マイホームを購入する際に、「戸建て」を選択された方の多くが頭を悩ませるのが間取りの問題です。

ちなみに本ブログではこれまで繰り返し、「これから戸建を購入する方の多くは、建売を選ぶことになる」とお話しして来ましたから、『建売を買うのに間取りの選択なんてできないのでは?』とお思いになられる方も多いかと思いますが、

多棟現場の建売物件であれば、僅かではありますが「間取りを選択する余地」が残されているでしょうし、建築条件付の売地では自由に建物のプランニングが可能となりますから、やはり間取りの決定は非常に重要なイベントとなって来ます。

そこで本日は「戸建ての間取りについて考えてみます!」と題して、後悔しない間取りの決め方や、プランニングのポイントなどについて解説してみることにいたしましょう。

戸建の間取り

 

戸建ては間取りが命

では早速、間取り決定のポイントなどについてお話しして行きたいところなのですが、読者の皆様の中には「戸建ての間取り決定が如何に重要なものであるか」を充分にご理解されていない方も多いと思いますので、まずはその重要性から解説を始めましょう。

なお、購入対象が分譲マンションである場合には「間取りはおのずと決まって来る」ことが多いでしょうし、変更できたとしても『室内の仕切り壁を撤去するか、否か』程度の選択肢しか生じないものです。

これに対して戸建では、平屋でない限りは1階、2階というフロアーの概念を念頭に入れた設計を行わなければなりませんし、「リビングや風呂・トイレを何階に配置するか?」等の簡単には決め難い問題とも向き合って行かねばなりません。

また、フロアーの移動に用いる階段も多くのスペースを消費するため、その配置によってはリビングや居室が思うように配置できなくなってしまうことも充分に有り得ますし、

一度建築確認を取得してしまうと、その変更には高額な費用と長い時間を要することになってしまいますから、工事中に間取りを変更するのはかなり「しんどい作業」となるでしょう。

更には実際に生活を初めてみたら、「キッチンの位置がどうにも使い辛い」「洗濯機置き場と物干しスペースが離れ過ぎている」「年齢と共に階段の上り下りが辛くなって来た」等々、様々な不満が頭をもたげて来る可能性もありますから、間取りの決定においては慎重の上にも慎重を期する必要があるのです。

このように戸建ての間取り決定は、自由にプランを練ることができるというメリットの反面、とんでもない大失敗や後悔の種を生み出すリスクも孕んだデリケートな作業となります。

 

戸建を買う前(建てる前)に知っておくべき間取りの知識

さて、戸建ての間取りが如何に重要なものであるかをご理解いただけたところで、具体的な間取り作りのポイントや注意点を解説してまいりましょう。

階段の位置

前項でもご説明しましたが、戸建の階段部分はフロアーの移動という重要な役割を担っている上、限られた建築スペースを大幅に消費する厄介な代物でもあります。

ちなみに無理のない階段一段の高さは20cm程度とされている上、次のフロアーまでの高低差を考えれば最低でも14~15段は必要ということになるでしょう。

また当然、足を置くステップにも充分な面積が必要ですから、このステップの面積と階段の段数を合わせて考えると、ワンフロアーについて約3.3㎡(約1坪・畳2帖分のスペース)もの面積を階段に裂かねばならい計算になります。

なお、2階建て住宅のワンフロアーの床面積は40~50㎡が平均的な広さですし、3階建なら30~40㎡が通常ですから、この面積の問題を念頭に置けば『階段のスペースが如何に大きなウェイトを占めるか』をご理解いただけるはずです。

そして更には「お部屋の中に階段がある家」などあり得ませんから、階段を上った(降りた)先の通路部分(廊下)も計算に入れなければなりませんので、階段が消費する面積は想像を遥かに絶するものとなるでしょう。

一方、階段の形状(真上から見た形)にも様々なタイプがあり「L字型」「コ字型」「一文字型」などが一般的なものとなりますが、一文字型は非常に長い廊下(通路)が必要となるため敷地に余裕のある土地でしか設計に組み込むことができないはずです。

