不動産の購入や売却は人生の一大イベントとも呼べる、重大局面となります。

また、それがマイホームの購入ともなれば、何十年もその家で生活を続けていくことになる訳ですから、これは最早「今後の人生を左右する問題」と言っても過言ではないでしょう。

そして、こうした勇気と思い切りが必要な行動をとるのに欠かせない存在となるのが、不動産業者という職種の者たちです。

なお、インターネットを検索すれば様々な不動産業者のホームページを見付けることができますが、「一体どの不動産会社に任せるべきか」を考え始めると、答えはなかなか出てきませんよね。

そこで本日は、マイホーム探しの際に依頼を行う不動産会社の選び方(購入時)についてお話をしてみたいと思います。

不動産会社を選ぶ

マイホーム購入時の不動産業者選びの基礎知識

では早速、「マイホーム探しにおいてどのような不動産会社に依頼を行うべきか」という疑問にお答えしたいところですが、よりご理解を深めていただくために、まずは不動産売買の仕組みと物件情報の入手先についてお話ししてみたいと思います。

不動産売買の仕組み

一般的に、物件所有者が売却を行う場合には「不動産業者へ依頼」を行うことになりますが、この際に締結されるのが媒介契約となります。

この売却の媒介契約においては、買主を探し出すことはもちろん、引き渡しまで取引を安全に遂行する義務を不動産業者が負うこととなり、それと引き換えに仲介手数料という報酬を得ることになります。

一方、物件を探している側も不動産屋さんの店舗を訪れるなどして、物件情報や内覧といったサービスの提供を受けることになりますが、購入物件が決定して売買契約を締結する際には、不動産業者と正式に購入の媒介契約を締結し、成約時には仲介手数料を支払うことになるのです。

よって、売主から直に売却依頼を受けている不動産業者と直接出会うことができれば、売買に介在する業者は1社のみということになりますが、自力で買主を発見するのは非常に困難であるため、通常は売主側と買主側に2社の不動産会社が仲介者という立場で取引に係わってきます。

不動産業者と物件情報

物件探しのために不動産業者を訪れると、様々な物件資料を提示してもらうことができますが、自力でこれだけの情報を集めてくるのは少々無理があります。

また、物件売却の依頼を受けた不動産会社も自力で買主を発見するのは難しいですし、他の不動産会社に協力を求めるにしても、その労力は大変なものになるのが現実です。

そこで不動産業界では「レインズ」と呼ばれる物件情報を共有するためのネット媒体を構築しており、売却依頼を受けた業者はレインズに物件情報を登録、購入希望の顧客を持つ業者はレインズから情報を引き出してお客様へ提供するというのが物件紹介の流れとなります。

そして、これが何を意味しているかと言えば「原則として不動産業者は物件情報を共有しているため、保有している情報量にあまり大きな差はない」ということです。

但し、不動産業者が売主の建売物件やリノベーション物件ではレインズに登録する前に知り合いの業者間で成約してしまうケースも少なくありませんし、

一般の方が売主でも人気エリアの物件についてはレインズ登録期限前に未公開物件として成約することもありますから、こうした情報を保有する不動産業者に如何にして出会うかも、物件探しの重要なポイントとなってきます。

*未公開物件の探し方については別記事「未公開物件の情報を入手する秘訣をご紹介!」をご参照ください。

物件購入依頼を行う不動産屋にも様々な業態がある

さて、これまでのお話にて売買の基本的な仕組みや物件情報の出所についてはご理解いただけたことと思いますので、ここからは不動産会社の選び方について解説していこうと思いますが、一口に不動産屋さんといってもその業態は様々であり、行う取引の種類によって得手・不得手があるのが現実です。

例えば、賃貸管理を専門にしている業者は「売買に精通している可能性は低い」でしょうし、同じ売買メインの会社でも「不動産投資物件を専門に扱っている業者ではサービスに行き届かない点も出てくる」かもしれません。

よってまずは、自分の目的にあった不動産業者を選ぶことこそが「不動産会社探しの第一歩」となりますので、売買仲介に際して選ぶべき『不動産業者の業態』を以下でご紹介してまいりましょう。

大手不動産仲介業者

不動産会社を探すにあたり、まず思い付くのが「大手不動産業者の看板を背負った仲介会社」なのではないでしょうか。

これらの不動産会社は、テレビCMもバンバン流していますし、大きな駅の周辺ではその店舗を見掛けることも少なくないはずです。

そしてこれらの業者は「仲介業務専門の会社」となりますので、『売却に際しても、購入に際しても、優れたパフォーマンスを発揮できる業者』といえるでしょう。

なお、優れたパフォーマンスを発揮できる理由としては、これらの業者が「大手不動産会社」という絶大なネームバリューを有しているがために、兎にも角にも「こなす取引の件数が膨大」であり、経験不足によって引き起こされる取引上の事故を回避できる可能性が高いと考えられるからです。

