賃貸・売買の別を問わず、発生すると非常に厄介なのが雨漏りや漏水の被害です。

当然ながら、天井などから染み出す水はそれだけでも非常に気になるものですし、建物が受けるダメージに、落ちて来た水による家財の被害など、その厄介さは筆舌に尽くし難いものがあります。

このように非常に厄介な水漏れですが、発生場所が分譲マンションの一室であった場合には、問題は更に「面倒さを増して行く」ことになるでしょう。

そこで本日は「分譲マンション水漏れトラブルの体験記をお届け!」と題して、管理人が実際に体験した漏水事件の顛末記をお届けしたいと思います。

分譲マンション水漏れトラブル

 

水漏れトラブル発生

私がこのトラブルに直面したのは、以前からお付き合いのあるお客様から「投資用にファミリータイプの分譲マンションを購入したい」とのご依頼を頂いたのが、その切っ掛けでした。

なお、「分譲マンションの一室を購入して、これを賃貸することで収益を上げるという手法」は非常にポピュラーなものとなりますが、その対象がファミリータイプとなると、これは少々物件探しに苦労させられることになります。

そもそも、既に賃貸済み(賃借人入居済み)の「ファミリータイプのオーナーチェンジ物件」が市場に出回ることは稀ですし、空室となっている場合にはマイホーム用としての価格設定となっているため、お客様が満足する利回りが確保できる物件を探すとなると、これはかなりしんどい作業となる訳です。

*過去記事「分譲マンションのオーナーチェンジ賃貸物件で稼ぐ方法!」においてはこうした物件を利用した投資法をご紹介いたしましたが、この記事の頃には前述の投資法が広く知られるようになっており、物件の入手が困難になっていました。

そして「これはかなり時間が掛かりそうだ・・・」などと考えていたのですが、この時はどういう訳か、知り合いの不動産業者からサクッと条件に見合う物件情報が入ってきたのです。

ちなみに物件のスペックは、築25年の30世帯が住まう分譲マンションの一室で、専有部分の面積は50㎡程というものになります。

ファミリータイプの物件としてはやや面積は小さいですが、相続絡みでの売却であり、とにかく素早く現金化したいというのが条件でした。

その点、私のお客様は投資目的ということで融資なしでの購入が可能でしたから、売却を急ぐ売主にはピッタリのお相手となり、あっさりとお話が進んで行くことになります。

『今回は何だかツイているな・・・』、心の中でそうつぶやきながら粛々と契約・決済へと取引は進んで行きました。

こうして無事に引渡しも完了し、後はのんびりと買主が賃料収入を得た上で賃借人が退去したら、マイホーム物件として転売して売却益を得るという寸法です。

しかしながら、世の中そう簡単に儲け話は転がっていないもので、引き渡し後の僅か3ヶ月で入居者は退去してしまった上、その室内は正にボロボロの状態となっており、これでは転売したとしても売買価格はかなり減額されてしまうはずです。

そうなれば当初に見込んでいた利益を上げることは困難となりますので、「ここは最低限のリフォームを行い、再び賃借人を入れて賃料収入を得た後に退去のタイミングで再び転売する」というのがオーナー様のご判断でした。

そこで急遽、新規募集に備えて私が手配した業者がリフォーム工事をスタートすることになります。

また以前、分譲マンションのリフォームにおいて「管理組合への工事申請」をせずにトラブルとなったこともありましたので、今回はこちらもキッチリと済ませてから工事に着手しましたので、これで問題はないはずです。

ところが、悪いことは不思議と重なるものでリフォーム工事も終盤に差し掛かったところ、施工業者から緊急連絡が入ります。

業者の話によれば、朝現場に来てみたところ玄関に昨日までは無かった水たまりが出現していたというのです。

慌てて現場に急行して状況の確認を行いますが、水の出所はどうやら天井である様子なので、上階のお部屋が漏水の原因である可能性が濃厚です。

よって、まずはオーナー様にご連絡をして状況をご報告し、許可を頂いた上で上階の方に声を掛けてみます。

なお本来であればここで原因が究明され、水の回った下階の壁紙などの修理費用を上階の所有者に頂ければ「問題は無事に解決」なのですが、今回はそう単純に事は運びませんでした。

