先祖代々の土地を受け継いでおられる地主さんの中には、相続などで住み慣れた土地の一部を手放さなねばならないという事情をお持ちの方もいらっしゃるはずです。

また、不動産屋さんであれば日常的に土地を取引することになるでしょうし、夢のマイホームを手に入れるために古家付の土地を購入される方も少なくないことと思います。

もちろん、信頼できる不動産業者に仲介を依頼するなどして、トラブルのない取引が行えれば「それはそれで結構なこと」なのですが、古屋付きの物件などで時折問題となってくるのが「井戸」や「池」、そして「お稲荷さん」などの存在です。

我が国では、古来よりこうした「施設」を撤去、移転したことにより「禍が降り懸かった」というお話をよく耳にいたしますから、こうしたジンクスを「そんなの迷信に過ぎない!」と一蹴することはなかなかできないものですよね。

但し、状況によっては「どうしても撤去や移転をしなければならない場合」もありますから、これは実に頭の痛いところです。

そこで本日は、井戸やお稲荷さんの撤去について考える知恵袋をお届けしてみたいと思います。

井戸やお稲荷さんの撤去

 

井戸・お稲荷さんはやっぱり怖い

「井戸やお稲荷さんを撤去したら祟りにあった」、老若男女を問わずこうした噂や怪談話を耳にしたことがある方は多いと思います。

このようなお話をすると「何を非科学的なことを!」とお叱りを受けてしまうかもしれませんが、私が席を置く不動産業界ではこうした施設に纏わる「祟り系のお話」は未だ健在です。

ちなみに健在である理由としては、「科学的であるか否か」などと言った次元のお話ではなく、『リアルに被害に遭っている方々を多く見掛けるから』となります。

もちろん噂として広がって来る話には尾ひれが付いていることも充分に考えられますが、直接の知り合いが被害に遭ったケースも数回見ていますので、やはり「迷信」と笑い飛ばすのは難しいでしょう。

なお、具体的な例を挙げれば、井戸を御祓いなしに撤去した不動産屋さんの社長が釣りに行って海で事故に遭われたり、お稲荷さんを壊した建築屋さんが火事を起こしたりと、その枚挙には暇がありません。

さて、このように申し上げると『そんなことを言っていたら、お稲荷さんや井戸がある物件の取引などできないではないか!』と思われてしまいそうですが、そうとばかりも言い切れない側面もあります。

私の経験上、これらの施設の撤去・移動を行い、実際に災難に見舞われる確率は精々30%~40%程度となりますし、その災難が訪れる時期も1ヶ月以内という方も居れば、1年後という方もおられるからです。

そして、1ヶ月以内という方はともかくとしても、1年後などというケースでは「祟り」であった可能性は非常に低い気がして来ますよね。

ただ、一つ言えることは自分の行いに負い目がある方は、たとえ1年前の出来事であっても「これはお稲荷さんを撤去したからなのでは・・・」という想いに駆られてしまうという点です。

そこで大切になって来るのが、こうした施設に手を出した際に「如何に自分の心に決着を付けることできるか」ということだと思います。

つまり、自分が納得するまで御祓いなどを繰り返し、「ここまでやれば、たとえ何が起こってもそれは偶然」と心の底から思えるまで、アクションを起こすことです。

但し、自分の心を納得させるにも「それなりの根拠が必要になる」と思いますので、次の項では御祓いなどの方法をご紹介したいと思います。

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どのように撤去・移動を行うべきか

では早速、井戸撤去やお稲荷さんの移動の方法についてお話をさせていただきたいと思います。

なお、ここでご紹介するのは不動産屋さんの間で「こうするべきだ」とされている方法や作法であり、必ずしも宗教儀礼的な正解である訳ではないことを、念のため申し添えておきます。

お稲荷さん

一般的には「お稲荷さん」という名で信仰を集めていますが、祀られている神様の正式な名称は宇迦之御魂神(うかのみたま)や豊宇気毘売命(とようけびめ)などであり、食べ物と豊作をもたらす神様とされています。

