賃貸入金管理

 

賃貸物件を主に取り扱う不動産屋さんが、必ず直面することになるのが賃貸管理というお仕事です。

お部屋を探しているお客様に物件をご紹介する「客付け業務」だけでは、なかなか安定した収入を得ることは難しいため、賃貸メインの不動産会社の経営を軌道に乗せようと思えば、管理物件の数を増やすのが最も確実な方法となるでしょう。

また、一口に賃貸管理といっても「契約管理」「入金管理」という2種類の形態が存在しており、

「契約管理」は新規契約や契約更新といったイベントごとに報酬が発生するのに対して、

「入金管理」では様々な日常業務を行うのと引き換えに、対象物件の「総月額賃料の3%~5%程度」を毎月の報酬(物件の規模、管理の内容によって割合は変わります)として頂ける上、

既にお話しした契約管理における「新規契約・更新というイベントごとの収入」も重ねて得られる形態となります。

よって、「入金管理」による収益は「契約管理」とは比較にならないボリュームとなる上、固定収入という安心感も得ることができますから、「入金管理を行う物件をどれだけ確保できるか」が賃貸系不動産屋さんのライフラインとなってくる訳です。(詳細は過去記事「賃貸管理会社の仕事内容をご紹介いたします!」をご参照ください)

なお以前の記事においては、私が初めて担当した「契約管理の体験記」をお届けいたしましたが、「入金管理についても解説して欲しい」とのお声も少なくありませんでしたので、今回はそのご要望にお応えしてみたいと思います。

では、賃貸入金管理のお仕事レポートを見てみましょう。

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初めての本格的な管理

初めての物件管理を請け負って以来、幸運なことに他のオーナー様からも次々とお声を掛けていただいた管理人は、気が付けば数件の管理物件を任される立場になっておりました。(但し、どれも契約管理ばかり)

そして時折、賃貸借契約の更新などが入れば半月分の更新事務手数料(大抵の場合、入居者が払う更新料は大家さんと管理会社で折半される)こそ入って来るものの、なかなか新規の募集は発生せず、「売上」という面では殆ど足しにならない状況が続きます。(新規募集で成約すれば1ヶ月分の広告宣伝費をオーナー様から頂ける)

『やはり管理業務でそれなりの売上を確保したいのであれば、総合的に物件の管理を行う入金管理の仕事を取って来るしかない』

自分の中でこうした想いが膨らんで行く中、一人の中年男性が当社にご来店します。

こちらのお客様、不動産投資を目的に中古の賃貸アパートを購入したものの「自分では管理業務をこなし切れない」との判断から、当社へ相談に訪れたとのことでした。

また、肝心な物件のスペックについては築20年弱の木造アパートで世帯数は10世帯、間取りは全て2Kで月額賃料収入の合計は70万円程度になるといいます。

そこで『これは絶好のチャンス!』とばりかに、「当社による入金管理のプラン」を猛プッシュすることにしました。

まずは月額賃料の10%で月額7万円の管理費を打診してみますが、やはりこれは却下されてしまいます。

その後は互いの腹の内を探り合うような交渉が続きますが、結果的には賃料の7%(満室時で約5万円の月額管理費)にて「入金の管理」「クレームの受付と対応」、そして「日常的な雑用」を請け負うことでお話をまとめことができました。

ちなみにしぶとくも、プラス月額3万円で「月2回の共用部分の定期清掃」を承ることができる旨も提案してみましたが、「掃除は自分でやる」とのことでお断りされてしまいます。

流石に『こちらの思うとおり』には交渉をまとめられなかったものの、「何はともあれ初めての入金管理を獲得し、毎月の固定収入が手に入る!」と喜んでいたのですが、実はこの物件がかなりの曲者であることを、後に思い知らされることになるです。

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総合的な管理業務はかなり大変

さて、物件オーナー様から正式に管理業務を請け負うことになりましたので、早速お仕事を開始します。

まずは物件の各部屋に通知を出し、「当社が新たな管理会社となったので、今後のクレーム受付や契約更新手続きなどは全てこちらで引き受ける旨」を通達しました。

なお、賃料の振込先については既に大家さんが専用の口座を用意くれていましたので「口座の変更は不要」であり、オーナー様がキャッシュカードを保有し、私の会社が通帳を預かる形で入金の管理を行うことになりました。

