「いつ何時、その瞬間が来てもおかしくない」と言われ続けているのが、数百年に一度と言われる大地震の発生です。

そして、このような状況においては「如何にその時に備えるか」が非常に重要であり、避難用具の準備など『やっておくべきこと』は多数ありますが、忘れてはならないのが「自宅の耐震補強工事」です。

そこで本日は「木造住宅の耐震補強工事の工法について解説いたします!」と題して、『戸建てにおいて如何なる工事が可能で、どの程の効果が期待できるのか?』という点についてお話ししたいと思います!

耐震補強工事の種類

 

耐震工事の種類を解説

さて、一口に耐震補強工事と言っても、その工法には様々な種類が存在しています。

そして建築会社のホームページなどを見れば、実に多くの工法が紹介されているものですが、一般の方からすれば「一体どの工法を選択すればよいものやら」と迷ってしまうものですよね。

もちろん、耐震補強工事を請け負っている建築会社に相談すれば「この工法がおすすめですよ!」といったアドバイスが貰えるでしょうが、果たして勧められた工事が『施主のためにおすすめなのか?』『建築会社の利益のためにおすすめなのか?』という点も気になるところでしょう。

そこで今回の記事においては、

現役不動産業者である管理人がこれまで携わって来た耐震補強工事の中でも、「これは!」と感じた工法(コストパフォーマンスや耐震効果の部分で)をピックアップしてご紹介していきたい

と思います。

なお、耐震補強工事の中には「鉄骨造用」「鉄筋コンクリート造用」など建物の構造に合わせた工法が存在していますが、今回は「木造戸建てに適した工法」にターゲットを絞って記事をお届けすることにいたしましょう。

木造住宅の「基礎」への補強工事

その名の通り、建物の根幹とも言えるのが「基礎」となりますが、この基礎についても補強工事は可能です。

なお、「建物をジャッキアップして基礎自体をまるまる免震構造のものに交換してしまう」というダイナミックな工事を行うこともできますが、この工法を選択するには『相当なコストが掛かる』ので、その決断にはかなりの勇気が必要でしょう。

そこで管理人的におすすめなのが、

「現在ある基礎の側面に鉄筋による骨組みを設置して、基礎を強化するという工法(骨組みの上からコンクリートを塗って仕上げます)」

となります。

この工法であれば、先程ご紹介した大規模な工事に比べてコストも工期も大幅に抑えることができますし、「隣家との間隔が狭い」というお宅でも工事が可能であるのは非常にありがたいはずです。

木造住宅の「柱」や「梁」に対する補強

こちらも基礎と同じく、建物の根幹をなす部分への補強工事となります。

代表的なものとしては、柱や梁の接合部分に金属製の「金物」を取付けていく工法などが挙げられるでしょう。

ちなみに、「取り付ける金物」については

  • 筋交プレート/『筋かい』と「柱」「基礎」を固定する金物
  • ホールダウン金物/『柱』と「梁」「基礎」を固定する金物

などが用いられることになりますが、地震による振動を緩和するダンパー(サスペンション)を設置する工法もあります。

なお、当然ながら「柱が露出している状態」の家は滅多にありませんので、施工に際しては『外壁や室内の壁を壊して補強を行う』ことになるでしょう。

よって、「室内の大規模なリフォームのついでに」というのであれば不可能ではありませんが、物件に住みながらこれらの工事を行うのはかなり『しんどいもの』があるはずです。

そこでおすすめとなるのが

建物の壁を壊さずに、外壁を「鉄筋」によって補強していく『外付けフレーム工法』

となります。

そして、この工法においては、建物の外壁に鉄筋を「格子状」または「筋かい状」に組んで強度を確保することになりますが、建物の外壁が鉄筋で囲まれた状態となるため『見栄えが悪い』というのが弱点です。

但し、道路に面していない箇所のみに施工しても「それなりの耐震効果」が期待できる場合もあるようですから、『コストと最低限の見栄えが優先』という方にはおすすめの工法となるでしょう。

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木造住宅の「壁」の補強

壁の補強と聞くと「前項で扱った柱や梁の補強と何が違うの?」というお声も聞こえて来そうですが、こちらは建物の骨組みを強化するのではなく壁という「面」を補強して地震対策を行う工法となります。

なお、この工法のメリットとしては建物の構造上「弱い」と思われる箇所にピンポイントで補強工事を行える点となりますが、実際の工事においては壁に「耐力パネル」を埋め込むことになりますので、やはり相当な大規模工事となってしまうでしょう。(在宅のままでの施工は困難)

これに対し「既存の壁や天井を壊さず、壁の上から補強壁を設置する工法」を選択すれば、コスト面、工事中の生活面でも施主の負担はかなり軽減されるはずですが、私のおすすめしたいのは

寝室やリビングなど「滞在する時間が長い部屋をそのまま耐震シェルター化してしまうという工法」

となります。

ちなみに施工のイメージとしては、「部屋の内側にもう一つ部屋を作る」といった感覚の工事となりますが、意外に工期も早い上、工事期間中は他の部屋に生活の拠点を移すだけで済みますから、他の工法よりも手軽に工事が行えるはずです。

そして、1階でこのシェルター化工事を行えば、屋根ごと2階が崩れて来てもシェルター内は全く無傷の状態を保つことができますから、安全性という面でもおすすめなのではないでしょうか。

木造住宅の屋根の軽量化工事

そして最後に残るのが屋根の工事となります。

地震と屋根はあまり関係が無いようにも思えますが、東日本大震災の例を見ても「屋根瓦の重さに建物が耐え兼ねて倒壊した住宅は非常に多かった」と言いますますから、やはり屋根にも対策を施す必要があるでしょう。

そこでおすすめとなるのが、

屋根を軽量化するという工法

となります。

一度でも屋根瓦を触ったことのある方ならお判りのことと思いますが、昔ながらの日本瓦は非常に重たいものです。

そして、これをスレート葺の屋根などに葺き替えることにより、重量を「1/2」、場合によっては「1/3」にまで軽量化することが可能となります。

この軽量化工事を行うことで、これまでご説明した来た「基礎や柱、壁の補強工事の効果」を更にパワーアップさせることが可能となりますから、屋根の軽量化工事は是非とも行っておくべきです。

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木造住宅の耐震補強工事の工法について解説まとめ

さてここまで、耐震補強工事の種類と、不動産屋さん的におすすめの施工方法をご説明してまいりました。

私は「あくまで不動産屋さん」であり、建築のプロではないことを前提に申し上げますが、これらの耐震補強工事の中で最初に着手するべきは『屋根の軽量化工事』であるように思います。

そして、次いで行うべきなのが「柱や梁に対する補強」「壁の補強」、最後に「基礎の補強」ということになるでしょう。

もちろん、最終的にはプロの建築屋さんのアドバイスを受けるべきですが、コストや手軽さ、そして工事の結果得られる耐震効果を考えると、優先順位は表記のようになるはずです。

ちなみに、「より厳密な耐震補強工事のプランを立てたい」というのであれば、

施工を行う建築業者とは別に、設計士へ依頼を行って建物の構造計算をしてもらう

のがおすすめでしょう。

もちろん、充分な経験を積んだ建築業者であれば的確な耐震補強工事を提案してくれるはずですが、ここに設計士による構造計算が加われば「正に鬼に金棒」となるはずです。

災害は忘れた頃のに当然襲ってくるものですから、最悪の事態から家族の命を守るためにも「できる工事から、なるべく早く着手していく」ことが重要であると思います。

ではこれにて、「木造住宅の耐震補強工事の工法について解説いたします!」の知恵袋を閉じさせていただきます。