賃貸に関わる不動産会社の仕事は、「客付け業務」と「元付け業務」の2種類に大別することができます。
なお、『客付け業務』とは他社が管理する賃貸物件に「お部屋を探しているお客様」をご案内して成約を目指す仕事のことを指しますので、『元付け業務』は客付け業者の相手方を務める管理会社ということになる訳です。
よって、元付け業務を一言で表すとすれば「賃貸物件の管理」ということになりますが、その業務内容は非常に複雑な上、内容も多岐に渡りますので『その全てを把握するのは非常に骨の折れる作業』と言わざるを得ません。
しかしながら、賃貸管理業務の真髄を正確に把握することは「不動産投資家様にとって非常に重要なこと」となりますし、「これから不動産賃貸会社に就職を考えている方には絶対に押さえておくべき知識となります」から、学んでおいて決して損はないはずです。
そこで本ブログの管理人である私は、こうした皆様のニーズにお応えするべく賃貸管理業務の全てを解説したマニュアル本「不動産賃貸元付け(管理)業務マニュアル【前編】【後編】」をAmazonのKindle本として上梓することにいたしましたので、
本日はこの書籍の内容をご紹介すると共に、賃貸管理業務の概要を解説させていただきたいと思います。
不動産賃貸元付け(管理)業務マニュアル【前編】: 賃貸管理業務のノウハウ!全てお教えします! Kindle版
不動産賃貸元付け(管理)業務マニュアル【後編】: 賃貸管理業務のノウハウ!全てお教えします! Kindle版
賃貸管理業務とは
冒頭での解説をお読みになり、「賃貸管理業務って物件の維持管理をするだけでしょ?」と思われた方も少なくないことと思いますが、話はそう単純なものではありません。
一口に賃貸管理と言っても、物件オーナー様から「管理業務を引き受ける」ところから始まり、「新規入居者の募集」や「物件の維持管理」、そして空室にお申込みが入れば「入居審査」に「重要事項の説明と賃貸借契約の締結」、また「クレームの処理」に「退去の立会い」、「敷金等の精算」などその業務は膨大なものとなります。
また、これは不動産業者の仕事全般に言えることですが「全く同じパターンの仕事は1つとしてない」のが当たり前ですから、常に状況に合わせた臨機応変な対応を日々求められることになるはずです。
よって、多くの不動産業者には「管理業務についてのマニュアル」など存在せず、たとえ新人であっても『習うよりも慣れろの精神』で実務に投入されることになります。
しかしながら、賃貸管理の仕事は一つ判断を誤っただけでも大家さんや入居者に多大な損害を与えることになりますので、「大きなミスをしたがためにすっかり萎縮してしまい、業界を去っていく新人たちが多い」のも事実です。
そこで拙著「不動産賃貸元付け(管理)業務マニュアル【前編】【後編】」においては、こうした賃貸借管理会社の現状を打破するべく賃貸管理業務のマニュアル化に挑戦することといたしました。
なお次項においては、管理業務の流れや概要について簡単にご説明をしてまいりますので「賃貸管理業務が如何なるものであるか」を肌で感じていただければ幸いです。(より具体的な業務の解説やノウハウについては電子書籍にて詳細な解説をしております)
入居者募集依頼の受付
賃貸管理業務のスタートは、空室を抱える大家さんの入居者募集依頼を請負うところから全てが始まります。
但し、これまで誰も管理を引き受けたことのない新築物件の管理を任されることなど滅多にありませんので、既に運用が開始されている物件の管理を引き受ける場合には「従前の管理会社に対するケアー」も重要となるでしょう。
そして、まずは物件の下見を行った上で、大家さんと新規募集条件(賃料や敷金・礼金等の条件)についての打ち合わせを行います。
なお、この際には「管理契約を【契約管理】と【入金管理】のどちらにするのか」を始め、「外国人や生活保護の方などについて入居が可能であるのか」「物件について入居者に告知すべき事項がないか」等に関してもお話を詰めておくべきです。
新規入居者募集の開始
こうして「管理契約の内容」と「入居者の募集条件」が確定したなら、続いては広告活動の準備を行います。
まずは入居者募集用図面を作成して、不動産業者同士の物件情報共有媒体「レインズ」への登録、そしてアットホームやSUUMOなどへの広告掲載を行うことになるでしょう。
なお、レインズへの登録を済ませることで「客付け業者から問い合わせ」が入って来ることになりますので、『物件確認(物件の募集状況に対する問い合わせ)』や『ご案内(客付け業者による物件の内覧)』等への対応をしながら、申込みが舞い込んで来るのを待つことになります。
物件管理について
さて、空室にお申込みが入るまでの期間にも「管理会社が行うべき業務」はあるものです。
