マイホームに投資用の収益物件、そして先祖から代々相続して来た土地など、不動産を保有している方には様々な悩み事・困り事が生じて来るものです。

近隣から境界線の位置を巡って相談を受けたり、敷地の一部を売って欲しいなどの要望を持ち込まれることもありますし、時には目隠しフェンスを建てて欲しいなどの苦情が寄せられることだってあるでしょう。

そして、こうした不動産に関するお悩み事の中でも、近年特に件数が増えているとされるのが土地の上空を通過する電線に関する問題であるようです。

前々から自分の敷地の上空を通過する電線があることは知っていたが「ある日突然、電力会社を名乗るものから契約の更新を迫られた」、購入した敷地について「費用を払うから、電線を通過させて欲しいと頼まれた」など、電線に関わる困り事には様々なケースがありますから、土地の所有者としても判断に戸惑ってしまいますよね。

そこで本日は「電線が敷地上空を横切る場合の契約内容を解説!」と題して、この問題についてご説明をさせていただければと思います。

電線が敷地上空

 

電線の敷地通過について

冒頭でのお話をお聞きになり、「そもそも電線の敷地通過問題って何だ?」とお思いになられた方も少なくなかったことと思いますので、ここではもう少し掘り下げた解説を行なっておくことにいたしましょう。

この問題は読んで字の如く「自分の敷地を他人の電線などが通過している」という状況に関するものとなりますが、これが単に近所の方の電線が敷地の上空に存在しているだけということであれば、それ程には頭を悩ませる必要はありません。

通常、建売物件などでは、こうした他人の電線の越境は「改善しての引渡し」となることが多いでしょうし、改善が難しい場合には、後々の紛争を避けるために「電線敷地通過の覚書 (建替えの際には電線の越境を解消する取決め)」などを交わして問題を処理しているはずです。

また、中古住宅や既に長年所有している土地に上記のような問題が発生すれば、電線を管理している電力会社などに相談することで「越境を解消してもらえる」ことが殆ど(電線を中継する電柱にアームを取り付けるなどして、電線の経路を変える等)ですし、

技術的に越境の解消が困難な場合は、先にご説明した建売のパターンと同様に電線を引き込んでいる相手方と交渉して越境に関する覚書などを交わす方法もあるでしょう。

しかしながら、ここで厄介な問題となるのが電力会社などが管理する送電線の本線などが敷地の上空を通過している場合です。

さて、このようなお話をすると「電力会社の本線なら、相手がしっかりとした企業だけに、なおさら解決が簡単なのでは?」というお声も聞えて来そうですが、これはそれ程単純な問題ではありません。

本線は「電柱と電柱の間」を走っていますから、電柱の位置を変えない限り経路の変更を行うには困難となりますから、先程お話ししたお隣りからの電線のようにはいかないのです。

その上、越境している相手方が大企業であるにも係らず、土地の所有者と一切この件について話し合いが持たれていない土地が非常に多く存在しているというのですから、これは正に驚きですよね。

もちろん電力会社等も「越境を放置した状況は望ましくない」と考えているようで、近年こうした土地の所有者を訪問し、電線の敷地通過に関する契約の締結などを求めるケースが急増しているのです。

但し、こうした経緯があるにしても突然電力会社等の社員が自宅にやって来て「契約を結んでください」と頼まれたのでは、なかなか安心して印鑑を突くことはできませんよね。

そこで次項では、こうした際に電力会社から締結を求められる契約の注意点などをまとめてみたいと思います。

スポンサーリンク

電線通過契約の注意点

では早速、契約書の内容や注意点についてご説明してまいりましょう。

まず契約を持ち掛けて来る相手方ですが、電力会社の他にも電話会社、鉄道会社などのパターンも存在しているようです。

また契約内容としては、敷地を電線が通過することを承諾する代わりに、年間数万円の費用を土地所有者に支払うというものが多いと言います。

但し、上空を電線が通過している以上、土地にあまり背の高い建物を建てられると安全面での問題が生じてしまうため、一定の建築制限に同意する旨も記されているのが通常でしょう。

ちなみに建築制限の内容については、「複数走る電線の一番下の線から、半径3~5m以内の範囲に建物を建築してはならない」というのが一般的ですが、敷設されている「電線の高さ」や「敷地を通過している位置」によっては、今後の土地活用に大きな影響を及ぼす可能性もありますので注意が必要です。

一方、契約書においては「契約期間」についての取り決めが特に定められていない上、「解約に関する事項」について触れていない書式が多いのも特徴となっています。

当然、敷地を利用させてもらう電力会社などからすれば、後から「契約を解除したい」などと言い出されては困る訳ですから、こうした契約内容を提示してくる気持ちは判らなくもありませんが、地主側としては大いに心配ですよね。

もちろん、地主には契約の締結自体を拒む権利もありますから、こうした権利を盾に「3ヶ月前に申し出れば契約を解除できる」などの解除条項を付加してもらうように交渉することも可能でしょう。

なお、敷地の上空を電線が通過するという契約内容からは、地役権の設定契約(詳細は「地上権・地役権とは?という疑問にお答えします!」の記事をご参照ください)などを想像してしまいますが、

地役権の契約には登記が必要となる等の事情から、近年では「賃貸借契約」を締結して問題解決を図るのが一般的であるようです。

また、実物の契約書には「賃貸借契約」という文字が出て来ないことも少なくありませんが、法律的には「期間の定めのない賃貸借契約を地主と電力会社で交わした」ことになります。

そして、建物の所有を目的としない期間の定めのない土地賃貸借契約は、民法上「貸主・借主どちらからでも、何時でも契約を解除ができる」ことになっており、解約申し入れから1年で契約は終了するルールにはなっていますが、

後々のトラブルを避けるためにも、契約書にしっかりと解約に関する取り決めを書き記しておくのがベストでしょう。

スポンサーリンク

電線通過まとめ

さてここまで、自分が所有する敷地の上空に電線が敷設されており、電力会社等から契約締結を迫られた場合の注意点などをまとめてみました。

たとえ相手が大会社だとしても、突然「契約を結んで欲しい」と言われると困ってしまうものですから、本記事を参考にしてご対応していただければ幸いです。

また本文中でも申し上げましたが、契約はあくまで両当事者の合意によって行われるものとなりますから、自分に不利な条件を提示された場合には、当然「契約締結を拒否する」こともできます。

よって、相手からの申し出を機会に「電線の経路を変更せよ」と契約を突っぱねるのも、一つの選択肢でしょう。

なお、契約によって支払われる費用(賃料または保証料)については、金額交渉を行ってもあまり引き上げることができないケースが多いようです。

但し、若干の賃料増額であれば交渉の余地はあるようですから、金額に納得が行かない場合には、話し合ってみるのも良いでしょう。

ではこれにて、「電線が敷地上空を横切る場合の契約内容を解説!」の記事を締め括らせていただきたいと思います。