トイレについて

日々の生活を送る上で、当然ながらトイレは無くてはならない設備となります。

2階建ての場合であれば、今やワンフロアーに1ヵ所のトイレは当たり前ですが、困ってしまうのが3階建てです。

建売住宅の多くでも、3階建ての場合はトイレが2ヶ所というのが標準ですし、注文住宅でも3ヶ所付いているお宅は珍しいでしょう。

そうとなれば、「何階と何階にトイレを配置するか」が悩みどころとなる訳です。

なお、ここで判断基準となるのが寝室とリビングの配置となります。

就寝中にトイレに行きたくなった際、わざわざ階段を使ってトイレに行くのは非常に面倒ですし、食事や団らんを楽しむリビングについても、いちいち他の階に用を足しに行くのは避けたいですよね。

よって3階建てのトイレの配置については、リビングと寝室のある階に持って行くのベストでしょう。

ちなみに、階段下のスペースをトイレとしている物件も多く見掛けますが、こちらも不用意に配置すると非常にトイレが狭くなったり、天井が低くなったりする可能性がありますから、トイレの設置には細心の注意を払うべきです。

リビングについて

家族全員で食事をしたり、団らんの一時を過ごす「リビングの重要性」は近年非常に高くなっていると言えるでしょう。

そこで頭を悩ますのが、「リビングを何処に配置するか?」という問題となります。

基本的にはなるべく日当たりの良い場所を選ぶべきですが、現在の厳しい住宅事情においては、なかなか配置が決められないという方も多いことでしょう。

まず「何階にリビングを持って来るべきか」という点ですが、2階建ての場合には1階を選択する方が多いようです。

但し、近隣に3階建て以上の建物が多い地域においては日照の問題で「2階にせざるを得ない」というお宅もあるでしょう。

そして3階建ての物件でも同様に、日当たりを考えて2階以上となる場合が殆どとなるはずです。

ちなみにひと昔前までは、「リビングを通過しないと上下の階との行き来ができない物件」は忌み嫌われていましたが、近年では『あまり抵抗を感じない』という方が多いように感じます。

なお、リビングと言えばキッチンと一体型になっているのが通常ですが、流行のアイランドキッキンなどにした場合は多くの面積を占有してしまうため、最低でも15畳以上のリビングでないと居住空間が大きく圧迫されることになるでしょう。

バスルーム・脱衣場

一日の疲れを癒してくれるバスルームですが、こちらも配置に大いに頭を悩ます設備となります。

ひと昔前では、漏水のリスクからバスルームを1階に配置するのが当たり前でしたが、近年では配管の耐久性も向上していますので2階以上でも何ら問題はありません。

但し、ユニットバスは配管の切り回しの関係で床にかなりの厚みが必要ですから、2階以上にすると真下の部屋の天井が少々低くなる可能性があります。

また、脱衣場は洗濯機置場も兼ねるケースが多いですから、洗濯物を干すバルコニーまでの距離にも注意して配置しましょう。

ちなみに、今どきはバスルームを1坪タイプとするのが当たり前ですが、この大きな風呂場の影響で脱衣場がのスペースが圧縮されている(3/4坪分など)間取りも多く見掛けます。

もちろん脱衣場が多少狭くても大きな問題がある訳ではありませんが、「住んでみると狭過ぎて意外に使い勝手悪い」とのお声もお聞きしますし、「1坪タイプのバスルームは広すぎて掃除が大変」という意見も耳にしますので現在自分が住んでいる家の脱衣場やバスルームの大きさとしっかりと比較した上で間取りを決定していただきたいところです。

窓について

さて続いては、窓などサッシ関係のお話ししとなります。

夢の新築住宅を手に入れたのだから「燦々と日の光が差し込むお部屋を作りたい」と誰もが考えるものですが、何処でも好きな場所に窓を設置する訳には行きません。

まず窓を作る障害となるのが、建物の構造上の問題です。

現在の建物は建築基準法の厳しい審査を経て建築されることとなりますから、あまりに大きな窓や一つの壁面に多数の窓を設けようとすると、建築確認を取得できない可能性があります。

