アパートや賃貸マンションの経営を行う上で、オーナー様の頭を常に悩ませるのが「空室率」の問題です。

購入したばかりの時は満室で運用できていたのに、時を経るごとに空き部屋が目立ち始め、想定していた収益が上げられないのは、投資家にとって大きなストレスとなるでしょう。

そこで本日は「ウィークリーマンションで不動産投資を行う方法を解説いたします!」と題して、収益物件の空室を利用したウィークリー、マンスリーマンションの運用方法についてお話ししてみたいと思います。

ウィークリーマンションで不動産投資

 

ウィークリーマンション投資の魅力

「ウィークリーマンションを自分で経営する」というお話を耳にして、『そんなの素人には無理なのでは?』と感じてしまう方も多いように思えますが、やり方さえ間違えなければ、これは決して不可能なことではありません。

また、『リスクも多いのでしょ?』というお声も聞えて来そうですが、ウィークリーマンション経営には危険性を埋めても余りあるメリットが存在しますから、一概に「通常の賃貸物件運用よりも危ういビジネス」と断じることもできないはずです。

そこでまずは、ウィークリーマンションのメリットについてのご説明から始めて行きましょう。

賃料を高額に設定できる

ウィークリーマンションのメリットを解説する上で、まず言えることは「通常の貸し方をするよりも、より高額な賃料設定が可能である」という点です。

ネットなどで「ウィークリーマンションの賃料相場」をご確認いただければ一目瞭然ですが、同等グレードの通常の賃貸物件と比較した場合、その賃料設定は1.5倍~2倍程に達することも珍しくありません。

意外に滞納等のリスクが少ない

一般的にウィークリーマンションの賃料は入居時に一括の支払いとなりますから、通常の賃貸運用に比べて賃料の滞納リスクが少ないのも特徴です。

また、敷金・礼金を頂かないことに不安を感じる方も多いとは思いますが、貸し出す期間が短けれ短い程にお部屋を汚されるリスクは低くなりますし、締結する契約の内容をしっかりと練り込んでおけば期間満了後に居座る入居者の強制退去も手軽に行えます。

なお前項でもお話しした通り、ウィークリーマンションは賃料自体が高額となりますから、その中に敷金・礼金を含んでいると考えれば、短期賃貸に対する恐怖心も薄れるのではないでしょうか。

入居者同士のトラブルが少ない

一般の賃貸物件の場合ですと、少なくとも数年はそこに住むことになりますから、入居者の住環境に対するこだわりも強くなるものですが、短期が前提のウィークリーマンションでは、入居者からのクレームも減少するのが道理です。

よって近隣住民とトラブルになるケースは稀ですし、困った入居者も一定期間を置けば退去してくれますので、オーナーとしては「非常に運営が楽になった」と感じることでしょう。

また、過去に自殺等の事件が発生した事故物件でも、民泊方式であれば問題なく貸出しができますから、数年ウィークリーマンションとして貸し出した上で、通常の運用方法に戻すという「物件洗浄」の手段としても有効です。

このようにウィークリーマンションには、一般の賃貸物件運用にはない、多くのメリットが存在しているのです。

空室をウィークリーマンションとして貸し出す方法

では、実際にウィークリーマンション経営を始めるには、どのような手順を踏めば良いのでしょうか。

実はウィークリーマンションの貸出しについては、大きく分けて

  • 旅館業として貸出し
  • 民泊としての貸出し
  • 定期建物賃貸借契約を利用して貸出し

という3つの形態が考えられますので、以下で詳細をご説明してまいりましょう。

旅館業として貸出し

ホテルや旅館などと同様に、旅館業法に則って貸し出しを行うという方法です。

実際に運営されているウィークリーマンションの中にも、このタイプの物件は数多く存在しており、メリットとしては契約手続きなどを簡略化できる点が上げられでしょう。

但し、この形態で貸し出しを行う場合は、行政に旅館業者として許可を得ることが必須となりますし、旅館業法により業務に多くの制約を受けることとなります。

よって、一般の方がウィークリーマンションの運用を開始する当たってはあまり合理的な形態とは言えませんし、後述する「民泊としてのウィークリーマンション運用」の方が利便性が高いと言えそうです。

定期建物賃貸借契約を利用して貸出し

こちらの契約形態も、多くのウィークリーマンション業者が利用している契約形態であり、過去記事「定期賃貸借契約とは?という疑問にお答えいたします!」にてご説明した、契約更新が無く、1年未満の契約期間も認められる賃貸借契約の形態を利用したものとなります。

