定期借地権とは?3つの種類・契約期間・普通借地権との違いをわかりやすく解説

土地を貸すとき、「将来は土地を返してもらいたいけれど、建物を建てられると契約を終わらせるのが難しいのでは」と心配する地主さんもいらっしゃるでしょう。一方、土地を借りる側にとっても、いつまで利用できるのか、最後に建物をどうするのかは大切な問題です。

こうした土地利用の選択肢となるのが、あらかじめ定めた期間や建物の譲渡によって、借地関係を終了させる仕組みを設ける「定期借地権」です。ただし、種類によって契約期間・利用できる用途・契約方法が異なり、すべてが同じ条件で使えるわけではありません。

そこで本記事では、普通借地権との違いを確認したうえで、一般定期借地権・事業用定期借地権・建物譲渡特約付借地権の仕組みと、契約前に確認しておきたい実務上の注意点をわかりやすく解説いたします。

この記事のポイント

定期借地権は、土地を借りる期間だけでなく「最後に土地と建物をどうするか」まで決めておく制度です。更地で返す方法と建物を地主へ譲渡する方法があり、利用目的と終了後の計画に合った種類を選ぶ必要があります。

定期借地権の3つの種類と契約の注意点

目次

普通借地権と定期借地権の違い

借地権は建物の所有を目的とする土地の権利

借地借家法でいう借地権とは、建物の所有を目的とする地上権または土地の賃借権をいいます。たとえば、地主から土地を借り、その土地に借主が自分の店舗や住宅を建てて所有する場合が該当します。

これに対して、建物の所有を目的とせず、土地を青空駐車場や資材置き場として借りる場合は、通常、ここで説明する借地権とは異なります。契約書に「土地賃貸借契約」と書いてあっても、建物所有が目的かどうかによって適用されるルールが変わる点に注意しましょう。

借地権の基本的な仕組みについては借地権とは何かを解説した記事を、建物所有を目的としない土地の貸し借りについては土地の賃貸借契約の注意点もご参照ください。

普通借地権は更新による継続を予定している

普通借地権は、契約の更新が認められる借地権です。借地借家法では、当初の存続期間は30年とされ、契約でこれより長い期間を定めた場合はその期間となります。更新後の期間は、最初の更新が20年、その後は10年が基本となり、これより長い期間を合意することもできます。

また、建物がある状態で借地人が更新を請求した場合などには、地主が更新を拒絶するために正当事由が必要です。そのため、契約書に満了日が書かれているだけで、必ずその日に土地を返してもらえるわけではありません。

さらに、期間満了に際して契約が更新されない場合には、一定の要件のもとで、借地人が地主に建物などを時価で買い取るよう求める「建物買取請求権」が認められています。

定期借地権は終了方法をあらかじめ定める

定期借地権は、法令の要件に従って更新等を排除したり、将来の建物譲渡を定めたりすることで、借地関係の終了を予定する仕組みです。1992年8月1日に施行された借地借家法によって導入されました。

ただし、「定期借地権」という契約名を付ければ成立するわけではありません。契約期間・用途・特約・契約方法について、それぞれの制度の要件を満たす必要があります。

なお、建物や部屋を借りる「定期借家契約」とも別の制度です。定期借地権は建物を所有するために土地を利用する関係、定期借家契約は建物そのものを借りる関係と整理するとわかりやすいでしょう。

また、借地借家法の施行前から存在する借地権には、旧借地法が引き続き適用される事項があります。古い契約については、旧法借地権と新法借地権の違いも確認してください。

定期借地権の3つの種類を比較

定期借地権等の制度は、主に次の3種類に整理できます。事業用定期借地権については、契約期間によって仕組みが異なるため、表では2つに分けています。

種類期間・時期建物の用途契約方法終了時の基本
一般定期借地権50年以上住宅・事業用ともに利用可能更新等をしない特約を書面または電磁的記録で定める原則として建物を解体し、土地を返還
事業用定期借地権等
10年以上30年未満
10年以上30年未満専ら事業用。居住用は除く公正証書による契約更新等に関する規定が適用されず、原則として更地で返還
事業用定期借地権等
30年以上50年未満
30年以上50年未満専ら事業用。居住用は除く公正証書による契約で、更新等をしない特約を定める特約に従って終了し、原則として更地で返還
建物譲渡特約付借地権設定後30年以上を経過した日に建物を譲渡住宅・事業用ともに利用可能特約自体に書面の法定要件はないが、書面化が重要建物を相当の対価で地主へ譲渡して借地権を消滅させる

