これまで当ブログでは、不動産投資を始めたい方に向けて投資物件の選び方などについて記事をお届けしてまいりました。
しかしながら、開始するのに様々な準備が必要であり、動く資金も高額となる不動産投資においては、「興味はあるけど、なかなか踏ん切りが付かない!」という方も少なくないことと思います。
そこで本日は、不動産投資を開始したいが後一歩が踏み出せないという方に向けて、「賃貸買い取り(自分が住まう賃貸物件を買い取る)」という裏技を用いた『不動産投資の始め方』をご提案してみたいと思います。
自分の部屋を買い取るメリット
冒頭にて「自分が賃貸している部屋を買い取る」というお話が出てまいりましたが、今ひとつ「ピンッとこない」という方も多いかもしれません。
そこで、もう少し丁寧にご説明をするならば、「分譲マンションの一室を賃貸で借りておられる方が、大家さんに対して部屋の買取交渉を行って、自分の部屋を投資用物件として取得してしまう」というのがこの手法の要点ということなります。
こんなお話をすると「そんなことが可能なの?」という声も聞えて来そうですが、私の不動産屋さん仲間でも、この方法で分譲マンションの購入に成功した者が数多くおりますから、決して現実離れした手法ではないのです。
では最初に、自分が住む賃貸物件買取のメリットについてお話ししてみたいと思います。
相場より割安で買える可能性がある
この手法を用いるメリットとして、まず最初に挙げられるのが「通常の方法で分譲マンションを買うよりも、割安で物件を購入できる可能性がある」という点です。
当然ながら大家さんは、これまであなたが支払う家賃で収入を得ています。
もちろんそれは「部屋を貸す当然の対価」に違いはないのですが、個人のオーナーさんの場合、「借りてもらっている」という感覚を持っている方も多いものです。
そこで、買取価格の交渉を行う際に「これまでトータルで●●●万円もの家賃を支払って来た」などと言われれば、ついつい安めの値段でも売却を承諾してしまうケースも少なくありません。
また、安く購入できるもう一つの理由として挙げられるのが、空室であれば「マイホーム用物件」としての売買が可能ですが、入居中の場合は「投資物件」の扱いなってしまうという点となります。
マイホーム用であれば買い手も多く、近隣で取引される売買事例を基に売値が決定されるものですが、賃借人が居住中のオーナーチェンジ物件は賃料収入をベースにした値付けを行うしか方法がないため、たとえ同じ物件でも「オーナーチェンジ物件の方が安価な値段設定になる」のです。
マイホーム用物件よりもオーナーチェンジ物件の価格が安くなる理由については別記事「分譲マンションのオーナーチェンジ賃貸物件で稼ぐ方法!」にて詳細な解説を行っております。
なお、投資物件の値付けは「10年分の賃料合計額」が一つの基準となりますので、『現在支払っている賃料の10年分』と『住んでいるマンションの取引相場』を比較されてみては如何でしょうか。
そして、この2つのポイントを上手く突いて、大家さんと交渉を進めれば、相場よりお得に分譲マンションをゲットできる可能性が高まって来るはずです。
不動産投資のリスクを軽減することができる
前項でもお話しした通り、分譲タイプの投資用物件は入居者が居住中の状態(オーナーチェンジ)で取引されるのが通常です。
よって、「どのような入居者が借りているのか」という情報が殆どないまま、物件を購入することになり、後々『実はヘヴィクレーマーであった』などの事実が判明することも珍しくありません。(物件購入に際しては、賃貸借契約書や入居時の申込書などで入居者のプロフィールをある程度は把握できますが、「人となり」までは判らないものです)
また、現に自分が居住中なのですから、物件の問題点などについては「大家さん以上に把握している」のが通常でしょう。
よって、投資物件を購入したのは良いが「隣人がうるさくて、入居者に長く住んでもらえない」などのリスクを回避することが可能ですし、設備の劣化具合や修繕が必要な部分も充分に把握していることと思いますから、安心して物件を購入することができますよね。
更には、新規募集の賃料設定についても「値付けを誤ることはない」はずですし、賃借人の入居者後に不具合等の報告があった際にも、部屋の様子を容易にイメージできますから、正に良いこと尽くめということになるでしょう。
具体的な買取手続き
さて、賃貸買い取りの魅力をご理解いただけたところで、具体的な買取への道のりを解説してまいりたいと思います。
まず行うべきは、オーナーさんへの直接交渉となるでしょう。
このようなお話をすると「管理会社などに間に入ってもらった方がスムーズに交渉ができるのでは?」と思われる方も多いでしょうが、管理会社を通して売買の話を進めれば『満額の仲介手数料を請求される』のが通常です。