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解決編

さて、上階の住人は50代後半と見受けられる男性でしたが、なかなか性格にクセもありそうな雰囲気の人物です。

ただ、ここまで来て引き下がる訳にも行きませんので、事情を話して洗濯機の排水パイプの外れや、水をこぼした覚えがないかを確認してみますが、「全く身に覚えがない」とおっしゃいます。

そこで仕方がなく、下の階のリフォームを行っている業者に「原因の究明」を依頼することにしました。

ちなみに床下などを走る配管に亀裂が生じている場合には、フローリングを剥ぐ等の大掛かりな作業が必要となりますが、今回の件は水が漏れている位置から見ても廊下にあるPS(パイプスペース)の水道メーター廻りに原因がありそうです。(漏れ出している水の様子から見て、原因は上水道であることに間違いはなさそうです)

そして実際にPS内部の水道メーター周りを確認してみれば、確かに露出している配管の表面が湿っている上に水滴も付着しており、この水が少しずつ流れ落ちて下の階の玄関付近に水を降らせているのは間違いないでしょう。

『さて、これからどうするか・・・』と考えていたところに、上階の入居者が呼び出した管理組合の理事長が登場します。

なお、上階の入居者の言い分としては「水道メーターよりも廊下側からの水漏れなら、そこは共有部分なので管理組合の責任であり、メーターより部屋側なら自分の責任となるので、水漏れの箇所がはっきりするまでは補修費用は払えない」と言うのです。

そこで管理組合の理事長はマンションの管理会社に連絡し、専属の水道屋さんを手配しますが、「見えている範囲に配管の亀裂等は見当たらない」と言います。

よって恐らくは「廊下側か部屋側、どちらかのコンクリートの壁に埋もれた部分の水道管で漏水が発生し、配管の表面を伝わって水が流れているのではないか」との予想です。

つまり、この状況が意味することは「壁を壊してみない限り、共用部分での水漏れなのか、専有部分からの水漏れなのかはわからない」ということになります。

ちなみに、この期に及んでも上階の住人は「はっきりするまで修理費用は負担しない」の一点張りですし、理事長は「おろおろ」するばかりです。

ところで通常、こうした見えない部分で水漏れが発生して場合には原因究明に費用を掛けず、他の箇所から水道管を分岐して直接室内の配管と接続し、古い配管はそのままにしておくのが定石となります。

そこで私は「まずはこの配管ルート変更の工事を行った上で、後からどちらの費用負担にするか話し合うべきなのでは?」との提案をしてみました。

すると幸いなことに、この提案はあっさりと受け入れられ、とりあえずは漏水を止めることに成功します。

下階の内装についてもリフォーム業者にやり直してもらいましたので、後は上階のオヤジと管理組合の話し合いが決着してから、責任を負う方に費用を請求するだけです。

こうして今回の漏水事件は無事に解決されましたが、「分譲マンションの漏水事故はなかなか面倒なものである」ことを痛感させられました。

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マンション水漏れまとめ

さて、この事件の最終的な顛末ですが、結果的に漏水の位置は確定できず、オヤジの勢いに負けた管理組合が全ての費用を負担することになったそうです。

ちなみにその後、自分なりに調べてみたのですが、判例などによると「共用部分か専有部分かの判定が付かない漏水被害に遭った者は、とりあえず管理組合に損害賠償の請求ができるルール」となっているとのことでした。

不動産屋さんでありながら、こうした法解釈は知りませんでしたので良い勉強をさせていただきました。

なお現在では下の階のお部屋にも入居者が決まり、特にクレームもなく暮らしてくれておりますので、とりあえずは一安心ですが「やはり水漏れは厄介なもの」ですね。

そして水道管の寿命はおおよそ30年程度(鉄管の場合)とされていますから、これくらいの築年の物件を購入する際には、是非ご注意いただければと思います。

ではこれにて、分譲マンション水漏れトラブルの体験記を締め括らせていただます。