分譲マンションのリノベーション

 

近年の中古マンション市場を語る上で、「リノベーション済みマンション」の存在に触れずして、お話を進めることは不可能でしょう。

既にご存じの方も多いと思いますが、「リノベーションマンション」とは、躯体(コンクリートの構造部分)を除く全ての部分に手を加えるといった大規模工事がなされた物件のことであり、

キッチンや風呂はもちろん、床や壁まで全て新品という、云わば「マンション版新築そっくりさん」とでも言うべき代物です。

通常、中古マンションを購入するとなれば、売買代金の他に多額なリフォーム費用が掛かるのが常ですが、こうした物件では改築費用が一切不要となりますし、売主は不動産業者となりますから瑕疵担保責任(建物の欠陥などに関する責任)の面でも安心感が高いなどの理由から、大変に人気を博しています。

また、築年数が古ければ古い程に、当然マンションの売買価格は安くなってしまうのが常ですが、リノベーションを施すことで購入希望者の印象は大きく変わりますから、状況によっては「より築年数の新しい物件以上の価格で取引が成立する」ことさえあるのです。

また、こうした『価格の逆転現象』に不動産業者が反応を示さないはずもなく、現在では「中古マンションを不動産屋さんが買い取り、リノベーションを行って転売(再販売)する」というビジネスモデルが確立しています。

そして今や、再販売可能な中古マンションは「不動産業者同士で物件の奪い合うが行われる」までの状況となっているのですが、残念なことに、私が勤める会社はこのブームに乗り遅れてしまい、なかなかリノベーション事業に参入することができずにいました。

そんな状況の中、偶然にも私の下に『絶好の案件』が舞い込むこととなり、人生初のマンションリノベーション事業を行うこととなったのですが、本日はその時の模様をお話ししてみたいと思います。

では、分譲マンションのリノベーション販売の舞台裏をレポートして行きましょう。

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絶好の素材を購入!

冒頭でお話した通り、当時の不動産業界では『リノベーションマンションの転売』は「一種のブーム」とも呼べる状況になっていました。

同業者と飲みに行くと、「リノベーションで儲けた!」などというお話もチョイチョイ耳にしておりましたから、『自分も是非チャレンジしてみたい』というのが正直な気持ちだったのを憶えています。

現在ではリノベーション事業専門の不動産業者も多数存在し、既に成熟しきった感のあるこの事業ですが、当時はその黎明期であり、まだまだ私のような町場の不動産屋さんにも参入のチャンスがあったのです。

但し、一度は分譲マンションの部屋を買い取って、それを改装して転売する以上、どんな物件でも利益が出せるという訳ではありませんので、売却の案件が入って来る度にその機会をじっと伺っていました。

このようなタイミングの中、ある日突然に舞い込んで来たのが相続でマンションの一室を貰い受けたが、長年無人の状態で放置されていたため処理に困っているというお客様のご相談でした。

早速、実際にお部屋の中を見せていただくことにしましたが、内部は相当放置されていた様子で、床もかなり腐った状態です。

この状況では、仮に購入希望者が見付かっても「入居に際して法外なリフォーム費用が必要」となりますから、その分販売価格を相当お安く設定しなければなりません。

また、売主様的には『売買代金を相続人同士で分配するつもり』とのことであり、早期の売却を希望されていますから、これは正にリノベーション事業を行う絶好のチャンスと言えるでしょう。

そこで、売主様へ「我が社での買取り」をご提案してみたところ、あっさりとご承諾を頂くことができ、トントン拍子で契約・決済と話が進んで行きます。

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リノベーションへの道!

