賃貸物件を管理会社へ任せている大家さんにとって、毎月支払う管理料は長期的に発生する経費です。
管理料が家賃収入の5%なら、年間で考えると決して小さな金額ではありません。
そこで、
- 管理料は値下げ交渉できるのか
- 5%を3%に下げてもらうことは可能なのか
- 何戸くらいあれば交渉しやすいのか
- 値下げをお願いすると管理の質が落ちないか
と考える大家さんもいらっしゃるでしょう。
結論からいえば、管理会社の管理料は交渉できる場合があります。
ただし、単純に「もっと安くしてほしい」と要求すればよいわけではありません。
管理戸数や物件の条件、管理会社にお願いする業務内容などによっては交渉の余地がありますが、管理料を下げた結果、これまで含まれていた業務が別料金になれば、実質的な負担が増えてしまうこともあります。
今回は、不動産管理の実務経験をもとに、管理会社の管理料を交渉しやすいケースや、値下げ交渉をする際の注意点について解説します。

管理会社の管理料は値下げ交渉できる?
管理会社の管理料は、必ずしもすべての物件で一律に決められているものではありません。
そのため、管理会社や契約条件によっては管理料を相談できるケースがあります。
たとえば、通常は家賃の5%で管理を受託している会社でも、
- 管理戸数が多い
- 一棟すべてをまとめて委託する
- 複数物件をまとめて管理してもらう
- 管理会社側の業務負担が比較的少ない
といった条件であれば、管理料について相談できる可能性があります。
ただし、これはあくまで管理会社との契約条件の問題です。
「管理料5%が相場だから、3%まで下げてもらえるはず」と考えるのではなく、物件と管理業務の内容を踏まえて相談することが大切です。
管理料そのものの相場については、こちらの記事で詳しく解説しています。
賃貸管理会社の管理料はいくら?相場と管理費に含まれる業務を実務経験者が解説
管理料を交渉しやすいケース
では、どのような場合に管理料の交渉がしやすくなるのでしょうか。
ここからは、実務的に考えて交渉材料になりやすい条件を見ていきましょう。
管理戸数が多い
まず考えられるのが、管理を委託する戸数が多いケースです。
1戸だけ管理を依頼する場合と、20戸、30戸をまとめて管理してもらう場合では、管理会社にとっての取引規模が違います。
たとえば月額家賃8万円の部屋を1戸だけ管理する場合、管理料5%なら月額4,000円です。
一方、同じ家賃の部屋を20戸まとめて管理すれば、満室時の家賃は160万円となり、管理料5%なら月額8万円になります。
もちろん管理戸数が増えれば管理会社の仕事も増えますが、戸数がまとまることは交渉材料のひとつになるでしょう。
現場メモ
「何%ならやってくれる?」といきなり聞くよりも、「この建物を一棟まとめてお願いした場合、管理料は相談できますか?」という聞き方のほうが、話はしやすいと思います。
複数物件をまとめて管理してもらう
すでに1棟を管理してもらっている大家さんが、新たに別の物件も同じ管理会社へ委託する場合も交渉材料になります。
管理会社から見れば、新規のオーナーを一人ずつ開拓するより、すでに取引のあるオーナーから管理物件が増えるほうが効率的な面があります。
今後も物件を増やしていく予定がある場合には、そのことを含めて相談してみてもよいでしょう。
一棟まとめて管理を委託する
区分マンション1室ではなく、アパートやマンションを一棟まとめて委託する場合も、管理会社に相談できる余地が生まれることがあります。
同じ建物であれば、設備や建物の状況を一度把握すれば、その情報を複数の部屋の管理に活用できます。
物件への訪問や修繕業者の手配などについても、複数の場所に物件が分散しているケースとは条件が異なります。
管理業務の範囲を限定する
管理料を安くしたいのであれば、単純な値下げだけではなく、管理業務の範囲を見直す方法もあります。
たとえば、大家さん自身で対応できる業務を残し、
- 家賃の集金管理
- 滞納時の連絡
- 入居者からの一次受付
などに業務を限定することで、料金プランを変更できる可能性があります。
ただし、どこまでを管理会社が行い、どこからを大家さん自身が行うのかが曖昧になると、トラブルが発生したときに困ります。
業務範囲を減らして管理料を下げる場合には、契約内容を明確にしておきましょう。
「5%を3%にしてください」という交渉はおすすめしない
管理料を下げたい大家さんが最も考えやすいのが、
「現在5%なので3%にしてください」
という交渉です。
もちろん、その条件で管理会社が了承するのであれば問題ありません。
しかし個人的には、料率だけを見て交渉する方法はあまりおすすめしません。
なぜなら管理料には、さまざまな業務の対価が含まれているからです。
管理料を5%から3%へ下げても、
- 契約更新は別料金
- 退去立会いは別料金
- 修繕手配には手数料が必要
- 一定時間以上のクレーム対応は別料金
- 定期巡回が対象外
などとなれば、本当に安くなったのか分からなくなります。
管理料率より「年間トータルでいくら支払うのか」を確認することが重要です。
管理料を1%下げると年間いくら変わる?
