私たちが生活を送る上で「避けては通れない」のが、様々な虫たちとの遭遇です。

セミやカナブン、カマキリなど、直接は害のない生き物から、ゴキブリや蚊など害虫と呼ばれる虫たちまで、私たちの身の回りには多くの生き物たちが存在しています。

また虫とは言っても「命あるもの」ですから、なるべく大切に扱いたいのはやまやまなのですが、害虫の類が家の内部に侵入した際などには『何としても駆除したい』という気持ちになりますよね。

そして、以前にお届けした「不動産の害虫駆除方法をご紹介いたします!」という記事においては、誰でも手軽に実践できる『不動産屋さん的害虫駆除法』を解説し、多くの反響を頂いたのですが、それと同時に「シロアリに関する記事も是非書いて欲しい」との要望も頂戴しておりました。

なお、基本的にシロアリの駆除に関してはプロの業者に任せるのがベストなのですが、今回はリクエストにお応えして、この厄介者についての記事を書いてみようと思います。

では、不動産とシロアリについて考える知恵袋を開いてみましょう。

不動産とシロアリ

 

シロアリってどんな生き物

シロアリ対策について解説する前に、「まずは相手がどの様な生物であるか?」という点からお話をしてみたいと思います。

身近な害虫としてすっかりお馴染みのシロアリですが、彼らを生物学的に分類すると「昆虫綱ゴキブリ目シロアリ科」に属する虫ということになるのだそうです。

よって驚くべきことに、実は彼らは「蟻」ではなく「ゴキブリ」の仲間ということになります。

これに対して庭などで見掛ける通常の蟻は「ハチ目スズメバチ上科アリ科」に属しており、どちらかと言うと「蜂に近い生物」となりますから、蟻とシロアリは完全に系統の異なる生物と言えるでしょう。

さて、「ゴキブリの仲間」などと聞くと思わず身震いしてしまいそうですが、自然界においては「枯れた木などを分解する重要な役割」を担っている存在であり、世界全体を見渡せてば『約2000を超える種類』が生息しているとされています。

ただ、いくら地球の役に立っているとはいえ、私たちのマイホームを食い荒らす彼らを野放しにする訳には行きませんし、私のように不動産業に携わる者や、建築関係の仕事に従事する方にとっては正に「大敵」と呼べる生き物なのです。

なお、私たちが暮らす日本には約20種類ものシロアリが生息していると言われていますが、住宅に被害をもたらすとされているのはこの中の4種類のみとなります。

そして、その4種類とはイエシロアリ、ヤマトシロアリ、ダイコクシロアリ、アメリカカンザイシロアリというラインナップとなるのです。

但し、生息区域の問題などから殆どの被害はイエシロアリ、ヤマトシロアリの二種によるものとなりますので、警戒すべきはこの2種となるでしょう。

ちなみに、ヤマトシロアリは小さめの巣を作るのに対して、イエシロアリは恐ろしく巨大な巣を作ることで知られており、最も厄介な敵はイエシロアリと呼べそうです。

 

シロアリ駆除の方法

では、もし自分の家がシロアリに冒されていることが判ったら「どのような対処法が有効」なのでしょうか。

なお、プロのシロアリ駆除業者に依頼した場合には、下記の2種類の対策が執られることが多いようです。

薬剤散布による駆除

最もオーソドックスな駆除方法となるのが、薬剤の散布による対策です。

そして、この駆除方法においては床下などを専門家が調査した上で、シロアリに食い荒らされている柱などに直接薬剤を散布したり、塗り付けたりすることで駆除を行うこととなります。

ちなみに薬剤散布はコスト的にもそれ程高額なものではない上、薬剤の持続効果も長期間に及びますから、施工後に保証期間を設けている駆除会社もあるほどです。

また薬剤と聞くと「子供やペットに影響がないのか?」と心配される方も多いと思いますが、近年は毒性の低い殺虫剤が使用されていますから、この点についてはあまり心配する必要はないでしょう。

