「マイホームを購入しよう!」と不動産の販売図面等を見ていると、時折「但し書き道路」などという表示を見掛けることがありますよね。

そして、こうした物件は得てして相場よりもかなりリーズナブルなものが多いのですが、「安いものには必ず訳がある」のが不動産の鉄則ですから、なかなか購入に踏み切れないという方も多いのではないでしょうか。

もちろん実際に購入する際には「仲介業者から詳細な説明」がなされるはずですが、中には但し書き道路についての説明が足りずに取引上のトラブルに発展するケースも少なくないようです。

そこで本日は「但し書き道路について解説いたします!」と題して、この不思議な但し書き道路の正体に迫ってみたいと思います。

但し書き道路

 

但し書き道路とは?

私たちが暮らす日本は「法治国家」となりますから、我々の生活の全ての行為は法の支配を受けることになります。

よって、コンビニで買い物をしたり、ネット通販で注文を行うのにも民法や商法などのルールに基づいた取引が行われますし、自動車を運転すれば道路交通法などの定めに従わねばなりません。

また、建物を建てる際には建築基準法という法律に則って工事を進める必要がありますが、この法律を紐解いてみると「建物と道路について多くのルール」が定められていることに気付かされるはずです。

そして法文によれば、「建築基準法上の道路に2m以上接していない土地には、原則建物を建てることはできない」とされています。

なお、ここで疑問に感じるのが「建築基準法上の道路とは何なのか?」という点であるかと思いますが、建築基準法42条には『法律で認める道路の種類』がいくつか定められており、ここに記された道路であれば問題なく家を建てることが可能です。

しかしながら、我が国の街並みを見まわしてみると「以前から家が建っており、見た感じは道路の形態をとっている」にも係らず、『実際には建築基準法上の道路ではない道』も数多く存在しているのが実情であり、

こうした「道路もどき」に接する土地を持つ方々は法律上『建て替えができない』ことになりますが、これは少々厳し過ぎるルールであるような気もいたします。

そこで法律は建築基準法の「43条但し書き」に、道路とみなされない土地に接する物件でも『特別な許可を受けることで建築が可能となる特例』を用意することにしました。

つまり「但し書き道路」とは、『本来法律上の道路ではないが、状況次第で再建築を行う許可を取得することができる土地(道)』を意味する言葉となるのです。

 

但し書き道路のリスク

前項の解説をお読みくだされば「道路」とは呼ばれているものの、実は法律上の道路としては認められていないのが「但し書き道路」であることをご理解いただけたはずです。

そして既にお話しした通り、但し書き道路については「特例的に建物を建てることが許可される」のですが、特例である以上は『それなりのデメリットやリスクがある』のは当然のことでしょう。

そこで本項では、但し書き道路に接する物件が負うリスクについて解説してみたいと思います。

未来永劫、再建築が可能な訳ではない

行政からの許可が得られれば再建築が可能となる但し書き道路ですが、1度建築の許可が下りてしまえば、未来永劫建て替えが可能という訳ではありません。

実は建て替えの許可が下りたとしても、それは1回限りのことであり「次に建て替えを行う際には改めて手続きを行い、再度許可を得る必要がある」のです。

また、多くの行政区域においては許可を得るために「道路に接する土地の所有者全員の承諾書」並びに「実印の捺印と印鑑証明書の添付」を義務付けていますが、

長い年月の間には、周辺の土地の所有者が変わる可能性も充分にありますから「改めてこれらの書類を集められるか?」と言われれば、これは全く自信が持てませんよね。

銀行からの融資が受け辛い

さて、こうした宿命を背負う物件となれば、建替えなどに際して建築費用の融資を行う銀行も、担保として提供される土地について「通常の物件と同等の評価をする訳には行かなくなって来る」ものです。

もちろん、「どこの銀行も相手にしてくれない」などということはないでしょうが、自分の希望する銀行で融資が受けられない可能性は充分にありますし、借りられる金額も制限されることになるでしょう。