そして既に月末も近かったので、家賃の入金状況を確認するために銀行で通帳の記帳をしてみますが「翌月分の賃料が予定の半分程しか振り込まれていない状態」です。(今回の物件は翌月分の賃料を前月の月末までに支払う契約になっている)

『ちょっと記帳に行く時期が早過ぎたのかな・・・』などと思いながら、月が替わるのを待って再度トライしてみましたが、10戸中、3戸が未納となっていました。

そこで早速滞納者たちへの督促を開始しますが、なかなか連絡を付けることができず、手紙や張り紙などを駆使してどうにか2件の賃料を回収することに成功します。

ちなみに残りの1件については、その後も入居者と話すことができなかったため、連帯保証人に連絡してようやく月の半ばに入金となりました。

また、この間も様々な厄介ごとが私の下に舞い込んで来ます。

最初に起こった事件は、2階の部屋の住人が誤って洗濯機の排水ドレインを外したまま洗濯をしたことで1階のお部屋が水浸しとなり、「入居者同士のいざこざ」へと発展してしまったため、その仲裁に私が入ることとなりました。

また、共用部分の電灯が切れているとの通報への対応が1件に、退去立会いが1件。

そして極め付けに、入居者の親族から「ここ1週間、父親との連絡が取れない」とのご連絡が入ります。

これは物件に住まう70代の単身男性の娘さんからの連絡であり、「自分は遠方にいるので、代わりにお部屋の鍵を開けて確かめて欲しい」というです。

確かに管理会社ですからお部屋の鍵は預かっていますが、いくら親族の許可があっても勝手に鍵を開ける訳には行きません。

そこでオーナー様から承諾を得た上で、警察官に立ち会ってもらい部屋に踏み込むことにします。

突入前には何度もインターフォンを鳴らし、ノックもしましたが返答はなかった上、郵便受けにも新聞が溜まっていましたので「これはまさか・・・」と思っていましたが、ドアを開けてみると入居者の爺さんがうつぶせに床に倒れているではありませんか。

『業界に入って1年も経っていないのに、早くもやってしまった・・・』、この世界に入る前からある程度の覚悟はしていましたが、実際にご対面すると思わず足がすくみます。

そして鼻を突く異臭・・・、その臭いはまるで日本酒です。

『えっ?酒?』、そうです、何とこの爺さん酒を飲んで寝ていただけだったのです。

警察官が抱き起すと、ベロベロながらもしっかり「受け答え」もできており、特に問題は無いご様子です。

そして娘さんからの電話に出なかった理由を問い質せば、「以前に電話した際、娘に嫌なことを言われてから・・・」と呆れた理由をろれつの回らない口で捲し立てます。

『生きていてくれて良かった・・・』と胸を撫で下ろしますが、それと同時に強烈な怒りが込み上げ、爺さんにガッツリと説教をしてしまいました。

もちろん継続して、このペースでクレームや問題が発生する訳ではないでしょうが、『こうした厄介ごとの一切を月額5万円で請け負ってしまったのは、とんでもない失敗だったのでは・・・』という不安が込み上げて来たのを今でも鮮烈に憶えています。

このようにしてスタートしたのが、私が初めて経験した入金管理のお仕事であり、その後もこの物件では「管理業務の基本」をみっちりと叩き込まれることになりました。

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入金管理まとめ

さてここまで、私が初めて請け負った「入金管理」のお仕事の模様をレポートしてまいりました。

なお、この物件の管理を始めて数年後、オーナー様は再び物件を売却することとなり、これを機会に私の会社も管理業務を下させていただくことになりました。(厄介な住人が多く、割りに合わないと判断したため)

またこの出来事を切っ掛けに、私は「他の不動産屋さんがどのように入金管理の仕事を引き受けているのか」を注意深く観察するようにしていたのですが、

やはり多くの管理会社は管理を請け負う金額についてかなり「シビアな計算」と「予想」の元に、オーナー様へのご提案をしておられるご様子です。

確かに今思えば、建物のメンテナンス状況や入居者のデータなどを精査することで「どの程度手間が掛かる物件なのか」はそれなりの予想が付きますし、そもそも「オーナー様の手に余る」という段階で慎重を期するべきでした。

このように「固定収入というエサ」にまんまと釣られてしまった私ですが、今ではしっかりと管理する手間を予測した上で、管理報酬の算出を行うようにしております。(時には「契約管理しか引き受けない」とお返事してしまうこともあります)

ではこれにて、賃貸入金管理のお仕事レポートの顛末記を締め括らせていただきたいと思います。