また多くの場合、大企業がバックに付いていますから、「取引上の事故が発生した際の保証も充実していそうだし、社員教育も行き届いているイメージがある」というのが、こうした大手会社の人気の秘密であるとは思いますが、実は少々注意が必要な点もあります。

まず知っておいていただきたいのが、先程も申し上げた通り「これらの大手仲介会社は大手不動産会社の子会社であることが殆ど」ではありますが、場合によってはフランチャイズに加盟した別会社が看板だけ借りて営業しているというケースもありますので、「大手の名前が付いているから安心」とは一概に言えない部分もあるという点です。

更に、不動産の仲介には定型のマニュアルなど存在しませんから、新人社員は先輩の仕事を見なが自力で実力を付けていくしかありませんので、たとえ大手企業であっても社員のクオリティーにはかなりのバラ付きが生じてしまいます。

ちなみに、「大手の不動産仲介会社は、社員も一流大学を卒業したエリート揃い」というイメージがあるかもしれませんが、これも大きな間違いです。

仲介会社は離職率も非常に高いため、『門戸を広くし、仕事のできる社員だけが残ればよい』という気風が多くの会社にありますから、就職情報誌等を見て採用試験を受けた中小不動産会社の元社員や、全く別の職種から流れて来た者も数多く在籍しているのが実情となります。

もちろん、大手の仲介業者の営業マンの中には素晴らしい人格とスキル、そして豊富な取引経験を持った方も多いですし、冒頭で述べた大手ならでは安心感があることも確かですが、「質の悪い営業マンが混じっている可能性がある」ことは忘れないようにしていただきたいと思います。

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地元の仲介不動産業者

続いてご紹介するのが、地域密着の営業を行なっている地元の仲介不動産業者となります。

業態としては、大手不動産業者と変わらない仲介専門の会社となりますが、その強みは何と言っても「地元に密着した情報力」でしょう。

このタイプの不動産業者は地域の地主と強いパイプを持っていますから、相続に際して売却を任されるなどして物元(ぶつもと・不動産業界用語で売主から直に売却依頼を受けた業者を指す)になることも少なくありませんし、

同じ地域の他の地元仲介不動産業者と連携して、未公開物件情報を共有している場合もありますから、大手仲介業者では扱えない物件情報を持っているケースも多いのです。

但しその一方で、大手仲介業者に比べてどうしても取引件数が少なくなる宿命にありますので、取引経験とスキルについては「やや不安がある」という業者も存在するのが実情でしょう。

建売がメインの不動産業者

建売がメインの不動産業者とは、土地の仕入れを行て新築建売物件を建築し、これを売却することを生業とする、所謂「建売屋さん」と呼ばれる不動産業者(戸建てデベロッパー)のことです。

但し、本項で解説するのはテレビCMなどを行っている大手の建売メーカーではなく、地域に密着した中小規模の企業が主なターゲットとなります。(大手デベロッパーは仲介業務を行っていない会社が殆どです)

これらの建売屋さんは「原則として購入希望者の集客を目指していない」ため、駅から離れた場所やビルの一室などにオフィスを構えるなど、目立たず地味な店構えの業者が多いようです。

先程もお話しした通り、この手の不動産会社は建売の分譲が本業となりますが、「マイホームを購入したい」というお客様がいれば、売買仲介も請け負ってくれるケースが多いでしょう。

一方、「家を売りたい」という場合には「より安く買おう(より安く土地を仕入れたい)」という思惑から、物件の査定価格を安めに提示してくる可能性もありますので注意が必要です。

さて、こんなお話をすると「どうして、わざわざ建売屋さんに仲介の依頼をしなければならないの?」という疑問をお持ちになられる方も多いかと思いますが、

建売屋さんは土地の仕入れから建物の建設、販売まで一手にこなしますから、仲介を専門とする会社以上に「不動産に関する知識の蓄積」があります。

※但し、分譲する物件の販売については、土地を買わせてもらった売買仲介会社に一任しているパターンも多い。(土地を紹介してもらったお礼として、販売を一任して仲介手数料を稼がせるのが目的ですが、当然建売屋さんも売主として販売には携わることになります)

よって、取引上のトラブル回避能力や土地・建物の瑕疵を発見するスキルについては、他の業態の会社を上回るスペックを有している可能性が高いという訳です。

また更には、建売屋さん自身が現在分譲している物件があり、これを購入するのであれば「仲介手数料を支払わずに物件を入手できる可能性」もあります。

但し、売物件情報の収集能力については「仲介専門の業者に及ばない」というのが実情ですので、この点は理解した上で付き合っていくべき業者となるでしょう。

 

このように不動産会社には様々な業態がありますので、「自分のマイホーム探しに最適な業者を如何に選択できるか」が非常に重要となってくるのです。

なお、不動産会社の業態を絞り込んだとしても、実際に担当となったのが『建売屋さん出身の大手会社営業マン』や、『地元仲介業者出身の建売営業マン』などといった経歴の持ち主であった場合には、個々の営業マンごとに得意とするジャンルも変わってきますので、この点にはご注意をいただければと思います。

