「いつ何時、その瞬間が来てもおかしくない」と言われ続けているのが、数百年に一度と言われる大地震の発生です。

また行政の発表した資料を見れば、「十数年以内に80%以上の確率で大地震が発生する」という恐ろしい予想が示されている地域もありますから、これは最早「背中に銃口を突き付けられているのと同じ状況」と言っても、決して過言ではないでしょう。

一方、熊本地震のように「特に警戒が必要である」とされていなかった地域でも、大規模な震災に見舞われるケースがありますので、住まう地域に注意喚起がなされていなくとも『備えは万全にしておくべき』だと思います。

なお、本ブログでは以前にも「防災対策マニュアルをご紹介!物件と命を守るアイデア集!」という記事において、一般の方が手軽に行える防災対策についてお話をさせていただきましたが、本日はそのターゲットを震災に絞り込んで本格的な工事を伴う建物の耐震補強について解説してみたいと思います。

では早速、耐震補強工事の種類について解説する知恵袋を開いてみましょう。

耐震補強工事の種類

 

耐震工事の種類を解説

さて、一口に耐震補強工事と言っても、その工法には様々な種類が存在しています。

そして建築会社のホームページなどを見れば、実に多くの工法が紹介されているものですが、一般の方からすれば「一体どの工法を選択すればよいものやら」と迷ってしまうものですよね。

もちろん、耐震補強工事を請け負っている建築会社に相談すれば「この工法がおすすめですよ!」といったアドバイスが貰えるでしょうが、果たして勧められた工事が『施主のためにおすすめなのか?』『建築会社の利益のためにおすすめなのか?』という点も気になるところでしょう。

そこで今回は、管理人がこれまで不動産業者として携わって来た耐震補強工事の中でも、「これは!」と感じたもの(コストパフォーマンスや耐震効果の部分で)を中心におすすめの工法をご紹介させていただきたいと思います。

なお、耐震補強工事の中には「鉄骨造用」「鉄筋コンクリート造用」など建物の構造に合わせた工法が存在していますが、今回は「木造戸建てに適した工法」にターゲットを絞って記事をお届けすることにいたしましょう。

基礎への補強工事

その名の通り、建物の根幹とも言えるのが「基礎」となりますが、この基礎についても補強工事は可能です。

なお、「建物をジャッキアップして基礎自体をまるまる免震構造のものに交換してしまう」というダイナミックな工事を行うこともできますが、この工法を選択するには『相当なコストが掛かることを覚悟する必要』がありますので、その決断にはなかなかの度胸が必要となるでしょう。

そこで管理人的におすすめなのが、「現在ある基礎の側面に鉄筋による骨組みを設置して、基礎を強化するという工法(骨組みの上からコンクリートを塗って仕上げます)」です。

この工法であれば、先程ご紹介した大規模な工事に比べてコストも工期も大幅に抑えることができますし、「隣家との間隔が狭い」というお宅でも工事が可能となります。

柱や梁に対する補強

こちらも基礎と同じく、建物の根幹をなす部分への補強工事となります。

代表的な工事方法としては、既に存在する柱や梁の接合部分に金属製の「金物」を取付けたり、地震による振動を緩和するダンパー(サスペンション)を設置する工法もありますが、当然ながら「柱が露出している状態」の家は滅多にありませんので、施工に際しては外壁や室内の壁を壊して補強を行うことになるでしょう。

よって、「室内の大規模なリフォームのついでに」というのであれば不可能ではありませんが、物件に住みながらこれらの工事を行うのはかなり「しんどい」ものがあるはずです。

そこでおすすめとなるのが建物の壁を壊さずに、外壁を「X状の鉄筋」で補強していく工法となります。

なお、建物の外壁が鉄筋で囲まれた状態となりますので「見栄えが悪い」のが弱点ですが、道路に面していない箇所のみに施工しても「それなりの耐震効果」が期待できると言われていますので、『何もしないよりは遥かに心強い』はずです。

壁の補強

壁の補強と聞くと「前項で扱った柱や梁の補強と何が違うの?」というお声も聞こえて来そうですが、こちらは建物の骨組みを強化するのではなく壁という「面」を補強して地震対策を行う工法となります。

なお、この工法のメリットとしては建物の構造上「弱い」と思われる箇所にピンポイントで補強工事を行える点となりますが、実際の工事においては壁に「耐力パネル」を埋め込むことになりますので、やはり相当な大規模工事となってしまうでしょう。(在宅のままでの施工は困難)

これに対し「既存の壁や天井を壊さず、壁の上から補強壁を設置する方法」を選択すれば、コスト面、工事中の生活面でも施主の負担はかなり軽減されるはずですが、

私のおすすめは寝室やリビングなど「滞在する時間が長い部屋をそのまま耐震シェルター化してしまうという工法」となります。

ちなみに施工のイメージとしては、「部屋の内側にもう一つ部屋を作る」といった感覚の工事となりますが、意外に工期も早い上、工事期間中は他の部屋に生活の拠点を移すだけで済みますから、他の工法よりも手軽に工事が行えるはずです。

そして、1階でこのシェルター化工事を行えば、屋根ごと2階が崩れて来てもシェルター内は全く無傷の状態を保つことができますから、安全性という面でもおすすめなのではないでしょうか。

屋根の軽量化工事

そして最後に残るのが屋根の工事となります。

地震と屋根はあまり関係が無いようにも思えますが、東日本大震災の例を見ても「屋根瓦の重さに建物が耐え兼ねて倒壊した住宅」は非常に多かったいいますから、やはり屋根にも対策を施す必要があるでしょう。

そこでおすすめとなるのが、屋根の軽量化工事となります。

一度でも屋根瓦を触ったことのある方ならお判りのことと思いますが、昔ながらの日本瓦は非常に重たいものです。

そして、これをスレート葺の屋根などに葺き替えることにより、重量を1/2、場合によっては1/3にまで軽量化することが可能となります。

この軽量化工事を行うことで、これまでご説明した来た基礎や柱、壁の補強工事の効果を更にパワーアップさせることが可能となりますから、屋根の軽量化工事は是非とも行っておくべきです。

耐震工事まとめ

さてここまで、耐震補強工事の種類と、不動産屋さん的におすすめの施工方法をご説明してまいりました。

私は「あくまで不動産屋さん」であり、建築のプロではないことを前提に申し上げますが、これらの耐震補強工事の中で最初に着手するべきは「屋根の軽量化工事」であるように思います。

そして、次いで行うべきなのが「柱や梁に対する補強」「壁の補強」、最後に「基礎の補強」ということになるでしょう。

もちろん、最終的にはプロの建築屋さんのアドバイスを受けるべきですが、コストや手軽さ、そして工事の結果得られる耐震効果を考えると、優先順位は表記のようになるはずです。

ちなみに、「より厳密な耐震補強工事のプランを立てたい」というのであれば、施工を行う建築業者とは別に、設計士へ依頼を行って建物の構造計算をしてもらうのがおすすめでしょう。

もちろん、充分な経験を積んだ建築業者であれば的確な耐震補強工事を提案してくれるはずですが、ここに設計士による構造計算が加われば「正に鬼に金棒」となりますから、余分に費用は掛かりますが『より万全な対策』となるはずです。

災害は忘れた頃のに当然襲ってくるものですので、最悪の事態から家族の命を守るためにも、取り掛かれる工事にはなるべく早く着手していただきたいと思います。

ではこれにて、耐震補強工事の種類について解説する知恵袋を閉じさせていただきます。