以前にお届けした「不動産投資物件の探し方をお教えします!」の記事の中でも触れた通り、不動産業者を介さずに物件を購入する方法もあるものです。
なお、このようなお話をすると「競売は怖いから嫌だ!」といったお声も聞えて来そうですが、本日は競売ならぬ「公売」という制度についてお話ししてみたいと思います。
では早速、不動産公売の流れを解説する知恵袋を開いてみましょう。

公売とは何か?
さて、「公売(こうばい)という言葉に普段から慣れ親しんでいる!」という方は、殆どおられないことと思います。
競売(けいばい)と字も響き似ていますので「何となく危険なイメージ」をお持ちの方も少なくないとは思いますが、この2つは全く異なる制度となります。
なお、公売を端的に説明するとすれば、
公的機関の所有物を民間に払い下げるためのオークション
また払い下げを行う機関も、国であることもあれば、県や都などの自治体となるケースもあります。
ただ不動産を対象とした公売において注意が必要なのは、
固定資産税など税金の滞納により「差し押さえられてしまった物件」も含まれている
場合があるという点です。
こうしたケースでは、居住者が住み続けている場合も多くありますから、物件の活用には立退きが必要不可欠となり、まるで競売物件を購入したのと同じような手間の掛かる作業を余儀なくされることもあるでしょう。
また、競売は近年の法整備によって占有者の排除が手軽に行えるようになったの対して、
公売の場合は裁判所の判決が必要であるなど「競売よりも立退きが困難な点がある」
こともご注意いただければと思います。
公売で狙うべきは?
では、「安全な入札が行える公売不動産」とは一体どの様な物件なのかと言えば、
- 国や自治体が官舎や職員の寮として使用していた物件
- 相続に際して物納された物件
- 相続人がおらず、国庫に帰属することになった物件
などがその代表例となるでしょう。
こうした物件は、行政の厳重な管理下に置かれているので占有者が居ることもありませんし、建物が残っている場合なら、詳細な修繕の記録まで残っているケースが殆どとなりますから、これは非常にありがたいことですよね。
また建物付きのケースでは、現在は使用していない物件も多いため入札前に物件内部を確認することができることも少なくありません。
一般に収益物件を購入する場合には、「物件の中身は見られない、どんな入居者が住んでいるかも判らない」というパターンが殆どですが、公売においては資料も揃っている上、内部まで確認できますから、これは非常に安心感がありますよね。
但し、通常の不動産取引とは異なり、
近隣の土地との境界確認は行われない上、土地・建物の契約不適合責任も行政は負わないのが通常
ですから、ある程度の注意は必要となるでしょう。
なお近年では、建売用地を確保するために不動産業者が入札に参加するケースが増えつつありますし、一般の方も公売に参入し始めていますから、たやすく競落できる訳ではありませんが、世間の認知度はまだまだ低いためお宝物件発掘のチャンスはまだまだ「あり!」と言えそうです。
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実際の公売はこのように行われる
では実際に、どのようなプロセスを踏んで公売に参加すればよいのでしょうか。
本項では実際の公売の流れをご説明してみたいと思います。
但し、公売は主催する公共機関によってプロセスも若干異なりますので、今回は管理人が経験した某行政機関の公売を例に挙げてご説明させていただきます。
公売情報の取得
さて、公売に参加するにしても、まずは「どのような物件が入札対象になっているのか」を調べないことには、お話を進めることができせん。
そして、公売物件の情報収集はネットで行うのが通常であり、国の管財物件を扱う財務局のホームページなどにアクセスすれば、手軽に物件情報を検索することができます。
但し、「公売とは何か?」の項でも解説した通り、公売を行う機関は無数に存在(都道府県、市、区など)していますから、
全ての機関の公売情報はチェックするのはなかなか厳しい作業となりますので、公売情報を一括検索できるポータルサイト等(運営は民間)を利用する
のが便利でしょう。
また公売の公示がなされた後は、各機関が新聞に告知広告を掲載することもありますし、財務局の場合には「国有財産の一般競争入札案内書」という分厚い冊子を無料配布しますので、こちらで情報を取集するという方法もあります。
ちなにみ私が参加した某行政機関のケースでは、ポータルサイト上で情報を見付け出し、直接役所に詳細資料を貰いに行くという流れでお話が進んで行きました。