実際に管理料の料率が変わると、どの程度の差になるのでしょうか。
たとえば、月額家賃収入が100万円ある物件で考えてみましょう。
| 管理料率 | 月額管理料 | 年間管理料 |
|---|---|---|
| 5% | 50,000円 | 600,000円 |
| 4% | 40,000円 | 480,000円 |
| 3% | 30,000円 | 360,000円 |
※消費税などは考慮していない単純計算です。
5%から4%になれば年間12万円、5%から3%になれば年間24万円の差になります。
長期間管理を依頼することを考えれば、1%の差でも決して小さくありません。
だからこそ、大家さんが管理料について相談すること自体はおかしなことではありません。
ただし、年間24万円安くなった代わりに、退去・更新・修繕などの費用が年間30万円増えたのであれば意味がありません。
管理料率だけではなく、年間の管理コスト全体で判断する。
ここは非常に重要です。
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管理料を下げすぎるデメリット
大家さんからすれば管理料は経費なので、できるだけ安くしたいところです。
しかし管理会社側から見れば、管理料は人件費やシステム費用などを含めて管理業務を行うための収入です。
極端な値下げを求めれば、どこかで業務内容とのバランスを取る必要が出てきます。
対応する業務が減る可能性がある
管理料を下げる代わりに、これまで管理料に含まれていた業務が対象外になることがあります。
この場合は「値下げ」というより、管理プランの変更と考えたほうがよいでしょう。
別途手数料が増える可能性がある
月々の管理料を低く設定して、更新や退去、工事などが発生した際に別途料金を設定する料金体系もあります。
管理料3%という数字だけを見ると安く感じても、1年間の総額で比較すると5%の管理会社とそれほど変わらないことも考えられます。
必要なところまで削ってしまう可能性がある
私が特に注意したいと思うのはここです。
賃貸管理では、普段何も起きていないときには管理会社の仕事があまり見えません。
しかし、
- 漏水事故が発生した
- 給湯器が故障した
- 家賃滞納が発生した
- 騒音トラブルが起きた
- 入居者から強いクレームが入った
といったときに、管理会社の対応力が問われます。
月数千円の管理料を節約するために、本来必要だった対応まで削ってしまうのであれば、大家さんにとって得とは限りません。
値下げ交渉するなら何を確認する?
管理会社へ管理料の相談をするのであれば、私は次の内容を一緒に確認することをおすすめします。
| 確認項目 | 確認したい内容 |
|---|---|
| 管理料率 | 何%になるのか |
| 計算対象 | 賃料のみか、共益費・駐車場代なども含むか |
| 入居者対応 | どこまで管理料に含まれるか |
| 滞納対応 | 督促や保証会社への連絡を行うか |
| 更新 | 別途事務手数料が必要か |
| 退去 | 退去立会いや精算に費用がかかるか |
| 修繕 | 工事費以外に手配料・管理料が発生するか |
| 解約条件 | 管理契約を終了するときの予告期間など |
値下げ後の金額だけを見るのではなく、変更前と変更後で業務内容がどう変わるのかを確認するのがポイントです。
他社の見積もりを値下げ材料にするのはあり?