ここで押さえておきたいのは、一般定期借地権と事業用定期借地権は期間満了による終了を基本とし、建物譲渡特約付借地権は建物を地主へ譲渡することで借地権を消滅させるという違いです。以下、それぞれの内容を見ていきましょう。

一般定期借地権|50年以上の土地利用に対応

50年以上の期間と更新等をしない特約が必要

一般定期借地権は、借地権の存続期間を50年以上としたうえで、次の3つの内容を定める仕組みです。住宅にも事業用建物にも利用でき、定期借地権付きの戸建てや分譲マンションにも使われています。

  • 契約の更新をしない
  • 建物の築造による借地期間の延長をしない
  • 期間満了に伴う建物買取請求をしない

これらの特約は、公正証書などの書面によって定める必要があります。また、特約の内容を記録した電磁的記録による方法も認められています。公正証書は必須ではありませんが、口頭の約束だけで済ませることはできません。

なお、期間を50年以上にしただけで、自動的に更新のない借地権になるわけではありません。更新等をしない特約も含めて、適切に契約することが必要です。

期間満了時は原則として更地で返還する

一般定期借地権では、原則として、借地人が建物を解体して土地を地主へ返還します。まだ使える建物が残っていても、そのことだけで借地期間が延びたり、地主に買い取ってもらえたりするものではありません。

たとえば、借地期間の終了まで残り10年の時点で大規模な改修を検討する場合には、その費用を残りの利用期間で回収できるかを考える必要があります。建物の耐用年数と、土地を利用できる期間は別の問題として確認しましょう。

また、満了時に地主と借地人が合意して、新たな契約を結ぶ余地はあります。ただし、借地人が当然に再契約を求められるわけではないため、「最後は地主が貸し続けてくれるだろう」という前提で購入や投資を判断するのは避けたいところです。

定期借地権付き住宅は購入価格以外も比較する

定期借地権付き住宅は、土地の所有権を取得しない分、同程度の立地や建物の所有権物件と比べて購入価格を抑えられる場合があります。一方で、地代や契約上の一時金、解体費用なども含めて負担を比較することが大切です。

  • 借地期間はいつまでで、購入時点の残存期間は何年か
  • 地代はいくらで、どのような条件で改定されるか
  • 保証金・権利金・前払地代などの性質と返還条件はどうなっているか
  • 建物解体や土地返還に必要な費用を、どのように準備するか
  • 売却時の承諾条件や、住宅ローンの利用条件はどうなっているか

特に中古物件では、購入した日から新たに50年以上借りられるとは限りません。マンションであれば、土地返還や解体について管理組合等でどのような取り決めがあるかも確認してください。

事業用定期借地権|店舗・事務所・倉庫などに利用

専ら事業用の建物を所有するための制度

事業用定期借地権等は、専ら事業用の建物を所有するために、10年以上50年未満の期間で借地権を設定する制度です。コンビニエンスストア、飲食店、ドラッグストア、事務所、倉庫などの土地利用が考えられます。

ただし、居住の用に供する建物は対象から除かれます。会社が借りる土地であっても、社宅や従業員の宿舎などに使う建物であれば、事業用という理由だけでこの制度を利用できるわけではありません。

店舗兼住宅のように居住部分を含む計画についても注意が必要です。契約書に「店舗」と記載するだけで済ませず、実際の建物計画と利用方法を確認しましょう。

30年未満と30年以上では仕組みが異なる

事業用定期借地権等は、期間によって次の違いがあります。

契約期間更新等の扱い
10年以上30年未満契約更新、建物の築造による期間延長、期間満了に伴う建物買取請求などに関する規定が、法律上適用されない
30年以上50年未満契約更新・建物の築造による期間延長・期間満了に伴う建物買取請求をしない旨の特約を定めることで、それらを排除できる

つまり、20年の契約と40年の契約では、更新等を排除する法律上の仕組みが異なります。30年以上の契約については、「事業用だから更新はない」と考えず、必要な特約が定められているか確認することが大切です。

また、期間の上限は「50年以下」ではなく、50年未満です。事業用の建物で50年以上の利用期間を設定したい場合には、一般定期借地権を検討することになります。

契約は公正証書で行う必要がある

事業用定期借地権等の設定契約は、期間が30年未満か30年以上かにかかわらず、公正証書によって行わなければなりません。当事者同士で作成した契約書に署名・押印するだけでは、この要件を満たしません。

そのため、地代や期間だけでなく、中途解約・原状回復・保証金などの条件も整理したうえで、公証役場へ相談する流れになります。建築工事や融資の手続きとも関係するため、公正証書の作成時期を含めて、契約全体の段取りを確認しておきましょう。

