賃貸契約書の特約事項

 

 

賃貸の契約において、契約書の本条と並んで非常に重要なものとされるのが、個々の契約ごとに定められる特約事項と呼ばれるものです。

法解釈においても、特約条項は通常の条文より優先されるべきものとなっていますから、ある意味で特約は契約書上の最重要項目とも言えるかもしれません。

しかしながら、不動産業界に入ったばかりの方や、賃貸借契約書の作成経験が少ない方にとっては、「一体何を書いて良いものやら・・・」と頭を悩ませてしまうことも多いはずです。

そこで本日は、管理人がこれまでの取引で学んで来た「これは書いておくべき!」という特約条文の記載例をご紹介してみたいと思います。

では、賃貸契約書特約事項に関する知恵袋を開いてみましょう。

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常に書いておくべき特約記載例

冒頭にて、個々の取引毎に内容が変わるのが「特約」であると申しましたが、どんな契約にも共通で入れておくべき条項もあるものです。

そこで本記事では、「全ての契約書に入れておいて損のない全物件共通の定型特約条項」をご紹介してまいります。

ルームクリーニングの特約

本物件退去時のルームクリーニング・エアコン洗浄費用は借主の負担となります。

賃貸借契約書ではすっかりお馴染みとなっているクリーニング特約となります。

ちなみにポイントとなるは「エアコン洗浄」まで含めてしまっている点です。

入居者の中には「エアコン掃除はルームクリーニングには含まれない!」と頑張る者もいますので、入れておいた方が賢明でしょう。

リフォーム業者特定特約

本物件の原状回復工事は、オーナー指定の業者が施工するものとします。

こちらもリフォーム絡みとなりますが、入居者の中には「原状回復工事に当たってオーナーが提示した見積書の価格よりも、安価に工事が行える業者を知っている」と言い出す方もおられるものです。

但し、ルームクリーニングひとつをとってもそのクオリティーはピンキリですから、「ただ安いだけの業者」に依頼する訳にはいきませんが、こうした申し出を断わると『工事代金を水増し請求しているのでは?』と疑われてしまう場合もありますよね。

そこで事前にこの特約条項を入れておけば、入居者とのトラブルを未然に防ぐことができるはずです。

石油ストーブ使用禁止特約

本物件での石油ストーブの使用は禁止されています。

石油の充填作業中に火災が発生するケースが非常に多いため、事故を防止するために付加される特約です。

最近では分譲マンションの管理規約でも「石油ストーブ使用禁止」の文言を見掛けることが少なくありませんので、やはり『加えておいて損はない文言』といえるでしょう。

なお、『全面禁止は厳し過ぎる』と思われるようでしたら、「但し、石油ファンヒーターは除く」という文言を付加するという手もあります。

振込手数料借主負担特約

賃借料等の振込みに際し、生じる振込手数料は借主の負担とします。

こちらも賃貸借契約書には記されることが多い特約かと思います。

大家さんが振込手数料分について損をすることがないように、是非とも入れておきたい文言となるでしょう。

トラブル防止条項

本契約に定めのない事柄であっても、借主が近隣住民への迷惑行為を継続して行った場合、または貸主の助言に従わず近隣とのトラブルを解決できない場合には、貸主は催告の上、本契約を解除できるものとします。

具体的な契約違反を犯していなくとも、近隣トラブルなどを繰り返す入居者を退去させらるように作られた文言です。

実際の法的効果にはやや不安がありますが、この文言を入れておくだけで迷惑行為の抑止力にはなるでしょう。

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消費税増税対策特約

契約期間中に消費税法が改正された場合には、その定めに従い本物件に係る消費税額も変更されるものとします。

消費税値上げに対応するための特約となります。

但し、居住用賃貸物件の賃料は消費税非課税となっておりますので、賃料に関しては駐車場や事業用不動産のみに効果を発する特約となるはずです。

なお、賃貸保証会社の保証料や借家人賠償保険料については、その費用に消費税が係わってくるケースもあるでしょうから、やはり「付加しておく方が無難な特約」となります。

 

更新料支払確約特約

借主は本契約に定められて更新料が、近傍同種の物件と比べ妥当である旨を確認した上、本契約を締結するものとします。

最近問題になっている「借主の更新料支払い拒否」を防ぐために付加される特約です。

近年の最高裁判決においては「1ヶ月分の更新料は妥当である」との判決が出ていますので、これ以下の更新料であれば『必ずしも必要な特約事項ではない』とも言えますが、念のために入れておきたい条項となります。

敷金返還時の振込み手数料非負担特約

退去時、貸主からの敷金返還に要する振込手数料は、敷金からこれを差し引くものとします。

「賃料の振込手数料は借主持ちなのに、敷金返還時は手数料を差し引くのか!」とのツッコミを受けしまいそうですが、『少しでも損をしたくない』という方は、こちらの条項をご利用ください。

現況有姿特約

借主は本物件を現況のまま借り受けるものとし、募集図面との相違や、住環境に影響を及ぼす恐れのある施設の存在を充分に確認した上で、契約を締結するものとします。

図面の間違いや、近隣の嫌悪施設についてのクレームを防ぐための文言となります。

物件所在地における調査(現地調査)にそれ程力を入れない賃貸の契約では、必ず入れておくべき文言となるでしょう。

但し、この特約が付加されていても「近隣に暴力団事務所がある」などの重大な事実の不告知を完全に免責されることはありませんので、ご注意ください。

 

退去立会いを有利に進める特約

借主は、室内に自己の責任によらない汚れ・傷等を発見した場合には、引っ越し前に貸主に申し出るものとします。なお、申し出でのない傷や汚れについては、退去時に原状回復工事の対象となることを確認しました。

こちらも「法的にどこまで有効か」が怪しい文言とはなりますが、トラブル回避の抑止力という意味で『加えておいて損はない特約条項』であるかと思います。

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全物件共通の特約まとめ

さて、ここまで見て来たものが「全ての賃貸借契約に入れておいて損のない特約条項」の例文集となります。

これらの条文は、管理人自身が取引を重ねる中で他業者の契約書に目を通し、「これはいいね!」というものを寄せ集め、蓄積したものとなりますので、是非皆様の契約書作成時の参考としていただければ幸いです。

なお、今回は時間の都合でお話できなかった「特殊なケースの特約事項」については別記事「賃貸特約条項の記載例をご紹介致します!(居住用・特殊ケース編)」にて解説させていただきます。

ではこれにて、賃貸契約書の特約事項の作り方の知恵袋を閉じさせていただきたいと思います!