管理会社を比較するために、複数社から見積もりを取ること自体は問題ありません。
むしろ、現在支払っている管理料やサービス内容が妥当なのかを知るには、他社の条件を確認することは参考になります。
ただし、
「A社は3%だから、そちらも3%にしないと管理会社を変える」
と価格だけで迫るような交渉は、あまりおすすめしません。
管理会社によって業務内容や料金体系が違うからです。
A社では5%の中に含まれている業務が、B社では3%+オプション料金になっている可能性もあります。
現場メモ
相見積もりを取るなら、「何%か」だけを比較するのではなく、「同じ業務を頼んだ場合に年間いくらになるか」で比較したほうが実態に近くなります。
管理料より大切なのは管理会社の対応力
賃貸経営では、どうしても毎月目にする管理料に意識が向きます。
しかし実際の管理では、管理料の1~2%の差よりも、管理会社がトラブル発生時にきちんと対応してくれるかどうかのほうが重要になる場面があります。
たとえば漏水事故が発生したとき、
- すぐ入居者へ連絡する
- 業者を手配する
- 被害状況を確認する
- 上下階の入居者と調整する
- オーナーへ状況を報告する
- 保険会社との手続きに必要な情報を整理する
といった対応が必要になることがあります。
こうした場面でしっかり動いてくれる管理会社であれば、多少管理料が高くても、大家さんにとっては十分に価値があるでしょう。
反対に、管理料が安くても、何か起きるたびに大家さん自身が対応しなければならないのであれば、管理委託のメリットは小さくなります。
管理会社を選ぶときは「最も安い会社」ではなく、「支払う管理料に対して必要な仕事をしてくれる会社」を選ぶことが重要です。
管理会社を変更する前に現在の会社へ相談する方法もある
管理料に不満があるからといって、すぐに管理会社を変更する必要はありません。
現在の管理会社の対応には満足していて、料金だけが気になっているのであれば、まず現在の管理会社へ相談してみる方法もあります。
特に、
- 管理戸数が以前より増えた
- 長期間管理を任せている
- 新しい物件も追加で委託する予定がある
- 管理業務の一部を自分で行えるようになった
といった事情があれば、それを伝えたうえで料金体系について相談してみてもよいでしょう。
管理会社を変更すると、入居者への通知や家賃の振込先変更、保証会社との調整、契約関係の引継ぎなどが必要になる場合があります。
数%の管理料の差だけで管理会社を頻繁に変更するより、現在の管理会社と条件を調整できるのであれば、そのほうがスムーズな場合もあります。
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まとめ|管理料の値下げは「金額」ではなく「条件」を交渉しよう
管理会社の管理料は、管理戸数や物件の条件、委託する業務内容などによって、交渉できる場合があります。
特に、
- 管理戸数が多い
- 一棟まとめて委託する
- 複数物件を同じ会社へ任せる
- 管理業務の範囲を限定できる
といったケースでは、管理会社へ相談してみる価値はあるでしょう。
ただし、「5%を3%にしてください」と料率だけを下げることを目的にするのはおすすめできません。
管理料が安くなった代わりに業務内容が減ったり、更新・退去・修繕などの別途料金が増えたりすれば、結果的に割高になる可能性があるからです。
管理料の交渉で大切なのは、「いくらまで下げられるか」ではなく、「この金額なら、どこまで対応してもらえるのか」を確認することです。
そして管理会社は、賃貸経営でトラブルが起きた際に大家さんの代わりに動く重要なパートナーでもあります。
現場を知るから、本当に役立つ。
管理料を1%下げることだけにこだわるより、トラブルが起きたときに安心して任せられる管理会社かどうか。その視点も忘れずに管理会社を選んでいただきたいと思います。
管理会社が具体的にどこまで対応してくれるのかについては、こちらの記事も参考にしてください。







