水道管のサビ

 

私たちが生活を送る上で、欠かすことのできない設備と言えば「水道」ですよね。

水道の蛇口を捻れば何時でも美味しい水を飲むことができる我が国では、日常生活で『その有り難さ』を実感する機会は少ないでしょうが、断水などを一度経験すると改めてその重要性を思い知らされます。

しかしながら、こうした貴重な水を供給してくれる水道管も当然ながら時間の経過と共に劣化して行くものですから、赤水と呼ばれる錆水や、水に混ざる錆粒に悩まされている方も少なくないはずです。

また戸建てならまだしも、アパートや賃貸マンションといった収益物件で錆水のトラブルが発生した場合には、その対処に頭を抱えてしまうオーナー様が殆どとなるでしょう。

そこで本日は「水道管のサビ対策について解説いたします!」と題して、この厄介な錆被害の対処方法について解説してみたいと思います。

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水道管の錆トラブルとは

ではまず最初に、「水道管の錆トラブルとはどのようなものであるか」という点からご説明を始めさせていただきたいと思います。

錆トラブルの症状

冒頭でもお話しした通り、水道管の錆トラブルの代表格と言えば、錆が溶け出した「赤水の被害」や、コップなどで水を受け止めた際に気になる「錆粒の混入」となるでしょう。

赤く色付いた水は「とても飲む気にはなれない」ものですし、お風呂に水を溜めた際に「フワフワと錆の粒が踊っている光景」はなかなかショッキングなものです。

そして、こうした状態の水を飲めば強烈な錆の味を感じてしまうため、「健康面での問題はないのか?」と不安になってしまいますが、実は錆が直接健康被害の原因となることは殆どないのが実情だったりもします。

但し、水を利用する側としては「その見た目が非常に気になる」のは間違いありませんし、錆の発生を放置しておけば「錆による水道管の詰まり」や「錆の崩落(水圧に負けて錆の塊が剥がれ落ちる現象)」によって、最終的には漏水などの問題が生じることになるでしょう。

また、水道配管はフローリングの下など床下を通過しているのが常ですから、一旦漏水が発生すれば「床を剥ぎ取っての大工事」をするか、水道メーターの部分から新たな配管を露出させながら新設する他はなく、お財布にも見た目にも大変に厳しい状況を突き付けられることとなるのです。

そして更に2階以上のフロアーで漏水が発生すれば、その下の階に住む者も被害を受ける(物品が水没して賠償問題に発展する)ことになりますから、数ある建物のトラブルの中でも『漏水は最悪の部類に入る代物』と言えるでしょう。

錆の原因は?

では一体、どうして水道管が錆びてしまうのでしょうか。

その原因は水道管に使用されている鉄が、水道水に含まれる成分によって酸化してしまうことによります。

さて、このようなご説明をすると「何を当たり前のことを!」と言われてしまいそうですが、逆を返せば『鉄を使用していない水道管では錆が発生しない』ということになるでしょう。

実は近年の水道管は錆の発生を避けるために、鉄を全く使用していない部材を使用するのが通常です。

よって、錆水が発生するのはある程度の築年数を経た物件のみということになります。

なお、鉄を使用していれば「如何なる管種(同じ鉄管でも様々な種類が存在する)」であってもいつかは錆が発生することになり、こうした配管の寿命は20年~30年が限界となっているのです。

ちなみに、長らく空き部屋となっている物件では「水道を使用し始めると必ずと言って良い程に赤水が発生」しますから、『水道を利用していないと錆が進行する』ように思われがちですが、実は水道を頻繁に使用していればいる程に「錆の進行は早く」なります。