物件購入時の不動産業者選びのポイントと注意点

これまでの解説にて「不動産会社の業態」についてはある程度の絞り込みができたことと思いますので、本項では更に詳細な不動産業者選びのポイントと注意点をお話ししていきたいと思います。

物件購入を依頼する不動産業者選びはホームページから

マイホームの購入依頼を行う不動産業者探しに当たっては、まずホームページを確認してみるのがおすすめです。

ホームページを見れば、対象の業者がどのような業態で事業を営んでいるかが一目でわかりますし、コンテンツを見ていくとその不動産業者の仕事に対する姿勢なども浮き彫りになってきます。

例えば、長年に渡りホームページが放置されているようなら、あまりやる気のない業者である可能性が高いですし、物件情報欄に「おとり物件」を載せているようでは誠実な業者であるはずがありません。

また、ホームページには不動産業者の免許番号が記されていますから、その気になればこの番号から過去の行政処分の履歴や免許更新時の決算内容まで閲覧することが可能ですから、不動産業者の素性を調べるには非常に役立つはずです。

不動産会社の店内の様子と従業員の身だしなみ

続いてチェックしていただきたいのは不動産会社の店舗内の様子と、そこに勤務する従業員の身だしなみについてとなります。

もちろん、昔ながらの質素な店舗で営業している会社もあれば、スタイリッシュな内装で音楽を流しながら接客をしている企業もあるでしょうが、大切なのは店内の清潔さと整頓ができているかという点です。

どんなにオシャレな店舗であっても、掃除が行き届いておらず隅々に埃が積もっているようでは仕事に対する姿勢を疑わざるを得ませんし、机の上に書類が散乱しているような社内では仕事のミスが増えてくるのも当然でしょう。

そして店舗内の様子と同じ理由で、そこの務める従業員の身だしなみも重要な判断基準となります。

だらしない服装や不潔な印象を与える社員を放置しているようでは、とてもまともな会社とは言えないでしょうし、こうした従業員にマイホームという一生に一度の大きな買い物のお手伝いをしてもらうのは厳しいものがあるはずです。

マイホーム探しを担当する営業マンの品質をチェック

そして最後に確認するべきなのが、自分の担当となる営業マンのクオリティーとなります。

どんなに素晴らしい会社を選び抜いたとしても、担当者がチャランポランであれば取引が上手くいくはずがありませんから、以下の点をしっかりと確認していきましょう。

営業マンのチェックポイント
  • 不動産に関する充分な知識と経験を備えているか
  • 地域の情報や未公開物件情報の入手ルートを有しているか
  • 提示した希望条件を盛り込んだ物件の情報提供ができているか
  • お客からの質問や要望に対応できているか
  • 丁寧かつ手際の良い仕事ができているか

このように条件を羅列していると、何やらとてもわがままなお客になった気分がしてきますが、マイホーム探しを任せるに当たってはそのどれもが非常に需要な要素となってきます。

不動産売買では物件の欠陥や問題点を見抜くのに、営業マンの「知識と経験」が何よりもモノを言いますし、地元の情報に精通していなければホットな物件情報も入手するのは困難でしょう。

また、数多く物件情報を送ってはくれるものの、こちらの要望を正確に把握していないために的外れな情報ばかりを提供してくる営業マンも少なくありませんし、専門性が高い不動産取引において「不明点を尋ねても曖昧な返事しかしてくれない」、「売主に要望を出しても正確にそれを伝えてくれない」のでは、取引が上手くまとまるはずがありません。

そして、物件の引き渡しが完了するまでには物件調査から重要事項の説明、売買契約書の作成など緻密さが要求される作業が数多く控えていますし、こうした業務をスピーディーにこなしていかねばならないのが不動産業者のお仕事ですから、営業マンのスペックは非常に重要になってくるのです。

なお、このようにお話しすると「言いたいことは解るが、営業マンの品質を見抜く方法が知りたい」というお声が聞こえて来そうですが、そんな方々には是非当ブログをお読みいただければと思います。

当ブログで扱っている不動産の知識や、業界の裏話を担当営業マンに振っていただければ、不動産に関する知識や経験をどの程度有しているかがお解りいただけるはずですし、記事を読み進めて行けば仕事の手際の良し悪しも自ずと感じ取ることができるようになるはずです。

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不動産会社を選ぶコツまとめ

さて、ここまで売買の仲介を依頼する不動産会社の選び方についてご説明をしてまいりました。

一口に不動産会社といっても様々な「業態の違い」があり、選択する不動産会社、そして担当する営業マンによっても取引の行く末が大きく左右されてしまうことがご理解いただけたことと思います。

ちなみに、今回ご紹介した不動産業者の選定方法は悪質業者を見分ける方法にも通じるものがありますが、より詳細に危険な不動産会社の回避方法を知りたい方は別記事「悪徳不動産会社の見分け方」をご参照いただければと思います。

ではこれにて、「不動産会社を選ぶポイントについて」の知恵袋を閉じさせていただきたいと思います。