マイホーム探しを行う際、何よりも優先すべきとなるのが『情報の収集』となります。
なお、一口に情報と言っても「税金の優遇制度」から「おすすめの住宅ローン借入先」など様々ですが、物件購入希望者が何よりも欲っするものと言えば『まだ誰にも知られていないホットな物件情報』となるでしょう。
そこで本日は、「未公開物件の探し方について解説いたします!」と題して、効率良く、そして誰よりも早く非公開の物件情報を入手するテクニックをご教授したいと思います。
未公開物件とは?
さて、具体的な未公開物件情報入手のノウハウをお教えする前に、まずは「そもそも未公開物件とは何か?」というお話からスタートさせていただきたいと思います。
なお、このようにお話しすると「一般に知られていない物件のことでしょう?」というツッコミも聞こえて来そうですが、実は未公開物件には
- 販売限定型
- 時期尚早型
- レインズ未登録型
という3つの性質の異なる情報が存在しています。
例えば同じ新築の一戸建て(建売物件)の未公開物件であっても、建売屋さんと呼ばれる事業主が特定の販売業者にしか販売を許可していないという意味での未公開物件(販売限定型)もあれば、
建売屋さんが土地を購入したばかりで計画も販売価格も未定であるため、世に知られていないという未公開物件(時期尚早型)も存在しているという訳です。
また、中古の戸建てや中古マンションで売主が個人の物件であれば、レインズと呼ばれる不動産業者同士の売り物件情報共有媒体に登録されていないという意味の未公開物件(レインズ未登録型)もあったりするのです。
そこで以下では、この3タイプの未公開物件情報の特徴についてご説明してまいります。
販売限定型の未公開物件
販売限定型の未公開物件は、建売の分譲主である建売屋さんの「土地仕入れのシステム上の都合」によって生じる情報形態となります。
建売事業の詳細については過去記事「不動産営業の仕事内容!建売屋さん編」にてお話ししていますが、建売屋さんの最も重要な業務は 『売り物(建売戸建て)の原材料となる建売用地を仕入れること』です。
但し、建売屋さんが自力で全ての建売用地を確保することは困難ですから、 不動産仲介業者から提供される物件情報が仕入れの生命線となってきます。
こうした理由から、建売屋さんは「情報を提供してくれた仲介業者を優遇して、継続的に物件情報を提供してもらえるように便宜を図る」ことになるのですが、その手法の一つとして行われるのが 「商品化する物件に対する独占的な販売権を与える」というものです。
つまり、仲介業者が建売用地の情報を建売屋さんへ提供して成約に至った場合には、建物完成後の販売窓口を一定期間任せることで、再販売でも仲介手数料が稼げるように優遇するという手法になります。
こうして発生した独占販売期間中は、他の不動産業者や情報共有媒体へ物件情報が流れることはありませんので、一部の不動産業者しか提供不能な未公開物件情報が誕生することになる訳です。
時期尚早型の未公開物件
さて続いては「時期尚早型」のご説明となりますが、こちらは文字通り「建売屋さんが土地を仕入れたが、未だ販売の企画段階にある物件」ということになります。
仕入れが行われた建売用地は
- 古家の解体
- 周辺住民との権利関係の調整
- 土地の分筆や合筆、地積更正登記
- 建築する建物のプラン決定
- 販売価格の決定
など、様々な過程を経て商品化(新築建売住宅として再販売)されることになります。
また、宅地建物取引業法においては先程ご紹介した過程を経た後に行われる「建築確認の取得」が完了するまでは販売活動が禁止されていますので、用地の仕入れから販売開始までは意外に長いタイムラグが発生するのです。
そして、時期尚早型は「この企画段階の状態にある物件を指す」ことになりますので、未公開物件の中でも『情報としての新鮮さは満点』のものとなるでしょう。
但し先程も申し上げた通り、建売屋さんが仕入れに際して仲介業者を利用している場合には「たとえ時期尚早型でも、特定の仲介業者を通して購入しなければならない(販売限定型になってしまう)」ことになりますが、
建売物件の中には「建売屋さんが一般の売主から直に仕入れた物件(仲介業者を介さずに仕入れた物件)」も少数ながら存在するものです。
ちなみに、この時期尚早型では建売屋さんと直接の売買が可能となるため「仲介手数料が不要」というケースもありますから、これは非常にお得な情報となるでしょう。
但し、あくまでも計画段階の物件ですから土地の形状や面積、建物の仕様などが引渡しまでに変更になることも多々ありますし、
既にお話しした通り、宅建業法の関係でまずは土地を契約し、建築確認を取得してから改めて土地建物の契約を結び直す等、通常の取引とは異なる手続きを行わねばならないケースもあります。
レインズ未登録型
そして最後の類型となるのがレインズ未登録型となります。
通常、一般の売主から中古物件の売却依頼を不動産業者が請け負った場合には、媒介契約を締結することになり、専任媒介で7日以内、専属専任媒介で5日以内という期限内にレインズと呼ばれる売り物件情報共有媒体への登録を行わねばならないのがルールです。
