資産の多くを不動産でお持ちの方にとって、心配の種といえば「相続」の問題ですよね。

もちろん、基礎控除や配偶者控除のみで問題を解決することができる方にとっては「全然問題なし!」なのでしょうが、アパートや駐車場などを保有されている地主さんや、不動産投資家さんにとって、相続税に関する問題は正に夜も眠れないお悩みであるはずです。

そして本ブログでは、以前にも相続の仕組みや税金、不動産相続に関する基礎知識についての記事をお届けいたしましたが、最も気になる「相続対策」については触れることなく筆を置いてしまっておりました。

そこで本日は、不動産の相続税対策の具体的な方法のご紹介や、不動産業者としておすすめしたい節税手段などについてお話させていただきたいと思います。

では、相続問題の解決にお役立ていただける「不動産相続税対策の知恵袋」を開いてみましょう。

不動産の相続税対策

 

代表的な相続税対策

「解らないこと」や「不明なこと」があれば、インターネットで気軽に検索を掛けられる今の時代ですから、既に世間には多くの『相続対策の方法』が流布しています。

そこでまずは、一般的に広く知られている相続対策の手法についてご説明させていただきたいと思います。

①小規模宅地等の特例

実は国が定める税法の中にも、「相続税額を減らすことができる裏技」がいくつか隠されています。

そんな技の代表格とも言えるのが「小規模宅地等の特例」という制度です。

この制度の概要は、一定の条件を満たす居住用土地の相続税評価額を80%も減額できるという「素晴らしいもの」となっています。

一定の条件とは、亡くなった方の配偶者や同居の親族、または別居していても持ち家を持っていない相続人(賃貸に住んでいる者等)が「相続発生から10ヶ月以内に対象の不動産を相続している(所有している)こと」いうものであり、最大で土地面積330㎡まで特例の適用を受けられるのです。

さて、このようにご説明すると「土地が広過ぎる(面積が330㎡を超えている)とダメなの?」というお思いになられるかもしれませんが、上限を超える広さの土地でも『330㎡分まで』はこの特例を適用することができますからご安心ください。

但し一つ注意が必要なのは、居住用の物件を2つ以上持っている場合には、より評価の高い方の物件にこの特例を使えるようにしておく必要があるということです。

例えば「埼玉」と東京の「田園調布」に家を持っているならば、80%の評価額の減額をより有効に使える『田園調布の家』の方に、この制度を適用できるようにしておいた方が「お得」であるということは、お判りいただけますよね。

そしてこの特例が適用可能となる鍵は、「被相続人(亡くなった方)が居住の用に供していること」となりますから、『特例を利用したい!』と考える物件については、亡くなる前から住んでおいてもらう必要があるでしょう。

なお、「一番評価が高くなりそうな物件がアパートや賃貸マンションなんだけど・・・」という方もおられることと思いますが、この特例はこうした事業用資産にも適用することできます。

但し、こうした貸付事業用地等(アパートなどの敷地)の場合には、適用面積が200㎡まで、評価額の減額は50%となってしまう点には注意が必要です。

ただそれでも、この制度を「知っている」のと「知らない」のでは、納める相続税の金額が相当変わってくるはずですから、上手にこの特例を利用したいところでしょう。

※亡くなった方(被相続人)が会社を経営しており、その会社を引き継ぐ者が敷地を相続する場合(特定事業用地等)には、面積400㎡までの評価額を80%減額することが可能です。

ちなみに特例の申請方法については、相続税の申告の際に「小規模宅地等の特例」を使用した計算結果の数字(相続税額)を記載するだけとなりますから、最も手軽に利用できる相続対策の手段であるかと思います。

②相続時精算課税制度

一時期、大変に話題になったのがこちらの相続時精算課税制度なる手法です。

名前は聞いたことがあるけど、内容はよく解らないという方も多いと思いますが、ザックリ申し上げれば、この制度を利用する旨を申告すれば最大2500万円までの生前贈与を非課税にて行うことができます。

※但し、相続時精算課税制度が適用できる贈与は60歳以上の両親または祖父母から、20歳以上の子供や孫に向けたものであることが必要。

なお、この制度を利用して生前贈与された資産は、相続の際に改めて相続財産として計上する必要があるため、「相続時精算」というネーミングが付けられているのです。

そして、ここまでの解説を読んで「この制度のどこが相続対策になるの?」とお思いになられた方もおられるかもしれませんが、使い方次第ではそれなりの効果を発揮することになります。