ただ、毎日使用していると錆が少しづつ流れているために「目視が困難」というだけで、決してサビ辛いという訳ではないのです。

どのような水道管が危ないのか

前項にて、築年が古い建物は錆水の発生リスクが高いと申し上げましたが、一体どのような建物が、そして如何なる水道管が錆発生の可能性を秘めているのでしょうか。

実は鉄を一切使用していない水道管が使用され始めたのは、1991~1992年頃のことです。

更に錆びない水道管が主流となるまでには、その後数年の時間を必要としましたから、1998年以前の建物では鉄を含む水道管が使用されている可能性が高いでしょう。

なお一口に水道管と言ってもその種類は様々であり、同じ鉄を使用しているものでも管全体が鉄で出来ている「鉄管」から、鉄管の内部をビニールコーティングした「ライニング鋼管」まで色々な種類があります。

ちなみに、内部がビニールで覆われたライニング鋼管であれば錆は発生しない気も致しますが、初期の製品は「継手」と呼ばれるジョイント部分についてコーティング加工が施されていませんでしたので、ライニング鋼管が使用されていても決して安心はできないのです。

そして先程も申し上げた通り、1998年を超えたあたりからは塩ビ管やステンレス管が主流となって来ますので、錆の心配は不要ということになります。

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様々な対処方法

では、実際に自分の所有する物件に錆被害が発生した場合には、どのように対処すれば良いのでしょう。

本項では錆トラブルの対処方法についてお話ししてみたいと思います。

水道管更新工事

赤水や錆粒の混入の原因が水道管自体の腐食(サビ付き)である以上、最もシンプルな解決策は「水道管自体を新しいものに交換する(水道管更新工事)」ということになります。

但し、水道管更新工事には多くの問題が付き纏うのも事実です。

まず工事費用ですが、建物全体に血管のように張り巡らされた水道管を全て新しい物に交換するのは、それだけでも高額な費用が発生しますよね。

また水道管は床下や壁の中を通過していますから、「一度壁や床を破壊して配管を交換する」という作業は実質不可能でしょう。

そこで登場するのが「露出配管」という工法となるのですが、その名の通り水道管が廊下や床の上に露出した状態となるため、その見栄えは非常に悪いものとなってしまいます。

もちろん工事をするのが自宅などの場合には、見栄えの悪さを我慢するだけで良いでしょうが、対象が賃貸アパートなどの場合には「賃借人からクレームが来る」ことは必至でしょう。

なお、たとえ露出配管であっても工事期間はかなりの長期に及びますから、入居中の収益物件などでこれを行うのは「至難の技」と言わざるを得ません。

フラッシング

水道更新工事とは対照的に、最も手軽に行えるのがフラッシングという対処方法です。

なお、やり方としては水道のバルブを限界まで解放して、数分間「水を高圧力で出し続けて錆を管内から排出してしまう」というものになります。

ちなみに、一度高い水圧を掛けることで「剥がれ易い錆を一時的に退治することは可能」となりますが、根本的な解決策ではないためしばらく時間が経過すると再びサビの被害が発生することになるでしょう。

また、配管の錆が進行している場合にはフラッシングの圧力によって大規模な錆の崩落が発生し、漏水の引き金となることも多いので注意が必要です。

配管清掃

下水管の掃除においては、高圧洗浄と呼ばれる工法(管内に高圧の水を送り込み、クリーニングを行う工法)が存在しますが、実は水道管にも似たようなメンテナンス方法が存在します。

もちろん専門業者に依頼しての施工となりますが、1部屋に付き10万円前後の工事費が一般的であり、水道管のメンテナンスとしては安価な部類に入るでしょう。

但し、フラッシングと同様に根本的な錆対策ではありませんので、将来的な錆びの再発は避けられませんし、場合によっては「水道管の破裂」や「サビ症状の悪化」という最悪の結果を招く可能性もあります。

ライニング工法

そしてここからは「より本格的なサビ対策」のご紹介となりますが、まずはライニング工法なるものからご説明して行きましょう。

このライニング工法、錆付いた水道管に高圧力で砂を吹き付け、錆を除去するところから作業が開始されます。

もちろん、錆を削り取っただけでは配管の強度が落ちてしまいますが、ここで登場するのが特殊な機材を利用してのライニング工事です。

施工方法は業者によって様々ですが、この工程では配管内部に樹脂の膜を張り巡らせて行くこととなり、施工が完了すれば古い水道管内にビニールホース状の強固な塗膜が形成されることになります。