これに対して、オーナーさんと賃借人の間で売買の交渉が完了した後に、管理会社に対して「仲介に入らなくて良いから、契約書だけ作ってよ!」と依頼するならば、手数料を大幅に値切ることが可能となりますから、何としてもこちらのパターンに持ち込みたいところです。
なお、こうした直接交渉を成功させるには、大家さんとの関係性が非常に重要になって来ますから、普段からお中元・お歳暮・旅行のお土産等を届けるなどして、「大家さんと賃借人を超える人間関係」を作っておく必要があるでしょう。
また、こうした親密な関係になっていれば価格交渉も行いやすくなりますから、正に一石二鳥の方法といえます。
そしてオーナーさんとの交渉が完了すれば、不動産会社に書類の作成依頼を行い、後は売買契約と決済(引渡し)を行うだけとなるでしょう。
なお、取引の対象が「自分が住んでいる家」であるが故に、通常の売買に比べてその手続きは非常に簡単なものとなりますから、
本ブログの「不動産の個人売買について」の記事等をご参考にしていただければ、不動産業者を一切関与させない取引を行うことも可能であるとは思いますので、ご興味のある方は是非挑戦してみてください。
ちなみに、購入に際して住宅ローンを使う際には、完済するまで物件を賃貸することはできませんので、この点だけはご注意いただけますようお願いいたいます。
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買い取り交渉を上手に進めるポイント
そして最後に、大家さんとの買い取り交渉を上手に進めるポイントをご紹介しておきましょう。
交渉する時期を考える
不動産を買い取るための交渉を行う上で、非常に重要となるのが時期の問題です。
例えば、相続が発生した際などには「物件を売却して、現金化しよう」と考える方が多いですから、『相続による大家さんの変更』を伝える通知などが届いた際には、チャンスの到来となるでしょう。
また、「大家さんの引っ越し・自宅の建替え」や「相続を伴わない代替わり」なども良いタイミングとなりますが、こうした好機を見極めるためには大家さんの家庭事情を把握しておく必要がありますから、前項でお話しした「賃貸人とのリレーション作り」がここでも重要になってくるのです。
客観的なデータを提示する
賃貸物件の買取り交渉を行うからには、こちらの買取金額を提示する必要がありますが、一方的に自分が購入したい金額を突き付けてもそう簡単には「良い返事」をもらうことはできません。
そこで重要になってくるのが、「買取金額について具体的な根拠を示すこと」となります。
つまり、「同じマンションのお部屋がどれくらいの値段で売買されているのか」「同じマンションであっても、マイホーム用とオーナーチェンジ物件では価格に如何なる差が付くのか」などの事項をしっかりと説明しなければ、まとまる話もまとまりません。
但し、一般の方がこうした価格の根拠を示すのは困難でしょうから、管理会社以外の不動産業者に事情を伝え、査定報告書などを作成してもらうのがよいでしょう。(もちろん、査定報告書の作成費用は支払います)
熱意を持って話す
そして3つめのポイントとなるのが、「熱意を持って交渉に当たる」ということです。
買取交渉をする際に、「可能であれば売って欲しい・・・」といった弱気な姿勢では、なかなか大家さんの心を動かすことはできませんので、『どうしても売って欲しい』という熱意を見せることが重要です。
但し、あまり強く言い過ぎれば「大家さんの感情を害する」ことにもなりかねませんので、その「さじ加減」が大切でしょう。
ちなみに、しっかりと熱意が伝えられれば大家さんに強い印象を与えることができますから、たとえその場で拒絶されても、後々「考え直してもらえる」こともあるでしょうし、
時期的な問題で売りたくないのであれば「以前は断ったが、売る気になったので改めて声を掛けてみよう・・・」なんてこともあり得ますから、交渉を行う以上は可能な限りの『プッシュ』はしておくべきです。
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賃貸買い取りで始める不動産投資まとめ
さてここまで、借りている分譲マンションの一室を買い取って不動産投資を始める方法について解説を行ってまいりました。
冒頭では「本当にそんなことが可能なの?」とお考えだった方も、ここまでの記事をお読みいただければ、かなり「やれそうな感覚」を持つことができたのではないでしょうか。
もちろん相手があってのことですから、売却を拒否されることだってあるでしょうが、こちらは借主という「大家さんにとって、切っても切れない立場」にあるのですから、大家さんを怒らせない程度に根気よく交渉を続けてみてください。
また、この賃貸買い取りの手法は「マイホームの取得手段」としても有効ですから、『現在借りている物件を購入して我が物としたい』という方にも是非お試しいただければと思います。
ではこれにて、「賃貸買い取りの知恵袋」を閉じさせていただきたいと思います。