ちなみに、お稲荷さんと言うと「狐の神様」というイメージがありますが、実際は人間の姿をした神様であり、その御遣いが「狐」であるとのことです。

なお、こうした神様を自宅の敷地でお祀りすることにより、家の繁栄を願うというのが祠を設置する主な理由となりますが、ここで問題となるのは「その神様を何処から連れて来たか」ということでしょう。

全国には多くのお稲荷さんが存在しますが、その総本山は京都市にある伏見稲荷大社となり、そこから分社された稲荷社が全国に存在し、そこから更に枝分かれしたのが個人宅にあるお稲荷さんとなる訳です。

よって撤去や移転を行うのであれば、最寄りの稲荷社を探し、「御祓いの依頼」をするのが正式な作法となります。

なお、近所に稲荷社が見付からない場合には、本山である伏見稲荷大社に連絡をすれば「より近い場所にある稲荷社を紹介してもらえる」とのことですから、是非お試しいただければと思います。

また、もう一つ注意が必要なのは、お稲荷さんには伏見稲荷大社とは別の系統もあるということです。

実は明治時代以前は、神社とお寺の区別が明確ではなかったため、寺でもお稲荷さんをお祀りしているところがありました。

この仏教系のお稲荷さんについては、伏見稲荷大社ではなく愛知県の豊川稲荷などが本山となりますから、その系列のお寺に相談するの最善でしょう。

祀られている神様や仏様に最善の礼を尽くせば、工事をする側も安心して作業に取り掛かれるはずです。

井戸・池など

続いて、井戸や池となりますが、こちらに関しては神社の管轄となることが多いようです。

もちろん宗派にもよりますが、仏教ではこうした施設に対する供養の方法が「そもそも存在していない」ことも多いとされていますから、まずは神社に相談するのが得策でしょう。

なお、多くの場合は「神主さんに出張してもらい御祓いをしてもらった上で撤去する」ことになりますが、儀式に必要なお供え物などは依頼者自身が用意するのが通常です。

また土地を手放さないず、池や井戸を埋め立てるという場合には、それらがあった場所に竹の筒などを差しておき、「息抜き穴」を作っておくのが良いとされます。

ちなみに、池は見ればすぐに存在が確認できますが、井戸については建物の床下や、地中から発見されることも多く、売買契約の際に告知をしていないと瑕疵担保として扱われることもありますので、取引をする不動産屋さんや売主さんは充分に注意を払うが必要があるでしょう。

その他の祠や塚

そして、一番困るのが一体何を祀っているか判らない塚や祠です。

施設をじっくり観察すれば、祀られているものの正体が判明することもありますが、これは稀なケースと言えるでしょう。

なお、祀られている者の正体が判らなければ作法なども見当がつきませんので、自分が信仰している氏神様や菩提寺などに相談してみるしかありません。

ちなみに、「この手のもの」を信じるタイプの人間である管理人的には、『手を出さないのが無難』であるように思えます。

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井戸・お稲荷さんまとめ

ここまで見て来たように、一般的に「障りがある」と言われる施設にも、それなりの対処法があるものです。

ただ冒頭でもお話しした通り、大切なのは儀式を行うこと自体ではなく「儀式を通して自分の心に如何に決着を付けるか」という点でしょう。

たとえ儀式が済んでも、何か心にわだかまりが残っている場合には、手を合わせ、お供えをするなどして自分が心底納得できるまでアクションを続けることをおすすめします。

そして「ここまでやれば、後に何があっても祟りだとは思わない」という踏ん切りが付けば、迷いなく撤去や移動を実行できるはずです。

相手が見えないのであれば、こちらも心を持って接し、対話をすることが何より重要なのではないでしょうか。

ではこれにて、井戸やお稲荷さんの撤去について考える知恵袋を閉じさせていただきたいと思います。