道路台帳

 

不動産の取引を行う際には、実に様々な物件調査が必要となるものです。

土地や建物についての現地調査に、国や自治体の担当部署に出向いて行う行政調査など、その枚挙には暇がありません。

また、取引対象となる物件が接する道路に関する調査は「各種の調査の中でも特に重要」とされていますから、しっかりと気を引き締めてこれに臨む必要があるでしょう。

そして当ブログでは過去に、道路に関する「現地で行う調査」や「建築基準法上の調査」についての記事をお届けしてまいりましたが、道路台帳に係わる調査についてはサラリと触れるだけに留めていました。

そこで本日は「道路台帳の調査について解説いたします!」と題して、公道に面する物件の取引には欠かせない道路台帳調査についてお話しさせていただきます。

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不動産の道路調査

冒頭でもお話しした通り、不動産売買における道路調査にはいくつかの種類が存在します。

まず基本となるのが『現地調査』であり、目視で道路の「幅員」や「境界標の有無」、「水道・下水・ガスの引込み位置(止水栓や枡など)」「道路上の施設(電柱や道路標識)」などを確認する必要があるでしょう。

また、現地調査に続いて行うのが『建築基準法の調査』となり、行政の担当部署に出向くなどして「建築基準法上の道路種別」を調べたり、対象の道路が開発道路や位置指定道路であるならば「道路を敷設した際の許可の概要や図面」などを取得して、買主に対して説明を行うことになります。

※調査対象が私道である場合には、私道所有者に対して通行や掘削、水道や下水本管の分岐承諾などを取り付ける必要があるでしょう

そして、取引対象の物件が接する道路が公道である場合に必要となるのが、本日取り扱う道路台帳についての調査です。

そこで次項では、調査の肝となる道路台帳について解説してまいります。

 

道路台帳とは?そして何を調べるのか?

道路台帳とは、地方自治体など道路の管理を行う者(道路管理者)に備えることが法律で義務付けられた、公道に関する資料を指す言葉となります。

そしてこの資料の中には、「道路の形態」や「道路以外の土地との境界線」、「誰が管理を行っている道路なのか」などの情報が詰め込まれているのです。

現在の不動産取引においては、売買対象となる物件が接する「全ての土地との境界確認」を行うことが当たり前となりつつありますが、『隣接地との境界確認は行ったが、前面道路である公道に対しては境界の確認をしていない』という説明では、購入者に納得していただくことは難しいでしょうから、公道に関する調査も避けて通ることはできないでしょう。

また、公道の中には「これに接する民間地との境界線が確定していない」という道路も存在しますから、こうした事実を告げずに物件の取引を行えば、後々のトラブルは必至です。

※境界が定まっていない公道では、将来的に道路の境界確定が行われた際に「これに接する民間の土地の面積が減少してしまう可能性」もありますし、このような土地は「分筆等の一部の登記が不可」となります。

よって、こうしたトラブルを避けるために、公道に面した物件の取引を行う場合には道路台帳を閲覧し、ここから得た必要な情報を重要事項の説明等で告知する必要があるのです。(法律は地方自治体に対して、道路台帳を閲覧できる状態にしておくことも義務付けていますので、担当部署に出向けば誰でも調査を行うことが可能です)

では、以下の項で道路台帳の調査において取得すべき情報(資料)について解説していきます。

※道路台帳の「資料内容」や「閲覧が可能な図面の種類・名称」については、地方自治体などによって異なる場合があります。

道路平面図

既にお話しした通り、全ての地方自治体で「道路平面図」という名称になっているとは限りませんが、内容としては『道路の現状を示した図面』ということになります。

よって、この図面を閲覧すれば「道路の幅員や形状」を知ることができますが、『必ずしも道路の現況(道路として整備されている部分)が公道(官地)と民間の土地(民地)の境界線を表している訳ではない』という点には注意が必要です。

道路区域線図

一方、こちらの道路区域線図はズバリ「官地と民地の境界線を示した図面」となります。

但し、公道の中にはこの道路区域線図が備えられていない道路(境界が確定していない道路)も数多く存在しますので注意が必要です。

なお、道路区域線図が備えられていない理由については、「単に境界確定をしていないケース」もあれば、「何らかの事情で境界確定が不調に終わっている場合」もあります。

単に境界確定をしていないのであれば、今後確定することも可能ですが、不調に終わっている場合には「道路の境界に異議を唱える住人がおり、将来的にも確定が不能である」こともあり得ますから、後者の場合はより深刻な問題となるでしょう。

