、実はなかなか買い手が付かないのが実情です。
豪邸であれば土地の大きさもそれなりとなりますから、新築戸建てなどよりはかなり高額な価格設定となるものの、買える人間は限られてしまいますし、建売用地としても計算が合わないことが多いのがその理由となります。
なお、こうしたニーズの低さによって豪邸物件の価格は下がって行くものですから、
多くの投資家が探し求めるアパート等の収益物件を購入するよりも、豪邸物件を改築してのシェアハウス経営の方が『投資として遥かに魅力的なものとなる』
という訳なのです。
また、官庁・行政機関などが行う公売や、企業の払い下げ物件でありがちな、
「独身寮」についてもシェアハウスは有効な物件活用法
となります。
これらの物件はお部屋にトイレや風呂がない場合も多く、一般的な賃貸物件への転用が難しいため、安価に購入できるケースが少なくありませんので、豪邸と同じく絶好のシェアハウス向け物件となるのです。
更にシェアハウスには
- 部屋を細かく仕切るため、通常の物件よりも収益性が高い
- 管理に手間は掛かるが、短期入居者が多いため住人らのクレームは少ない
といったメリットもありますので、「投資物件としての魅力を決して低くない」と言えるでしょう。
勝ち残るにはコンセプト化が鍵
さて、ここまでシェアハウスの経営についてお話ししてまいりましたが、現在ではこのタイプの物件も増え始め、今後淘汰の時代がやって来るのは確実でしょう。
また、過去記事「コンセプト賃貸マンションで、高い収益性を確保しよう!」でもお話しした通り、現在の賃貸市場は物件の供給過多が原因で「お部屋が余った状態」となっているのが実情です。
こうした状況下においては、物件の空室率を低下させるために物件自体に「高い付加価値」を持たせることが重要となりますが、ここで注目したいのが『コンセプト化』というテクニックとなります。
コンセプト化とは、お部屋の中を他の物件では類を見ない「和モダン」の内装としてみたり、建物全体を防音構造とした「楽器演奏推奨物件」とするなど、『一定のジャンルに特化させた物件』とすることで付加価値を向上させる手法となりますが、シェアハウス経営においてもこの方法は非常に高い効果が期待できるでしょう。
そこでここからは、シェアハウスのコンセプト化の事例を見ていきたいと思います。
婚活型シェアハウス
真剣に結婚相手を探している男女に入居者を限定したシェアハウスの形態となります。
近年の「婚活ブーム」を追い風にして、今非常に人気のあるタイプのコンセプトシェアハウスであり、『日々の生活そのものをお見合いの場にしてしまう』という斬新な発想が好評を博しているようです。
賃料については男性客をやや高め、女性客には格安な設定を行うことが成功の秘訣となるでしょう。
また、冷やかしのお客様を防ぐため、独身証明書の提出を義務付けるなどの工夫を行っている物件もあるようです。
学生寮型シェアハウス
ひと昔前までは、大学に近接する賃貸物件は「学生の入居者で常に満室」という状態が当たり前でしたが、近年では「大学が格安の学生寮をオープンした」などの理由で大変な苦戦を強いられているケースも多いようです。
そして、こうした「学校周辺物件の入居率低下」という憂き目から考え出されたのが、学生寮型のシェアハウスとなります。
このタイプのシェアハウスでは同じ大学に通う学生のみに住人を限定することで、「シェアハウスの入居に対して抵抗がある」という方の不安を軽減すると同時に、「同じ大学の仲間」ということで入居者間のトラブルも減少させられるでしょうから、運営する側にとっては非常にありがたいコンセプト化の形態となるはずです。
また、シェアハウスならではの安価な賃料設定は『大学が用意する学生寮と比べても充分な競争力があります』から、非常に安定した物件運用が可能となるでしょう。
趣味型シェアハウス
「音楽好き」や「ペット好き」など、趣味による縛りを加えたシェアハウスとなります。
なお通常の賃貸物件においては、「楽器演奏が趣味な方」や「ペット好きな人」は敬遠されがちなものですが、逆転の発想で『同じ趣味を持つ者同士を集めてしまう』ことにより肩身の狭い思いをすることなく気楽な生活が送れるという点は非常に大きなセールスポイントとなるでしょう。
また、シェアハウスという形態を取ることで同じ趣味を持つ者同士の情報交換や交流の場を提供することができますし、音楽系の物件であれば空いた時間に「住民同士がセッションを楽しむ」といった一種のサロン的な空間が構築されるケースもあるようです。
ちなみに、これまでご紹介したジャンル以外にもゴルフや野球、サッカーなどの「スポーツ系」に、アニメファンや同人作家などの「サブカルチャー系」、キャンプ好きやバーベキューマニアを集めた「アウトドア系」など、アイデア次第で様々なコンセプト化が行えることでしょう。
ビジネス系シェアハウス
シェアハウスというと「居住用物件」というイメージが強いかと思いますが、実はビジネス用の物件も人気を博しています。
例えば、SOHO(在宅ワーカー、フリーランス)の方に向けてインターネットはもちろん、共用部分に事務機器が一式揃ったシャアオフィスのような環境を提供することができれば、これは非常に魅力のある物件となるはずです。
また、同じく起業を目指す者同士が一つ屋根の下に暮らしていれば、情報交換はもちろん、将来に向けての人脈作りも同時に行うことができますから、住まう者にとっては大きなメリットとなるでしょう。
なお、ビジネス系でも目線を変えて、単身赴任者専用のシェアハウスをいうのも面白いかもしれません。
単身赴任での一人暮らしは寂しさがつのるものですから、同じ境遇の者が集まれば孤独から解放されるばかりか、赴任して来たばかりの慣れない場所での友人作りの場としても活用できますよね。
国際交流型シェアハウス
近年では、外国人もかなり賃貸物件を借りやすい状況となっておりますが、入居を断られるケースもまだまだ少なくありません。
そうした方々の受け皿としても国際交流型シェアハウスは人気が高いようですし、今後は「民泊」として利用する観光客からのニーズも高まって行くことでしょう。
但し、外国語が話せるスタッフの手配が必要となる上、生活習慣の違いによるトラブルなども予想されますから、運営に乗り出すには少々覚悟が必要かもしれません。
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シェアハウスまとめ
さてここまで不動産投資の対象としてのシェアハウスについて、お話をしてまいりました。
今回の記事をお読みくだされば一般のアパートやマンションなどとは少々異なる「シェアハウスの魅力」をご理解いただけたことと思います。
また、「儲かるのは判ったけど、管理に手間が掛かり過ぎる」という方には、シェアハウスの管理を請け負ってくれる業者がおすすめです。
賃料の10%程度で全ての管理を、20%なら賃料保証まで付けている会社もありますから、これは大いに活用したいところですよね。
不動産投資の新たなジャンルとして脚光を浴びるシェアハウス経営に、この機会にチャレンジされてみては如何でしょうか。
ではこれにて、「シェアハウスで不動産投資を行おう!」の知恵袋を閉じさせていただきたいと思います。