本ブログでは以前、売買仲介の営業マンと建売屋さんの営業マンの仕事内容についてお話ししましたが、当然ながら他にもまだまだ不動産の営業職種は存在します。
そしてその中でも、代表的なものと言えば「賃貸(客付け業者)の営業」が挙げられるでしょう。
そこで本日は、「賃貸営業マン(客付け業者)の仕事内容をご紹介いたします!」と題して、客付け業者の仕事内容に迫ってみたいと思います。
賃貸営業(客付け業者)のお仕事とは
賃貸に関する業務の中でも、
「お部屋を探しているお客様を見付け出し、他の不動産会社が管理をしている物件にご案内して成約を目指す仕事」をしている者を『客付け業者』
と呼びます。
なお賃貸取引の裏側については、過去記事「賃貸仲介の仕組みを知り、投資を有利に進めよう! 」の中でご説明しておりますので、更に詳しいことをお知りになりたい方は是非こちらの記事をご覧ください。
さて既にお話しした通り、客付け業者の主なお仕事は「お客様の部屋探しのサポート」ということになりますから、この業態の店舗はなるべく目立つ駅前などに在ることが多く、店内の内装も働く社員たちもスタイリッシュな印象を受ける会社が多いようです。
ちなみに一昔前までは、ご来店するお客様を少しでも多く獲得するために「1階の路面店」にこだわる業者が多かったものですが、近年ではインターネットを利用しての集客をメインとする会社も増えており、雑居ビルの2階、3階などで営業をするお店も増えつつあります。
そして、客付け業者が売り上げを伸ばすために「まず行わなければならない」のが、
部屋を借りたいお客様の顧客情報を少しでも多く獲得すること
となりますが、実はこれが最も難しい課題となっているのです。
よって、客付け業者は個々に様々な媒体を利用した広告を打ち合って「熾烈な顧客確保の競争」を展開していますが、各会社の内部でも「営業マン同士が互いに凌ぎを削っている」のが実情でしょう。
また、社員の給料形態も固定給であることは稀であり、
一定の固定給を除いては「売り上げをベースにした歩合給」で給料が支払われる『歩合制』
を採用している企業が一般的です。
ところで世間では一般的に、賃貸の営業マンは「チャライ」「派手」といったイメージを持たれがちな職業かもしれませんが、それなりの『スキルが無くては決して勤まらない仕事』であるのはもちろんのこと、
安定した売り上げを確保するには『水面下での地道な努力』も必須となりますから、管理人的には見た目とは裏腹にストイックな方が多い印象があります。
では、そんな賃貸の営業マンたちが、普段どのような業務をこなしているのかを具体的に見て行きましょう。
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賃貸営業(客付け業者)の日常(平日)の業務
客付け業者で仕事をする営業マンが、最も力を注ぐべきは「お部屋探しをするお客様の確保」である旨は既にお話しいたしましたが、これと並んで重要なのが
お客様をご案内する物件情報の収集
よって、平日は主に情報収集に時間を費やすこととなり、不動産会社にはレインズ・アットホームといった業者間のみで空室情報を共有できるツールが導入されていますので、こうしたシステムを駆使して情報を得るのはもちろんのこと、
これまで取引をしたことがある管理会社を巡り、情報共有媒体に掲載される前の「未公開空室情報」を獲得してくることも重要な業務となるでしょう。
そして物件情報が集まったなら、
- 物件の下見
- 手持ちのお客様への情報提供
などを行わなければなりません。
なお「手持ちのお客様」とは、これまでに来店やネットの反響などで確保したお客様の中で、希望の条件に見合った物件が見付からず「新たな情報が入り次第、連絡をする約束をしている方々」のことであり、まずは彼らに物件情報を伝える作業(追客・ついきゃく)を行っていくことになるでしょう。
ちなみに以前は、電話やFAXでの情報提供がメインでしたが、今ではメールやラインを利用するのが主流であり、追客の作業効率もかなり向上しています。
また、遠方からのお問合せを頂いたものの、ご案内ができないお客様(住まいが遠いため内覧ができないお客様)には、画像や動画を撮影してお部屋を見ていただくこととなりますから、平日にはこうした資料の作成作業なども行うことになるでしょう。
ちなみに私が賃貸の営業マンをしていた時代に、決して売上げが及ぶことのなかった先輩は、自分なりの「ご案内用お部屋リスト」を平日の暇な時間を利用して作成しておられました。
そのリストの内容は、間取りごと(ワンルーム、2LDKなど)のおすすめ物件や、問題があって決まり辛いお部屋がズラリとリストアップされているという代物でした。
その先輩曰く、「誰が見ても良いと思う部屋」ばかりにお客様をご案内すると、迷いが生じてお申込みに至らないケースが多いため、敢えて問題を抱える部屋を織り交ぜながら紹介していくのが成約率をアップさせるコツであると話していました。
営業マンの日常の業務では、こうした成約に向けての地味な努力を重ねることが多いはずです。
賃貸営業(客付け業者)の土日・祝日の業務(接客・ご案内)
さて、土曜日や日曜日・祝日ともなれば、これまでメールなどで物件をご紹介して来たお客様のご案内や新規来店の方々などで、賃貸会社の店舗は一気に繁忙期を迎えます。
