先祖代々、不動産を相続されている地主さんや、収益物件を保有されている投資家様の中には「所有物件に月極駐車場が含まれている」という方も多いことでしょう。

なお、駐車場の賃貸はアパート等の建物賃貸借とは異なり、管理にもそれ程手間が掛からない反面、得られる賃料収入も限られるため『駐車場の経営にはあまり関心がない』という方も少なくないことと思います。

しかしながら、いくら気軽に運用が可能な駐車場とはいえ、他人様に貸出す以上は「それなりの管理」をしなければなりませんし、時には「契約上のトラブル」などで頭を悩ませてしまうことだってあるはずです。

そして本ブログでは、これまでも駐車場オーナー様に向けて「駐車場契約の流れを解説いたします!」「駐車場契約書と特約の内容を解説いたします!」「駐車場の違法駐車対応について考えます!」等の記事をお届けしてまいりましたが、実はまだまだ知っておいていただきたい知識はあるものです。

そこで本日は「保管場所使用承諾証明書について解説いたします!」と題して、駐車場オーナー様に是非覚えておいていただきたい車庫証明関連の周辺知識や、保管場所使用承諾証明書の発行上の注意点などを解説して行きたいと思います。

保管場所使用承諾証明書

 

車庫法と車庫証明

ではまず最初に「保管場所使用承諾証明書って何だろう?」という方に向けて、車庫証明や車庫法の基礎知識からご説明を始めさせていただきましょう。

我が国「日本」の自動車保有台数は、現在約8000万台以上にも達していると言われています。

そして、ご存じの通り日本は非常に小さな国土しか持たない国家ですから、これだけの台数の自動車を適当に管理していたのでは『街は路上駐車だらけ』になってしまいますよね。

もちろん、こうした違法駐車車両を取り締まるべく道路交通法などによって厳しい取り締まりが行われていますが、中には私道を駐車場代わりに使用していたり、敷地からはみ出した状態で車を保管しているなど、道路交通法の取り締まりだけでは対処できないケースも存在するのです。

また、こうした車両の存在は地震や火災などの災害発生時に緊急車両の通行の妨げになる可能性も充分に考えられますから、政府は「自動車の保管場所の確保等に関する法律(通称・車庫法)」という法律を作り、これらの取り締まりを行うことにしました。

なお、この車庫法においては自動車の購入などに際して「自動車の保管場所」を届け出ることを義務付けており、この届出を行う際に必要となるのが「自動車保管証明申請書(車庫証明)」と言われる書式なのです。

ちなみに車庫法では「車庫証明なしで自動車を購入した者」や「虚偽の情報を届け出た者」に対して厳しい罰則(20万円以下の罰金等)を用意していますし、

保管場所についても自宅から半径200m以内に車庫を確保することなど細かなルールを定めていますから、自動車購入時にはこれら全ての条件をクリアーする駐車スペースを確保する必要があります。

もちろん、自宅に広い空地があればそのスペースを利用して車庫証明を取得することも可能ですが、アパートやマンション暮らしの方では「これは不可能」となりますから、月極め駐車場を借りた上で保管場所の届出を行うことになるのです。

 

保管場所使用承諾証明書について

そして、この月極め駐車場での車庫証明取得に際して必須となるのが「保管場所使用承諾証明書」という書類になります。

なお月極め駐車場の場合、あくまで他人の土地にて車庫証明を取得することになりますから、届出を受ける警察としても「地主が本当に対象の土地を駐車場として貸しているのか?」という点について根拠が必要となる訳です。

そこで地主に「保管場所使用承諾証明書」を発行させ、車庫証明の申請書類への添付を義務付けることとしたのです。

よって駐車場オーナーの元には、利用者が車を買い替えた際などに「保管場所使用承諾証明書を発行して欲しい」との依頼が舞い込むことになります。

ちなみにこの制度にあまり詳しくない駐車場利用者からは「車庫証明を発行してください!」などという言われ方をされると思いますが、駐車場オーナーが行うのはあくまで「保管場所使用承諾証明書の発行」です。

また、「保管場所使用承諾証明書の書式(ひな形)」については各地域を管轄する警察署のホームページなどからダウンロードが可能あり、駐車場の住所(地図・配置図も添付)や契約期間を書き込んだ上、大家さんの署名・捺印(認印OK)を行うのみですから、作成に大した手間は要しません。

但し、証明書発行の実務を行っていると「こうれはどうすれば良いのだろう?」と疑問に感じる点も数多いと思いますので、次項ではこうした点をより掘り下げてまいりましょう。

