住宅ローンの基礎知識

 

「マイホームを購入しよう!」と決心した際、まず心配になるのが資金繰りの問題なのではないでしょうか。

そして、「売買代金を全額キャッシュで!」なんて方は殆どおられないでしょうから、多くの方が住宅ローンのお世話になるはずです。

なお近年では、各金融機関も住宅ローンのお客様獲得に力を注いでおり、インターネット上には詳細な説明サイトや、優秀なローンシュミレーターも用意されていますから、「住宅ローンは未知の世界」と感じる方も少なくなって来ていることと思います。

しかしながら、「一体どのようなローンの組み方が理想的?」「どのような借り方がヤバいのか?」といった疑問への答えはなかなか示されていないものですよね。

そこで本日は、住宅ローンの制度についての基本的な解説に加え、不動産屋さん目線での理想的な融資の利用法などをお話させていただきたいと思います。

では、「住宅ローンの基礎知識をお届け!」の知恵袋を開いてみましょう。

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住宅ローンの基礎知識

では早速、「どのような住宅ローンの組み方が理想的なのだろう?」という疑問にお答えしたいところではありますが、まずは住宅ローンの制度について「ある程度の基礎知識」を備えておきましょう。

そして最初に抑えておくべきポイントとして挙げられるのが、住宅ローンは他の融資に比べて、非常に利率も安く、返済条件も緩やかで、借入もしやすい商品となっているという点です。

そして、このようなお話をすると「どうして住宅ローンばかりが優遇されているのだろう?」と疑問に思われるかもしれませんが、これにはしっかりと「カラクリ」が存在しています。

まず住宅ローンにおいては、購入する土地や建物に抵当権が設定されますから、万が一返済が滞った場合でも、これを売却することで銀行はそれなりの弁済を受けることが可能です。

また、マイホーム購入となれば資金の利用目的も明確ですし、自分の銀行の口座を給料の振込先などに指定してもらえれば、金融機関にもそれなりのメリットが生じることとなりますから、マイカーローンやアパートローンといった他の融資対象よりも遥かに良い条件が提示可能となる訳です。

そこで以下では、「住宅ローンならではのメリット」についてご説明をして行きたいと思います。

①低い金利・借入基準が緩い

住宅ローンにおいては、通常の融資では考えられない低金利での借入が可能な上、完済年齢については80歳まで、返済期間も35年という長期設定が可能となっています。

また、勤続年数が短い、自営業で決算内容が思わしくない(但し赤字決算だと少々厳しい)といった、通常の融資では否認される内容の申込人についても審査通過となる可能性が高い上、融資利用者の内容次第では店頭金利から更なる金利優遇を受けることも可能です。

②団体信用生命保険加入制度

住宅ローンでは団体信用生命保険という保険に加入することにより、借り入れ当事者が亡くなった場合(又は高度障害状態となった場合)でも、残債務の全額が保険金により賄われる仕組みになっています。

一般的な融資にはこうした制度は存在せず、残された家族に返済の負担が圧し掛かるのが通常ですから、これは実にありがたいことですよね。

③住宅ローン減税制度

住宅ローンの減税制度についてはコロコロと内容が変更されますが、現在(令和元年10月・消費税率10%適用)であれば、「住宅ローンの残額に対して毎年40万円×10年、つまり通算で400万円を上限とした所得控除」に加え、「11年~13年目については【ローン残高の1%】または【消費税を差し引いた住宅取得費用×2%÷3】の内、低い金額となる方の所得控除」を受けることが可能といった優遇制度が存在します。

※住宅ローン減税制度の詳細については、別記事「住宅ローン控除とは?適応条件や注意点を解説します!」をご参照ください。

 

住宅ローンの商品内容

では次に、住宅ローンの詳細な商品内容についてご説明してまいりましょう。

※但し、銀行ごとに詳細が異なりますので、平均的な内容を記させていただきます。

  • 融資限度額/最大で1億円(5000万円の銀行も多い、原則として諸費用は借入できない)
  • 融資期間/最長で35年
  • 借り入れ可能年齢/65歳程度(完済年齢は最長で80歳)
  • 収入合算/配偶者などの年収も合算して借入上限額を設定できる(合算者の年収は1/2で計算するのが通常)
  • 変動金利の場合の金利見直し/金利自体は1年に2回の見直しが通常ですが、金利は変動するものの「返済額の変更は5年に一度」である上、支払額が増加した場合でも「従前の1.25倍以上の金額にはならない」仕組みになっている

