我が国ではより多くの方がスムーズにマイホームを取得できるようにと、様々な税制優遇が用意されています。

但し、全ての優遇制度に精通するのはなかなか困難ですし、中には同時に組み合わせて使用することのできない減税制度も存在しますので注意が必要です。

そこで本日は「住宅ローン控除と3000万円控除を同時に受ける裏技をお教えします!」と題して、知っていれば非常にお得な『マイホーム買い換えの減税テクニック』をご教示してみたいと思います。

※2020年の税制改正により、住宅ローン控除と3000万円控除の併用は不可となりました。

住宅ローン控除と3000万円控除

ローン控除と3000万円譲渡所得税控除

冒頭でも申し上げた通り、我が国ではマイホームを購入する際や、これを売却するにあたり、様々な税制優遇措置を受けることができます。

購入時であれば「住宅ローン控除」に「すまい給付金」等、売却時には「譲渡所得税の3000万円控除」「買い換え特例」「マイホーム売却時の軽減税率」等がこれに当たり、各々内容に差はあるものの上手に利用すればかなりの節税効果を上げることが期待できるはずです。

但し、これらの制度は「自由に組み合わせて利用可能」なものばかりではなく、制度によってはどちらか一方しか適用されないといったケースも珍しくありません。

そして、これらの減税制度の中でも「マイホームの買い換えを行おう」とお考えの方に大きく係って来るのが、「住宅ローン控除」と「譲渡所得税の3000万円控除」という2つの制度です。

ちなみに「住宅ローン控除」は、マイホーム購入時に住宅ローンを利用した場合にその年から10年間(消費税10%にて物件を購入した場合には13年間)の年末ローン残高に対して「1%」を掛けた金額(1年目の残額が1000万円なら10万、2年目残高が800万円なら8万円)を所得税から控除することのできる制度を指します。

※住宅ローン控除の詳細は別記事「住宅ローン控除とは?適用条件や注意点を解説します!」をご参照ください。

これに対して「譲渡所得税の3000万円控除」は一定の要件を満たしたマイホームを売却した際に、その譲渡益から3000万円の所得控除が可能となる制度です。(仮に4000万円で家が売れれば、3000万円の控除により、譲渡所得税の課税対象は1000万円となる)

さて、もしもこの2つの税制優遇を同時に受けられれば、売却に際して大幅に収める税金を抑えられる上、新しく買った物件においても住宅ローン控除による節税効果が期待できますから、これは正に「2度美味しい思い」ができますよね。

しかしながら、そのような上手い話があるはずも無く、この2つの制度は原則的に「併用が不可」というのが一般的な見解となっています。

よってマイホームの買い換えを行う場合には、この2つの制度のどちらかを選択し、より自分にとって節税効果の高い方を利用するのがベストとされているのですが、実は「ある一定の条件」を満たすことができれば併用が可能となるのです。

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2つの税制優遇を同時に受ける裏技

では早速、「住宅ローン控除」と「譲渡所得税の3000万円控除」の優遇を同時に受ける方法をご説明して行きましょう。

このテクニックを可能にする鍵は、それぞれの優遇制度の適用要件の中に隠されています。

両制度に共通しているのは、「一方の制度を利用すると、もう一方の税制優遇は3年目の年末まで利用できない」という条件です。

そして、期間を空ける必要があるのならば「3年待ってしまえば良いのでは?」というのが、今回のテクニックの「肝」になります。

但し、この方法を一気に解説すると少々解り辛くなってしまいそうなので、ここからは「先に新しいマイホームを購入する場合」と「先に今の家を売却した場合」の2つのパターンに分けてご説明して行きます。

先に新しいマイホームを購入する場合

当然のことながら、先にマイホームを購入した場合には最初に利用することになるのは住宅ローン控除となります。

そして住宅ローン控除の利用にあたっては通常通り、確定申告の際に年末のローン残高に1%を掛けた金額を所得税より控除しましょう。

なお、ここでポイントとなるのが新しい家に住み始めてから3年目の正月から年末までに、古い家の売却を完了することです。

仮に2020年6月に新しい家を購入したとすると、3年目の2022年12月末までは3000万円控除が利用できません。

これに対して、3000万円控除は「住まなくなった日から3年目の年末まで」は利用できるルールとなっています。

よって2020年6月に新しい家を購入して引っ越していれば、2023年1月(3000万円控除適用解禁)~12月末(3000万円控除適用限界)という、1年間のみのチャンス期間を発生させることが可能になります。

もちろん、この1年の期間内に以前の家が売れなければ、3000万円控除を諦めるしかないというリスクもありますが、人気のあるエリアで適正な値付けを行えば、決して不可能な販売期限ではありません。

また、販売を開始するまでは古い家を賃貸することも可能ですから定期建物賃貸借などを利用すれば、その間に賃料収入を上げることも可能となるでしょう。

先に今の家を売却した場合

さて、続いてご説明するのが現在の自宅売却を先行した場合です。

こちらのケースでは売却により住む家が無くなってしまっている上に、既に3000万円控除の適用を受けてしまっているため直ぐにマイホームを購入しても住宅ローン控除が受けられない状態になっています。

よって、自宅売却後はとりあえず賃貸物件に移り住み、まずは確定申告で3000万円控除の申請を行い、3年目の年末以降に新たなマイホームを購入して住宅ローン控除を利用することになるでしょう。

つまり、2020年6月に現在住む自宅を売却すれば、その時から2021年、2022年までは賃貸物件で暮らし、2023年以降はいつでも住宅ローン控除を利用してのマイホーム取得が可能ということになります。

よって前項でご紹介した「購入を先行した場合」と比べて、時間制限がないのは気楽ではあるものの、一度賃貸物件に移り住む費用と手間が問題となるでしょう。

但し、転勤などを機会にこの手法を行えば、無駄なく万全の税制優遇を受けることができますから、状況次第で非常に効率的な節税が行えるはずです。

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ローン控除と3000万円控除まとめ

さてここまで、一般的には難しいとされている住宅ローン控除と3000万円控除を併用する裏技をご紹介してまいりました。

売却を先行するにしても、購入を先行するにしても、それなりの時間制限や手間が掛かる方法となりますが、得られるメリットも決して小さくはありませんので、ご興味のある方には是非お試しいただければと思います。

なお税金を節約する裏技というと、ややグレーな方法を想像してしまいがちですが、今回のようにやり方一つで「堂々と得をすることができる方法」もありますから、常に情報にはアンテナを張り巡らせておきたいところですよね。

また機会がございましたら、不動産取引でメリットが得られる情報をご紹介してまいりたいと思います。

ではこれにて、「住宅ローン控除と3000万円控除を同時に受ける裏技をお教えします!」の知恵袋を閉じさせていただきます。