なお、こうして得た情報の中で「これぞ!」という物件が見付かったならば、いよいよ入札の準備へと入って行くことになります。
入札までに行うべきこと
さて、気に入った公売物件が見付かれば、まず行うべきは「物件の調査」であり、通常の不動産の購入と同様に
べきでしょう。
また、物納物件や官舎などが売りに出される場合には、行政側でかなり詳細な資料が用意してくれているものですが、「建物の詳細図面」などについては公売参加者が行政の関係部署まで出向いて閲覧しなければならないケースもあります。
更に「建物付きで空家」の物件については、日時指定で内覧会が行われることもありますので、こうしたイベントのスケジュールも確認しておきましょう。
なお、内覧会においては公売を行う公共機関の担当者に直接質問を行うこともできますから、こうしたチャンスはフルに活かしたいところです。
そして、本気で入札に参加して来るライバルたちは、
内覧会などの場に必ず顔を出しますから、ここに集まる人間の人数と属性を見れば「物件の人気具合」や「どのような層の入札者が多いのか」などの情報を得ることができます
ので、こうしたイベントには極力参加するべきでしょう。
そして、こうした調査の中で得た情報を基に「どれくらいの金額で入札の札を入れるべきか?」を検討して行くことになります。
ちなみに、公売物件には個別に「最低落札価格」が示されているものですが、今どきは最低落札価格に若干プラスアルファした程度の金額で落札ができるケースは非常に少ないかと思います。(以前は公売参加者が少ない物件では、このレベルの金額で落札できるケースも多かった)
よって、公売で勝利を収めるためには
周辺の不動産相場に精通しておく必要がありますので、「ネットなどを活用しての地価情報を収集」に加えて、「対象物件の近隣不動産業者に相場を聞いて回る」等の対策を講じる
べきでしょう。
但し、電話やネットで突然不動産業者に相場を尋ねても真摯な対応をしてもらえない可能性がありますので、必ず一度は不動産業者を訪問した上、一定の費用を支払って物件の問題点をチェックしてもらったり、落札価格の予想をしてもらうといった方法も有効かもしれません。
さて、こうした作業の中で入札価格が決定したならば、いよいよ保証金の納付を行うことになります。(殆どの公売では入札参加に保証金の納付が必要です)
私が参加した公売では、保証金は入札希望価格の5%以上となっていましたので、これを納付した上で、入札書を期日までに担当部署に送ります。
ただ、一度入札書を送ったら「キャンセルはできないルール」になっていますから、金額を充分に精査した上で、書き間違えなどがないよう十分に注意しましょう。
※金額が及ばず、落札できなかった場合には後日保証金が返金されます。
入 札
そして入札当日には指定の場所にて開札が行われることになりますが、これには直接立ち会うことも可能です。
とは言え、オークション会場のようなものではなく、淡々と落札者が読み上げられるだけですので、特別面白みのあるものでもありません。
なお、ここで落札することができれば、
一定期間内に公共機関を相手にした売買契約を締結する(私の場合が1ヶ月以内でした)
ことになります。
契約書のフォーマットについては行政側指定のものとなりますから、一切落札者側の意見を挟む余地はありませんし、私が参加した公売では契約に際しては既に納付している保証金も含め、落札価格の10%以上の手付金の納付が必要と言われましたので、こちらも迅速に振込み手続きを行います。
ちなみに、ここで契約を拒否すると保証金は戻って来ないとのことでしたので、公売に参加される方はくれぐれもご注意ください。
引渡し
契約締結後は、改めて引渡し・残代金納付のスケジュールが組まれることとなり、ここでようやく決済日を迎えることとなります。
但し、こうした公売の決済は
通常の売買のように銀行で行うことはなく、登記も行政が職権で行うのが通常です
から、初めての方は少々戸惑うかもしれません。
また、引渡しは基本現況のままということになりますので、現地に柵などが設置されている場合には、こうした工作物の撤去費用も落札者が負担することになるのです。
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公売の流れまとめ
さてここまでが、不動産の公売における一般的な流れとなります。
境界非明示・瑕疵担保免責など、不動産業者を介した売買に比べてそれなりのリスクはありますが、相場よりも安く物件をゲットできる可能性もありますし、競売に比べれば危険性もかなり低いものとなりますから、興味がある方は是非挑戦されてみては如何でしょうか。
ではこれにて、「不動産公売の流れを解説いたします!」の知恵袋を閉じさせていただきたいと思います!