私たちは日々、水道や下水、電気にガスといったインフラ設備に囲まれながら生活を送っていますが、こうした設備にトラブルが発生した場合には、大変に不便な生活を強いられるものです。

なお一口にトラブルといっても電気系統から漏水まで、その原因は様々ですが最も発生頻度が高いと言われるのが「下水」に関するものであり、特に『排水口からの悪臭』などは誰でも一度は経験したことがあるはずです。

そこで本日は「下水の臭い対策について解説いたします!」と題して、非常に気になる排水口等の悪臭対策についてお話しさせていただきたいと思います。

下水の臭い対策

 

配管の詰まりや汚れが原因の場合

「排水口が臭い!」と感じた時に、まず皆様の頭に浮かぶのが「配管の洗浄」という対処法なのではないでしょうか。

確かにドラッグストアーなどに行くと「パ●プユニッ●ュ」等の様々な配管洗浄用品が並べられていますから、最も簡単に着手できる解決法でもあります。

ちなみに、このタイプの洗浄用品は排水口に流し込んでから数時間待ち、水で流すことにより配管に詰まった髪の毛やヌメリを除去する方式となり、単純に「髪の毛の詰まりや汚れの溜り」が原因であれば簡単に臭いを除去することが可能です。

しかしながら、時には薬剤を流し込むだけの洗浄では問題が解決できない場合もありますので、次に試すこととなるのが「ワイヤー型の掃除ツール」となります。

なお、「ワイヤーブラシを入れて配管を掃除する」と聞くと『専門業者さん用の道具』といった気もいたしますが、このタイプツールはホームセンターなどでも購入(取り寄せ)可能です。

また、配管の掃除といえば「高圧洗浄」を思い浮かべる方も多いでしょうが、これを行うには専用車両を手配する必要がありますので、特定の排水口の悪臭対策のためだけに行うのはコスト的に厳しいものがあるでしょう。

※本格的な下水の高圧洗浄についての知識は別記事「高圧洗浄!排水管のメンテナンスについて解説いたします!」をご参照ください。

排水トラップが原因の場合

前項にて配管掃除の方法をご紹介いたしましたが、洗浄のみで悪臭が収まるケースは意外に少ないのが実情です。

そして、臭気の原因として最も可能性が高いと考えられるのが排水トラップの不具合となります。

排水トラップとは、配管の途中に

「水(封水)が溜まる箇所(トラップ)」を設けることにより、下水の臭いが部屋に逆流するのを防ぐ設備

のことであり、洗面化粧台のボウルの下にある下水配管が「S字状に曲げられている部分」が、その代表例となるでしょう。(配管をS時に曲げることで水の溜まりを作り、臭気を封じ込める)

また、トイレの便器に水が溜まっているのも一種のトラップとなっており、長い期間トイレを流さないでいると便器の水が干上がり、露出した底の穴から臭気が上がって来てしまうことになります。

なお、近年のユニットバスなどの排水口では先程ご紹介したような「わかりりやすいトラップ」ではなく、まるで「プラスティック製のコップを二つ重ねたような形状」をしたトラップが主流です。

このタイプのトラップは受け皿となるコップに水を溜め、その上から底の抜けたコップ状のパーツを重ねることで、コップとコップの間に水の層を作り出し、下水管の臭いを逆流させない仕組みとなっています。

さて、このように技術的にも進歩を続けているトラップですが、長年排水を流し続けている内にトラップ自体に様々な不具合が発生して来ることも少なくありません。

ちなみに具体的な例を挙げるとすれば

  • トラップに「大量の髪の毛」や「糸くず」が詰まり、水を吸い上げてしまっている(毛細管現象)
  • 水を溜めるコップ型パーツが破損し、封水が溜まらない状態なっている