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保管場所使用承諾証明書発行の注意点

では早速、保管場所使用承諾証明書発行の注意点を解説して行きます。

発行手数料について

月極め駐車場の使用者から保管場所使用承諾証明書の発行依頼を受けた際には、一定の手数料を頂くのが慣例となっています。

価格については、数千円~1万円程度が相場となっていますが、これ以上の手数料を請求するオーナー様や管理会社もあるようです。

発行権利者

原則的に保管場所使用承諾証明書が発行できるのは、駐車場の貸主ということになりますから、土地の所有者が書式への署名捺印を行うことになります。

但し、土地を借り上げた者がサブリースで駐車場を貸し出している場合にはサブリースを行っている者による発行も可能となりますし、駐車場の管理を不動産会社などに委託しているケースでは管理会社から発行しても問題はありません。

書式について

前項でもお話しいたしましたが、保管場所使用承諾証明書の雛形は地域を管轄する警察署などでフォーマットを用意していますから、ホームページなどからダウンロードを行い、これに必要事項を書き込めば発行は完了となります。

なお、書式を入手する警察署によってフォームは若干異なりますが、必要事項さえ記載されていれば「どのような雛形でも受け付けてもらえる」ようです。

ちなみに必要となる記載事項は

  • 駐車場の所在地(住居表示・地番)、区画番号
  • 駐車場使用者(賃借人)の氏名・住所・電話番号
  • 使用期間(契約期間)
  • 保管場所使用承諾証明書の発行年月日
  • 発行者(駐車場オーナー等)の署名・捺印

となります。

また、添付書類として「駐車場の地図」「配置図」も証明書と共に渡して上げるのが親切でしょう。

※自動車を購入した借主の中には、ディラーなどから渡された保管場所使用承諾証明書の雛形を持参する者がおりますが、必ずしも持ち込まれたひな形に署名捺印をする必要はありません。(普段、大家さんが利用しているひな形でも問題はありません)

残存使用期間について

既に駐車場を利用している者が自動車を買い替えた際には、前項で解説した記載事項における「使用期間(契約期間)」が残り1ヶ月しかないケース(契約の更新が迫っているケース)も考えられますが、契約期間が残り少ない場合には警察に証明書を提出した際に受け付けて貰えない可能性があります。

こうしたトラブルを避けるためにも、契約期間が残り少ない場合には契約の更新を同時に行い、更新契約の期間満了までの期間を記入するようにしましょう。(私の経験上、1ヶ月半以上契約期間が残っていれば、受理される可能性は高いようです)

※当然ながら契約期間外での保管場所使用承諾証明書の発行は不可となります。

自動車の所有者と駐車場の契約者が異なる場合

駐車場は法人が借り上げているものの、実際に自動車を止めているのは法人の社員であり、車の名義も社員個人であるというケースも珍しくはありません。

こうした場合、保管場所使用承諾証明書の使用者欄に法人と社員、どちらの名前を記して良いか迷ってしまいますよね。

実は保管場所使用承諾証明書の書式の中には、「使用者」と「契約者」がそれぞれ書き込めるタイプのものがあり、前述のケースではこのタイプの書式を利用するのがベストな判断となるでしょう。

※管轄している警察署によっては「使用者」と「契約者」が分かれたバージョンの雛形を用意していない場合がありますが、他の地域の警察署の書式でも受理してもらますからネットで書式を検索してみてください。

※駐車場の契約者が親であり、自動車は子供名義といったケースにおいても同様の扱いとなります。

さて、このようなお話をすると「使用者と契約者が異なることまでは、警察もチェックしないのでは?」というお声も聞えて来そうですが、車庫法によれば『虚偽の申し出を行った者は罰則対象』とされていますから、証明書を発行する側も労を惜しまずに可能な限り正確な情報を記載したいところです。

違法行為の手助けをしないように注意

中古車販売業者などに駐車場を貸している場合、自分の商売上の都合で「契約区画に対して複数の保管場所使用承諾証明書の発行を依頼して来る者」がいます。

ちなみにこれは、「中古自動車の販売に際して業者が借りている駐車場の区画で書庫証明を取得し、購入者が新たに駐車場を借りる負担を軽減させよう」という、通称「車庫飛ばし」と呼ばれる手法です。

もちろんこうした行為は車庫法に違反するものとなり、協力者も罰せられる可能性がありますから、こうした行為の手助けをするのは絶対に避けるべきです。

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保管場所使用承諾証明書まとめ

さてここまで、保管場所使用承諾証明書について解説を行ってまいりました。

「これまで何度も証明証を発行して来たが、初めて知る知識も多かった!」という駐車場オーナー様も意外に多かったのではないでしょうか。

不動産投資などにおいては駐車場の運営は「何かと軽く見られがち」ですが、案外注意すべき点は多いですからこの機会に是非そのノウハウを身に付けていただければ幸いです。

ではこれにて、「保管場所使用承諾証明書について解説いたします!」の知恵袋を閉じさせていただきたいと思います。