基本的な融資の条件は上記のようなものとなります。

また、気になる借入可能な限度額などは、各銀行のローンシュミレーターなどで簡単に計算できますが、

毎月の収入の30% ÷ 4,428円(35年ローンの場合)× 100万円 =借入上限額

という計算式でおおよその金額を計算することが可能です。

 

住宅ローンの危険な組み方

さて、ここまで住宅ローンの概要を解説してまいりましたが、不動産屋さん的に「これだけはしない方がよい」という借り方のパターンがいくつかありますので、本項ではこの点についてご説明していきます。

①ボーナス払い

「どうしてボーナス払いがいけないの?」との声も聞えて来そうですが、実際にボーナス払いを設定して「困り果てている住宅購入者さん」は数多くいらっしゃいます。

会社の業績が落ち込んだ場合などは、真っ先にカットされるのがボーナスですから、これを当てにしてローンを組んでしまうと「自分の努力とは関係なしに、突然資金難に突き落とされる可能性」がありますので注意が必要です。

なお、良心的な不動産屋さんは住宅ローンの返済計画にボーナス払いを組み込むことを止めることが多いはずですから、ボーナス払いを薦めてくるような業者は信用するべきではないでしょう。

②限度額いっぱい+諸費用ローンまで含む、カツカツの借入れ

金融機関によっては諸費用ローンを別途で用意しているところもありますが、限度額「いっぱいいっぱい」まで借り入れをし、更に諸費用までローンを組むのは絶対に避けるべきでしょう。

不動産会社の中には、こうしたローンを進めて来る会社が多いと思いますが、今後の人生を左右する大切な資金計画ですから、しっかりと未来を見据えた借り入れをしたいところです。

③金利の高い銀行での借り入れ

住宅ローンを扱う金融機関の中には、通常の銀行では審査を通らないお客様でも、「高い金利を条件としてローンを引き受け付けてくれる」ところがあります。

故意にこうした銀行を進めてくる不動産屋さんも存在しますし、お客様が「どうしても物件を買いたい」という理由で申込みをする場合がありますが、正直おすすめはできません。

こうしたプランを用意している金融機関が妖しいという訳ではありませんが、一般的な銀行で審査が通らないということは「今はローンを組むべき状況ではない」という天の声だと思って、資金計画を見直すべきでしょう。

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理想的なローンの組み方

では最後に、理想的なローンの組み方についてご説明いたします。

①頭金を可能な限り用意する

「そんなことは充分にわかっている!」という声も聞えて来そうですが、これが意外に重要なポイントとなります。

実は住宅ローンで一番恐ろしいのは『溜まっていく金利』です。

「住宅ローンの制度内容」の中で、変動金利の場合の支払額の上昇は5年に一度、従前の1.25倍以上にはならないとご説明いたしましたが、金利自体は1年に2回の見直しがされていますから、金利が上がっている場合には支払額が上昇しなくても、返さなければならない利息分はドンドン膨らんでいくことになります。

「何年も返済を続けているのに、元本が全く減らない・・・」といった現象が起こるのはこのような変動金利の罠に陥っている場合も多く、完済した時には原本の1.5倍、酷い時には2倍近い金額を支払っていたというケースもあるのです。

こうした事態を防ぐためにも、購入時の借入額は少しでも減らしておく必要がありますので、頭金は非常に重要なものといえるでしょう。

なお、「解っていても、手持ちはない!」とお思いの方も多いでしょうが、そのよう方には親や兄弟、そして親族や友人でも構いませんので、可能な限り個人間でお金を借りる方法がおすすめです。

もちろん、借りたお金は返さなければなりませんし、税務署に対してのケアーも必要となりますので、お金を借りる為の契約書(金銭消費貸借契約書・ネットなどで簡単に雛形が手に入る)を作成し、金利も設定した上、月々しっかりと返済している証拠(振込み履歴など)を残しておけば、お金を貸した人も儲かりますし、税務署も文句は言えません。

