賃貸アパートやマンションを運用されている大家さんにとって、空室の発生は非常に由々しき問題であるかと思います。

以前の記事、「収益物件の空室率低下に役立つ裏技をご紹介!」においては、空いた部屋を「如何に効率良く埋めるか(成約するか)」についてお話ししましたが、

そもそも空室が発生してしまうのは、当然のことながら「既存の入居者が退去してしまう」ことが最大の原因です。

また退去が発生すれば、敷金からある程度は弁済が受けられるにしても、それなりの原状回復費用はオーナー様が負担しなければなりませんし、新しい入居者が決まれば管理会社に対する広告宣伝費の支払いも余儀なくされることになりますよね。

そこで考えるべきなのが、「出費の元凶である退去をどうかに減らすことができないものか」という問題なのではないでしょうか。

そして、このようなお話をすると「そんな方法があれば、誰も苦労しない!」というお声も聞こえてきそうですが、実際に賃貸管理を行なっていると『何故か空室の出辛い物件』というのは確実に存在するものですから、考えてみる価値は充分にあるように思えます。

そこで本日は、今まで私が聞かされ来た入居者の退去理由を基に、退去が発生し辛いお部屋の作り方について考えてみることにいたしましょう。

入居者の退去理由

 

主な退去理由

売買部門に転向する以前は、賃貸の営業マンとして仕事をしていた管理人は、それなりの数の退去立会いをこなして来ました。

また、立会いの際には必ず『退去理由』を聞くようにしていたのですが、その中でも特に多かったのは「転勤」「結婚」「部屋が手狭になった」というもので、おそらくこれらがベスト3を占めるでしょう。

ここまでの解説をお読みいただいた方からは、「どれも致し方ない理由だし、退去を防ぐことなどできないのでは?」という声も聞えて来そうですが、ベスト4以下を見てみると、

「家賃が少し高い」「会社(学校)のもう少し近くに住みたい」「更新を機に、引っ越して気分を変えたい」など、ベスト3の理由と比べると『動機としては若干弱いもの』が増えて来るのです。

そしてこの手の「ゆるい理由による退去」の起爆材になるのが、大抵の場合「更新料の支払い」となります。

一般的に居住用不動産の賃貸借契約の期間は2年間となっており、2年が経過する度に賃貸借契約の更新をすることになりますが、この際に発生する一番大きな出費が更新料の支払(大抵の場合が1ヶ月分)となる訳です。(更新料の他にも、借家人賠償保険の保険料や賃貸保証会社の保証料などの費用が掛かります)

つまり「どうしても引っ越さなければならない事情はないけれど、更新料を支払うのならいっそのこと引っ越ししてしまおうか・・・」という方が意外に多いということになるでしょう。

よって、こうした『動機の弱い退去者予備軍』の動きを上手く封じることができれば、退去の件数を減らすことが可能となるはずです。

退去を防ぐおすすめの方法

さて、前項にてお話しした私の持論を基に、退去件数を減少させる手法を以下でご紹介させていただきたいと思います。

なお、これらのアイデアは既に実験済みである上、それなりの成果も上げていますので、是非ご参考にしていただければ幸いです。

では、具体的な退去防止策を見て行きましょう。

更新料を値下げする

これまでの話の流れからすれば、「当然、思い付くプラン」であるとは思いますが、ただ更新料を値下げすれば良いというものでもありません。

通常、賃貸借契約の更新料は管理会社とオーナーで折半するのが一般的です。(更新料が新賃料の1ヶ月分と定められていれば、半金を大家さん、もう半金を管理会社が頂く)

よって、いきなり「更新料なし」というのは管理会社から反発を受ける可能性もありますし、入居者に対しても、最初のインパクトは強いものの「お得感を持続させ辛い」という弱点があります。

そこでお勧めなのが、更新の度に段階的に更新料を値引きしていくという手法です。

管理会社へ半金支払うことを考えると、更新料全額の50%が値引きの限界となりますが、2年毎に10%ずつ下げても10年は引っ張れますから、それなりの効果は期待できることでしょう。

賃料も毎回少しずつ下げる

更新料の値引きと合わせて、是非行っていきたいのが「更新の度に賃料を少しずつ下げていく」という方法です。

「そんなことをしたら、ドンドン賃料が安くなる!」とご心配になるかもしれませんが、『2年毎に月額1,000円』の引きというレベルであれば、オーナー様にもそれ程のダメージは無いように思われます。

僅かな値引き額ではありますが、更新料の値引きと同時に行うことで、入居者が感じる「お得感は相当なもの」となりますし、「長く住めば済む程にメリットを得られる」というシステムは非常に魅力的なものであるらしく、この二つの方法の併用により退去率を大幅に減少させることに成功した事例も存在します。

借家人賠償保険、保証会社の費用を大家さんが負担

そして、退去防止策の最終手段とも言えるのが「借家人賠償保険の保険料、賃貸保証会社の保証料等の費用を大家さんが負担する」という手法です。

これまでに記した2つの方法と合わせれば、入居者のお得感は正に「絶大なもの」となることでしょう。

ちなみに、保証会社の保証料は意外に高額ですから多少の注意は必要ですが、借家人賠償保険はそれ程の金額でもありませんので、実際にオーナー様を直撃する負担は決して大きなものとはならないはずです。

なお、こちらの手法は「2度の更新に1回(4年に1回)程度のスパンで散発的に行う(今回の更新は保険料等を頂くが、次回は大家さんが負担する等)」か、「賃料や更新料の値下げに限界が来た時に行う」のが効果的でしょう。

入居者の退去理由から知る、退去防止法まとめ

さてここまで、退去理由から考える退去防止法を解説してまいりました。

記事をお読みになられ、「こんなに値引きしたら、儲からない!」と思われた方も多いかもしれませんが、冒頭でも申し上げた通り、退去となればその度にリフォーム費用が必要となりますし、新規募集を行えば広告宣伝費も発生するものです。

更には新規申込みが入るまでの期間、物件が一切お金を生まない状態となりますから、これらのロスを考えれば「更新料や賃料の値引きをする方が遥かにお得」ということになるでしょう。

目先の利益に捕らわれず、広い目で物件の運用を考え、入居者ファーストの賃貸経営を行うことこそが、不動産投資を成功させる最大の秘訣であると思います。

また、本文中でも申し上げましたが「退去防止策を行うのであれば、入居者に将来的なお得感を与えること」が何よりも重要です。

一度に大きなメリットを提供しても、その恩恵は直ぐに忘れらてしまうものですが、『長く住み続けることで、ドンドンお得さが増す』という持続性を大切に対策を行ってください。

ちなみに、入居時から「更新料の値引き」等の約束をするのではなく、更新が近付いて来た際に、サプライズ的にメリットの提供を行うのが更に効果的な手法であるかと思います。

但し、あまり「もったいぶって」いると、先に入居者から『退去したい』との連絡が入ってくる可能性もありますので、この退去対策では値引きなどを申し出るタイミングが非常に重要です。

ではこれにて、「入居者の退去理由から知る、長く住みたくなるお部屋の作り方!」の知恵袋を閉じさせていただきます。