なお、どこの会社も無駄に人員を配置してはいませんから、
平日にアポを取ったお客様との予定を掻い潜りながら、新規来店客への対応を行うという、かなり忙しい状況
となるはずです。
また2月・3月などは、入学、就職に向けてのお客様が急増する時期ですから、昼食を食べる暇どころか、座る暇さえない週末も当たり前の状況となるでしょう。
さて、物件のご案内に向けての手配については、
- 管理会社への物件確認/物件が未だに入居者募集中であるかの確認
- 内覧の申込み/メールやネット上の手続き、名刺のFAX送信などにより客付け業者としての身分を証明する
- 鍵の場所(キーボックスの番号)の伝達/管理会社が客付け業者の身分を確認した上で、鍵の在処を伝える
といった手順でご案内の準備を進めていくことになります。
殆どの物件では、現地に「キーボックス」と呼ばれるナンバーロック式の鍵保管器具を設置してあり、物件での鍵の受け渡しが可能(鍵の現地対応が可能)となっているのですが、中には物件から遠く離れた場所にある管理会社で鍵を保管している場合もありますから注意が必要です。
但し、お客様が「どうしてもその物件(鍵が現地に保管されていない物件)を見たい」と言えば、時間を大幅にロスすることを覚悟の上で鍵を取りに行くしかないのですが、キャリアを積んだ営業マンなら「そもそもこうした効率の悪い物件はお客様に紹介しない」という者も少なくありません。
このようなお話をすると「物件の紹介さえしないのはちょっと酷い!」と思われてしまいそうですが、「土日の限られた時間で、如何に効率良く成約していくか」が客付け業者の営業マンにとっての最重要課題となりますので『止むを得ない』というのが実情でしょう。
さて、実際にお客様を物件にお連れしたら、後はご説明をしながらお部屋を見て行くことになります。
なお、この内覧時の「接客スタイル」は人それぞれであり、「しゃべり倒す者」「殆ど無駄口を聞かない者」など様々ですが、
この限られた時間内に、お客様との人間関係(信頼関係)をどれだけ上手に構築できるか
が成約を勝ち取る上で非常に重要なポイントとなるはずです。
そしていくつか物件を見て歩く中、お客様がお申込みの意思を固めれば直ぐに管理会社に連絡を取って、「申込みをしたい旨」と「申込書を自分の会社に送って欲しい旨」を伝えます。
ちなみに申込書には「管理会社ごとの書式」がありますから、そのひな形をメールやFAXで自分の会社に送ってもらい、お客様に必要事項を記入してもらう必要がある訳です。
よって、お申込みに際しては一度自分の会社に戻る必要がありますが、事務所に帰ってから申込書を送ってもらうのでは「お客様を待たせる」ことになりますから、ご案内の帰り道などであっても『お客様のお申込みの意思が固まり次第、送付の依頼を掛ける』のが得策でしょう。
こうして事務所に帰ったなら、即座にお客様に申込書に記入をしてもらい、折り返しで管理会社へと送信します。
※お申込みは原則「先着順」となりますので、お申込書を送付したら直ぐに管理会社へ連絡を入れて、自分のお客様が一番手(一番最初の申込者)である旨の確認をしましょう。
その後は管理会社の「入居審査の結果待ち」ということになりますが、無事に審査を通過した暁には、
- 管理会社で行う賃貸借契約の日程調整
- 契約に必要な持ち物等を借主へ伝達
- 契約金の支払いに関するご案内を借主へ送付
- 入居審査に際して、貸主から寄せられた質問事項への回答(転居理由など)
以前は、契約に際しても管理会社まで同行する客付け業者が多かったのですが、近年ではお客様一人で契約に行ってもらうのが通常です。
最後に報酬である仲介手数料をお客様(借主)に振り込んでいただき、次の成約を目指して再び活動を開始することとなるのです。
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賃貸営業マンの仕事内容!まとめ
さて、ここまで賃貸営業マンの仕事内容を見てまいりました。
この記事をお読みになり、賃貸の客付け業者の仕事について「どのような印象を持つか」は人それぞれでしょうが、私的には『なかなか厳しい仕事である』と考えています。
お客様の動きは時期によって、また日によってもマチマチですから、こうした環境で安定した売り上げを確保するのは正に至難の技となるのは間違いありません。
また、華やかな見た目の印象に似あわず、平日は管理会社回りに、物件の案内経路の確認、そして物件の下見など、地味な作業も少なくないのが現実です。
ちなみに「できる営業マン」ともなれば、賃貸でも同年代の異業種営業マンの倍近い収入を得ることも可能ですから、ご興味がある方は是非、不動産屋さんの門を叩いてみては如何でしょうか。
なお、読者の方の中には「既に客付け業者への就職が決まっているが、成績が上げられるか不安!」「現在、客付け業者に勤務しているが、業績が振るわない!」という方もおられるかもしれませんが、そんな方には管理人が出版しております下記の電子書籍(アマゾン・Kindle)をご一読していただくことをお勧めいたします。
不動産賃貸客付け営業マニュアル: 営業成績を向上させる15の仕事術 Kindle版
ではこれにて、「賃貸営業マン(客付け業者)の仕事内容をご紹介いたします!」の知恵袋を閉じさせていただきたいと思います。