道路台帳とは?不動産調査で確認する内容・見方を実務目線で解説

不動産売買の物件調査では、土地や建物だけでなく、物件が接している道路についての調査も非常に重要です。道路については現地で幅員や側溝、境界標などを確認するだけでなく、役所で「建築基準法上の道路種別」や「道路管理者」「官民境界」などを調べる必要があります。

その中でも、公道について調査する際に重要な資料となるのが「道路台帳」です。

この記事のポイント

道路台帳を見ることで、道路の形状や幅員、道路区域、道路管理者などを確認することができます。

この記事では、不動産取引の実務で道路台帳をどのように調査するのか、確認すべきポイントや図面の見方について解説します。

なお、道路調査全体の流れについては、こちらの記事も併せてご覧ください。

▶ 不動産の道路調査について解説いたします!

道路台帳とは?不動産調査で確認する内容と見方

目次

道路台帳とは?

道路台帳とは、道路管理者が管理する道路について作成・保管している資料です。道路法第28条では、道路管理者に道路台帳の調製・保管が義務付けられており、閲覧を求められた場合にはこれを拒むことができないとされています。

道路台帳の図面や資料からは、自治体によって名称や内容に違いはあるものの、主に次のような情報を確認できます。

  • 道路の形状
  • 道路の幅員
  • 道路区域
  • 道路と民有地との境界に関する情報
  • 道路の管理者
  • 認定路線に関する情報
現場メモ

道路台帳は、道路管理のための資料であり、建築基準法上の道路種別を確認する資料とは別のものです。道路台帳で道路の形状や幅員、道路区域などを確認したうえで、建築基準法上の道路種別については建築担当部署等で別途確認するのが基本です。

建築基準法上の道路種別については、以下の記事で詳しく解説しています。

▶ 不動産の道路調査について解説いたします!

道路台帳調査で確認したい3つのポイント

不動産売買の実務において道路台帳を確認する場合、特に重要なのが次の3点です。

  • 道路の形状と幅員
  • 道路と取引対象地との境界
  • 道路管理者

これらは道路調査の基本情報となります。ただし、道路台帳だけですべての道路情報が判明するとは限りません。現地調査や建築担当部署での調査、法務局資料などと照合しながら確認していくことが重要です。

物件調査全体の進め方については、次の記事も参考になります。

▶ 不動産の現地調査について解説いたします!
▶ 不動産の役所調査(行政調査)について解説いたします!

道路台帳で確認する主な図面

道路台帳に関する図面の名称や種類は道路管理者によって異なります。ここでは、不動産調査で目にすることの多い代表的な資料について解説します。

道路平面図

道路平面図は、道路の形状や幅員などを確認するための図面です。自治体によって名称は異なりますが、道路がどのような形状になっているのかを把握する際の基本資料となります。

確認ポイント

注意したいのは、道路平面図に描かれている道路の形状と、官民境界が必ずしも同じとは限らないことです。

現地でアスファルト舗装されている範囲や側溝の位置だけを見て、「ここが道路境界だろう」と判断するのも危険です。官民境界については、道路区域線図や境界に関する別の資料を確認する必要があります。

道路区域線図

道路区域線図は、道路区域や道路と民有地との境界を確認するうえで重要な図面です。例えば横浜市では、道路台帳平面図とは別に「道路台帳区域線図」が作成されています。

ここで注意したいのが、区域線図に境界線が記載されていないからといって、直ちに「境界未確定」と判断してはいけないケースがあることです。自治体によっては、別の境界調査図や査定図などによって境界が確定していることがあります。

現場メモ

「区域線図に載っていない=境界未確定」と即断せず、別に境界確定資料が存在しないか担当部署へ確認することが大切です。

認定路線図

自治体によっては、市道などとして認定されている道路を確認できる「認定路線図」などを公開しています。道路の管理者や認定状況を確認する際には重要な資料です。

ただし、道路の所有者・管理者・建築基準法上の道路種別は、それぞれ別の問題です。例えば「行政が管理している道路だから、当然に建築基準法上の道路である」とは限りません。

道路調査の基本

道路調査では「誰が所有しているか」「誰が管理しているか」「建築基準法上どの道路に該当するか」を分けて確認することが重要です。

道路境界が確定しているかを確認する

土地の売買では、隣接地との境界だけでなく、前面道路との境界(官民境界)も重要です。道路区域線図などに境界が表示されていれば確認しやすいのですが、古い道路などでは境界が明確になっていないケースもあります。

また、前述したように区域線図には記載されていなくても、別の境界調査図などによって確定している場合があります。したがって、図面だけで判断できない場合には、道路管理者の担当部署で確認する必要があります。

道路境界が未確定の場合

道路との境界が確定していない場合でも、売買そのものが直ちにできなくなるわけではありません。しかし、次のような場面では問題になる可能性があります。

  • 確定測量を行う場合
  • 土地を分筆する場合
  • 地積更正を行う場合
  • 建築計画で敷地面積を正確に確定させる必要がある場合
  • 将来、道路との境界について争いが生じる可能性がある場合

特に買主が「購入後に土地を分筆したい」「建物を建て替えたい」と考えている場合には注意が必要です。

確認ポイント

道路境界が未確定の場合は、その事実だけでなく、買主の利用目的にどのような影響があるのかまで確認しておくことが重要です。

必要に応じて土地家屋調査士や道路管理者に確認し、境界確定に必要な手続きや費用、期間なども把握しておくと安心でしょう。

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道路査定図・境界調査図なども確認する

道路境界に関する資料は、自治体によって名称が大きく異なります。例えば「道路査定図」「境界調査図」「道水路等境界調査図」などの名称で管理されているケースがあります。

