以前、本ブログにおいては「仲介業者の仕事内容」に関する記事をお届けいたしました。

しかしながら、不動産業界には様々な業態があり、その中でも少々異質な存在となるのが「建売業者」と呼ばれる方々となります。

そこで本日は「不動産営業の仕事内容をご紹介いたします!(建売業者編)」と題して、建売用地を仕入れ、新築戸建てを販売する建売屋さんの仕事内容についてお話ししてみたいと思います。

不動産営業の仕事内容

 

そもそも建売業者とは

建売業者の仕事内容をお話する前に、まずは「建売」という事業自体について少し説明させていただきたいと思います。

この事業の「中心となる活動」は、読んで字の如く

『土地を購入して建物を新築し、これを建売として販売する』

というものです。

そして、このようにお話しすると「とても単純な仕事」に思えるかもしれませんが、その仕事内容は非常に煩雑で地味なものが多いのが実情であり、

  • 土地仕入れに際しての「プロジェクト経費の試算」
  • 地域相場に基づく販売価格の調査
  • 土地購入後の近隣との権利関係の調整
  • 建築途中の現場管理

など何かと気を遣う業務が少なくありません。

また、殆どの建売屋さんがその事業資金を銀行からの融資で賄っていますから、融資の返済期日までに物件を完成させ、しっかりと利益の取れる価格で売り尽くさなければなりませんから、売れ残った場合にはかなりのストレスを感じるものです。

ちなみに仲介業者さんの中には「建売業者は気楽そうだ」などとお思いの方もいらっしゃるようですが、建売屋さんには建売屋さんなりの苦労も少なくありません。

建売業者の仕事内容

では、建売業者の仕事内容について代表的なものを挙げて、具体的なご説明をしてまいりましょう。

土地の仕入

既にお話しした通り、建売業者の仕事は「建売を建てて販売すること」となりますので、まずは商品の素となる土地の仕入れが最重要業務となります。

現在では、インターネットを開けば多数の物件情報が入手できますし、これ以外にも不動産業者しか閲覧できないレインズやアットホーム業社版といった売り物件情報共有ツールもありますので「情報の取得は容易」なように思えますが、これらの方法で建売用地の情報を取得するのは非常に困難です。

建売の事業は「建物という付加価値を載せる」とは言え、あくまでも転売がメインのビジネスとなりますから、少しでも安く良い土地を仕入れる必要があります。

しかしながら、先に挙げたような「誰もが閲覧できる媒体」では、こうした激安物件の情報が掲載されることは滅多にありませんので、ここで頼ることになるのが

仲介業者からもたらされる物件情報

となるのです。

「仲介業者の仕事内容」の記事でも書いた通り、仲介業者にとっては「建売業者へ土地を卸し、再販売を行うことが最も効率の良い仕事の流れ」となります。

よって、一般の方から『建売用地になりそうな物件の売却の相談』を受けた際には「まず仲の良い建売屋さんや、取引のある戸建て分譲業者に優先的に物件を紹介する」ことになりますから条件の良い建売用地は、市場に出回る前に極一部の不動産業者間にて取引が完了してしまうことになるのです。

こうした現状を踏まえて建売屋さんの営業マンは、

「接待」や「販売物件の情報を優先的に提供する」などの方法で仲介業者とのリレーションを強化し、競合他社より優先的に建売用地の情報を獲得するための努力を続けていく

ことになるのです。

物件の加工と現場管理

こうして上手く建売用地を仕入れることができれば、次はこの土地を商品へと加工して行くことになります。

なお、「加工と言っても、家を建てるだけなのでは?」と思われるかも知れませんが、建売用地の中には『一般の方に向かない事情があるが故に安値で取引されているケース』も多いですから、行うべき仕事は決して少なくありません。

ちなみに、具体的な加工の事例としては

  • 古アパート付きの土地で、住民が居住中であれば「立退きの交渉」
  • 敷地の境界に争いがあれば「解決に向けた話し合い」
  • 境界線上に所有者不明のブロック塀などがあれば、隣地住民と「その扱いについての協議」
  • 私道に面した物件ならば「通行や掘削の承諾の取得」

などを行う必要がありますから、これはなかなか骨の折れる作業となります。

そして、こうした問題を解決した後にようやく建築作業に取り掛かることができるようになるのです。

但し、建築工事が始まってものんびりしている訳にはいかず、

  • 工事の騒音に対するクレーム
  • 建物の建築により日照が阻害されたなどのクレーム
  • 施工ミスの発覚
  • 施工上の都合による仕様や間取りの変更
  • 工期の遅れ

などの様々なトラブルが降り懸かって来ることになります。

なお、建売業者の営業マンとなれば「2件、3件と現場を掛け持ちで管理する」ことも珍しくはありませんので、様々な問題をクリアーしながら、複数の現場を同時進行で管理するスキルが要求されることになるのです。

物件の販売とアフターケアー

さて、物件がある程度でき上がれば、次は販売活動にも力を入れなければなりません。(実際には工事の着工前から販売活動を始める会社が殆どですが)

