土日の住宅街などで時折見掛けるのが、パイプ椅子にスーツ姿の営業マンが座り、建売物件などの販売を行う「現地販売会」や「オープンハウス」などと呼ばれるイベントです。

但し、一般の方が「その舞台裏」について知る機会は殆どないでしょうし、不動産会社に勤める新人社員の方におかれましては「他の営業マンは売り出しで如何なる接客をしているのか?」といった点が非常に気になるのではないでしょうか。

そこで本日は「現地販売会のコツを解説いたします!」と題して、知られざる販売会の舞台裏やこのイベントを成功に導くポイントなどについて解説してみたいと思います!

現地販売会のコツ

 

現地販売会とは?

では、まず最初に「そもそも現地販売会って何だろう?」という方のために、このイベントの概要や目的から解説を始めさせていただきたいと思います。

改めてご説明するまでもないかもしれませんが、現地販売会は「売却したい物件に速やかに買い手を見付ける」ために催されるイベントとなります。

現在ではインターネットなどで物件を探すお客様も少なくありませんが、マイホームは高額な買い物であるため「やはり実物を見たい」と考えるのは当たり前のことですし、不動産業者に案内の依頼をするよりも、気軽に物件の内部を見ることができる点も魅力の一つでしょう。

一方、不動産業者の立場的には

インターネットの広告等を見て連絡をくださる方々よりも、現地販売会に足を運んでくれる来場者の方が「成約する確率が高いお客様」

という判断になりますし、

仮に販売会の対象物件をお気に召してもらえなくとも「他にもお案内できる物件があります」といった方向に話を持ち込むことで、『お客様情報を集収集する絶好の機会』とすることができる訳です。

ちなみに以前お届けした売買仲介営業マンの仕事に関する記事でも触れましたが、建売物件の場合、販売会を行っているのは売主である建売業者の社員ではなく「販売を任されている仲介業者」であることが殆どとなります。

このようなお話をすると「えっ?どうして売主の不動産業者が自分で売らないの?」と疑問に思われるかもしれませんが、建売屋さんの仕事は「土地を買い、建物を建てて売ること」ではあるものの、建売用地の仕入れは仲介業者からもたらされる情報が頼りとなります。

そして、仲介業者からの紹介で建売用地を買わせてもらった建売業者は

「仕入れをさせてくれたお礼」として商品化した物件の現地販売会を優先的に行わせているケースが多い

のです。

なお、もしここで仲介業者が物件にお客様(買い手)を付けることができれば、「仕入れの際に建売屋さんから受け取った仲介手数料」に加えて、「商品化後の再販売手数料」も頂けますから、正に二度美味しい思いができることとなり、建売業者としては仲介業者に恩を売る結果となります。

但し、いつまで経っても物件が売れない場合は、『現地販売会の優先権』がむしろ土地を卸した仲介業者の重荷となってしまいますので、売主は「他の仲介業者に現地販売会の依頼をする」こととなるのです。

このようなお話をすると「この段階でもまだ建売業者は販売会をしないの?」と不思議に思われるかもしれませんが、

売主が自分で販売会をすると、仲介業者の間で『あの建売屋は物件を仕入れさせてやっても、自分で販売会をする業者だ!』といった噂が立って、今後の土地の仕入れに差し障りが生じる可能性

もあります。

よって、「物件が完全に売れ残りとなり、どの業者も販売会を行ってくれない状態とまでは建売業者による販売会は行わない」という建売屋さんが意外に多いのです。

一方、一般の方が売主である中古物件の場合には、当然ながら売却依頼を受けた仲介業者が自ら現地販売会を行うのが通常ですが、売主が居住中のケースでは販売会が行えないため、インターネット広告や新聞折り込みチラシなどで買い手を募ることになります。

販売会開催の準備と注意点

さて現地販売会の概要をご理解いただけたところで、本項では実際に販売会を行う際の事前準備や注意点について解説してみたいと思います。

販売会の準備

街で見掛ける現地販売会などでは営業マンが暇そうに座っているようにも見えますが、ただ物件の鍵を開けて、旗を立てて待っているだけでは、お客様が来場してくれるはずもありません。

そこでまずはお客様に来てもらえるように、

事前の周知や広告活動が重要

となって来ます。

物件周辺のエリアに新聞折り込みチラシを配布する手配を行い、ホームページなどでも告知をするなど、可能な限りの事前準備を行いましょう。

そして更に時間の余裕があれば、周辺の賃貸マンションやアパートに販売会のチラシをポスティングできれば完璧です。

また、当日チラシを頼りに物件を目指すお客様を適切に誘導するための手段も考えておきましょう。

以前は電柱などに矢印看板を貼ったり、矢印を書いたパイロンなどを物件に向かう順路に置いておくのが一般的でしたが、近年では警察の取り締まりが厳しいですし、何よりもコンプライアンスに違反する行為は控えるべきです。

