不動産会社の選び方|家を購入するときに確認したいポイントを実務経験から解説

マイホームを購入するとき、「どの不動産会社へ相談すればよいのだろう」と迷う方は多いと思います。

テレビCMで見掛ける大手不動産会社もあれば、地域で長く営業している不動産会社もあります。また、同じ会社であっても担当する営業スタッフによって、知識や経験、物件の調べ方、説明の丁寧さには違いがあります。

不動産は高額な買い物です。購入した後になって「こんな問題があるとは知らなかった」とならないためには、物件そのものだけではなく、仲介を依頼する不動産会社や担当者をしっかり選ぶことも重要です。

この記事では、不動産売買の実務経験をもとに、家を購入するときの不動産会社の選び方や、担当者を見る際のポイントについて解説します。

この記事のポイント

家を購入するときの不動産会社選びでは、会社の規模や知名度だけで判断するのではなく、売買仲介の経験、地域への理解、物件調査の姿勢、説明力、担当者の対応などを確認することが重要です。

家を購入するときの不動産会社の選び方と確認ポイント

目次

家を購入するときは「会社名」だけで不動産会社を選ばない

不動産会社を選ぶ際、「大手だから安心」「地元の会社だから詳しそう」と考える方もいるでしょう。もちろん、会社の規模や営業エリアは一つの判断材料になりますが、それだけで良い不動産会社かどうかを判断することはできません。

不動産売買では、物件の紹介だけではなく、現地確認、役所調査、法務局での調査、売主側との条件調整、住宅ローンに関する案内、重要事項説明、売買契約、引渡しまで多くの業務が発生します。

特に中古住宅や土地では、道路、境界、建築履歴、法令上の制限、上下水道やガスなど、購入前に確認しておきたい事項が数多くあります。

そのため、購入時の不動産会社選びでは「どこの会社か」ということ以上に、どのような調査や説明をしてくれる会社なのかを見ることが重要だと私は考えています。

購入時に利用する不動産会社にはどんな違いがあるのか

住宅を購入するときに接する不動産会社には、さまざまなタイプがあります。会社の規模だけではなく、どのような取引を得意としているのかを確認しておくとよいでしょう。

大手の不動産仲介会社

大手の不動産仲介会社は、店舗数や営業担当者が多く、広いエリアで物件を取り扱っていることが特徴です。社内の契約書式や業務手順などが整備されている会社も多く、複数の地域にまたがって物件を探している場合には相談しやすいでしょう。

一方で、大手であっても実際の取引を担当するのは一人の担当者です。そのため、「大手だから必ず安心」と考えるのではなく、担当者の知識や経験、説明の仕方まで確認することが大切です。

地域密着型の不動産会社

地域密着型の不動産会社には、特定の市区町村や沿線で長く営業している会社があります。地域によっては、周辺の土地事情、道路の特徴、過去の分譲状況などについて詳しい担当者に出会えることもあります。

ただし、「地元の会社だから地域に詳しい」とは限りません。賃貸を中心に営業している会社もあれば、売買仲介を主力としている会社もありますので、購入相談をする際には売買の取扱実績も確認しておいた方がよいでしょう。

売主の不動産会社から直接購入するケース

新築建売住宅やリノベーション済み住宅などでは、不動産会社自身が売主となって物件を販売している場合があります。この場合には仲介会社を介さず、売主である不動産会社と直接契約するケースもあります。

仲介取引とは取引の形が異なるため、「不動産会社から購入する」という点は同じでも、売主なのか仲介会社なのかは最初に確認しておくとよいでしょう。

不動産会社によって紹介される物件は違うのか

不動産会社同士では、レインズと呼ばれる不動産流通標準情報システムなどを通じて物件情報が共有されています。そのため、一般的な仲介物件については、複数の不動産会社が同じ物件を取り扱っていることも珍しくありません。

ただし、すべての不動産会社が常にまったく同じ物件情報を同じタイミングで持っているわけではありません。売主から直接売却依頼を受けた物件、販売を始めたばかりの物件、特定の会社が販売窓口となっている物件などでは、情報の入り方に違いが出ることがあります。

レインズの仕組みについて詳しく知りたい方は、不動産のレインズについて解説した記事も参考にしてください。

また、一般に公開される前の物件情報については、未公開物件の探し方について解説した記事で詳しく紹介しています。

不動産会社を選ぶときに確認したいポイント

それでは、実際に住宅購入を依頼する不動産会社を選ぶ際、どのような点を確認すればよいのでしょうか。

売買仲介を得意としているか

不動産会社と一口にいっても、賃貸仲介、賃貸管理、売買仲介、買取再販、土地分譲など、それぞれ得意とする分野があります。

住宅購入を依頼するのであれば、売買仲介を日常的に行っている会社の方が、物件調査や契約、住宅ローン、引渡しまでの流れにも慣れている可能性が高いでしょう。

会社のホームページを見るだけでも、売買物件を多く取り扱っているのか、賃貸物件が中心なのかはある程度確認できます。相談時に「この地域ではどのような売買を扱っていますか」と聞いてみるのもよい方法です。

