不動産投資は、たとえ条件が良い物件を購入しても「転売する」か「10年近く保有」しなければ『まとまった収益を獲得できない』のが特色です。

このようなお話を聞くと「本当にそうなの?」と思われる方も多いでしょうが、『初期投資額を家賃収入で回収できるまでの年月』を考えていただければ、決して誤った見解ではないことをご理解いただけることと思います。

しかしながら、投資期間中に「大きな資金が必要になるケース」もあるでしょうから、そのような事態が発生した場合にはどのように対処すれば良いのでしょうか。

そこで本日は、「賃貸マンションを分譲して収益を上げる方法を解説いたします!」と題して、一棟もの収益物件を一部屋ずつ分譲する不動産投資手法についてご説明してみたいと思います!

賃貸マンションを分譲

 

区分登記を利用した建物分譲

以前、本ブログでは「投資物件を購入して、敷地の一部を切り売りすることで売却益を得る」という手法をご紹介いたしました。

※収益物件の土地の切り売りについての詳細は、過去記事「土地の分割売却で収益を上げる方法を解説いたします!」をご参照ください。

そして、この切り売り手法においては「収益物件を購入した際の余った土地」が売却の対象でしたが、今回ご紹介する「賃貸マンションの分譲手法」においては、

建物からお部屋(またはフロアー)を切り取って、第三者へ売却する

ことが投資の「肝」となります。

さて、このようなお話をいたしますと「そんなことが本当にできるのか?」というご意見も聞こえて来そうですが、「区分登記」を用いれば建物の分割は問題なく可能となります。

区分登記と言えば、分譲マンションなどをイメージされる方が多いかと思いますが、簡単にご説明すれば

一棟の建物の中身を「部屋」や「フロー」ごとに区切り(登記簿謄本が作成され)、個々に所有権移転や抵当権の設定が可能となる登記

を指す言葉です。

そしてこの区分登記、実は分譲マンションの専売特許という訳ではなく、条件さえ整えば建物のオーナー(所有者)の意向で自由に行えるものなのです。

ちなみに、相続対策の一環として「親が所有する鉄筋コンクリート造(RC造)のビルをフロアーごとに区分登記し、子供たちに相続させるケース」は決して珍しいことではありません。

またこの区分登記は、各フロアー、各部屋の独立性(構造上の独立性と利用上の独立性)さえ保たれていれば、たとえ木造の建物であっても登記が可能という意外に『ゆるい制度』でもあるのです。

区分登記による建物分譲のメリット

冒頭でも申し上げた通り、不動産投資は購入時に投下した資金を回収するのに10年以上の年月を要するケースが殆どとなります。

また、物件購入後に雨漏りなどの建物の瑕疵が明らかになり、売主からの補償を受けられない状況となれば、追加の借入れを行って修繕費を工面しなければならい場合もあるでしょう。

一方、収益物件を購入したい意思はあっても、現在の不動産投資市場は加熱し過ぎているため、「買いたい物件が見当たらない」という投資家様も少なくないことと思われます。

そして、このような状況においては抜群の威力を発揮するのが、本日ご紹介する「区分登記による建物分譲」という手法です。

この手法であれば、現在保有している収益物件の一部を資金調達のために部分売却することが可能となりますし、自分一人では購入しきれないボリュームの収益物件を投資家仲間と共同購入することもできるでしょう。

更には、初めから区分分譲を目的に物件を探すのであれば、通常はテーブルにも乗らない物件で大きな利益を上げることも夢ではありません。

このように区分登記による建物分譲は不動産投資に様々な可能性を与える、画期的な手法となるのです。

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一棟マンションを区分登記し、部分売却する流れ

では、具体的に「どのようなやり方で、この区分登記を利用した建物の分割売買の裏技を行うのか」を見てまいりましょう。

投資対象物件の購入

まずは、部屋ごと、フロアーごとの独立性が保たれた投資用の一棟ものマンションを購入します。

ちなみに理論上では、「木造」「鉄骨造」などの建物でも区分登記は可能ですが、売却後の住民トラブル(騒音など)を避けるためにも「鉄筋コンクリート造(RC造)」または「鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)」など独立性の高い物件を選ぶのが好ましいでしょう。