毒エサ方式

一方、薬剤方式より確実な効果があるとされているのが、毒エサを使用した駆除方法です。

市販されている蟻用殺虫剤にも「これに似た方式を採用した製品」が販売されていますから、既に馴染みのある方もおられるかもしれませんが「シロアリに毒エサを巣に運ばせ、巣に潜む虫を根絶やしにする」のがこちらの方式となります。

なお、ここまでの説明を読んで「これは非常に効率的な方法だ!」と思われた方も多いことでしょうが、シロアリの巣は大きさも、巣食う虫の量も凄まじいため、一度や二度の駆除作業の実施で全滅させることは困難です。

よって、年単位での気の長い対策が必要となる上、効果の程を調査しながら作業を進めて行く必要があるため、薬剤による対策よりも『かなり高額な費用が掛る』ことになるでしょう。

但し、最後までしっかりと対策を完了すれば「再発する可能性は非常に低い」とされていますから、予算に余裕のある方にはおすすめの方法となるのです。

このように、シロアリ退治には2つの選択肢が用意されていますが、どちらの方法にも「良し悪し」があるのが現実です。

また通信販売などでは「自分で駆除できるキット」なども販売されていますが、一度の駆除で巣に壊滅的な打撃を与えない限りは再び繁殖を繰り返しますから、信頼のおけるプロフェッショナルに依頼をするのがおすすめの方法となります。

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住宅購入時の注意点

さて続いては住宅購入時や、既にお住まいの自宅でのシロアリ問題について考えてみましょう。

「家にシロアリが憑り付いているか否か」の判断を素人が行うのは危険な行為であるとされていますが、『危険な兆候があるか』をチェックする程度であれば、これは意外に容易にできるものです。

そして、まず気を付けたいのが床の軋みなどの症状となります。

建物が完成してからある程度の年月を経れば、床を支える根太などに打たれた釘が緩み、「床鳴り」がするのは当たり前なのですが、こうした症状がある場合には念のために駆除業者へ調査を依頼するべきでしょう。

また、更に危険な症状となるのが床がフカフカとクッションのような状態となる症状であり、この状態となれば「まずシロアリが居る」と見て良いはずです。

ちなみに、『どうしても気になる』という方については実際に床下を覗いて見る方法も有効であり、「蟻道」と呼ばれる『おが屑が筋状に積もった形跡』が見られれば、これは確実に『アウトの判定』となります。

さて、このようなお話をすると『中古住宅の購入が恐ろしくなって来た』という方もおられるでしょうが、私の経験上、定期的なシロアリ対策を行っていない住宅で築30年以上が経過していれば、8割方は「シロアリが居る」と思った方が良いでしょう。

よって、築年数の古い中古住宅を購入する場合には、引渡しを受ける前に駆除業者の検査を受けることをおすすめします。

なお薬剤による駆除の場合は、薬の効き目が5年程度となりますから、この期間が経過した場合には再びシロアリ駆除と予防の工事が必要となるでしょう。

ちなみに、新築の建売住宅を購入した場合であっても、行われているのは100%「薬剤による駆除・予防」のみとなりますので、定期的な防蟻処理が必須となります。

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住宅とシロアリまとめ

ここまで見て来た通り、シロアリは正に木造住宅最大の敵と呼べる存在です。

なお、実際の駆除作業にはそれなりの費用が掛かるものですが、「シロアリが居る居ないの判定」自体はかなり低いコストで行うことができますから、『もしや』と思う兆候を発見した場合には、直ぐに調査を依頼するべきでしょう。

ちなみに、駆除業者の中には「悪質な会社」も存在しておりますので、調査や駆除を行う際には信頼のおける建築会社や不動産屋さんから業者を紹介してもらうのがおすすめです。

住宅の「癌」とも言われるシロアリをしっかり駆除して、大切なマイホームを長持ちさせたいものですよね。

ではこれにて、不動産とシロアリという問題について知恵袋を閉じさせていただきたいと思います。