ちなみに「金利はどれくらいの設定にするべき?」という質問をよく受けますが、私の経験上1%くらい設定をしておけば大丈夫なのではないかと思います。(心配な方は税務署にご確認ください)

金利1%は高いような気がしますが、住宅ローンの金利は最初の方こそ優遇処置などで安いものの、その後は徐々に上がって行くものですから、これは決して高い金利とは言えないでしょう。

②繰り上げ返済の計画を立てる

そしてもう一つ重要なのが、繰り上げ返済を行っていくことです。

住宅ローンは毎月の返済額が抑えられますが、「①頭金をできる限り用意する」の項でもお話した通り、長期になると金利によって返済総額は凄まじい額に膨らみます。

これを防ぐためには、毎月決まった金額を貯金し、定期的に繰り上げ返済を行うことでしょう。

繰り上げ返済自体は僅かな手数料で可能となりますし、手続きも煩雑ではありませんので、まとまったお金が用意できたなら、他のことに使う前にローンの残債を減らすべきです。

③金利交渉や借り換えが出来る状態にしておく

上記①・②のような努力を続けていれば、通常よりかなり返済額の総額を減らすことが可能となるはずです。

このような状況となってくれば、銀行に対しても強気に出ることができますから、金利の見直しに際して「他の銀行への借り換え」などをチラつかせて、金利を下げさせることも可能になるでしょう。

毎月カツカツの状態では、他の銀行でも「借り換えお断り!」と言われてしまいますが、余裕のある状態ならば「より有利な条件を提示してくる銀行」もあるでしょうから、実際に借り換えを行ってしまうのも一つの方法です。

銀行に支配されるのではなく、交渉を自分のペースで進められるようにして行くことも、借り入れを行う際の重要なポイントであると思います。

④無理のある返済計画を立てない

そして、最後にお話ししておきたいのが「そもそも無理な返済計画を立てない」というポイントです。

既に住宅ローンの勉強を始めている方はご存知かと思いますが、金融機関が融資を行うに当たって、借入れの限度額を算定する際に用いるのが返済比率という考え方であり、「収入に対して●●%までの返済額なら、返済が滞ることはないだろう」という割合を示す言葉となります。

この返済比率の値については各金融機関で独自の基準を設けていますが、大手銀行の基準をザックリと平均してみると

  • 年収400万円未満        25~30%
  • 年収500万円以上~600万円未満 30~35%
  • 年収600万円以上        35~40%

上記のような割合となるでしょう。

但し、この返済比率はあくまで銀行の目線となりますから、実際にはこれよりもより厳しく、年収400万円未満で20%、これ以上の年収の方でも25%を超えない範囲に年間の返済額を抑えるべきです。

また、もう一点抑えておきたいポイントが「借入額の上限を自分なりに設定すること」であり、理想的な借入れ上限額は『年収の5倍~6倍まで』となるでしょう。

ちなみに、既にお話しした理想的な返済比率から逆算すると、借入れの限度額は自ずと年収の5倍~6倍になるはずです。

但し、金利が低い場合には7倍、8倍の融資も可能となるケースがありますが、ここはジッと堪えて年収の6倍を超えないようにローンを組みましょう。

※表記の「理想の返済比率および借入れ上限額」は、管理人がこれまでお取引してきたお客様たちの『その後』を見る中で、思い至った基準となります。

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住宅ローンの知識まとめ

さてここまで、「住宅ローンの基礎知識」というテーマにて記事をお届けしてまいりました。

そして、「④無理のある返済計画を立てない」の項をお読みになられた方の中には、『その程度の借入額では、まともな物件が買えるはずがない!」と思われた方も多かったことと思いますが、そんな方は是非一度、自分を見詰め直してみてください。

本文中でも申し上げましたが、住宅ローンの借り入れで失敗を回避するコツは「より多くの自己資金の投入」と「繰り上げ返済」であり、これを無理なく実現するには『理想の返済比率と借入れ上限額』の基準をクリアーする必要があります。

よって、この基準で買えない物件は『今のあたなに相応しくない物件』ということになりますから、改めて自己資金を増やしてから購入に踏み切るか、購入する物件のグレードを下げることをおすすめします。

ではこれにて、不動産の知識「住宅ローン」についての知恵袋を閉じさせていただきたいと思います!