ちなみに、民間側から道路境界の確定を地方自治体に求める際には、測量費等は「原則として民間側が負担するルール」となっていますから、購入者が土地の分筆を前提としており、売買対象物件と公道との境界が定まっていないケースでは、境界確定に測量費等が掛かる旨を必ず告知する必要があります。

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その他の資料

さて、上記2種類の図面が道路台帳の調査で取得するべき代表的な図面となりますが、これ以外にも「各地方自治体が独自で用意している資料」や、「取引の目的によって必要となる図面」等がありますので、以下でご紹介していきます。

認定道路を示した資料

公道は原則として行政が管理する道路となりますが、「間違いなく行政が管理する道路である」ことを証明する図面を備えている自治体もあります。

そして、この図面のことを「認定道路図」などと呼んでいますが、こうした図面があるならばこれも調査の際に取得しておくべきでしょう。

なお、道路が「私道であるか、公道であるか判らない」といった場合には、この図面を閲覧することで答えを得ることができます。(法務局で登記簿謄本【登記記載事項証明書】を取得することでも判断できます)

舗装に関する資料

こちらも備えている自治体とそうでない自治体がありますが、「公道に如何なる舗装が施されているか」「掘削の制限が課せられていないか」などを示した資料となります。

不動産の売買後に、水道や下水等の引込工事を行う購入者も少なくありませんが、舗装の種類によっては道路の復旧(埋め戻し)工事費用が非常に高額となるケースもありますから、どのような舗装が施されているかは是非伝えておきたいとこです。

また、「そもそも掘削に規制がある(掘削が許可されていない)」という場合には、取引上のトラブルとなる可能性が高いですから注意が必要でしょう。

道路査定図

既にご紹介した道路区域線図の別名として扱われる地方自治体もありますが、一部の地域では『道路区域線図には未だ反映されていないが、境界の確定は完了している道路の図面』を道路査定図と呼んでいるところもあります。

そしてこのような地域では、『道路区域線図は存在しないが、道路査定図はあるので、官地と民地の境界確定は完了している』という状況もあり得ますから、調査の際にはこうした図面が存在していないかも確認しておくべきです。

補正図

私道が自治体などに寄付された場合(移管された場合)には、直ぐに道路区域線図にその旨が反映されないケースもあります。

そして、このような場合には道路区域線図の代わりとして「補正図」が、一時的に官地と民地の境界を表す図面として扱われる自治体が存在しますから、調査の際には注意が必要です。

道路境界確定証明書

地方自治体によっては「道路謄本」などとも呼ばれるこちらの証明書は、分筆登記などを行う際に必要なものとなります。

登記手続きをするに当たって、道路の境界線を証明することを目的に発行される書面となりますが、交付に際しては申請者が自らの負担で(道路と対象の土地について)再測量を行わなければならないケースが殆どとなりますから、道路区域線図のように手軽に入手することはできません。

道路区域線図との違いは、「地方自治体の証明印が押されているか否か」といった程度のものとなりますが、証明書を発行して欲しいなら『明確な根拠を示せ』というのが行政の言い分なのでしょう。

※地方自治体の中には、道路区域線図さえ添付すれば再測量をせずとも道路境界確定証明書を発行してくれるところもあります。

公共基準点図

基準点とは「測量の基準となるポイント」を指す言葉であり、その中でも地方自治体などが定めた公的なポイントのことをを『公共基準点』と呼んでいます。

そして、この公共基準点がどこに設置されているかを表した図面が公共基準点図となりますが、不動産取引においてこの資料を添付することはまずありません。(測量などを行う場合には重要となりますが)

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道路台帳等の調査まとめ

さてここまで、道路台帳等に関する調査について解説をしてまいりました。

不動産は接する道路によって、その価値が大きく変動するものですから、公道に面する物件の取引を行う場合には『しっかりと道路台帳を確認するべき』でしょう。

ちなみに道路台帳調査では

  • 公道の形状と幅員を確認する
  • 公道(官地)と取引対象地(民地)の境界を明らかにする
  • 公道の管理者を明確にする

という3点が最大のポイントとなってきます。

また、これらのポイントに付随して

  • 公道の舗装の種類
  • 掘削規制の有無
  • 境界が未確定な場合はその理由

などの点についても調査することができれば、完璧であるかと思います。

ではこれにて、「道路台帳の調査について解説いたします!」の記事を締め括らせていただきます。