といった原因が考えられます。

毛細管現象についてはトラップの掃除を行うだけで対策は完了となりますが、コップ型パーツが破損しているケースについては業者に依頼しての部品交換が必要となるでしょう。

一方、長年使用していない排水口から悪臭が上がってくるケースでは、水を流してトラップを封水で満たすだけで対策は完了となります。

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その他の原因

ここまで、配管の詰まりやトラップの不具合によって上がってくる下水の臭い対策についてお話ししてまいりました。

しかしながら、お話しして来た方法を試したにも係らず「臭いが収まらない」という場合には、

  • 下水管が逆勾配となっており、汚物がトラップや配管に溜まっている
  • 下水管の接続部分に隙間が生じている
  • 配管内の気圧の変化により、トラップの封水が配管に引き込まれてしまう(サイフォン現象)

以上のような原因が考えられます。

下水管の逆勾配が原因

下水配管は本来一定の角度で下り坂(勾配)を描いて本管に接続する必要がありますが、時には建物の構造上の問題などで一部に上り坂(逆勾配)が生じるケースがあります。

そして、こうした逆勾配の配管内部には常に汚水が溜まっている状態となり、トラップの封水までもがこの汚水に満たされた状態となれば、室内に悪臭が込み上げてくるのは当然の結果でしょう。

対処方法としては配管経路の変更等を行い、逆勾配を解消することとなりますが、かなり大掛かりな工事となる可能性があります。

下水管接続部分の隙間が原因

下水配管には当然ながら、配管と配管の繋ぎ目が存在しています。

そして、こうした接合部分は接着剤やビニールテープなどで隙間が生じない処理がされていますが、長い年月が経過する内に「継ぎ目に隙間が生じる」こともあるのです。

このケースにおいては匂いの発生源が排水口ではなく、更にその下の配管部分となりますので、壁や床を開口してみないと原因が究明できない場合も多いでしょう。

なお、開口部を作るとなれば工事は当然大掛かりなものとなるはずです。

気圧の変化による封水の枯渇(サイフォン現象)

そして最後にご紹介するのが、マンションタイプの物件で多く見られる気圧変化によりトラップの封水が枯渇する現象です。

マンションともなれば建物の高さもそれなりのものとなりますから、上階の人間が下水に水を流した際には水と共に下水配管内の空気が一気に落下することになります。

そして、この空気の流れによって下水の本管内に真空状態が生じ、各部屋のトラップの水が本管内に吸い上げられてしまうのが、この現象の原因です。

なお通常は、この現象を防ぐために建物の最上階や屋上に「下水管内減圧用の排気口」を設けているのですが、築年数の古い物件では時折この排気口がない建物も存在しています。

また、たとえ排気口が付いていても、何らかの原因で排気穴が塞がれてしまった場合には同様の現象が起きてしまうのです。

ちなみに管理人が経験したものでは、排気口に風で飛んで来たビニール袋が詰まってしまい、サイフォン現象が発生したというケースがありました。

一方、排気口の異常ではなく「最初から排気口が存在しない場合」には、専門業者に依頼して新たな排気口を設けることで問題の解決を図ることになるでしょう。

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下水の臭い対策について解説まとめ

さてここまで、お部屋に下水の臭いが上がって来てしまう際の対策について解説してまいりました。

単に「水を流すだけの設備」である排水口ですが、実に様々な原因で悪臭が発生し得ることをご理解いただけたことと思います。

なお、最も多い下水の悪臭トラブルの原因は旅行や長期不在で水を使わなかったことにより、トラップの水が自然蒸発してしまう症状です。

こうしたケースでは、定期的に水を流すことが最も有効な対策となりますが、長期の出張などでこれが不可能な場合にはトラップに水を一杯に張った上、ラップなどで排水口を塞いで蒸発を防ぐのが良いでしょう。(ホームセンターなどには蒸発防止用の薬剤なども販売されています)

悪臭は生活環境を劇的に悪化させる要因ともなりますから、なるべく早期に問題を解決したいものですよね。

ではこれにて、「下水の臭い対策について解説いたします!」の知恵袋を閉じさせていただきたいと思います。