但し、建売業者が自分で建売の販売を行うことは、非常にレアなケースとなります。

このようなお話をすると「自分で販売した方が効率的なのに何故?」と思われるでしょうが、既に申し上げた通り建売業者の生命線は『仲介業者からもたらされる建売用地の情報』です。

そうとなれば、物件を買わせてくれた仲介業者にできる限りのサービスをしなければなりませんから、

物件の販売は土地を卸してくれた仲介業者へ任せて(優先的に販売を任せて)、更なる手数料収入を獲得するチャンスを提供する

ことになります。

ただ、物件が売れ残ってしまった場合などには「仲介業者にとって販売を任されていることがむしろ負担となります」から、話し合いの上で販売活動を終了してもらい、他にお付き合いのある仲介業者に現地販売会などの依頼をするのが通常です。

なお、こうした流れの中で物件の購入希望者が現れれば、契約・決済というイベントを経て、物件の引き渡しが完了します。(契約・決済の流れについては別記事「不動産売買の仕事内容・流れを知ろう 」にて詳しい解説を行っています)

こうしたステップを踏み、ようやく建売屋さんの一つの現場の仕事が終了することになりますが、その後は何年にも渡り、購入したお客様のアフターケアーを続けていくこととなりますので、「物件の引渡しが新たな仕事の始まり」とも言えるかもしれません。

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建売業者の営業マンの仕事内容

これまでの解説で建売業者の仕事の概要については、おおよそご理解いただけたことと思いますので、本項では「日々の営業マンの仕事ぶり」を見て行きましょう。

不動産業者というと「火曜日や水曜日がお休み」というイメージがありますが、建売屋さんの場合は日曜日にお休みを取るケースが多いようです。

これは「建築現場が日曜日に休工となる」のと共に、建売用地の仕入れ先である「仲介業者の仕事が忙しさのピークを迎える曜日」でもあるため、効率的な営業活動ができないという理由によります。

但し、自分が担当している物件にお客様が付いた際などには、

売買契約の締結は土日に集中しますから、忙しい営業マンは休日といえども「丸一日休み」という訳にはいかない

ようです。

では、そんな建売営業マンの一日を見てみましょう。

朝、会社に出社したら、まずはレインズやアットホーム等の不動産業者向けの売り物件情報媒体に目を通します。

こうした媒体に、建売用地となる物件が掲載されることは殆どはありませんが、時折ラッキーパンチ的な物件に出会える可能性もありますし、自分が手掛ける現場の近くに競合物件が登場していないかをチェックするのも重要な仕事となるはずです。

そして、こうした業務を終えたなら、外回りへと出発することになるでしょう。

出掛ける先については、現場をいくつか掛け持ちしているのであれば、工事進捗状況を視察して回らねばなりませんし、建売用地の仕入れ先となる仲介業者に営業を掛け「高く買い取ります!」と触れ回るなど、その時の状況によって様々です。

また、こうした時間を利用して、

  • 仕入れた物件の商品化に向けての「行政との協議」
  • 現場の権利関係者(近隣住民や地主など)との「打ち合わせ」
  • 着工を控えた現場の近隣への「挨拶回り」
  • 販売が終了した現場の「アフターフォロー」

などもこなして行くことになります。

なお近年では、パワービルダーと呼ばれる大手建売業者が台頭しており、自社施工による建築コスト削減の成功などによって「建売用地の買取価格が、一般の方の買値を上回る状態」となっているため、中小の建売業者は土地の仕入れに大変の苦労を強いられる状態となっているのが実情です。

ちなみに、ここまでご紹介してきたメインの仕事以外にも、他の建売屋さんが販売している物件を偵察し、「どのような住宅設備を導入し、どんな建築会社を使っているか」などの情報収集も行っておく必要があるでしょう。

そして夕方に会社に帰れば、

  • 契約予定の物件に関して仲介業者との打ち合わせ
  • 営業活動で得た物件情報を基に新たな事業計画を練る

などの様々なデスクワークをこなして行くことになるのです。

なお月曜日や火曜の夜ともなれば、お世話になっている仲介業者さんに声を掛けて「夜の街で接待に勤しむ」こととなり、こちらも建売屋さんの営業マンとっては欠かせない仕事となります。

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不動産営業の仕事内容(建売業者編)まとめ

さてここまで、建売業者の営業マンの仕事内容について解説をしてまいりました。

同じ不動産売買にたずさわる仕事でも、仲介業者とは異なる大変さ、苦労のある職種であることをご理解いただけたことと思います。

また記事内でもお話した通り、近年では競合相手の増加や大手企業の台頭により、建売用地の仕入れに苦労されている会社さんも増えていることと思いますが、建物が完成した際の満足感や達成感は、他の業種ではなかなか味わえないものがあるかと思いますので、ご興味をお持ちの方は、転職の際などに建売業者の門を叩いてみては如何でしょうか。

ではこれにて、「不動産営業の仕事内容をご紹介いたします!(建売業者編)」の知恵袋を閉じさせていただきたいと思います!