なお、定期建物賃貸借契約を利用する場合には

旅館業法違反となるのを避けるべく、最短でも契約期間を1ヶ月以上に設定した「マンスリーマンション」とする

ことが重要です。

この方式の場合には、入居の度に定期建物賃貸借契約を締結しなければならないという手間が掛かる一方で、「行政からの許可」や「運営に関する制約」を受けることが殆どありませんので、一般の方がウィークリーマンションを始めるには最適な方法となるでしょう。

定期建物賃貸借契約での注意事項

既にご説明した通り、ウィークリー(マンスリー)マンションの経営を始めるのであれば定期建物賃貸借契約の利用がおすすめとなりますが、いくつか気を付けないければならない点もあります。

それは、たとえ定期建物賃貸借契約を締結していても運営の仕方次第では「旅館業の免許が必要!」と監督官庁から指摘や指導を受けてしまうケースがあるということです。

そこで以下では過去の判例などを参考に、行政からの指導を受けないためのポイントをまとめてみます。

  • 極力賃貸期間を1ヶ月以上に設定する
  • 寝具については、レンタル制として別途料金を取る
  • 住民票の移動が可能である旨を謳う
  • 電気・ガス・水道代を別途請求にする
  • お部屋の清掃サービスなどを行わない

以上の点を最低限守っていれば、万が一の時にも旅館業ではなく「賃貸借契約に基ずく貸出しである」との裁定が下る可能性が高いでしょう。

民泊としての貸出し

長期の利用者に対しては定期建物賃貸借契約に基づく貸し出しを行いつつ、短期の利用者についてはこの「民泊としての貸出し」が有利です。

我が国では2018年に民泊の規制緩和が行われ、一般の方にも一定のルールを守ることでアパートの空室などを民泊として貸し出すことが認められました。

なお、民泊の詳細については別記事「民泊とは?簡単にその法律や仕組みについて解説します!」をご参照いただければと思いますが、住宅宿泊事業法に基づいてウィークリーマンションを運用するには以下の点に注意が必要となるでしょう。

  • 営業期間は年間180日が限度
  • お部屋にキッチン、風呂(シャワールームでも可)、トイレ、洗面台が必要
  • 民泊標識の掲示、宿泊名簿の作成等が必要
  • 住宅宿泊管理業者の登録が必要

住宅宿泊事業法では民泊の営業期間を年間180日に制限しておりますので、この範囲を超えた場合にはマンスリーマンションとして定期建物賃貸借を用いた貸し出しに切替えましょう。

また、通常の投資物件なら問題はないと思いますが、キッチン・風呂・トイレなどの設備も必要となります。

一方、民泊標識や宿泊名簿の設置も忘れてはなりませんし、「宿泊者へ向けた安全上の説明」や「近隣からのクレームに対応できる体制の整備」も必須となるでしょう。

ちなみに、アパートの一室を貸し出す場合には「家主不在型民泊」となりますので、自治体への届出ではなく「住宅宿泊管理業者の資格取得」をしなければなりませんし、その後の「登録」、「登録の更新」も欠かすことはできません。

但し、こうした手続きが面倒な場合には外部業者へ「住宅宿泊管理業者の委託」を有料で行うこともできます。

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ウィークリーマンションの具体的な運用

ここまでの解説にてウィークリーマンションの運用形態についてはご理解いただけたことと思いますので、本項ではより具体的にウィークリーマンション経営ノウハウをご紹介してまいりましょう。

集 客

集客方法については、物件ごとにホームページを立ち上げたり、SNSにてユーザーを募集するのも良いでしょうし、他の収益物件の管理を依頼している不動産屋さんに協力をお願いするという手段も有効です。

一般の不動産屋さんでは、ウィークリーマンションの募集を行っていないところも多いようですが、それなりの費用を支払って「不動産会社のホームページなどに広告を貼らせてもらう」という手法であれば、協力を得られる確率は飛躍的に上がるでしょう。

なお、不動産会社によっては集客から客室の運営まで、全てを引き受けるサービス(もちろん有料)を行っているところもありますので、手間を掛けたくないという方にはこちらがおすすめかと思います。

一方、民泊として募集を掛ける場合には専用のポータルサイトなどを利用するのが有利ですが、不動産会社への募集依頼を同時に行うと「空室管理」で混乱が生じる可能性がありますので、管理会社と連携をとりながら掲載を行うようにするべきです。