なお人員に余裕があれば、看板を持った社員を道に配置するという手もありますが、これも厳しい場合には、

近隣のお宅に謝礼を渡し、塀などに看板を設置させてもらう

のが得策でしょう。

なお、来場したお客様とのトークが盛り上がった場合に備えて、折りたたみの椅子やテーブル等も忘れずに用意しておきたいところです。

販売会の注意点

いくら現地販売会を行うとはいっても、あくまで物件は売主さん(建売業者)の所有物なので、様々な点に気を配らなければなりません。

特に新築物件については、

トイレ使用が厳禁であり、たとえ来場者に請われてもトイレは貸さない

ようにしましょう。

また許可を得ていない場合には、エアコンなどの電気代が掛かる機器の使用も差し控えるべきです。

更に新築戸建物件に関しては、営業車を駐車場に止める際にも気遣いが必要となります。

例えば、自動車が停止した状態でハンドルを切ると、新品のコンクリート土間にタイヤ跡が付いてしまいますし、建物に車をぶつけるなどは当然ながら論外の行為となるでしょう。

なお、「売出し中」などの看板を建物本体に貼り付ける行為なども売主さん的にはかなり微妙です。

そして売主の中には、売出しの様子を巡回に来る方も少なくありませんので、他の物件にお客様をご案内する予定がある時には、

同僚に留守番を頼むなどして、販売会が無人の状態にならないよう心掛ける

べきだと思います。

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ここだけは押えておきたい売出しのコツ

ではここで、現地販売会で成果を上げるコツについてお話をさせていただきたいと思います。

但し、私自身まだまだ修行中の身ですから、行き届かない点があってもご容赦いただければ幸いです。

販売会対象物件を熟知しておく

セールスマンの基本は、売り物に対して豊富な商品知識を身に付けておくことです。

そして、ある程度の期間業界に身を置いていると「住宅設備などに対する知識」は増えてくるものですが、不動産の取引においては『全く同じ物件など一つとして存在しません』から、販売会を行う物件については隅々まで確認を怠らないようにしましょう。

なお、具体的な例を挙げるとすれば、

  • 間口や奥行き、面積などの敷地のデータ
  • 境界標の位置
  • 設置されているブロック塀等の権利関係
  • 以前に何が建っていた場所なのか

などがこれに当たりますので、調べておくべきことは多数あるはずです。

また、物件からの「コンビニやスーパーまでの距離」や、「近隣の美味しい飲食店などの地域情報」にも精通しておくと来場者との会話に弾みが付くでしょう。

物件周辺の物件情報をしっかり調査しておく

現地販売会を行う以上は対象物件を成約することが一番の目的となりますが、来場する全てのお客さんに販売物件を気に入ってもらうことは困難です。

よって、来場はしたものの「この物件は気に入らない」というお客様に対して、

近隣の物件を直ぐにご紹介できる準備をしておくこと

も重要でしょう。

そして販売会の留守番を務める人員を準備しておけば、そのままお客様を車に乗せて他の物件にご案内することもできますから、こうしたチャンスは逃さないようにしたいところですよね。

但し、他の物件のご案内には鍵の手配なども必要となりますから、販売会開催以前に近隣物件の下見や、案内の手順をしっかりと把握しておくのがおすすめです。

資金相談にはその場で回答

売出し現場でお客様から一番多く寄せられるのが、資金計画に関するご質問です。

「年収がいくらなら、どれくらいのローンが組めるか?」などの知識は頭に入っている方も多いと思いますが、こうした相談を受けた際に『他の業者と一味異なる対応』ができるように心掛けましょう。

なお、具体的には

  • 各金融機関の金利や条件の違いについての説明
  • 買い替えが必要な場合は、現在居住中の物件の売却可能額の概算の算出

などの豊富な知識があれば、お客様のハートを掴める可能性も高まります。

近隣と仲良く、声出しを忘れずに

住宅地で販売会を行う場合には、近隣の方と顔を合わす機会も多いはずです。

そんな時には「お騒がせしています!」など、丁寧に声を掛けて良好な関係を構築するようにしましょう。

こうした行為は一見無駄なようにも見えますが、

「近隣に問題のある人物などが居ないか?」などの貴重な情報得ることが可能となり、販売物件が成約した際に行う物件調査がスムーズに進められますし、場合によっては「実は自宅を売却したいのだけど・・・」といったお話に発展するケースもある

はずです。

また、単なる通行人にも気軽に声を掛け、内覧を勧めるようにしましょう。

現在は物件を探していない方でも、これを切っ掛けにお客になってもらえる可能性もありますから、とにかく顔を売り、知り合いを増やして損はないと思います。

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現地販売会のコツまとめ

さてここまで、現地販売会の裏側や注意点、成果を上げるコツなどを解説してまいりました。

既に仲介業者にお勤めになられている方には、基本的な内容が殆どであったとは思いますが、これから業界の門を叩く方にはご参考にしていただけるのではないでしょうか。

また、本日ご紹介した現地販売会のコツはあくまで基本となりますから、常に創意工夫を重ね、自分にピッタリの売出しスタイルを編み出していただければ幸いです。

ではこれにて、「現地販売会のコツを解説いたします!」の知恵袋を閉じさせていただきたいと思います。