道路台帳区域線図だけでは境界が確認できない場合でも、こうした別の図面に境界確定の記録が残されていることがあります。

窓口での確認方法

「この図面に載っていないので終わり」ではなく、「ほかに境界を確認できる資料はありませんか?」と担当部署へ確認することが大切です。

これは役所調査全般にいえることですが、自治体ごとに資料の名称や管理方法が違うため、資料名だけを覚えるよりも「何を確認したいのか」を明確にして窓口で質問した方が調査漏れを防ぎやすくなります。

補正図などが存在する場合もある

道路台帳の図面が、常に最新の道路状況を完全に反映しているとは限りません。道路の区域変更や道路用地の寄付・移管などが行われた後、正式な道路台帳図へ反映されるまでの間、別の資料によって補完されている場合があります。

自治体によっては、このような資料を「補正図」などと呼ぶことがあります。そのため、現地の道路形状と道路台帳図が明らかに一致しない場合には、次のような点を担当部署へ確認してみるとよいでしょう。

  • 道路台帳の更新時期
  • 補正資料の有無
  • 道路区域変更の有無

道路境界に関する証明書

道路との境界について、単なる閲覧図面ではなく行政が保管する図面の証明等が必要になる場合もあります。証明書の名称や申請方法、必要書類、手数料などは自治体によって異なります。

また、境界に関する証明といっても、次のように制度の内容が異なる場合があります。

  • 保管されている図面の写しであることを証明するもの
  • 境界そのものに関する確認・承認を伴うもの
現場メモ

昔の経験や他の自治体のルールだけで判断せず、「この証明書で何が証明されるのか」まで確認するのがポイントです。

舗装の種類と掘削規制も確認する

道路台帳調査と併せて確認しておきたいのが、道路の舗装状況と掘削規制です。購入後に建物を新築したり建て替えたりする場合には、水道・下水・ガスなどの引込工事で道路を掘削することがあります。

ところが、道路によっては舗装工事を行った直後などの理由から、一定期間、道路の掘削に制限が設けられていることがあります。また舗装の種類や復旧条件によっては、道路復旧工事の費用が想定以上に高額になることもあります。

確認ポイント

「前面道路に本管がある=簡単に引込み工事ができる」とは限りません。新築・建替えを予定している土地では、埋設管だけでなく道路掘削の可否や復旧条件まで確認しておくと安心です。

公共基準点に関する資料

自治体によっては、道路台帳の閲覧システムなどで公共基準点に関する資料も確認できます。公共基準点とは、公共測量などで使用される測量の基準となる点です。

通常の不動産売買で、仲介会社が公共基準点の資料まで重要事項説明書へ添付することは多くありません。しかし、土地家屋調査士が測量を行う場合などには重要な資料となることがあります。

道路台帳だけで道路調査を終わらせない

ここまで道路台帳について解説してきましたが、実務上もっとも重要なのは「道路台帳だけで道路調査を完結させない」ことです。

道路について確認する情報は、大きく分けても次のように複数あります。

  • 現地の道路形状・幅員
  • 道路管理者
  • 道路区域
  • 官民境界
  • 建築基準法上の道路種別
  • セットバックの有無
  • 私道の場合の権利関係
  • 上下水道・ガスなどの埋設状況
  • 舗装・掘削規制

これらは一つの図面ですべて確認できるものではありません。

道路調査は資料を組み合わせて行う

現地調査・道路台帳・建築担当部署・法務局資料・インフラ資料などを照合して、初めて道路の全体像が見えてきます。

役所調査の基本的な進め方については、こちらの記事でも詳しく解説しています。

▶ 不動産の役所調査(行政調査)について解説いたします!

道路台帳調査のチェックリスト

最後に、不動産売買で道路台帳を調査する際のポイントをまとめておきます。

  • 道路管理者を確認したか
  • 道路の形状を確認したか
  • 道路幅員を確認したか
  • 道路区域を確認したか
  • 官民境界が確定しているか確認したか
  • 区域線図以外の境界資料がないか確認したか
  • 認定路線等の情報を確認したか
  • 現況と台帳図に相違がないか確認したか
  • 舗装の種類を確認したか
  • 掘削規制の有無を確認したか
  • 必要に応じて補正図や境界調査図等を確認したか
現場を知るから、本当に役立つ。

道路調査では、図面を取得すること自体が目的ではありません。「この資料から何が分かり、何がまだ分からないのか」を整理しながら調査を進めることが大切です。

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道路台帳調査まとめ

道路台帳は、不動産売買における道路調査の重要な資料です。特に、次の3点についてはしっかり確認しておきたいところです。

  • 道路の形状・幅員
  • 道路区域と官民境界
  • 道路管理者

ただし、道路台帳に記載されている情報や図面の名称、境界資料の管理方法などは自治体によって異なります。また、道路台帳と建築基準法上の道路調査は同じものではありません。

現地調査 → 道路台帳 → 建築基準法上の道路調査 → 境界・インフラ等の確認というように、それぞれの資料を組み合わせながら調査を進めることが、不動産取引における道路トラブルを防ぐポイントとなるでしょう。

道路調査についてさらに詳しく確認したい方は、こちらの記事も併せてご覧ください。

▶ 不動産の道路調査について解説いたします!

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