区分登記の実行

そして、物件の購入が完了したなら土地家屋調査士に依頼して、売却したい部分と共用部分を区分登記によって分けていきます。

なお、区分登記の必要書類としては

  • 土地と建物の登記事項証明書
  • 公図
  • 地積測量図
  • 建物図面
  • 権利証または登記識別情報
  • 建築確認関係書類(確認済証、検査済証)
  • 土地と建物の固定資産税評価証明書

などが必要となります。

また今回は建物の分譲が前提となりますので、土地についても「敷地権である旨の登記」を行って、土地と建物を別々に処分することができない『敷地権付き区分建物』とする必要があるでしょう。

分譲の準備

さて、区分登記が完了すれば何時でも売却が可能な状態となりますが、販売活動の前に

  • 管理組合の立ち上げ
  • 管理規約の制定
  • 管理費、修繕積立金の設定

などを行っておく必要があるでしょう。

なお、「管理組合の立ち上げ」と聞くと非常にハードルが高いように感じられるでしょうが、別記事「自主管理マンション購入のポイントと注意点を解説いたします!」をご一読いただければ、決して不可能ではないことがご理解いただけるはずです。

分譲開始

こうした準備が整えば、後は分譲部分の購入者を募り、その売却益を平らげるのみです。

ちなみに得られる利益については、当然ながら「売却部分がいくらで売れるか」によって大きく左右されることになるでしょうが、私の友人の不動産業者は「仕入れ価格(購入価格)の1.5倍の価格で売却できた」という方までいらっしゃいます。

なお、物件の購入に銀行の融資を利用するのであれば、計画の概要を必ず金融機関に伝えてから計画を実行すべきです。

長期借入のつもりで銀行が融資したにも係らず、無断で切り売り転売を行うのは非常にリスキーですから、この点には是非ご注意ください。

また、分割した建物を全て第三者に売却してしまうのも一つの方法ですが、一部を自己の所有物として賃料収入を得るのも、旨味があるかと思います。

そして、転売する相手方もなるべくならば、知り合いや投資家仲間などに限定してしまうのが、初心者にはスムーズかもしれません。

こうした個人間売買であれば、販売に際しての仲介手数料も節約できますし、組合の運営も気楽に行えるはずです。

なお、既に不動産業の免許をお持ちで「区分建物の分譲に自信がある」という方ならば、全室をバラバラに分譲して大きな利益を上げることも可能となるでしょう。

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賃貸マンション分譲まとめ

さてここまで、収益マンションを区分登記して分割販売をする手法について、ご説明をしてまいりました。

本文中でも申し上げましたが、既にこの手法を実践されている方もおられますし、不動産業者さんの中にはこの手法によるマンション分譲で、莫大な利益を上げている会社もあります。

なお、不動産投資の上級者であり、ご自宅が分譲マンションであるために「管理組合運営には既に携わった経験がある」という方ならば、この賃貸マンション分譲は意外にハードルが低いものとなるでしょう。

単に収益物件を購入して、賃料収入を得るだけではなかなか不動産投資の勝者には成れない時代ですから、時には発想の転換も必要なのかもしれません。

また、本格的に物件の転売を行うのであれば、色々な意味で不動産業の免許を取得しておくのが安全ですから、この機会に是非ご一考いただければ幸いです。

更に、転売で利益を上げた場合には不動産の譲渡所得税を課税されることになりますから、収める税金についてもしっかりと計算した上でプロジェクトに取り掛かる必要があるでしょう。

そして、「実行に移すのは少々不安だ・・・」という方については、しっかりと報酬を支払った上で、不動産会社にアドバイザーとしてサポートについてもらうのも一つの方法であるかと思います。

ではこれにて、「賃貸マンションを分譲して収益を上げる方法を解説いたします!」の知恵袋を閉じさせていただきます。