用途が変わる場合は早めに確認する

契約後に建物を宿舎などへ変更すると、契約違反だけでなく、事業用定期借地権としての法的な扱いが問題になる可能性があります。地主が知りながら放置することも避け、変更前に専門家へ相談してください。居住利用が判明しただけで、常に即時解除できると決めつけることも適切ではありません。

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建物譲渡特約付借地権|建物を地主へ譲渡して終了

30年以上経過した日に建物を相当の対価で譲渡する

建物譲渡特約付借地権は、借地権を設定する際に、設定後30年以上を経過した日に、借地上の建物を相当の対価で地主へ譲渡し、借地権を消滅させる旨を定める仕組みです。

たとえば、借地人が建てた建物を35年後に地主へ譲渡し、その譲渡によって借地権を終わらせる計画が考えられます。建物を取り壊して土地を返す一般定期借地権とは、終了方法が大きく異なります。

この特約自体には、書面や公正証書を求める法律上の方式の定めはありません。ただし、数十年後の建物譲渡を口頭の約束だけで管理するのは困難です。譲渡日・対価の算定方法・建物の状態・登記手続きなどを、契約書で明確にしておく必要があります。

なお、この特約は普通借地権などに組み合わせて用いられるため、単純に「更新のない30年契約」と理解するのは適切ではありません。期間満了だけで終わる仕組みとの違いを押さえておきましょう。

将来の買取価格と建物の状態を整理しておく

地主は将来、建物を取得することになるため、買取代金だけでなく、その後の修繕費や維持管理費も見込む必要があります。借地人にとっても、どの程度の対価を受け取れるかは事業や資金計画に関わります。

契約時には、不動産鑑定などを利用した対価の算定方法、評価の基準時点、鑑定費用の負担、評価額が争われた場合の対応などを整理しておくとよいでしょう。ただし、算定方法を決めておけば、将来の争いが必ずなくなるというわけではありません。

また、建物に抵当権が設定される場合や、第三者への売却が想定される場合には、将来の譲渡を実行できるようにするための検討が必要です。仮登記の利用も含め、契約内容と登記上の保全方法を弁護士・司法書士等へ確認してください。

建物取得後も使用が続く場合がある

この制度で注意したいのが、建物を取得したからといって、地主が直ちに自由に使えるとは限らないという点です。

建物譲渡によって借地権が消滅した後も、元の借地人や建物の賃借人が使用を継続し、法律に基づく請求をした場合には、原則として期間の定めのない建物賃貸借が成立したものとみなされます。元の借地人による請求で借地権の残存期間がある場合などには、期間について別の扱いがあります。

一方、法律の要件を満たす定期借家契約を地主と利用者との間で締結した場合は、その定めに従う仕組みもあります。将来の建物利用をどのようにするかは、建物の譲渡条件と合わせて検討しておく必要があります。

地主・借地人それぞれのメリットと注意点

地主は土地を保有しながら活用できる

地主にとっては、土地を売却せずに地代収入を得ながら、将来の返還や建物取得を予定できることがメリットです。借地人が建物を建築する形であれば、地主自身が建築費を負担して建物を貸す方法とは、資金負担の構造も異なります。

一方、一般定期借地権では50年以上という長い期間にわたり土地利用が制限されます。また、返還時期が決まっていても、借地人の資金不足や建物入居者との調整によって、明渡しが円滑に進まない可能性はあります。

「定期借地だから最後は心配ない」と考えるのではなく、契約期間中の管理と、終了に向けた準備まで含めて計画することが大切です。

借地人は土地購入費を抑えられる場合がある

借地人にとっては、土地を購入せずに住宅や事業用建物を所有できるため、当初の資金負担を抑えられる場合があります。店舗などでは、立地条件に合った土地を借り、事業計画に合わせて建物を整備する選択肢となります。

ただし、土地の利用期間には限りがあり、地代に加えて保証金・建築費・解体費などの負担も発生します。営業を続けたい場合でも、期間満了後の継続利用が保証されるわけではありません。

また、売却や融資では借地権の種類や残存期間が判断材料になります。土地購入費の差だけでなく、利用期間全体の収支と終了時の負担を比較しましょう。

契約前に確認しておきたい実務上のポイント

地代の改定と一時金の性質を明確にする

長期の契約では、物価や土地の評価、公租公課などが変化します。地代については、当初の金額だけでなく、改定時期・協議方法・判断の基準なども整理しておくと、将来の話し合いが進めやすくなります。