料金設定・プラン

料金の設定については、既に運営されている近隣のウィークリーマンションの賃料相場を参考に値付けを行います。

なお、「お部屋のグレードによって賃料にはかなりの差が出る」ものですから、自分の物件の価値を冷静に見極め、くれぐれも賃料の値付けを誤らないように気を付けましょう。

定期建物賃貸借方式におけるポイント

定期建物賃貸借の内容や注意点については、本ブログの過去記事をご参照いただければ要点はご理解いただけるはずです。

なお、契約期間1年未満の場合には「解約予告の通知」は不要ですが、入居時に念のため予告を行っておくのがベターでしょう。

ちなみに、ウィークリーマンションにおいてお客様から敷金・礼金を頂くことは困難でしょうから、これらの費用は「賃料に込み」と考えるべきですが、入居審査や連帯保証人、借家人賠償保険については少々検討が必要になります。

ウィークリーマンションの中には、入居に審査制を導入しているところも少ないながら存在していますので、初めてチャレンジされる方には入居審査を導入するのがおすすめです。

なお、保証人についても「擁立させた方が運営サイドにとっては有利」なのは確かですが、集客力という意味ではやはり「要保証人」は厳しいと思いますので、『運営が軌道に乗るまでは保証人不要』とするのがベストでしょう。

また、「賃貸保証会社への加入を義務付ける」ことでこの問題をクリアーしている運営会社も多いですから、保証人不要が不安であるという方には賃貸保証会社を利用するというのも一つの方法かと思います。(保証料はそれなりの金額となりますから、利益は圧縮されてしまいますが)

一方、借家人賠償保険については、やはり加入させておくのが無難かと思います。

共済タイプですと短期でもそれなりの費用が掛かりますが、保険会社運営の商品なら解約時期に合わせて返金が受けられますので、お客様からは保険料を頂かず、オーナー負担で加入のみを義務付けるのが良いでしょう。

民泊方式におけるポイント

しっかりとした契約を締結する定期建物賃貸借方式に対して、民泊の場合は宿泊に関する契約書が存在しませんので、時にはお部屋の使用方法等を巡って宿泊者と紛争に発展する場合も考えられます。

そこで、こうした事態に備えるべく宿泊についてのルールを定めた「宿泊約款」の作成が重要となります。

宿泊約款を備えていれば、宿泊した段階でその定めを遵守する義務が生じますし、インターネットを検索すれば約款のひな型も容易に入手できますから、内容を充分に練り込んだ約款を作成するようにしましょう。

また、民泊として貸出しを行っていた際に発生した事故などについては、通常の火災保険では補償の対象とならないケースもあり得ます。

そこで必要になってくるのが「民泊として保険へ加入する」ことです。

一般の保険会社においては既に民泊用の保険商品を用意している企業も存在するようですし、日本民泊協会などの公的機関も保険商品を提供しています。

但し、定期建物賃貸借方式との併用を行う場合には借家人賠償保険や一般の火災保険などと加入時期が重なる可能性もありますので、「こうしたケースでの保険加入に問題かないか」を事前に充分確認しておきましょう。

室内の設備

基本的には家具など生活するのに必要なものを一式揃えた状態での貸出しが理想的です。(テレビ・エアコン・ベッド・洗濯機・ズボンプレッサー・ドライヤー等)

ただし定期建物賃貸借方式で注意すべきは、ベッドは用意しても布団を備え付けはいけないという点となります。

「定期建物賃貸借契約の場合での注意事項」でも申し上げましたが、布団があると旅館業の免許要件となりますので、布団は別途料金でのレンタル制にしましょう。

一方、民泊方式の場合は寝具が必須となりますし、宿泊者を呼び込むためには他の施設にはないアメニティーグッズを取り揃えることも重要です。

退去手続き

そして退去日を迎えたら、お部屋の立ち合いを行い、故意・過失による損害については原状回復費用を請求します。

なお、契約が満了しているにも係らず「お部屋の引渡しを行わないお客様」には、定期建物賃貸借契約、または宿泊約款に基づいた明け渡し手続きを進めて行くことになるでしょう。

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ウィークリーマンションまとめ

さて、ここまで素人が始めるウィークリーマンション経営のポイントについてご説明してまいりました。

記事の冒頭では「そんなの素人には無理なのでは?」と感じておられた方も、ここまでお読みいただければ「自分にもできるかも!」との想いが芽生え始めたのではないでしょうか。

実は私自身もウィークリーマンションの経営に挑戦した経験がありますが、初めは勇気がいるものの、やってみれば『通常の賃貸とあまり変わりがない』というのが率直な印象です。

「ウィークリーマンション」であろうが「通常の賃貸」であろうが、『揉める時には揉める』のですから、少しでも収益性が高い方を選択するのは一つの方法であるのではないかと思えます。

この記事が、皆様のウィークリーマンション経営の一助となれば望外の喜びです。

ではこれにて、「ウィークリーマンションで不動産投資を行う方法を解説いたします!」の知恵袋を閉じさせていただきたいと思います。