購入する地域に詳しいか

購入を希望している地域について、担当者がどの程度理解しているかも確認しておきたいポイントです。

駅からの距離や買い物の利便性といった情報だけではなく、周辺の道路事情、土地の成り立ち、住宅地としての特徴などを把握している担当者であれば、物件を見る際にもさまざまな角度からアドバイスを受けられることがあります。

ただし、地域知識だけで物件の安全性や法的な問題まで判断できるわけではありません。地域を知っていることと、対象物件について正式な調査を行うことは別の話として考える必要があります。

物件調査をきちんと行っているか

私が不動産会社選びで特に重要だと考えているのが、物件調査に対する姿勢です。

中古住宅や土地では、現地を見ただけでは分からない問題が少なくありません。例えば、前面道路がどのような道路なのか、建替え時にセットバックが必要なのか、境界標が確認できるのか、建築確認や検査済証の記録があるのか、水道や下水道がどのように引き込まれているのかなど、確認すべき事項は多岐にわたります。

不動産取引で行われる現地確認については、不動産の現地調査について解説した記事で詳しく紹介しています。

道路については、単に「前面道路があります」というだけでは十分ではありません。例えば幅員の狭い道路では、建築基準法上の道路種別やセットバックの有無が建替えに影響することがあります。詳しくは2項道路とセットバックについて解説した記事も参考にしてください。

また、建物については建築確認・確認済証について解説した記事、水道については水道埋設管の調査方法について解説した記事で詳しく説明しています。

現場メモ|すぐに答えられなくても問題はない

購入希望者から質問を受けた際、担当者がその場ですべて回答できる必要はないと思います。不動産には個別性があり、役所や法務局などで確認しなければ判断できないことも多いからです。

むしろ重要なのは、分からないことについて曖昧な回答をせず、「確認して回答します」と持ち帰り、実際に調べたうえで説明してくれる担当者かどうかです。

物件のデメリットも説明してくれるか

購入希望者にとって耳触りの良い話だけをする担当者より、物件の欠点や注意点についても説明してくれる担当者の方が、私は信頼しやすいと考えています。

どのような物件にも、多かれ少なかれメリットとデメリットがあります。駅から近ければ騒音が気になることもありますし、静かな住宅地であれば駅から遠いこともあります。中古住宅であれば、建物や設備に相応の経年劣化があるのが普通です。

重要なのは、欠点が一切ない物件を探すことではなく、購入前に問題点を把握し、それを許容できるか判断することです。その判断材料をきちんと提示してくれるかどうかは、不動産会社を見るうえで大切なポイントになります。

質問への回答とレスポンスが適切か

住宅購入では、物件探しから契約、住宅ローン、引渡しまで担当者と何度も連絡を取り合います。そのため、連絡の取りやすさや回答の分かりやすさも重要です。

質問に対して回答が極端に遅い、聞いたことと違う回答が返ってくる、説明内容が頻繁に変わるといった場合には注意した方がよいでしょう。

一方で、調査が必要な事項について「確認に時間が掛かります」と説明されること自体は問題ではありません。回答の速さだけではなく、どのように確認し、どのような根拠で説明しているのかを見ることが大切です。

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不動産会社以上に担当者を見ることが重要

不動産会社を選ぶ際には会社そのものも重要ですが、実際の取引では担当者の影響も非常に大きくなります。

同じ会社であっても、担当者によって経験してきた取引の種類や得意分野は異なります。そのため、会社名だけではなく「この担当者に購入を任せても大丈夫か」という視点を持つことが重要です。

知識や経験があるか

経験年数が長ければ必ず優秀というわけではありませんが、売買仲介ではさまざまな問題に遭遇します。道路、境界、建築、住宅ローン、契約条件などについて、過去の経験をもとに適切な確認方法を考えられる担当者は心強い存在です。

ただし、専門的な用語をたくさん使うことが知識の証明ではありません。購入者にとって分かりにくい内容を、できるだけ分かりやすく説明してくれるかを見る方がよいでしょう。

希望条件をきちんと理解しているか

良い担当者は、単に物件を次々と紹介するだけではなく、購入希望者が何を優先しているのかを把握しようとします。

予算、地域、広さ、駅からの距離、築年数などの条件だけではなく、「なぜその条件を希望しているのか」まで理解できれば、希望条件に完全一致しなくても、購入者に合った別の選択肢を提案できることがあります。