資産価値が低い

銀行の融資に際して「不利な点」があるとなれば、これは物件の資産価値にも大きな影を落とす問題となるのは不可避です。

よって、但し書き道路に面する自宅を売りに出したとしても「住宅ローンによって満額の融資が受けられない可能性」がありますので、購入できる者はある程度のキャッシュを持っている人に限られることとなり、結果的に「売り辛い物件」とのレッテルを貼られてしまうことになるでしょう。

また、不動産業者が売買に際して行う重要事項説明においても「建築基準法上の道路に接しておらず、再建築ができない可能性があります」という文言は確実に記載されますから、この説明を聞いて購入を断念する買い手も少なくないはずです。

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但し書き道路の許可申請について

これまでの解説にて、但し書き道路の概要や問題点についてはご理解いただけたことと思いますが、「既にこうした道路に面している自宅をお持ちの方」や「立地などの関係で但し書き道路に接した物件を購入せざるを得ないという方」もおられることでしょう。

そこで本項では、こうした方々に向けて但し書き道路での建築許可取得の流れをご説明してみたいと思います。

なお、但し書き道路の許可申請は物件が所在する行政によっても手順が少々異なる可能性がありますので、あくまで参考資料としてお読みいただければ幸いです。

事前相談

但し書き道路に接する物件で建替えをする際に、まず行うべきは行政への事前相談となります。

建築基準法43条1項但し書きの条文を見てみると「建築を行う建物が国土交通省が設ける基準をクリアーしていることに加え、特定行政庁が建築審査会の同意を得た上で許可する」となっていますから、まずは特定行政庁(市区町村)にお伺いを立てるという訳です。

但し、建築する建物が国土交通省が設ける基準をクリアーしていなければお話になりませんので、事前相談の段階でしっかりとした建築計画を立てておくべきでしょう。

また既にお話したように、行政ごとに「独自の但し書き道路の建築許可基準」を設けていますから、『相談する物件が各行政の基準を満たしているか』も確認しておく必要があります。

申請書類の準備

さて事前相談において「建築許可取得の見込みあり」との判断が下れば、次は具体的な許可申請の準備に着手することになります。

行政ごとに必要書類は異なりますが、

  • 許可申請書
  • 公図
  • 登記簿謄本(登記事項証明書)
  • 案内図
  • 建築確認関係書類
  • 権利関係者の同意書等

などが用意するべき必要書類の主なものとなるでしょう。

なお、この中で一番厄介な代物となるのが「権利関係者の同意書等」であり、「但し書き道路として扱う土地の所有者」や「この土地に接する他の家の所有者」などから同意書へ実印で押印を頂いた上に、印鑑証明書の添付も求められることが殆どです。

もちろん、「一軒だけどうしても実印で捺印をしてくれない」とか、「実印は押すが印鑑証明の提出は拒否された」などという場合には、行政も事情を考慮してくれる可能性もありますが、原則として漏れなく書類を完成させる必要があるでしょう。

許可申請

こうして許可申請に必要な書類が集まれば、後は行政に対して提出を行うだけとなります。

そして書類を受け取った行政は、定期的に開催されている建築審査会に書類を回して判断を仰ぐことになるでしょう。

なお行政が受理した段階で「審査落ち」となるケースは殆どありませんから、不安に感じながら結果を待つ必要はありません。

許可後

こうして行政からの許可が下りれば、晴れて建築確認の申請を行うことができますから、通常の場合と同様に手続きを行って工事に着手します。

ちなみに「但し書き道路のリスク」の項でもお話した通り、将来的に再度建て替えをする際には原則としてこの手続きをもう一度行う必要がありますから、その点については是非ご注意ください。

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但し書き道路まとめ

さてここまで、建築基準法上の道路に接しない土地での建築をテーマにお話をしてまいりました。

「但し書き道路」という名称から、『何やかんや言っても建て替えはできるはず』とお考えの方も多かったことと思いますが、本文中でも述べた通り「一定の基準を満たさなければ決して許可は下りません」ので、是非お気を付けいただければと思います。

ではこれにて、「但し書き道路について解説いたします!」の知恵袋を閉じさせていただきたいと思います。