相続時精算課税制度メリット①

この制度は贈与を受けた際の評価額が、相続時の精算時にも「そのままの金額」で計算されるという特性を持っています。

よって、これから開発が行われる予定がある地域など、今後価格が上昇しそうな土地などで利用すると、節税効果が期待できるという訳です。

相続時精算課税制度メリット②

対象となる資産がアパートなどの場合には、先に建物だけを贈与しておくことにより、現在の所有者が亡くなるまでの間の賃料収入を相続人(相続する予定の人)のものとすることができます。

そして実際に相続が発生した場合には、対象物件は改めて相続税の課税対象となるものの、その間に受け取った賃料を貯めておき「相続税の支払い」に当てれば、結果的には支払う税額を減少させることができるでしょう。

相続時精算課税制度メリット③

これは直接的な相続対策ではありませんが、生前贈与をすることにより「相続人同士の争いを防ぐ」という効果が期待できます。

「誰がどの土地を相続するか」で揉めそうな予感がする時には、自分が生きている内にこの制度を利用して贈与してしまえば、不要な争いを避けることが可能になるはずです。

 

このように相続時精算課税制度は、利用の仕方次第で非常に有効な相続対策となり得ます。

但し、一度利用してしまうと取り消しが利かない上、先にご紹介した「①小規模宅地等の特例」なども利用できなくなるという弱点を持っていますので、お使いになる際には充分な検討が必要となるでしょう。

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③アパートなどを建築して借入金を作る

もっともオーソドックスで、古くから行われている相続対策の方法がこちらです。

相続の際、借入金がある場合には相続税の評価額から借入額を差し引くことができますので、『課税対象の減額を図る』という意味では有効な手段になるかと思います。

但し、あくまでも借金は借金ですから、無理な借入を起こしてアパートなどを建ててしまうと、被相続人が返済に追われることになる可能性もあるでしょう。

よって、「将来的に十分な収益は見込めないが、相続税対策のみを目的に借り入れを行う」といった行為は控えるべきです。

おすすめしたい相続税対策

さて、ここまでは一般に広く知られている相続対策をご説明してまいりましたが、ここからは現役不動産業者である管理人が特におすすめする相続対策をご紹介してみたいと思います。

建物のみを親族間で売買(または贈与)する

相続が発生する前に、建物のみを相続予定者に売買(または通常の贈与)してしまう方法です。

先に書いた「②相続時精算課税制度」でも似たような方法が出て来ましたが、こちらの方法ですと「①小規模宅地等の特例」との併用が可能となりますので、そのメリットは非常に大きいものになると思います。

そして、対象が収益物件の場合ならば、現所有者が亡くなるまでの間の賃料を相続予定者の収入として貯めておき、相続税の支払いにこれを充てることができますし、

自宅の場合でも土地の評価は借地権の扱いとなりますので、ここでも相続税評価の減額が期待できるという訳です。

なお、ここで重要なのはしっかりと「借地権の契約」を親子間などで取り交わし、毎月地代もしっかりと支払っていくこととなります。

また可能であれば、支払いは銀行振り込みなどを利用し、地代支払いの証拠を残しておけば、税務署からの無用なツッコミを受けずに済むでしょう。

位置指定道路を使用した相続対策

相続発生時の「土地分割」に際して争いが生じそうな大きな一団の土地がある場合に非常に有効な相続対策となります。

詳しくはこの相続対策法を扱った過去記事「位置指定道路で相続対策を行おう!」をご参照いただければと思いますが、

私道を作ることで部分的に相続評価額を下げると共に、相続対象となる土地の価値を均一化する効果が期待できます。

また、道路を作った後でマイホームやアパートを相続予定者の名義で建築して、現土地所有者と借地権契約を結べば、天下無敵の相続対策となるはずです。

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相続対策まとめ

さて、ここまでご紹介してきたように「相続対策にはまだまだ有効な手法が残されている」ものです。

また、各々の相続対策の方法を見ていてもお解りいただけることと思いますが、大切なのは「如何に事前に知識を身に付け、準備を万全にしておけるか」という点だと思います。

実際に相続が発生した後では、どんなに良いアイデアを思い付いても、これを実践するのはほぼ不可能となりますから、このポイントだけはお忘れなきようにご注意ください。

なお今後も、新たな手法を発見出来次第ご報告させていただきたいと思います。

ではこれにて、不動産の相続税対策の知恵袋を閉じさせていただきます!