その後、引渡しも無事に終わりましたので、いつもお世話になっている建築屋さんと現場でリノベーションの打合せに臨むこととなります。

まずは、お部屋の中を隅々まで見て回りますがやはり使える部分(そのまま活かせる部分)は殆どなしということで、全ての木部(床・天井)と設備(ユニットバスやトイレ)を取り払うリノベーション工事を行うことに決まりました。

しかしここで頭をもたげるのが、一体どのような部屋に作り替えるかという問題です。

解体が完了すれば、そこにはコンクリートの大きな空間が広がる訳ですから、2LDK、3DK、はたまた大型1LDKなど様々な間取りに作り変えることが可能となります。

また、フローリングや建具の部材に色、システムキッチンやユニットバスを如何なるサイズにして、何処のメーカーを使うか等、全てを自分で決めなければなりません。(建売の場合はハウスメーカーからの指定があるので、選択肢はかなり限られるのですが)

更に、お部屋全体のイメージの方向性を決めておく必要がありますから、デザイナーズ住宅のような内装を目指すのか、輸入部材を使った高級感溢れるお部屋にするのか、早期成約を目指して万人受けするデザインにするべきなのかなど、決めなければならない事柄は多岐に及びます。

ちなみに、こうした葛藤の中で最終的に決定したのはとってもとってもスタンダード(無難)な内装のお部屋でした。(オシャレな内装はとにかくお金が掛かるため)

『次の機会があれば、もっともっと冒険をするぞ!』と心に誓いながら、工事の発注を行います。

そして工事内容が決まれば、管理組合に工事の申請をした上で「着工」という段取りになるのですが、かなり大規模な工事となるため『施工音へのクレーム』なども入り、作業はなかなか進みませんでした。

音のクレームに対しては工事時間を調整する(朝遅く工事を始め、夕方早くに作業を終える)ことで事態を収めることができましたが、これにより工期は大幅に遅れ、竣工までに2ヶ月近い期間を要することになってしまいます。

それでも、お部屋は想像以上のクオリティーに仕上がりましたので、いよいよ販売活動の開始です。

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販売終了、そしてまとめ

さて、本格的な販売活動に入る前に行うべきは「売買価格の決定」となりますが、想定していた以上に工事費は掛かってしまったため、まずは我ながら『ちょっと高額過ぎるか?』という値付けにてお客様の反応を見ることにします。

また今回の仕入れは、一般の方からの直接の買取りでしたので、仕入れに際して世話になった不動産業者(物件を卸してくれた仲介業者)へ優先的に販売を任せる必要はありません。

よって、「自分が優遇してあげたい不動産屋さん」に情報を提供し、今後のコネクション作りにこの物件を活用することも可能ですし、飲み仲間の業者に自慢して回るのも自由です。(普段は仲介業者を介しての仕入れが殆どであるため、こうしたケースは珍しい)

そこで、物件情報をご紹介する不動産屋さんを精査しながら営業活動を進めていくことにしが、なんと紹介開始の2日後には、初日に情報を流した業者から買付証明が送られて来てしまいました。

『早い、早すぎる』そんな本音を隠しながら、お客様の属性(勤続年数や資金計画の内容など)を確認してみますが、文句の付けどころはなく、私の初めてのリノベーション物件は僅か2日でソールドアウトとなってしまったのです。

なお契約・決済も順調過ぎるくらいに進み、事業としての収益も上々の結果となりました。

この案件により、『リノベーションは何て素晴らしい事業なのだ』とすっかり味をしめてしまった管理人でしたが、これ以降は殆ど仕入れのチャンスに恵まれることなく現在に至っております。

そして今や、このタイプの事業はリノベーション業者と言われる専門業者の独壇場となっており、私なんぞには出る幕がないのが実情です。

こうして振り返ってみると、色々な意味で「悔しい思い」をした現場でしたが、リノベーションという事業を早い時期に経験ができたことは、不動産業者として非常に価値のあることだったように思えます。

ちなみに、仲介という立場ではその後もリノベーションマンションを扱う機会は多く、その問題点なども見えて来ましたが、その詳細については別記事「リノベーションマンションのデメリットや選び方を解説!」をご参照ください。

ではこれにて、「分譲マンションのリノベーション販売の舞台裏をレポート!」を締め括らせていただきたいと思います。