なお、古い配管をそのまま活かす工法となりますから「見た目も施工前と一切変わらない状態」となりますし、「錆の再発も塗膜が劣化するまで防ぐ」ことができますから、非常に画期的な工法なのですが問題は経費です。

塗膜を形成する機材が非常に高額となるため、大型の賃貸マンションともなれば、その工事費は数千万円にも及ぶと言われています。

また、砂による錆の除去の際に水道管の損傷が発生すれば、ライニング自体が不可能となる場合もありますから『色々な意味でリスクの高い工法』とも呼べるでしょう。

黒錆化工法

続いてご紹介するのが、黒錆化工法と呼ばれるものです。

「錆トラブルを解消するのに、錆びさせてどうするの?」というツッコミも聞えて来そうですが、実は錆には赤錆と黒錆の2種類が存在します。

なお「赤錆」については錆同士の剛性が弱いため、水に溶け出して赤水になったり、水圧に負けて錆粒が崩落するといった現象が発生しますが、「黒錆」は非常に強固に固まる性質があるため、水に溶け出すなどのトラブルは一切引き起こさないという特徴を有しているのです。

また黒錆は剛性の強さ故に漏水なども防ぐ働きがありますから、たとえ水道管に錆が発生しても『黒錆なら問題は生じない』ことになります。

しかしながら黒錆が発生するには水質など様々な条件が必要であり、残念ながら自然に発生する錆の殆どは赤錆となっているのです。

ちなみに水道から出てきた錆粒の色が黒いため、「自分の建物は黒錆が発生している」と言う方がいらっしゃいますが、黒錆ならそもそも錆粒が出て来ることはありませんので、それは単なる色の黒い「赤錆」ということになるでしょう。

そこで出番となるのが黒錆化工法と呼ばれるもので、水道水に人為的な手段を加えることで、発生した赤錆を黒錆に変化させてしまうのがこの工法の要点となります。

黒錆化のプロセスについては工事を行う業者によって様々な種類がありますが、大別すると磁力(電気)を利用するタイプと、オゾンを使用する2つのタイプが主流です。

どちらも水道の引込み管などに特殊な装置を取り付けることで黒錆を発生させる仕組みとなりますが、効果が出るまで半年から1年近く時間が掛かるものが多く即効性はありません。

なお黒錆化が完了しても「ヒゲ」と呼ばれる錆の細かい突起は水に混入することがありますが、錆の本体は固まっているため、先にご紹介したフラッシングや配管洗浄を行うことで、錆の流出を止めることができます。

そして工事のコストに関しては「数十万円~数百万円まで」と施工業者によってかなりの幅が存在しますが、実際に発注するならば『工法として特許を取得してもの』を選択するが良いでしょう。

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水道管のサビ対策まとめ

さてここまで、水道管のサビ対策について解説してまいりました。

冒頭でもお話しした通り、水道は私たちの生活に欠かすことのできない重要な設備となりますから、トラブルが発生した際も適切な対処を行いたいところです。

ちなみに、「水道管が錆びていないのにサビが出た」というレアなケースも存在するようですが、こうした事例の多くは前面道路での工事等が原因だと思われます。

ご存じの通り、道路内には水道局が管理する水道本管が敷設されていますが、本管自体が古いものであれば「本管の内部はサビが発生している可能性」は充分にあるでしょう。

こうした本管の錆が工事の振動で崩落し、各家庭の水道に混入する事例は決して少なくありませんので、このケースが疑われる場合には水道局に相談してみるのが得策です。

但し根本的な解決を図るには、建物の場合と同じく「本管を交換」してもらう他はありませんので、解決にはどうしも時間が掛かるでしょう。

ではこれにて、「水道管のサビ対策について解説致します!」の記事を閉じさせていただきたいと思います。