よってレインズ未登録型の物件は、
- 媒介契約による登録期限を経過していない、売却依頼ホヤホヤの物件
- 売却を請け負った業者が「自分で買主を発見したい(売主・買主の双方を自力で発見できれば仲介業者の報酬は2倍になる)」がために、レインズへの登録を保留している物件
のどちらか、ということになるでしょう。
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未公開物件は種類によって探し方が変わる
ここまでのお話にて未公開物件の種類及びそれぞれの特徴についてご理解いただけたことと思いますので、ここからは具体的にどうしたら未公開物件の情報を入手できるかについてご説明して行きたいと思います。
新築戸建て(建売)の未公開物件の探し方
未公開物件の種類についてのご説明でお話しした通り、新築戸建て(新築建売物件)の未公開情報は販売限定型、または時期尚早型の2パターンが殆どとなるでしょう。
なお、販売限定型については新聞の折り込みチラシや、販売の窓口となっている不動産業者のホームページに物件情報が掲載されている可能性が高いですから、丹念なネット検索や、ターゲットとなる地域に住む知人や親類などにお願いして、新聞広告のチェックをしてもらう方法がおすすめです。
ちなみに、ネットを利用しての物件探しのコツは、対象地域において「より多くの未公開物件を掲載している不動産業者」を見つけ出して直接問い合わせをしてみることとなります。
実は同じ不動産会社でも「物件にお客様を付けるのが得意な業者」と「建売用地を見付け出して、建売屋さんに卸すのを得意としている業者(物上げ業者)」など、会社によって得意とする分野は異なっているのが通常です。
そしてホームページに未公開物件を多数掲載しているということは、
頻繁に土地を建売屋さんに建売用地を卸している物上げ業者である可能性が高い
ですから、こうした業者に声を掛けておけば、より迅速に未公開物件の情報を入手できる可能性が高まるはずです。
一方、時期尚早型については少々手が掛かる手法ですが、
物件を探しているエリアで解体作業などをしている現場などを見掛けた場合に、法務局へ出向いて登記簿謄本(登記情報証明書)を取得してみるという方法
が有効となります。
謄本の取得には若干の費用が掛かりますが、所有者の欄に不動産会社の名前が書かれてあれば「その土地は建売用地となる可能性が濃厚」ですから、連絡先をネットで検索して直接交渉してみるのが良いでしょう。
但し、土地の仕入れに際して仲介業者が介在している際には、このケースでも仲介手数料が必要(販売限定型)となりますのでご注意ください。
中古戸建て・中古マンションの未公開物件の探し方
このタイプの物件についてはレインズ未登録型の未公開物件情報が殆どですから、「より売却依頼を受ける可能性が高い業者」に狙いを絞ることが重要となります。
しかし、「どの業者が多くの中古物件の売却依頼を受けているか」を判断するのはなかなか難しいですから、
まずはネームバリューのある大手仲介業者を当たってみる
のが良いでしょう。
テレビCMをガンガン行い、駅前の目立つ場所に店舗を構えていれば、売却依頼の数も圧倒的に増加するのは当然ですよね。
また、大手不動産会社はその系列会社でマンション分譲を行い、管理会社も運営しているケースが多いですから、こうした分譲マンションの管理業者を経由して獲得する「中古マンションの売物件情報」の量もかなりのものとなるでしょう。
よって、レインズ未登録型の未公開物件情報が欲しい場合には、まずは大手の仲介会社に声を掛けてみるのがお勧めです。
なお、中古戸建てや中古分譲マンションであっても『不動産業者が売主となっている物件(リノベーション物件など)』も存在しますが、こうした物件の未公開情報を取得するには前項「新築戸建て(建売)の見付け方」にてご紹介した方法をご参考にしていただければと思います。
販売限定型であれば、リノベーション物件を数多く取り扱っている不動産業者へ問い合わせを行い、時期尚早型を探すのであれば大規模なリノベーションを行っている物件の登記を調べることで、未公開物件の情報を得られる可能性が高まるでしょう。
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未公開物件まとめ
さてここまで、誰もが欲しがる未公開物件情報取得に関するテクニックをご紹介してまいりました。
なお、「情報が欲しいなら、とにかく多くの業者に声を掛けよ」といった内容の記事もネット上では目にしますが、こうしたやり方は連絡をしてくる不動産屋さんをいたずらに増やすだけの結果となる可能性が高いでしょうから、今回ご紹介したテクニックを駆使して、最低限の労力で効率的に物件情報を入手していただければ幸いです。
なお、「更地や解体現場を発見したら登記簿謄本を入手してみる」という方法は不動産会社もよく利用する手段となりますから、若干コストは掛かるもののお勧めの手法かと思います。
ではこれにて、「未公開物件の探し方について解説いたします!」の記事を締め括らせていただきます。