反対に、希望条件をほとんど聞かず、会社側が売りたい物件ばかり勧めてくる場合には、一度冷静になって考えた方がよいでしょう。

契約を必要以上に急がせないか

人気物件では、他の購入希望者から申込みが入る可能性があります。そのため、不動産会社から「早めに判断した方がよい」と言われること自体は珍しいことではありません。

しかし、十分な説明や調査を行わないまま、「今日決めなければ売れてしまう」「とりあえず契約しましょう」などと必要以上に決断を急がせる場合には注意が必要です。

不動産は簡単に買い直すことのできない高額な商品です。急ぐ必要がある場面であっても、何を確認したうえで判断すべきなのかを説明してくれる担当者の方が安心でしょう。

分からないことを曖昧に答えないか

不動産実務では、担当者がその場で判断できないことが必ずあります。問題なのは「分からないこと」ではなく、分からないまま推測で回答してしまうことです。

例えば道路について質問した際に、現地の見た目だけで「普通の道路なので問題ありません」と回答するのではなく、必要に応じて役所で道路種別を確認する。境界についても、「ブロック塀があるのでここが境界です」と決めつけず、境界標や測量図などを確認する。このような姿勢が重要です。

購入時に注意したい不動産会社・担当者の特徴

不動産会社を選ぶ際には、「良い会社の特徴」だけではなく、少し注意した方がよい対応も知っておくと判断しやすくなります。

  • 物件のメリットばかり説明し、注意点についてほとんど触れない
  • 質問に対して根拠を示さず断定的に回答する
  • 調査が必要な事項までその場で簡単に判断してしまう
  • 購入希望者の条件を十分に確認せず物件を勧める
  • 契約や購入申込みを必要以上に急がせる
  • 質問への回答が何度も変わる
  • 重要な確認事項を契約直前まで説明しない

もちろん、これらの一つに当てはまったからといって、直ちに悪い不動産会社ということではありません。しかし、いくつも重なるようであれば、別の会社や担当者へ相談してみるのも一つの方法です。

不動産会社は1社に絞った方がよいのか

物件探しを始めたばかりの段階では、最初から一つの不動産会社だけに絞る必要はないと思います。複数の会社へ相談してみることで、それぞれの説明の仕方や担当者との相性を比較することができます。

ただし、同じ物件について複数の会社へ同時に内覧や交渉を依頼すると、売主側との連絡関係が複雑になることがあります。購入したい物件が具体的に決まってきた段階では、どの会社を通じて進めるのか整理した方がよいでしょう。

会社を比較するときに見るポイント

同じ物件について質問してみると、会社や担当者による違いが分かりやすくなります。「この物件で購入前に確認した方がよいことはありますか」「道路や境界について何か注意点はありますか」などと聞いてみると、担当者がどのような視点で物件を見ているのか確認できます。

重要事項説明まで待てば問題点は分かるのか

不動産を購入する際には、契約前に宅地建物取引士から重要事項説明を受けます。そのため、「問題があれば重要事項説明のときに教えてもらえるのだから、それまでは細かく確認しなくてもよい」と考える方もいるかもしれません。

しかし、重要事項説明の段階で初めて重大な問題を知った場合、それまで購入を前提として進めてきた時間や労力が無駄になることがあります。

そのため、購入判断に大きく影響する事項については、可能であれば物件を検討している段階から確認しておいた方がよいでしょう。

重要事項説明書にどのような内容が記載されるのかについては、不動産売買の重要事項説明書について解説した記事も参考にしてください。

実務経験から感じる「良い不動産会社」の共通点

これまで不動産取引の現場に関わってきた経験から感じるのは、良い不動産会社や担当者ほど「何でも知っているように見せる」ことにはこだわらないということです。

不動産は一つとして同じ物件がありません。道路の扱いが複雑な土地もあれば、境界が不明確な土地、過去の建築資料が残っていない建物、特殊な配管状況となっている物件などもあります。

そのようなときに重要なのは、担当者が最初から答えを知っていることではなく、何を確認すればよいのかを理解し、必要な調査を行い、その結果を購入者へ分かりやすく説明できることだと思います。

現場メモ|「問題がない」と言い切る前に何を確認したかを見る

例えば「建替えできます」「境界は問題ありません」「水道も入っています」といった回答だけでは、本当に十分な確認が行われているのかは分かりません。

道路であれば行政で道路種別を確認したのか、境界であれば境界標や測量資料を確認したのか、水道であれば本管だけではなく引込状況まで確認したのか。結論だけではなく、どのような資料や調査に基づいているのかを確認することが大切です。

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不動産会社選びは会社の規模より担当者と調査力を見る

住宅購入時の不動産会社選びでは、大手か地域密着型か、店舗が大きいかといった点だけで判断する必要はありません。

売買仲介を得意としているか、購入する地域について理解しているか、物件のデメリットまで説明してくれるか、そして何より購入前の物件調査を丁寧に行ってくれるかを確認することが重要です。

また、実際の取引を進めるのは担当者です。質問に対して分からないことを曖昧にせず、必要な調査を行ったうえで説明してくれる担当者であれば、購入者にとって心強い存在になるでしょう。

不動産会社選びで大切なこと

会社の知名度だけで決めるのではなく、「この担当者は自分が購入する物件をきちんと調べてくれるか」という視点で選んでみてください。良い物件を見つけることと同じくらい、購入を任せられる不動産会社や担当者を見つけることも大切です。

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