「いつ何時、襲って来るのか判らない脅威」といえば、多くの方の頭に浮かぶのが地震や火災などの災害なのではないでしょうか。

なお、私のように不動産関係の仕事をしていると「建物の新築工事」や「リフォーム工事」、そして「賃貸物件の管理」などを通じて『もしも大規模な災害が発生したら・・・』というシチュエーションをリアルに想像する機会も多いため、「不動産屋さんならではの防災対策」とでも言うべきものが自然と蓄積されていくものです。

そこで本日は「家庭でできる防災対策をご紹介いたします!」と題して、不動産屋さんが考えた物件と命を守る災害対策のアイデア集をお届けしたいと思います!

防災対策マニュアル

 

不動産屋が教える!自分でできる防災対策をご紹介!

では早速、「不動産屋さんの災害対策マニュアル」をお届けして行こうと思いますが、今回は「誰でも手軽に行える対策」をコンセプトとしていますので、大規模な工事を伴う耐震補強工事などは除外させていただくつもりです。

なお、「本格的な耐震補強工事について知りたい」という方については、別記事「耐震補強工事の種類について解説いたします!」をご参照ください。

また、これらからマイホームを購入される方に向けましては「地震に備えた立地の選び方」というものがあり、こちらにつきましては「地震に強い地域の選び方をお教えいたします! 」の記事にて詳しく解説しております。

家具の転倒防止

地震による被害の中で、多くの犠牲者を出しているとされるのが家具の転倒事故であると言われています。

なお、ホームセンターなどでは「ポール型のつっぱり式転倒防止用具」をよく見掛けますので、既にこれらを設置済という方も多いことでしょう。

もちろん、こうしたグッズも大変に有効であるとは思いますが、私がおすすめしたいのは箱型の転倒防止器具となります。

ちなみに、このタイプの商品が店頭に並んでいるのを目にする機会はあまりないかもしれませんが、ネット通販などでは手軽に購入することが可能であり、見た目も「通常の段ボール」とあまり変わりがありません。

但し、その内部には自動車のジャッキと同じ仕組みの器具が埋め込まれており、「箱全体で天井と家具を抑え込んでくれる」という優れものなのです。

また、このグッズの利点は、見た目に家具の転倒防止器具であることが判り辛く、お部屋の美観を損ねない上、箱の内部を収納スペースとして利用できる点となります。

更に、棒状のポールが「点」で家具を支えているのに対して、この商品は箱の「面」で支えることとなるため、より高い転倒防止効果を期待できるという訳です。

ガラスの飛散防止フィルム

こちらもお馴染みの防災グッズとなりますが、重要なのは食器棚などの家具のガラス部分に貼り付けておくことです。

食器棚自体の転倒は前項にてお話しした「家具転倒防止用具」で防ぐことができたとしても、ガラスを突き破って食器が飛んで来ては、身の安全は守れませんし、床に散乱した破片で怪我をする可能性だってあります。

そのような被害を防ぐためにも、食器棚のガラス部分には是非とも飛散防止フィルムを貼っておきましょう。

なおガラスが割れなくても、棚の扉が開いてしまっては意味がありませんので、家具の転倒時に扉の開閉を防ぐ方法(鍵の取り付けなど)も合わせて考えておきたいところです。

停電対策

東日本大震災の際、直接の被害を受けなかった地域の方でも「停電の不便さを味わった」という方は多いことでしょう。

そこで行なっておくべきは「停電に対する準備」となりますが

  • 防水性能を備えたヘッドライト
  • 電池式ランタン
  • ソーラータイプのスマホ充電器
  • ドアノブや階段のステップに貼り付ける蓄光性の避難補助グッズ
  • モバイルバッテリー
  • アウトドア用の大型蓄電池

以上のアイテムを備えておくと非常に便利です。

なお、最低でもヘッドライトは家族1人に1個、電池式のランタンは一家に1つは用意しておきたいところです。

また、スマホなどの充電を行うためのソーラータイプのスマホ充電器も準備しておくのがおすすめですし、夜中に被災する可能性もありますので扉のドアノブや階段のステップに蓄光性の避難補助グッズなどを設置しておくのも有効な手段でしょう。(闇の中でも蓄光塗料が光り、ドアや階段の位置を示してくれます)

ちなみに、停電への備えとしてはフル充電にした「モバイルバッテリー」と「アウトドア用の大型蓄電池」を用意しておく方法も有効です。

そしてモバイルバッテリーがあれば、スマホの充電も心配不要となりますし、想像以上に停電期間が長引いた場合でもアウトドア用の大型蓄電池があればモバイルバッテリーの充電ができるばかりか、電力消費の少ないものであれば家電の使用も可能となります。

※モバイルバッテリーや大型蓄電池はフル充電にしておき、自然放電に備えて定期的な点検が必要となります。

※大型蓄電池は自動車のシガーソケットや、太陽光パネルからの充電が可能です。

暑さ、寒さに関する対策

災害の発生が春や秋などの過ごしやすい時期であれば幸いですが、真夏や真冬の被災はそれだけでも命の危険性を高めます。

そこで十分に検討しておくべきなのが「暑さ、寒さへの備え」となるのです。

まず寒さに対しては、

  • カセットボンベを燃料とするストーブ
  • モバイルバッテリー対応の電気毛布
  • 電熱ジャケットや電熱パンツ
  • 使い捨てカイロ

などを用意しておくのが便利です。

カセットコンロを燃料とするストーブであれば停電時も問題なく暖が取れますし、ボンベはカセットコンロの燃料としても利用できるので非常に便利でしょう。

また、モバイルバッテリーで使用可能な電気毛布や電熱スーツがあれば、極寒の時期でも難なく避難生活が送れるはずです。

一方、暑さ対策としては

  • 瞬間冷却剤
  • 携帯扇風機
  • 空調服

などがおすすめとなります。

瞬間冷却剤は衝撃を与えることで薬剤が流れ出し、保冷剤として利用が可能なグッズとなりますが、タオルなどく包んで首に巻くことで熱中症などから身を守ることができるでしょう。