特に建物を壁で支える2×4工法の場合には、窓の形状が直接建物の強度に係って来ますから開口部の自由は利き辛くなるでしょう。

ちなみに、建築基準法では「居室」とするために一定の採光基準を設けていますので、充分に日の光が入らないお部屋は納戸(サービスルーム)として扱われることになります。

また、既に建っている近隣のお宅の建物との関係も窓の位置に大きな影響を及ぼす事項です。

隣りの建物と窓の位置がバッティングしてしまう場合などには、新築する側が位置を変更するのが礼儀となりますし、どうしても位置が動かせない場合には擦りガラス(曇りガラス)などへの変更を余儀なくされるでしょう。

内装(建具)のドアについて

ドアという、玄関ドアが真っ先に頭に浮かびますが、居室やトイレ、脱衣場の入り口などに設置する内装のドアも忘れてはいけません。

なお通常、お部屋の入口に設置するドアは「開戸(ひらきど・普通のドア)」か「引き戸」となるでしょう。

そして開戸の場合には、扉を開けた際に電灯のスイッチやコンセントなどが隠れてしまわないように設置するのが基本となります。

またトイレなどの場合は、内側に開くように設計してしまうと「内部で家人が意識を失ってしまった場合」などに、扉が開けられず救助ができないという問題が生じる可能性も出て来ます。

よって原則、開戸は廊下側に開くように設置することになりますが、「ドアを開けた際に廊下に立っている人間にぶつかってしまう可能性」もありますから、階段の周辺などに扉を配置する場合は注意が必要でしょう。

一方、引き戸に関してはここまでお話ししたような開閉配置の問題を考える必要はありませんが、扉を開いた時にドアが何処に収納されるかを充分に考える必要があります。

当然のことながら、扉をスライドさせた先が壁等があると、そもそも設置が不能な場合もありますのでご注意ください。

バルコニーについて

広々としたバルコニーは誰もが憧れるものですが、戸建ての場合はそれ程自由に設置できるものではありません。

バルコニーの下に建物の躯体がある場合ならともかく、建物からバルコニーが飛び出している(オーバーハングしている)ケースでは90cm程度の奥行きが限界でしょう。

もちろん補強工事を施すことにより、更に飛び出し幅を広げる方法は存在しますが、費用もそれなりに掛かる工事となるはずです。

戸建の間取りまとめ

さてここまで、戸建ての間取りを決定する上での注意点などをまとめてまいりました。

建築条件付きの売地を購入する方や、土地を購入して注文住宅を建築しようとお考えの方には是非ともご参考にしていただきたいと思いますし、完成済みの建売をお探しの方にも物件選びのヒントとしてご活用してもらえれば幸いです。

なお、こうした間取り造りの注意点などをお話していると「どのような形状・大きさの土地を選ぶと間取りが入れやすい?」などといった疑問も浮かんで来ることと思いますので、以下ではこの点について解説いたしましょう。

まず間取りが入れやすい土地のポイントは、地形が長方形であることです。

もちろん多少の変形(台形や平行四辺形)は問題ありませんが、三角形や正方形の土地は非常にプランニングが困難となりますのでご注意ください。

また、土地の間口(道路に接する幅)も非常に重要であり、最低でも5m以上の間口を確保したいところでしょう。(可能であれば5.5m以上が理想的)

間口5.5mと言うと非常に贅沢な条件のようにも聞えるかもしれませんが、民法によってお隣の土地境界と50cmは間隔を空けて建物を建築しなければなりませんから、

間口が5.5mあっても1m(両隣の50cm+50cm)は建物の敷地として利用できないため、実質4.5m間口の土地となってしまう訳です。

また、地形と共に重要となるのが土地の面積となりますが、3階建て用地であれば最低50㎡、2階建てならば少なくとも85㎡以上は確保できていないと、間取りを入れるのが非常に困難な作業となるでしょう。

なお、地形の詳細については別記事「土地の形状について解説いたします!」にて、土地の面積については「土地面積についてお話しします!」の記事にて、それぞれ詳細な解説を行っておりますのでご興味をお持ちの方は是非ご一読いただければ幸いです。

ではこれにて、「戸建の間取りについて考えてみます!」の知恵袋を閉じさせていただきたいと思います。