位置指定道路で相続対策

 

土地や収益物件など不動産にて資産をお持ちの方にとって、最も関心のあることの一つが相続に関することなのではないでしょうか。

相続税については前回の改正で基礎控除の額が大きく減少しましたから、子孫たちに財産を残すために、税金対策用の管理会社を設立したり、アパートなどの建物だけを生前に贈与したり等、様々な対策を講じられていることと思います。

またインターネットなどを検索すれば、様々な相続対策の方法を知ることができますが「理屈は理解できても、実践可能な手法は極僅かしかない・・・」なんてお声もよく耳にします。

そこで今回は位置指定道路という私道を敷設するという手段により、相続対策を行ってしまおうという少々風変わりな手法をご紹介してみたいと思います。

では、「位置指定道路で相続対策行おう!」の知恵袋を開いてみましょう。

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私道で相続対策を!

「私道を用いた相続対策と言われても、いまひとつピンッと来ない!」という方も少なくないと思いますので、まずはその概要からお話してみたいと思います。

このプランで利用する私道は位置指定道路と呼ばれるものです。

位置指定道路とは、以前「不動産の道路調査について!」という記事でもご説明いたしましたが、建築基準法第42条1項5号に定められた「宅地の開発のために敷かれる道路」となります。

このようなお話をすると「宅地開発なんて素人にできるはずがない!」というお声も聞えて来そうですが、実はこの道路、一定の施工基準さえ満たして工事を行えば、誰にでも造ることが可能な道路となっているのです。(但し、行政の許可が必要)

許可基準は地域によっても異なりますが、道路幅は4m~6mが通常で、「隅切り」や「転回場所」の設置、そして「水道・下水の敷設」等が義務付けられているところが多いでしょう。

また、道路造りに際しては「設計」に「許可申請」、実際の「工事」に「完了検査」など様々な作業や手続きを要しますが、土木工事を専門としている業者さんに依頼すれば、全てを「丸投げ」することができますから、地主さん的には許可証に判を押して、お金を払うだけということになるのが通常です。

ちなみに道路工事の費用は、申告に際して経費として処理することが可能ですし、道路部分は土地家屋調査士に依頼して「公衆用道路」に地目変更することで、固定資産税の免除を受けることができる場合もある上、道路部分の相続税評価の減額も望めるという訳です。

なお、土木専門の工事業者など知らないという方は、お付き合いのある大工さんなどに紹介を頼めば、直ぐに見付けることができるでしょう。

しかしながら、「それなりの工事費用も掛かるのに、固定資産税と相続評価の減額だけでは割に合わないのでは・・・」とも感じますよね。

そこで次の項では、位置指定道路の相続対策のメリットについて、細かく説明して行きたいと思います。

位置指定道路3

 

位置指定道路5

 

位置指定道路を入れるメリット

位置指定道路を敷設する工事費用については、施工する「道幅」や道路の「長さ」にもよりますので一概には申し上げられませんが、それなりの費用が掛かることは確かです。

そしてお金を払う以上は、「では一体、どんな利点があるのか」ということになりますので、以下で詳しく解説してまいりましょう。

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分割が難しい土地を有効に活用できる

相続が発生した際に、相続人同士で揉め事となりやすいのが土地の分割方法についてです。

例えば一団の土地を3人の子供たちに相続させるにしても、不公平が生じないように「土地を均等に分割する」のは難しいですし、奥行きの深い土地(縦に細長い土地)であれば、分割後の1筆あたりの間口が非常に狭くなってしまうケースも珍しくないでしょう。

また、場合によっては接道が上手く取れず、3人の内の1人は旗竿状の土地(専用通路)となってしまったり、接道の向きが南側と北側に分かれてしまったりと揉める要素が多数存在することになります。

その点、被相続人が存命の内に土地にしっかりとした私道を作っておけば、接道の問題は解決され、個々の土地の資産価値を均等化することができるという訳です。

個々の土地の資産価値が向上する

これは少々相続税対策とは矛盾してしまうかもしれませんが、位置指定道路に面したスッキリとした土地は資産価値を向上させることにもなります。

相続税の評価額は少し上がってしまうかもしれませんが、相続する側にとっても「不整形で、アパートを建てるか、駐車場を作るかくらいにしか利用できないような土地をもらう」よりも、「様々な用途に利用できるスッキリとした形状の土地をもらう方がありがたい」ですよね。

なお道路のプラン(道幅や長さ)にもよりますが、道路が造られたことによる土地の相続税評価額の上昇分は、道路となった部分の評価額が下がることにより相殺できる可能性も充分にあり得るでしょう。

その他の相続対策が容易になる

冒頭でも申し上げましたが、相続税額を抑えるためにアパートを建築したり、子供名義の家を建てたりするのは非常に有効な手段となります。

しかし、一団の大きな土地に迂闊にアパートを建ててしまうと、相続発生時の土地の分割が非常に困難となってしまう可能性がありますし、同様の理由で子供たちの家を建てるのも難しいのが実情です。

その点、相続に先行して位置指定道路を作ってしまえば、建物を建築するのも容易になる上、その建築によって土地の分割が難しくなることもありませんから、先程お話ししたような問題は一気に解決できます。

また、まだ自宅を買っていない子供がいるならば、相続予定の土地に「子供の名義で建物」を建てさせて借地権を設定することで、土地の相続評価額を大幅に下げることも可能になるのです。(借地権が設定されている土地の評価額は非常に低い)

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位置指定道路による相続対策まとめ

さて以上の点が、位置指定道路を造ることによる相続対策のメリットとなります。

私道を一本造るだけで実に多くの利点があるものですし、土地をスッキリと区割りしておけば、遺言書などを作成する際にも頭を悩ませずに済みそうですよね。

ちなみに相続発生時には、相続人全員に私道の持分が行き渡るようにしておく必要がありますし、将来、第三者が私道の持分を取得した場合に備えて、私道の利用に関する覚書(私道利用のルールを定めたもの)などを作成しておくことも重要でしょう。

なお当然ながら、位置指定道路の敷設が必ずしも全ての土地に対して有効な相続税対策となる訳ではありませんし、それなりの費用も掛かる作業となりますから、

税理士や付き合いのある不動産会社、そして建設会社などと、相続税のシュミレーションや工事計画、そして施工費用等をしっかり打ち合わせしてから実行に移すべき手法であるかと思います。

先祖から受け継いだ大切な資産を後世に伝えていくのは、地主さんの大切な使命。

この記事が、そのような地主さんたちのお役に立てていただければ望外の喜びです。

では、これにて位置指定道路で相続対策を行おう!の知恵袋を閉じさせていただきたいと思います。