一方、携帯扇風機や空調服があれば、エアコンの無い避難生活もどうにか乗り越えることができるはずです。

なお、前項でご紹介した大型蓄電池やソーラーパネルの準備があれば、モバイルバッテリーや空調服の電池を再充電できますので、これは非常に心強いはずです。

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食料と飲料水の確保

災害対策においては、救援物資が到着するまでの間の飲料水や食料を準備しておくことも重要です。

近年では様々な非常食などが販売されておりますが、

  • 長期保存可能な飲料水(3年保存など)
  • 登山用のアルファ米(水を入れるだけで食べられる)
  • パスタ類(お湯を入れた魔法瓶などに入れておけば、直火がなくても調理可能)
  • 缶詰類
  • 鰹節などの乾物

などはおすすめの保存食となります。

通常、ペットボトル入りの飲料水は賞味期限が1年となっていますが、3年保存などの非常用飲料水を用意しておくと便利です。

また最悪の事態に備えて、飲料水用のろ過グッズも備えておけば万全でしょう。

なお、元気の源となる炭水化物については「登山用のアルファ米」や「パスタ類」がおすすめとなります。

これらの商品は防災用のアルファ米などに比べると賞味期限が短いのが玉に瑕ですが、最大の利点は味の良さです。

災害はいつ襲ってくるかわからないだけに、賞味期限が近づいた非常食は食べてしまわねばなりませんが、その味が今一つであると消費するのがとても苦痛です。

その点、登山用の食料等は食味に優れているため、処理するのが非常に楽であるという利点があります。

ちなみに、鰹節などの乾物類を挙げたのも同様の理由であり、それなりの保存期間と食味を兼ね備えた食品を選択するべきなのではないでしょうか。

調理器具等について

さて、保存食は万全に備えていたとしても、お湯を沸かすなどの調理ができないのではとても不自由です。

そこで用意しておくべきなのが

  • 防風機能付きカセットコンロ
  • 固形燃料
  • 着火剤
  • 鍋・フライパン
  • 魔法瓶

などとなります。

屋外で火を使う場合、通常のカセットコンロですと風で火が消えてしまうことが少なくありません。

こうした事態を防ぐためにはアウトドア用の防風機能付きのカセットコンロを用意しておくべきでしょう。

また、固形燃料や着火剤を用意しておけば、避難生活が長期に及んだ際にも燃料を節約することでできるはずです。

なお、調理に際しては鍋とフライパンを用意しておけば大抵の調理が可能となりますし、魔法瓶があれば料理を保温しておくことができますし、熱湯を入れてパスタなどを投入すれば燃料を使わわずに調理が可能となります。

避難はしご

分譲マンションなどでは、バルコニーに避難はしごが用意されているケースも多いでしょうが、2階建ての一軒家などに避難はしごが設置されているケースは稀です。

そして、万一1階で火災が発生した場合などには、上階に居る者は避難経路を奪われる可能性が高いので、バルコニーなどからの脱出を可能にする設備を備えておきましょう。

なお、体力に自信のある方ならば「ロープ」や「縄はしご」で充分ですが、ご高齢の方などには「後付けタイプの避難はしご」がおすすめです。

後付けとはいっても、かなり本格的な避難はしごとなりますし、使用しない時はコンパクトに折りたたんでおける上、特殊な技術がなくても簡単に設置できますから、是非お試しいただければと思います。

ブレイカー遮断器

一時期は大人気で、なかなか手に入らなかった防災用グッズですが、現在では苦労なく購入できるようになっています。

ご家庭のブレイカーに設置すれば、地震の発生と同時に重りが落下して、自動的にブレイカーを遮断できるという優れものであり、地震発生後の火災防止に効果的です。

但し、夜間の地震の場合には突然停電状態となりますので、ヘッドライトなどの準備を怠らないようにしましょう。

消火剤

「消火器があるのに!」と思われる方もおられるでしょうが、咄嗟の場合、素早く消火器を使用するのは意外に困難なものです。

そのような場合に備えて、投げ込むだけで使用できる消火剤を用意しておくのがおすすめでしょう。

また、多くの商品がてんぷら油の火災などにも対応していますので、キッチンに一つ置いておくと、非常に安心感を得ることができるはずです。

その他の備え

ここまでご紹介して来た以外にも、

  • 現金
  • 衣類
  • 簡単な工具類
  • 洗面用具
  • 救急箱

などは必ず避難用具に加えておくべきでしょう。

なお、盲点になりがちなのが、こうした用具の浸水対策です。

折角準備した衣類も、雨など濡れてしまっては全く意味がありませんので、防水性能のあるリュックサックや、荷物を小分けにして食品保存用のパックなどに入れておくなどの工夫をしましょう。

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家庭でできる防災対策をご紹介まとめ

さて、ここまでお話しして来たのが、不動産屋が教える家庭でできる防災対策マニュアルとなります。

なお、築年の古い住宅ならともかく、最近建てられた住宅は「高い耐震性能と耐火性能」を有していますので、避難の際にミスさえしなければ「命が助かる可能性は大幅に高まる」はずです。

如何に慌てず、スピーディーな避難が行えるかが生存の鍵となりますから、普段からに充分に準備を行っておきたいところですよね。

ではこれにて、「家庭でできる防災対策をご紹介いたします!」の知恵袋を閉じさせていただきたいと思います。