また、契約時の一時金が「保証金」「権利金」「前払地代」のどれに当たるのかによって、返還や精算の考え方が異なります。名称だけで判断せず、何のために支払うお金で、いつ、どのような条件で返還・精算されるのかを確認してください。

中途解約と事業撤退の条件を決める

契約期間が定められていても、借地人がいつでも自由に中途解約できるとは限りません。事業がうまくいかなかった場合や移転が必要になった場合に、どのように契約を終了できるかは、契約前に確認したい事項です。

  • 中途解約を認めるか、認める場合の条件は何か
  • 解約予告は何か月前までに行うか
  • 違約金や未経過期間の地代をどのように扱うか
  • 解体・土地返還と保証金精算をいつ行うか

違約金は高額に設定すれば安心というものではありません。契約の内容や適用される法律によって有効性が問題になる場合があるため、想定される損害と契約全体のバランスを踏まえて検討します。

譲渡・転貸・建替えの条件を確認する

長い契約期間中には、建物の売却、事業の承継、テナントへの賃貸、増改築や建替えが必要になることもあります。これらの行為について、何に地主の承諾が必要で、どのような条件が付くのかを確認しておきましょう。

特に賃借権を基礎とする借地権では、借地権の譲渡や土地の転貸について地主の承諾が問題になります。ただし、借地上の建物を貸すことと土地そのものを転貸することは同じではないため、行為の内容に応じて整理する必要があります。

また、建替えや大規模改修を行っても、それだけで定期借地権の期間が延長されるわけではありません。残存期間、工事費、融資期間、終了時の解体負担を合わせて検討してください。

解体費用と土地の返還範囲を具体化する

更地返還を予定する契約では、建物を取り壊す費用を誰が負担し、どのように準備するかが重要です。数十年後の解体費用は契約時の見積りから変わる可能性があるため、保証金や積立金を設ける場合も、金額の見直しや不足時の負担まで検討します。

また、「更地にして返す」という一文だけでは、基礎・杭・舗装・塀・埋設配管などをどこまで撤去するのかが曖昧になることがあります。契約開始時の土地の状態を写真や図面で記録し、返還時に求める状態と対応範囲を明確にしておきましょう。

借地開始前から存在する埋設物や土壌の問題と、借地人の利用によって生じた問題についても、責任を一括りにせず整理することが大切です。

終了日から逆算して準備する

建物を解体するには、荷物の搬出、入居者の退去、設備の停止、工事手配などが必要です。契約終了の直前に動き始めるのではなく、事前協議を始める時期や工程を確認しておくと、返還に向けた準備を進めやすくなります。

建物に入居者がいる場合は賃貸借の終了も検討する

借地人が建てた建物を第三者へ貸す場合は、土地の契約期間と建物の賃貸借契約を合わせて検討する必要があります。土地の契約が満了するからといって、建物の借主との調整がすべて自動的に終わるわけではありません。

建物の賃貸借を普通借家にするか定期借家にするか、いつまで貸すか、土地の返還に向けてどのように明渡しを進めるかを事前に整理します。定期借家契約を用いる場合も、必要な契約方法・事前説明・終了通知などの要件を確認してください。

また、借地期間の満了を知らなかった建物の賃借人については、一定の要件のもとで裁判所が明渡しの期限を許与する制度もあります。地主・借地人・建物の入居者という三者の関係を踏まえ、余裕を持って対応することが大切です。

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まとめ|契約期間だけでなく終了方法まで確認する

定期借地権には、50年以上の利用を予定する一般定期借地権、専ら事業用の建物に利用する事業用定期借地権、将来の建物譲渡によって借地権を消滅させる建物譲渡特約付借地権があります。

どの制度を選ぶかは、土地を何年貸すかだけでは決まりません。建物の用途、事業や生活の計画、契約終了後に更地で返してもらうのか、地主が建物を取得するのかまで考える必要があります。

特に実務では、解体費用、中途解約、地代の改定、建物に入居者がいる場合の対応などが重要になります。契約を結ぶときから終了時の姿を具体的にしておくことが、将来のトラブルを減らすポイントといえるでしょう。

なお、本記事は制度と確認事項の一般的な解説です。実際の契約では、権利の設定時期・契約内容・建物の用途などによって扱いが異なるため、弁護士等の専門家へ確認し、公正証書が必要な場合は公証役場にも相談してください。

ではこれにて、「定期借地権とは?3つの種類・契約期間・普通借地権との違いをわかりやすく解説」の知恵袋を閉じさせていただきたいと思います。

参考資料

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