募集中のお部屋は綺麗にリフォームが完了した状態であるかと思いますが、何度もご案内が入れば、床に髪の毛が落ちたり、埃が積もってしまうこともありますので定期的に様子を見に行くべきです。
また、キッチンの排水トラップや便器の水が干上がってしまえば、下水の悪臭が立ち込めることになるばかりか、害虫が侵入してくることもありますので、こうした状況を防ぐための対処が必要となるでしょう。
更に入居者募集業務に際して「客付け業者からの反応が鈍い」ようなら、大家さんに対して『電灯やエアコン等の設備の設置(物件の付加価値向上が目的)』や『募集賃料の見直し』などをご提案する必要もあるはずです。
なお、この間にも「既に入居中の住人からのクレーム」等が舞い込むこともあるでしょうから、こうした際には大家さんと連携を取りながら様々な問題を解決して行きます。
ちなみに一口にクレームと言っても、「お部屋の設備(エアコンや給湯器等の故障)」に係わるものから「建物本体の問題(雨漏り等)」、そして「住民同士の諍い(騒音問題等)」など様々なケースが想定されますので、『これらのトラブルを如何にスマートに解決できるか』が賃貸管理業者の腕の見せ所となるでしょう。
一方、入居中の住人の賃貸借契約が更新時期を迎えた際には、その手続きも管理会社の仕事となりますが、他の管理会社から業務を引き継いでいる場合には契約の内容などについての検討が必要になる場合もあります。
入居申込みに際して業務
そして、待望の入居申込みが入れば審査を経て契約の準備に取り掛かります。
但し、問題を起こす者を入居させてしまえば、大家さんばかりか管理会社の負担も増大しますので、審査の段階で申込人の「人となり」をしっかりと見抜かなければなりません。
また、重要事項説明や賃貸契約書の作成は管理会社の仕事となりますので、契約日までにこれを仕上げねばなりませんが、物件によってその内容も変わって来ますので物件の周辺環境や建物の設備状況、そして登記事項に関する調査も必要となるでしょう。
なお契約日を迎えれば、契約関係書類の読み合わせや説明、賃貸保証会社や借家人賠償保険の申込みなどを経て、物件(鍵)の引渡しを迎えます。
退去に係わる業務
さて、入居して来る者があれば、物件を去る者も出て来るのが道理です。
そして入居者の退去に当たっては、立会いを行って「室内の状況」を確認して原状回復についての打ち合わせを行わなければなりません。
但し、「管理会社が言う通りに原状回復費用を負担してくれる入居者」など滅多にいませんから、時には『費用負担に関する交渉が非常にハードなものとなる』こともあるでしょう。
なお、どうしても話し合いで決着が付かない場合には、訴訟などにもつれ込む可能性もありますので、大家さんと入居者の間に立ちつつも自分が不利な立場にならないように心掛けねばなりません。
また、近年では国土交通省による原状回復ガイドラインに即して問題を解決して行かねばなりませんので、こうした知識を身に付けることも重要です。
ちなみに、原状回復について大家さんと入居者が合意に至れば、退去精算に係わる覚書などを交わし上で敷金等の精算を完了することになります。
こうして退去が完了したらな、再びお部屋を貸し出せる状態にリフォームした上で新たな入居者募集業務が始まることになるのです。
賃貸管理業務まとめ
さてここまで「賃貸管理業務」というテーマの下に、賃貸管理会社(賃貸元付け会社)の仕事の概要と流れを解説してまいりました。
なお、業務全体の流れを把握していただくために概略のみのご紹介となりましたが、拙著「不動産賃貸元付け(管理)業務マニュアル【前編】【後編】」においては各手続きにおけるポイントやトラブルを回避するためのテクニックなどについて詳細な解説を行っておりますので、是非ご一読いただければ幸いです。
また冒頭でもお話しした通り、賃貸管理業務のノウハウを身に付けることは不動産賃貸会社への就職を目指す方にはもちろん、不動産投資様にとっても非常に有益なことであると思われますので、この機会に本書をお手に取っていただければと思います。
不動産賃貸元付け(管理)業務マニュアル【前編】: 賃貸管理業務のノウハウ!全てお教えします! Kindle版
不動産賃貸元付け(管理)業務マニュアル【後編】: 賃貸管理業務のノウハウ!全てお教えします! Kindle版
ちなみに、他の管理会社の物件にお客様をご紹介する賃貸客付け業務につきましては、別記事「賃貸営業のコツについて解説いたします!」にて解説を行っておりますので、ご興味をお持ちの方はこちらもお目通しください。
ではこれにて、「賃貸管理業務について解説いたします!」の知恵袋を閉じさせていただきたいと思います。